JPH044805Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、し尿、都市下水あるいは産業排水等
の被処理水に含有する浮遊物を取除く高濃度浮遊
物含有水の砂濾過装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、この種の濾過装置は、生下水等の高濃度
浮遊物含有水を槽内に投入すると濾材である砂層
が閉塞し易いことより重力沈降による沈澱分離が
一般的である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、重力沈降による沈澱分離では設備容量
が大きく、また濾過分離と比較するとその除去率
は小さい。また、生下水等の処理に砂濾過を用い
ると短時間に濾床の閉塞が起こり、濾過継続時間
が極端に短くなり、濾床全体を有効に使つた濾過
を行なうことができない。

しかも、高濃度浮遊物含有水を固定床式下向流
濾過槽に直接かけた場合、濾過抵抗が急速に立上
がり濾過の継続が困難になるため、頻繁に濾材を
全量若しくは表層の一部を洗浄しなければなら
ず、この洗浄を行う間は、濾過操作が中断される
ことになる。

そこで本考案は、濾床の閉塞を防止することに
よつて砂濾過設備を生下水等の処理に用い、その
除去率を高め、かつ連続濾過操作が可能な高濃度
浮遊物含有水の砂濾過装置を提供するとともに、
該装置により浮遊物成分中の生分解性の有機物を
固液分離にて除去することにより、後段の生物処
理設備の軽減化および洗浄汚泥からの高いエネル
ギー回収を行なうことを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上記の点に鑑みなされたもので、砂濾
材を充填した濾床内を上向流して被処理水を粗濾
過する移動床式上向流濾過槽と、砂濾材を充填
し、前記移動床式上向流濾過槽で処理した被処理
水を濾床内を下向流して清澄濾過する固定床式下
向流濾過槽とを直列２段に配設するとともに、前
記移動床式上向流濾過槽の砂濾材を該移動床式上
向流濾過槽下部より取出して連続あるいは間欠的
に洗浄して該移動床式上向流濾過槽上部より供給
する混気ジエツトポンプを有する第１洗浄装置
と、前記固定床式下向流濾過槽中間部より取出し
た濾床表部の砂濾材を間欠的に洗浄して該固定床
式下向流濾過槽上部より供給する混気ジエツトポ
ンプを有する第２洗浄装置と、前記固定床式下向
流濾過槽下部より取出した砂濾材を間欠的に洗浄
して該固定床式下向流濾過槽上部より供給する混
気ジエツトポンプを有する第３洗浄装置とを備え
たことを特徴とする。

〔作用〕

したがつてこのように構成することにより、高
濃度浮遊物処理に適した移動床上向流濾過槽にて
粒子径の比較的大きな浮遊物が除去され、固定床
式下向流濾過槽にて粒子径の比較的小さな浮遊物
が除去される。そして、移動床式上向流濾過槽の
濾床を連続あるいは間欠的に洗浄することによ
り、該槽の濾床の閉塞を防ぎ、さらに低濃度浮遊
物処理に適した固定床式下向流濾過槽の濾床表部
の砂濾材を槽外に間欠的に取出して洗浄を行なう
ことにより、固定床式下向流濾過槽の濾床の濾過
容量を有効に使用することができ、濾過継続時間
を長くするとともに浮遊物成分の除去率が高くな
る。

〔実施例〕

以下、本考案に係る高濃度浮遊物含有水の濾過
処理装置の実施例を図面に基づき説明する。

図示の砂濾過装置は、移動床式上向流濾過槽１
と、該槽１で粗濾過された被処理水を清澄濾過す
る固定床式下向流濾過槽２とを直列２段に配設す
るとともに、移動床式上向流濾過槽１に充填され
ている濾床１０の砂濾材を該槽１の下部より取出
して連続あるいは間欠的に洗浄して該槽１の上部
より供給する第１洗浄装置３と、固定床式下向流
濾過槽２に充填されている濾床２０の表部の砂濾
材を該槽２の中間部より取出して間欠的に洗浄し
て該槽２の上部より供給する第２洗浄装置４と、
該槽２の下部より濾床２０の砂濾材を取出して間
欠的に洗浄して該槽２の上部より供給する第３洗
浄装置５を備えている。

前記移動床式上向流濾過槽１は、該槽１内に砂
濾材からなる濾床１０が充填され、生下水等の被
処理水を供給する流入管１１が該槽１の中間部を
貫通して、その端部が濾床１０内に配設されてお
り、該流入管１１の端部上方位置には分流板１２
が配設されている。また、該槽１の濾床１０の上
方位置には溢流溜１３が設けられ、該溢流溜１３
には該槽１で濾過された被処理水を固定床式下向
流濾過槽２の上部に供給する供給管１４が設けら
れている。

前記固定床式下向流濾過槽２は、該槽２内に砂
濾材からなる濾床２０が充填され、該濾床２０の
下部には該濾床２０によつて濾過された被処理水
を取出す流出管２１の端部が配設され、該管２１
は該槽２の下部側方を貫通して外部に延出してい
る。また、該槽２の濾床２０の上方位置には溢流
溜２２が設けられ、該溢流溜２２内の被処理水は
返送管２３によつて、貯槽（図示せず）に返送さ
れる。

前記第１洗浄装置３は、洗浄水を連続あるいは
間欠的に送給する第１ポンプ３０と、該第１ポン
プ３０により送給管３１を介して送給された洗浄
水と大気とを混合し、移動床式上向流濾過槽１の
下部より弁３２を介して取出された砂濾材を洗浄
水とともに送給管３３を介して送給する混気ジエ
ツトポンプ３４と、送給管３３を介して送給され
た洗浄水と砂濾材とを分離する該槽１上部に設け
られた分離槽３５とを備えている。そして、該分
離槽３５で分離した砂濾材は移動床式上向流濾過
槽１内へ供給され、分離した洗浄水は分離槽３５
内に設けた溢流溜３６を介して排水管３７にて槽
外へ排出される。

前記第２洗浄装置４は、洗浄水を間欠的に送給
する第２ポンプ４０と、第２ポンプ４０により送
給管４１、弁４２を介して送給された洗浄水と大
気とを混合し、固定床式下向流濾過槽２の中間部
より管４３、弁４４を介して取出された該槽２の
濾床２０表部の砂濾材を洗浄水とともに送給管４
５を介して送給する混気ジエツトポンプ４６と、
送給管４５を介して送給された洗浄水と砂濾材と
を分離する、固定床式下向流濾過槽２の上部に設
けられた分離槽４７とを備えている。そして、該
分離槽４７で分離した砂濾材は固定床式下向流濾
過槽２内へ供給され、分離した洗浄水は分離槽４
７内に設けた溢流溜４８を介して排出管４９にて
槽外へ排出される。

前記第３洗浄装置５は、第２ポンプ４０と、第
２ポンプ４０により送給管４１から分岐した送給
管５０、弁５１を介して送給された洗浄水と大気
とを混合し、固定床式下向流濾過槽２の下部より
弁５２を介して取出された砂濾材を洗浄水ととも
に送給管５３を介して送給する混気ジエツトポン
プ５４と、分離槽４７とを備えている。そして、
該分離槽４７で分離された砂濾材は固定床式下向
流濾過槽２へ供給され、分離した洗浄水は溢流溜
４８、排出管４９を介して槽外へ排出される。

次に上記装置の作用について述べると、生下水
等の被処理水は、流入管１１を介して移動床式上
向流濾過槽１の濾床１０内に供給され、分流板１
２にて分流されながら、濾床１０内を上向流して
主として比較的粒子径の大きい浮遊物を粗濾過し
て濾床１０上に溜り、溢流溜１３よりオーバーフ
ローし、供給管１４を介して固定床式下向流濾過
槽２の上部に供給される。

該濾過槽２の上部に供給された被処理水は、濾
床２０内を下降して浮遊物を清澄濾過した後、流
出管２１を介して槽外へ排出される。

一方、前記移動床式上向流濾過槽１内を上昇す
る前記被処理水中の浮遊物を付着して沈降した砂
濾材は第１洗浄装置３に供給されて洗浄される。
即ち、送給ポンプ３０にて送給管３１を介して連
続的あるいは間欠的に洗浄水が混気ジエツトポン
プ３４に送給され、該ポンプ３４にて大気が洗浄
水に混入される。そして、この洗浄水の気泡混合
作用によつて、弁３２を介して混気ジエツトポン
プ３４に吸引供給される砂濾材を振盪流動しなが
ら送給管３３を介して分離槽３５に送り、この間
に砂濾材に付着した浮遊物は取除かれて分離槽３
５にて分離され、取除かれた浮遊物は溢流溜３６
より排出管３７を介して槽外へ排出され、洗浄さ
れた砂濾材は分離槽３５の下部より前記濾過槽１
内に供給され再利用される。このように濾床１０
の砂濾材は常に循環しながら洗浄される。したが
つて、濾床１０の砂濾材は常に移動するので高濃
度浮遊物含有水を濾過しても濾床１０が閉塞され
ることはない。

また、前記固定床式下向流濾過槽２内の濾床２
０は、被処理水の濾過によりその表部の損失水頭
が大きくなつた時に、第２洗浄装置４にて洗浄さ
れる。即ち、送給ポンプ４０にて送給管４１、弁
４２を介して間欠的に洗浄水が混気ジエツトポン
プ４６に送給され、該ポンプ４６にて大気が洗浄
水に混入される。そしてこの洗浄水の気泡混合作
用によつて弁４４を介して混気ジエツト４６に吸
引供給される濾床２０表部の砂濾材を振盪流動し
ながら送給管４５を介し分離槽４７に送り、この
間に砂濾材に付着した浮遊物は取除かれて分離槽
４７にて分離され、取除かれた浮遊物は溢流溜４
８より排出管４９を介して槽外に排出され、洗浄
された砂濾材は分離槽４７の下部より前記濾過槽
２内に供給され再利用される。したがつて、移動
床式上向流濾過槽１で濾過されなかつた比較的粒
子径の小さな浮遊物が、固定床式下向流濾過槽２
の濾床２０の表部に抑留しても第２洗浄装置４に
よつて取除くことが可能となる。尚この洗浄時に
は、前記濾過槽２は連続して濾過作業を行なつて
いる。

次に前記濾過槽２の濾床２０下部損失水頭が限
界に達すると、濾床２０全体の砂濾材の洗浄を行
なう。この場合、先ず濾過作業を停止し、濾床２
０の砂濾材を第３洗浄装置５にて洗浄する。即
ち、送給ポンプ４０にて送給管５０、弁５１を介
して間欠的に洗浄水が混気ジエツトポンプ５４に
送給され、該ポンプ５４にて大気が洗浄水に混入
される。そして、この洗浄水の気泡混合作用によ
つて前記濾過槽２の下部の弁５２を介して混気ジ
エツトポンプ５４に吸引供給される砂濾材を振盪
流動しながら送給管５３を介し分離槽４７に送
り、この間に砂部材に付着した浮遊物は取除かれ
て分離槽４７にて分離され、取除かれた浮遊物は
溢流溜４８より排出管４９を介して槽外へ排出さ
れ、洗浄された砂濾材は分離槽４７の下部より前
記濾過槽２内に供給され再利用される。濾床２０
の砂濾材全部の洗浄が終了すると再び濾過作業を
開始する。

〔考案の効果〕

本考案は以上のように、被処理水を濾床の閉塞
のし難い移動床式上向流濾過槽で粗濾過し、次い
で固定床式下向流濾過槽で清澄濾過するととも
に、濾過作業を行ないながら移動床式上向流濾過
槽の濾床と固定床式下向流濾過槽の濾床表部の砂
濾材とを洗浄して供給するから、第１段の移動床
式上向流濾過槽で、比較的粒径の大きい浮遊物を
除去することにより、第２段の固定床式下向流濾
過槽の除去能濾過継続時間等の濾過性能を十分に
引き出すことができ、高濃度浮遊物を含有する被
処理水を効率よく除去でき、後段の生物処理設備
の負担を軽減できる。しかも、移動床式上向流濾
過槽を第１段に用いることにより、洗浄による濾
過の中断を行わずに、継続して濾過操作を行うこ
とができる。

そして、特に混気ジエツトポンプを用いたの
で、該ポンプの下流側に多量の小気泡が発生し、
この小気泡は各濾過層において砂と分離した浮遊
物を伴いながら上昇して大気に放出されるため、
分離効果を一層高めることができる。また固定床
式下向流濾過槽の濾床全体が閉塞した時は、該濾
床全体の砂濾材を洗浄することによつてその閉塞
を取除くことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示す系統図である。 １……移動床式上向流濾過槽、２……固定床式
下向流濾過槽、３……第１洗浄装置、４……第２
洗浄装置、５……第３洗浄装置、１０，２０……
濾床、１１……流入管、１４……供給管、２１…
…流出管、３４，４６，５４……混気ジエツトポ
ンプ、３５，４７……分離槽。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 砂濾材を充填した濾床内を上向流して被処理水
   を粗濾過する移動床式上向流濾過槽と、砂濾材を
   充填し、前記移動床式上向流濾過槽で処理した被
   処理水を濾床内を下向流して清澄濾過する固定床
   式下向流濾過槽とを直列２段に配設するととも
   に、前記移動床式上向流濾過槽の砂濾材を該移動
   床式上向流濾過槽下部より取出して連続あるいは
   間欠的に洗浄して該移動床式上向流濾過槽上部よ
   り供給する混気ジエツトポンプを有する第１洗浄
   装置と、前記固定床式下向流濾過槽中間部より取
   出した濾床表部の砂濾材を間欠的に洗浄して該固
   定床式下向流濾過槽上部より供給する混気ジエツ
   トポンプを有する第２洗浄装置と、前記固定床式
   下向流濾過槽下部より取出した砂濾材を間欠的に
   洗浄して該固定床式下向流濾過槽上部より供給す
   る混気ジエツトポンプを有する第３洗浄装置とを
   備えたことを特徴とする高濃度浮遊物含有水の砂
   濾過装置。