JPS6231634B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、排水を再利用可能になるように排水
中の有機物の外、固形物およびコロイド状微粒子
等の汚泥を高度に除去する排水の処理設備に関す
るものである。

（従来の技術） 近年、都市内のビルデイングに対し、給水量お
よび排水量の規制が行われてきたので、新築のビ
ルデイング等にあつては、ビルデイング内に二重
配管システムを採用し、一旦使用されて排出され
てくる排水を回収し、浄化後これを水洗便所の洗
浄用水、洗車、散水等に再利用する傾向が強くな
つてきた。

従来、前記の排水を高度に処理する手段として
は、排水中の有機物を除去する活性汚泥曝気装置
と、前記活性汚泥曝気装置にて処理した前記処理
済み水中に混在する多量の活性汚泥等の固形物を
沈殿せしめる沈殿池と、前記沈殿池にて活性汚泥
等の固形物が沈殿除去された中間処理済み水中に
浮遊するコロイド状微粒子を濾過除去して清澄な
後処理済み水となす濾過装置とからなる排水の処
理設備があるけれども、多量の活性汚泥等の固形
物の沈殿に長時間を要するとともに沈殿池の面積
を広大にしなければならないという難点がある。

また、濾過層を再生する手段として、目詰りし
た濾過砂層を形成している濾過砂の一部を順次濾
過槽の底部から注入する原水によるエゼクタ作用
にて前記濾過砂層を貫通する上昇管中を上昇さ
せ、その上端から濾過槽の上方に設置した分離筒
内へ流下せしめる一方、該分離筒の下端部から前
記原水の注入量よりも多量の清水を注入せしめ、
該分難筒内において濾過砂を洗浄再生して濾過槽
内に戻すようになした上昇濾過装置があるけれど
も、多量の清水が必要であるばかりでなく、濾過
槽の上方に設置した分離筒のために装置の高さを
必然的に高くなり、天井の低いビルデイングの地
下室等には設置困難であるという欠点がある。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は上述した実状に鑑みてなされたもので
あつて、従来の排水処理設備における難点や、濾
過装置の欠点を除去するとともに、都市ビルデイ
ング等に好適な排水の処理設備の提供を目的とす
るものである。

（問題点を解決するための手段） 本発明は前記の目的を達成するために、排水を
貯留する貯槽と、前記貯槽から排水が給水される
処理槽に排水中の有機物を摂取する好気性微生物
が表面に付着培養せしめられる多数の回転円板を
それぞれの下半分を該処理槽内の排水中に浸漬せ
しめた回転円板式排水処理装置と、前記回転円板
式排水処理装置から該処理装置にて有機物を除去
した前処理済み水をポンプにて取出す際における
取出し量確保用保留槽と、濾過砂層が収容され、
かつ下底部が漏斗状に形成された濾過槽の底部に
配装され、前記保留槽に接続された分配樋、該分
配樋から前記濾過砂層内に延びる供給ノズルや該
供給ノズルの上方に配置したデストリビユタを具
備し、該濾過槽の上部には前記処理済み水中の固
形物およびコロイド状微粒子等の汚泥を濾過除去
した清澄な後処理済み水を溢流せしめる清澄水樋
を設ける一方、目詰りした濾過砂層形成用部分の
濾過砂は順次前記濾過槽の下端部に装着した空気
送入口から吹込まれる空気によつて前処理済み水
とともに連続的に浮上、撹拌洗浄せしめられるエ
アーリフト管を該濾過槽の中心部に前記濾過砂層
を貫通せしめて立設し、前記エアーリフト管の上
端部には該エアーリフト管内における撹拌洗浄に
より濾過砂から剥離した汚泥が濾過槽外に排出せ
しめられ、洗浄後の再生濾過砂が前記濾過砂層の
上面に戻されるようになした汚泥分離器を備えて
なる連続式砂濾過装置とからなることを特徴とす
る排水の処理設備である。

（作用） 本発明の排水の処理設備は、上述のように構成
されているので、排水を一旦貯槽内に導入貯留せ
しめ、該貯槽から排水を回転円板式排水処理装置
の処理槽内に給送すると、該処理槽内において排
水中の有機物は回転円板の表面に付着培養した好
気性微生物によつて摂取除去され、前記回転円板
式排水処理装置にて有機物が除去処理された前処
理済みの水は取出し量確保用保留槽に保留された
のちに、ポンプにて所要量が連続式砂濾過装置の
濾過槽の下底部に配装された分配樋や給送ノズ
ル、それにデストリビユタを介して濾過砂層内に
給送され、濾過砂層を通つて上昇する際に前処理
済み水中の固形物およびコロイド状微粒子等の汚
泥は濾過除去され、清澄な後処理済み水となつて
濾過槽の上部に設けた清澄水樋内に溢流する一
方、目詰りした濾過砂層を形成している濾過砂は
濾過槽の底部に集まり、エアーリフト管によつて
前処理済み水とともに汚泥分離器内へ連続して上
昇する際に、エアーリフト管内において撹拌洗浄
されることによつて、濾過砂から汚泥が剥離さ
れ、汚泥分離器にて汚泥と再生砂との分離が行わ
れ、汚泥は濾過槽外に排出され、再生濾過砂は濾
過砂層上に戻される。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面によつて詳細に説
明する。

本発明にかかる排水の処理設備は、第１図の配
置図に示すように、排水導入管１３からスクリー
ン１４を経て排水が導入貯槽せしめられる貯槽１
５と、前記貯槽１５から排水がポンプ１６、計量
槽１７、送水管１８にて給送される処理槽に排水
中の有機物を摂取する好気性微生物が表面に付着
培養せしめられる多数の回転円板１９，…をそれ
ぞれの下半分を該処理槽内の排水中に浸漬せしめ
た回転円板式排水処理装置１１と、前記回転円板
式排水処理装置１１から該処理装置１１にて有機
物を除去した前記処理済み水が溢流管２０にて誘
導される取出し量確保用保留槽２１と、前記槽２
１から所望量の前処理済み水が取出し管２２、ポ
ンプ２３、塩素等の滅菌物質を注入する滅菌装置
２５が付設された誘導管２４にて誘導供給され、
前処理水中の固形物およびコロイド状微粒子等の
汚泥を濾過除去して清澄な後処理済み水となす後
記する連続式砂濾過装置１２と、該連続式砂濾過
装置１２から溢流する清澄な後処理済み水が後処
理済み水排出管２６にて導入貯留せしめられ、か
つ後処理済み水取出し管２８が付設された後処理
済み水貯槽２７とよりなつている。なお、第１図
において、２９は砂洗浄汚水排出管である。

ところで、前記連続式砂濾過装置１２は、第２
図に示すように、濾過砂層３４形成用の濾過砂を
収容した濾過槽３０の下底部を漏斗状に形成し、
該下底部を取り巻く分配樋３１に前記誘導管２４
を接続してあつて、該誘導管２４を経て分配樋３
１に供給された前処理済み水は滅菌装置２５にて
滅菌剤を添加したのち複数個の供給ノズル３２と
デストリビユタ３３とによつて濾過砂層３４中の
全域に均等に振り分けられ、濾過砂層３４中を上
昇しながら前処理済み水中の固形物およびコロイ
ド状微粒子等の汚泥を濾過除去されるようになつ
ている。固形物およびコロイド状微生物等の汚泥
を濾過除去されて清澄になつた後処理済み水は濾
過槽３０の上部に設けた清澄水樋３５中に溢流流
入し、排出口３６に接続した後処理済み水排出管
２６を経て後処理済み水貯槽２７に流入するよう
になつている。

一方、濾過槽３０内の濾過砂層３４は前処理済
み水中の固形物およびコロイド状微粒子等の汚泥
を吸着して次第に汚染されて濾過能力が減退する
が、濾過槽３０の中心部に垂直に立設してあるエ
アーリフト管３７中に空気送入口３８から空気を
送入することによつて、汚染されて濾過槽３０の
底に沈降した濾過砂の一部が連続的に引抜かれて
エアーリフト管３７中を前処理済み水とともに上
昇し、汚泥分離器４３に達する際に、エアーリフ
ト管３７内で気泡と前処理済み水と濾過砂との間
に上昇速度差による撹拌洗浄が行われることによ
つて濾過砂の周囲に付着した汚泥が剥離され、汚
泥分離器４３内において洗浄再生濾過砂と汚泥と
の分離が行われ、洗浄再生濾過砂３９は前処理済
み水の一部とともに二重筒４０の間隙部を通過し
てエアーリフト管３７の上部に取付けた傘状の上
部砂受４１上に落下し、濾過砂層３４の上面に均
一に散布され、汚泥は前処理済み水の残部ととも
に汚泥排出口４４に接続した砂浄汚水排出管２２
を経て連続式砂濾過装置１２外に排出されるよう
になつている。なお、４２はエアーリフト管３７
の中程に取付けた傘状の下部砂受である。

本発明の排水処理設備は以上のように構成され
ていて、排水の処理に当つては、貯槽内に不規則
に導入貯留される排水の量に影響されないよう
に、ポンプ１６と計量槽１７とによつて貯槽１５
内から所望量の排水を回転円板式排水処理装置１
１に給送すると、回転円板式排水処理装置１１内
においては回転円板の表面に付着培養した好気性
微生物が排水中に浸漬しているときに排水中の有
機物を摂取することによつて排水中の有機物の除
去が行われ、回転円板式排水処理装置１１によつ
て有機物が除去された前処理済み水は溢流水管２
０を介して取出し量確保用保留槽２１内に流入せ
しめられる。

次いで、前処理済み水は保留槽２１から所望量
が取出し管２２と、ポンプ２３と滅菌装置２５を
有する誘導管２４とによつて、滅菌剤を添加さ
れ、連続式砂濾過装置１２の濾過槽３０の下底部
に配装した分配樋３１およびノズル３２，…やデ
ストリビユタ３３を経て濾過砂層３４内に供給さ
れ、濾過砂層３４内に供給された前処理済み水が
濾過砂層３４を通つて上昇する際に前処理済み水
中の固形物およびコロイド状微粒子等の汚泥は濾
過除去され、清澄な濾過水、すなわち清澄な後処
理済み水となつて濾過槽３０の上部に設けた清澄
水樋３５中に溢流流入し、排出口３６に接続した
後処理済み水排出管２６を経て後処理済み水貯槽
２７に導入貯留せしめられる。

一方、濾過処理の際に固形物およびコロイド状
微粒子等の汚泥を吸着した濾過砂層形成用濾過砂
は次第に沈降し、傘状の下部砂受４２と漏斗状底
部とによつて誘導され濾過槽３０の底部に集まる
ので、これを空気送入口３８から吹込まれる空気
によつてエアーリフト管３７内に上昇せしめ、撹
拌洗浄して濾過砂から汚泥を剥離せしめ、汚泥分
離器４３にて洗浄再生濾過砂と汚泥との分離を行
い、洗浄再生濾過砂を前処理済み水の一部ととも
に上部砂受４１を介して濾過砂層３４の上面に散
布することによつて、濾過砂層を連続的に洗浄再
生するとともに、分離された汚泥は前処理済み水
の残部とともに砂洗浄汚水となつて排出管２９を
経て濾過槽外に排出される。

以上のように本発明にかかる排水処理設備は、
特に、中間処理を行う沈殿池を設置することな
く、排水中の有機物と固形物および微粒子等の汚
泥を連続的に除去できるのである。大きい負荷変
動に耐えることができるとともに高濃度の排水の
処理に適している回転円板式排水処理装置によつ
て排水中の有機物を除去した前処理済み水を連続
式砂濾過装置にて処理するようにしたものである
ので、連続濾過が容易になるのである。

以上のように、本発明の排水処理設備は負荷変
動が大きく、高濃度の排水の処理に適しているば
かりでなく、特に、中間処理のために広大な面積
を要する沈殿池が不要であることによつて、沈殿
池を設置するための広大な面積が得られないビル
デイング等から排出される排水を処理して再利用
するのに至極好都合である。

さらに、排水処理設備を空にして定期検査した
後、排水処理を再開する際には４〜５時間の沈殿
時間を要する沈殿池がないことによつて、清澄な
後処理済み水がそれだけ早く後処理済み水貯槽に
溜まるので、定期検査中に切替え使用する高価な
上水の使用量を節約できるのである。

一例として、本発明にかかる排水の処理設備に
て生活排水を処理したところ、処理済み水の水質
がBOD15PPM以下、SS8PPM以下、NH₃N10PPM
以下の如き高度の浄化能力が示された。

（発明の効果） 前述の説明によつて明らかなように、本発明に
よると、沈殿池が不要で、排水中の有機物の外固
形物および微粒子等の汚泥を連続して除去でき
て、都市ビルデイング等に好適な排水の処理設備
の提供が可能となつた。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すものであつて、第
１図は排水処理設備の配置図、第２図は連続式砂
濾過装置の拡大断面図である。 １１：回転円板式排水処理装置、１２：連続式
砂濾過装置、１５：貯槽、１９：回転円板、２
１：取出し量確保用保留槽、２７：後処理済み水
貯槽、３０：濾過槽、３１：分配樋、３２：供給
ノズル、３３：デストリビユタ、３４：濾過砂
層、３７：エアーリフト管、３８：空気送入口、
３９：再生濾過砂、４３：汚泥分離器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 排水を貯留する貯槽と、前記貯槽から排水が
   給送される処理槽に排水中の有機物を摂取する好
   気性微生物が表面に付着培養せしめられる多数の
   回転円板をそれぞれの下半分を該処理槽内の排水
   中に浸漬せしめた回転円板式排水処理装置と、前
   記回転円板式排水処理装置から該処理装置にて有
   機物を除去した前処理済み水をポンプにて取出す
   際における取出し量確保用保留槽と、濾過砂層が
   収容され、かつ下底部が漏斗状に形成された濾過
   槽の底部に配装され、前記保留槽に接続された分
   配樋、該分配樋から前記濾過砂層内に延びる供給
   ノズルや該供給ノズルの上方に配置したデストリ
   ビユタを具備し、該濾過槽の上部には前処理済み
   水中の固形物およびコロイド状微粒子等の汚泥を
   濾過除去した清澄な後処理済み水を溢流せしめる
   清澄水樋を設ける一方、目詰りした濾過砂層形成
   用部分の濾過砂は順次前記濾過槽の下端部に装着
   した空気送入口から吹込まれる空気によつて前処
   理済み水とともに連続的に浮上、撹拌洗浄せしめ
   られるエアーリフト管を該濾過槽の中心部に前記
   濾過砂層を貫通せしめて立設し、前記エアーリフ
   ト管の上端部には該エアーリフト管内における撹
   拌洗浄により濾過砂から剥離した汚泥が濾過槽外
   に排出せしめられ、洗浄後の再生濾過砂が前記濾
   過砂層の上面に戻されるようになした汚泥分離器
   を備えてなる連続式砂濾過装置とからなることを
   特徴とする排水の処理設備。