JP3666065B2 - 生物濾過式窒素除去方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は下水等の不溶性の有機物を含む排水の窒素除去を行なう生物濾過式窒素除去方法に係り、特に逆洗方法を改良した生物濾過式窒素除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
排水中の窒素を除去する方法では、微生物による硝化・脱窒反応を利用した方式が多くの実績を持つ。中でも小さな敷地面積で効率よく窒素を除去する方法として、近年、生物濾過法が注目されている。その一つにポリプロピレンやウレタン樹脂等を発泡させた比重が極めて小さい浮上性の濾材で濾過槽内に脱窒濾層を形成し、この濾層に上向流で原水を通水して、生物濾過し、脱窒を行なう方法がある。
【0003】
この浮上性濾材は、発泡成形されているので小粒径であり、表面積が広いため、生物濾過の場合、濾材に付着する生物膜の保持量は極めて大であり、その結果、高負荷運転が可能となり、高度の処理水を得ることができる。また、濾材表面に脱窒菌を付着させているため処理水の固液分離に沈殿池を必要とせず、小さな敷地面積内に設置することができる。
【0004】
この生物濾過法では、濾過時間の経過と共にSSの捕捉と余剰汚泥の発生により濾過層が閉塞してくるため、定期的に洗浄が必要である。洗浄においては捕捉SSと余剰汚泥を確実に排出し、差圧を低減することが必要である。
【0005】
洗浄が不十分になると、濾材間にスライム状に微生物が付着し濾材を固着させて通水を妨げる恐れがあるため、浮上性濾材を用いた上向流式脱窒方法では、以下のようなSSを十分に排出できる逆洗方法が一般的である。
【0006】
即ち、まず濾過層下部の排水管から水を抜き、上部から水を供給して(例、流速:30〜60m/h)水逆洗を行ない、次いで濾過層下部から空気を供給して(流速10〜20m/h)空気逆洗を行なう、水逆洗、空気逆洗を数回繰り返し、最後に濾過層を水でリンスすることにより、濾過層に捕捉されたSSをほぼ完全に濾過層から除去する。
【0007】
このような逆洗において、水逆洗時に濾過層の展開率を5〜25%とし、逆洗水(排出水)のSS濃度変化がピークを超え、ピーク時の0〜20%になるまで洗浄する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の濾過層の洗浄方法では、濾過層に捕捉されたSSを大量に排出するので、逆洗後に脱窒反応に必要なBODの不足を生じる問題がある。生物濾過法では微生物量を高濃度に維持できるため高負荷運転が可能であるが、その反面、滞留時間が短くなるため、可溶化に時間のかかる不溶性有機物質の利用が困難で脱窒のためのBODが不足し易い。濾過層内の捕捉SS量が増えるに従って不溶性有機物質の可溶化が促進され、不足BODを補うようになるが、逆洗を行なうと捕捉SSが流出してしまうためBOD不足を生じる。
【0009】
また、逆洗水量が多く、原水量に対して30%を上回る場合があり、固液分離設備が大型化する問題がある。
【0010】
本発明は、逆洗を行なっても脱窒のためのBODが不足せず、十分に脱窒反応を行なわせることができ、しかも逆洗水量も少なくて済む生物濾過式窒素除去方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の生物濾過式窒素除去方法は、浮上性濾材を充填して形成した脱窒濾過層に排水を上向流に通水して生物的に脱窒し、通水の継続により脱窒濾過層が目詰まりしたときに該濾過層の逆洗を行なう生物濾過式窒素除去方法において、該逆洗として、捕捉懸濁物の大部分を排出する強逆洗と、それよりも弱い逆洗を施す弱逆洗とを、強逆洗の間に3回以上の弱逆洗を行なうように実施することを特徴とするものである。
【0012】
本発明において、脱窒濾過層に付着した大部分の懸濁物(SS)を除去する逆洗が強逆洗であり、懸濁物の一部を除去する洗浄が弱逆洗である。弱逆洗においては、新たに捕捉したSSの20〜90%相当量を排出する。
【0013】
かかる本発明では、SSの排出量が少なく、差圧の低減効果の大きい弱逆洗を強逆洗の間に行なうことで、濾過層内の平均SS保持量を高く維持し、不溶性有機物の可溶化を促進してBODの不足を補うことができる。
【0014】
本発明では、強逆洗2回の間に弱逆洗を3回以上、例えば3〜30回行なう。このように弱逆洗を行なうことにより、逆洗水量も少なくなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明方法が適用される硝化脱窒装置の一例を示す概略的な縦断面図であり、槽体1の上部に透水性支持部材2が水平に設置され、その下側に浮上性濾材層3が設けられている。浮上性濾材層3の高さ方向の途中に散気管4が設けられ、それよりも上側が好気的な硝化部5とされ、下側が嫌気的な脱窒部6とされている。硝化液の一部は配管7によって脱窒部6へ循環される。8は逆洗排水管、9は弁、10は凝集剤添加手段を示す。
【0016】
浮上性濾材としては、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレンやウレタン樹脂等を直径1〜10mmの球体や不定形状に発泡成形した、比重が水より小さい、好ましくは0.1以下の濾材が用いられる。
【0017】
このような浮上性濾材を生物反応槽に充填し、適当な位置に配置される透水性の濾材支持部材2によって上向流通水された際に、支持部材下方に浮上性濾材層よりなる生物濾過層が形成される。
【0018】
本発明は、この生物濾過層を脱窒菌が付着した脱窒濾過層として使用する場合に適用されるものであり、この浮上性濾材層が脱窒層のみからなる場合にも適用でき、また、図1のように脱窒部6の上側に硝化部5を形成した場合にも適用される。
【0019】
本発明における強逆洗は、捕捉SS中の微生物がスライム状に濾材を固着させることを防ぐために定期的に行なわれる。
【0020】
強逆洗は、通常の生物濾過で使用される逆洗方法を使用することができ、濾過層に捕捉された懸濁物の大部分を除去できるものであれば良い。例えば、前述したように水逆洗(例、2分間)と空気逆洗(例、2分間)の組み合わせを数回(例、3回)とリンス(例、5分)を行なう方法、水逆洗のみを多量の水で行なう方法、脈動流を与える水逆洗方法等が使用できる。
【0021】
なお、この水逆洗は、通水を停止し、濾過層下方の逆洗排水管8に設けた弁を開として、濾過層内の水を排出すると共に濾材支持部材上の処理水を支持部材を通して供給することにより行なわれる。
【0022】
例えば、流速30〜60m/hで供給すると、濾過層は下方に向かって105〜125%展開する(展開率5〜25%)。濾過層の展開により濾過層が緩み、また、水の流れによる濾材の流動、衝突により、捕捉されたSSは剥離され、水と共に排出される。
【0023】
空気逆洗するには、逆洗水の供給を停止して濾過層の下方から散気する。これにより、気泡流によって激しく濾材が流動、衝突を繰り返し、濾材に強く付着していたSSも剥離される。
【0024】
このような強逆洗によって、濾過層に捕捉された大部分のSSを除去するが、予め定めた逆洗工程を一通り行なうことにより終了とする。
【0025】
弱逆洗は、強逆洗を1回行なった後、3〜30回、特に好ましくは3〜10回行なう。弱逆洗の実施時期は所定の濾過差圧に達したときに行なっても良いし、所定時間毎に行なっても良い。
【0026】
弱逆洗は、濾過層に新たに捕捉されたSSの20〜90%相当量を除去し、残りを濾過層内に残留する方法なら任意の方法で良い。例えば、逆洗水を濾過層上部から供給して下部から排出する水逆洗を1回のみ行なう。弱逆洗は予め設定した洗浄水量を供給するか、予め設定した時間水を供給することにより行なう。例えば、流速30〜60m/hで、1〜6分間、好ましくは1〜3分間水を供給することにより行なう。
【0027】
また、逆洗排水中のSS量を測定し、所定SS濃度になったときに弱逆洗を終了しても良い。
【0028】
例えば、洗浄時の濾過層の展開率が5〜25%となる逆洗流速において、逆洗水SS濃度変化がピークに達する前の所定濃度で終了すると、濾過差圧が著しく減少するにもかかわらずSS分が多量に残留するので好ましい。
【0029】
弱逆洗により、SSの捕捉量を多く保ち、かつ差圧を低減できる理由は以下である。強逆洗後SSの捕捉により差圧が上昇したときのSS捕捉量の分布は図3のように濾過層入口付近に集中している。弱逆洗ではこの入口付近のSSの一部を排出させるとともに、濾過層の内部に分散させる効果がある。弱逆洗時には、濾材が一度展開するため、濾材を離れたSSが濾過層内で一部混合される。従って、逆洗排水SS濃度がピークに達する前に洗浄を停止すると、一度濾材から離れたSSが通水の再開とともに濾過槽上部へ移動して捕捉される。排出されるSSが少量でも、入口付近に集中していたSSが上層へ分散されることにより差圧は大きく低下する。
【0030】
また、弱逆洗の継続により、捕捉SSの分布が次第に上層へ広がってゆくため、層全体のSS保持量が次第に増加してゆく。効果は継続回数の増加とともに向上し、弱逆洗一回の排出量を新たに捕捉したSSの50%とすると、3回の継続で平均SS保持量は従来法(強逆洗のみを行なう)の30%以上向上する。
【0031】
図2に展開率5〜25%となる逆洗流速における逆洗水量と逆洗水SS濃度、洗浄後の差圧の関係の例を示す。逆洗開始後逆洗水SS濃度は次第に増加し、濾過層容積の0.5〜1.5倍量でピークに達する。その後次第に濃度は低下し、2〜4倍量で逆洗用水と同等となる。一方、差圧の回復率は0〜0.2倍量で急激に上昇し、その後の変化は小さい。これは差圧の上昇に対して、逆洗初期に排出される濾過層入口付近のSSの影響が大きいことを示している。
【0032】
これらの関係からSSの流出が少なく差圧低減効果の大きい弱逆洗方法の条件は、逆洗初期より逆洗水SS濃度がピークまでの範囲、好ましくはピーク前の10〜90%程度の濃度の時に洗浄を中断することとなる。濾過層上部に分散、捕捉されたSSは、逆洗初期には排出されないため、ピーク以前で洗浄を中断すれば排出されるSSは新たに捕捉されたSSが主で、排水濃度も比較的安定している。従って、洗浄を中断する方法は、逆洗水のSS濃度を連続的に測定して洗浄水量を制御する方法でも良いが、予め逆洗時間と逆洗水SS濃度の概略の関係を求めて、洗浄時間又は洗浄水量を設定する方法が平易である。
【0033】
排出するSS量は新たに捕捉したSSの20〜90%相当量が好ましい。20%未満では濾過層入口付近のSSが除去されないため、洗浄後の差圧の上昇が極端に早くなり、弱逆洗を続けた運転ができなくなる。従って、すぐに強逆洗を行わねばならず、結局平均保持SS量が従来法と変わらない。90%超では捕捉SS量の増加が小さく、従来法との差は小さい。
【0034】
弱逆洗は、濾過層入口付近のSSを排出することで差圧低減効果が大きいが、層内部にSSを多く残すため、繰り返す毎に濾過継続時間が短かくなる。また、捕捉SSがスライム化し易く、逆洗間隔が長くなりすぎると、SSが強く付着して、通常の逆洗でも剥離しにくくなるので、3〜10回程度で強逆洗を行なうのが好適である。
【0035】
強逆洗後はSSの流出によりBOD不足を生じるが、弱逆洗の実施によりBODが補われ脱窒率の高い時間が延長されるため、平均値で従来法(強逆洗のみを行なう。)より脱窒率が向上する。また、水量の少ない弱逆洗の併用により逆洗水量が低減される。
【0036】
排水中に窒素と共にリンが含まれているときは、生物濾過層に通水して脱窒を行なう際に、流入排水に無機凝集剤を添加するのが好ましい。
【0037】
無機凝集剤の添加によりリンを不溶化し、生物濾過層で除去でき、窒素、リンを同時に除去できる。ただし、凝集剤の添加によりSS分が増加する。(従って、従来の逆洗方法を採用すると逆洗回数が増加することになる。本発明方法によると、次の通り、弱逆洗により凝集フロックを比較的容易に除去できる。)
生物濾過層内の濾材の固着は、主に微生物の粘質物によるものと考えられる。無機凝集剤の添加により、原水中のSSは水酸化物フロックを介在した凝集フロックとなって濾過層内に捕捉され、水酸化アルミニウム等の水酸化物の介在により粘質物による結合が弱まり、固着しにくくなる。そのため、脱窒率の高い弱逆洗の継続時間を延長することが可能で平均脱窒率が向上する。無機凝集剤を添加する場合は、5〜30回程度の弱逆洗の継続が可能である。
【0038】
無機凝集剤としては、公知のものが使用でき、例えば、アルミニウム塩、鉄塩、カルシウム化合物等が使用できる。添加量は特に制限はないが、0.1〜5mg/L(リットル)あるいはリン濃度を目安にして設定すれば良い。
【0039】
【実施例】
(実施例1)
図1に示す硝化脱窒装置の容量等を次の通りとし、都市下水処理場の初沈越流水の処理を行なった。(なお、凝集剤は添加せず。)
浮上性濾材:直径3.5mmのポリプロピレン
脱窒部容積:500L(リットル)
硝化部容積:1000L
原水通水量:8L/min
循環比:3
逆洗は、濾過差圧が2m−H2 Oに達する度に行なった。強逆洗と弱逆洗との組み合わせは、強逆洗1回の後に弱逆洗を5回行なうようにした。強逆洗はLV50m/Hの水逆洗を10分間行なうものとし、弱逆洗は同流速の水逆洗を2分間だけ行なうものとした。
【0040】
その結果、表1に示す水質の処理水が得られた。なお、逆洗水比率を表2に示す。
【0041】
(比較例1)
弱逆洗の代わりに強逆洗のみを行なうようにした他は実施例1と同様にして同一の排水の処理を行なった。処理水水質を表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0003666065
【0043】
【表2】
Figure 0003666065
【0044】
(実施例2)
原水に凝集剤として硫酸バンドを8mg−Al/L添加し、且つ弱逆洗の回数を強逆洗1回に対して10回とした他は実施例1と同様にして同一の排水の処理を行なった。結果を表1,2に示す。
【0045】
(比較例2)
原水に凝集剤として硫酸バンドを8mg−Al/L添加した他は比較例1と同様にして同一の排水の処理を行なった。結果を表1,2に示す。
【0046】
表1より明らかな通り、本発明方法によると、窒素除去法(実施例1)、窒素・リン除去法(実施例2)のいずれにおいても従来法(比較例1又は2)より脱窒率が向上し、NO3 −N濃度が低下した。また、表2の通り、本発明によると逆洗水比率も低減し、特に実施例2の低減効果が大きい。
【0047】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の生物濾過式窒素除去方法によると、逆洗後においても脱窒に必要なBODが濾材層中に十分に存在するようになり、排水を十分に脱窒処理することが可能となる。また、この逆洗として洗浄水量の少ない弱逆洗を強逆洗の間に施すようにしているため、洗浄水量も少なくて足りるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例方法に用いられる硝化脱窒装置の構成図である。
【図2】運転データを示すグラフである。
【図3】捕捉SS量の分布例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 槽体
3 浮上性濾材層
4 散気管
5 硝化部
6 脱窒部

Claims (1)

  1. 浮上性濾材を充填して形成した脱窒濾過層に排水を上向流に通水して生物的に脱窒し、通水の継続により脱窒濾過層が目詰まりしたときに該濾過層の逆洗を行なう生物濾過式窒素除去方法において、
    該逆洗として、捕捉懸濁物の大部分を排出する強逆洗と、それよりも弱い逆洗を施す弱逆洗とを、強逆洗の間に3回以上の弱逆洗を行なうように実施することを特徴とする生物濾過式窒素除去方法。
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