JPS6229276B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動二輪車のベルト自動変速機の外気
導入による冷却装置に関する。

ゴムを主体とするドライブベルトを使用し、エ
ンジンの回転数に応じて減速比を自動的に可変に
したベルト自動変速機は既に公知である。

上記ベルト自動変速機は簡単な構造で無段変速
が可能なため、特に二輪車のような小型、安価で
かつ広範囲の使用回転ゾーンの要求される機種に
対して極めて有効である。しかしその反面駆動輪
への動力伝達力が（ベルトの摩擦係数）×（押圧
力）で決定されるため、大きな伝達力を得ようと
してベルトの押圧力を大にするとベルトとプーリ
間に発生する摩擦熱によりベルトが過熱する。従
つて動力伝達力に制限があり、適用する車輌に対
する出力又は排気量の制約が大きいという欠点が
ある。

一方変速機を変速機室に収め外部と遮断し変速
機内に塵埃、泥水等が侵入するのを防いでいるた
め上記発熱により変換機室内の温度の上昇を促進
している。

本発明は上記問題に鑑みなされ、エンジンのク
ランクシヤフトにより駆動されるピツチ径が可変
のドライブプーリと、該ドライブプーリからドラ
イブベルトにより駆動され駆動輪に動力を伝える
ピツチ径が可変のドリブンプーリを備え、ベルト
自動変速機室内に収容された自動二輪車のベルト
自動変速機において、上記ベルト自動変速機室に
外気吸入口及び外気排気口を通じ、外気吸入口を
自動二輪車の車体の一部を形成する車体カバーと
シートに囲まれた空間内に開口し、ベルト自動変
速機室内に塵埃、泥水等の混入のない清潔な外気
を導入するようにしてベルト自動変速機に発生し
た熱を外気と効率よく熱交換して冷却すると共
に、ベルト自動変速機室に異物が侵入することに
よる障害を防ぎ、ベルトの耐久性を増し、かつ従
来のものより大きな動力伝達力を得ることを可能
にした自動二輪車のベルト自動変速機の冷却装置
を提供するものである。

以下本発明の一実施例につき図面を参照して説
明する。

第１図は本ベルト自動変速機の冷却装置を備え
た自動二輪車の全体概略図、第２図はシート下部
の車体カバー内の透視側面図を示す。本自動二輪
車は車体１に転向前輪２及び駆動後輪３を備え、
車体１の一部を形成する車体カバー１′の上部に
シート４が設けられ、シート４下部の車体カバー
１′内にエンジン５が装備され、ベルト自動変速
機室６内に収容されたベルト自動変速機を介して
後輪３が駆動される。上記シート４下部の車体カ
バー１′の内部はほぼ密閉されて外部の塵埃や泥
水等の侵入を防ぎ、ここに内装される前記エンジ
ン５をはじめとするエアクリーナ７、気化器８、
燃料タンク９、バツテリ１０等の主要機器を保護
している。ベルト自動変速機室６は前方に外気吸
入孔１１を有する外気吸入通路１２が形成される
と共に後部外周に沿い外気排出通路１３が形成さ
れ、上記外気吸入孔１１には外気吸入チユーブ１
４ａが接続されてその先端の外気吸入孔１１は前
記車体カバー１′とシート４に囲まれた空間内に
開口され、一方外気排出通路１３の下端は左右方
向に開口された外気排出口１５に通じている。

第３図及び第４図はベルト自動変速機室６の詳
細を示し、図についてベルト自動変速機の概要を
次に説明する。

エンジン５のクランクシヤフト１６の片道にピ
ツチ径が可変のドライブプーリ１７が取付けられ
ている。このドライブプーリ１７はクランクシヤ
フト１６に固定され、側面に翼１７ａを有して冷
却フアンを形成するドライブフエース１７ｂと、
クランクシヤフト１６に設けられたドライブフエ
ースカラー１７ｃ上を軸方向に移動可能なムーバ
ブルドライブフエース１７ｄと、クランクシヤフ
ト１６に固定されたランププレート１７ｅと、ム
ーバブルドライブフエース１７ｄとランププレー
ト１７ｅとの間に挿入されたウエートローラ１７
ｆとよりなる。ムーバブルドライブフエース１７
ｄはエンジン５の回転数に応じて発生するウエー
トローラ１７ｆの遠心力によりドライブフエース
カラー１７ｃ上を軸方向に移動してドライブフエ
ース１７ｂとの間隔を変化させ、ドライブプーリ
１７のピツチ径を可変にする。

ドリブンプーリ１８はドリブンフエース１８ａ
とムーバブルドリブンフエース１８ｂとよりな
り、ドリブンフエース１８ａはドリブンシヤフト
１９に対し回転可能なドリブンフエースボス１８
ｃに固定され、側面に翼１８ｄを有して冷却フア
ンを形成し、かつ後述する複数の通孔が設けられ
ている。ムーバブルドリブンフエース１８ｂはド
リブンフエースボス１８ｃ上を軸方向に移動可能
なドリブンカム１８ｅに固定され、スプリング８
ｆよりドリブンフエース１８ａ方向に押圧され、
かつ後述する複数の通孔が設けられている。

そして前記ドライブプーリ１７とこのドリブン
プーリ１８とに掛巻されたドライブベルト２０の
張力とスプリング１８ｆのばね力とがバランスし
た点でドリブンフエース１８ａとムーバブルドリ
ブンフエース１８ｂとの間隔が設定され、ドリブ
ンプーリ１８のピツチ径が可変となる。

又前記ドリブンフエースボス１８ｃには遠心ク
ラツチ２１のクラツチプレート２１ａが固設さ
れ、一方ドリブンシヤフト１９にクラツチアウタ
２１ｂが固設され、ドリブンプーリ１８の回転数
が所定数以上に達するとクラツチプレート２１ａ
に設けられた遠心クラツチシユー２１ｃに発生す
る遠心力により遠心クラツチシユー２１ｃがクラ
ツチアウタ２１ｂに係合し、ドリブンプーリ１８
の回転がドリブンシヤフト１９に伝えられる。こ
のドリブンシヤフト１９の回転はミツシヨンギヤ
２２を介してフアイナルシヤフト２３に伝えられ
駆動後輪３が駆動される。尚上記クラツチアウタ
２１ｂの外周には翼２１ｄを有しクラツチアウタ
ーフアンを形成している。

第５図及び第６図は前記ドリブンプーリ１８の
詳細を示し、ドリブンフエースボス１８ｃにはピ
ン１８ｇが立設され、このピン１８ｇはドリブン
カム１８ｅに設けられたカム溝１８ｈに係合され
ている。このカム溝１８ｈは軸方向に対して傾斜
し、ムーバブルドリブンフエース１８ｂがドリブ
ンフエース１８ａに対して第６図に示す矢線方向
に相対移動する時ムーバブルドリブンフエース１
８ｂとドリブンフエース１８ｂとの間隔が開きド
リブンプーリ１８のピツチ径が減少する。又ドリ
ブンフエース１８ａ及びムーバブルドリブンフエ
ース１８ｂの夫々には該ドリブンプーリ１８の最
小ピツチ径Dminより内側に複数の通孔１８ｉ，
１８ｊが設けられ、この通孔１８ｉ，１８ｊはム
ーバブルドリブンフエース１８ｂがドリブンフエ
ース１８ａに対して相対移動し相互の間隔が最大
となつてドリブンプーリ１８のピツチ径が最小に
なつた時、ムーバブルドリブンフエース１８ｂの
通孔１８ｊは第６図に図示した１８j′の位置に移
動しドリブンフエース１８ａの通孔１８ｉの位置
との変位が最大となり、ムーバブルドリブンフエ
ース１８ｂとドリブンフエース１８ａとの間隔が
最小となつてドリブンプーリ１８のピツチ径が最
大となつた時互いに対向するように配設されてい
る。

上述のベルト自動変速機を収容するベルト自動
変速機室６はクランクケース２４と変速機室カバ
ー６ａとミツシヨンカバー２５とにより形成さ
れ、前方に外気吸入孔１１を有する外気吸入通路
１２がドライブプーリ１７の外面中心部へ向け変
速機室カバー６ａ面に形成されている。外気吸入
孔１１にはコネクチングパイプ２６を介して外気
吸入チユーブ１４ａが接続され、この外気吸入チ
ユーブ１４ａの先端の外気吸入口１４は塵埃、泥
水等が入りにくい前記車体カバー１′とシート４
に囲まれた空間内に開口されている。尚この外気
吸入チユーブ１４ａはあらかじめ車体に取付けら
れており、エンジン５搭載時コネクチングパイプ
２６にバンドで締付け連結する。ベルト自動変速
機室６内のドライブプーリ１７の前半外周部には
容積が徐々に広がる渦室２７が設けられており、
又変速機室カバー６ａの外面及び内面には前後方
向に延出した放熱フイン６ｂ，６ｃが多数形成さ
れ、かつドリブンプーリ１８の前方、上下ドライ
ブベルト２０間にドリブンプーリ１８の外周に沿
う円弧状のリム６ｄが設けられている。又変速機
室カバー６ａは第７図に詳細を示すように遠心ク
ラツチ２１の部分で外側に膨出され、クラツチア
ウタ２１ｂの外面と変速機室カバー６ａとの間に
外気通路を形成している。この外気通路は変速機
室カバー６ａの後部上方に開口された上部外気排
出孔２８によりベルト自動変速機室６の後部外周
に沿い形成された外気排出通路１３の上部に通じ
ている。外気排出通路１３は第８図に詳細を示す
ように変速機室カバー６ａと一体の成形部とミツ
シヨンカバー２５と一体の成形部とがパツキン２
９を介して水密に接合されて形成され、外気排出
通路１３の途中から泥水等が侵入するのを防いで
いる。そして下端は泥水等の侵入を防ぐプロテク
タ３０の左右両側方に開口された外気排出口１５
に下部外気排気孔３１で通じている。尚上記プロ
テクタ３０は製作を容易にするため変速機室カバ
ー６ａと一体に形成され、又上部外気排出孔２８
と下部外気排出孔３１とは前記のごとく上下に隔
差を有すると共に左右方向にも隔差を設けて形成
し、外気排出通路１３内に泥水や洗車時の飛水が
入りにくくし、万一入つても上部外気排出孔２８
は高い位置にあつてベルト自動変速機室６内には
水の侵入がないようにしている。

以上のように構成される本ベルト自動変速機の
冷却装置の作用について次に述べる。

比較的低温の外気は、側面に翼１７ａを有し冷
却フアンを形成するドライブフエース１７ｂのフ
アン作用により、塵埃、泥水等の入りにくい車体
カバー１′とシート４に囲まれた空間に開口する
外気吸入チユーブ１４ａの先端の外気吸入口１４
から外気吸入チユーブ１４ａ、コネクチングパイ
プ２６、外気吸入孔１１、外気吸入通路１２を順
次経てベルト自動変速機室６の前部に吸入され
る。ドライブプーリ１７とドライブベルト２０と
の間で発生する摩擦熱は熱伝導の良いアルミニウ
ム鋳物等で製作されたドライブプーリ１７に伝わ
り吸入外気と十分接触して熱交換し冷却される。
ドライブフエース１７ｂの翼１７ａは上記フアン
を形成し、外気を吸入し、かつ後方に送ると共に
ドライブフエース１７ｂの伝熱面積を大にし冷却
効果を上げる作用をする。ドライブプーリ１７を
冷却して温度が上昇した外気は容積が徐々に広が
つた渦室２７を通つて速度を落さずに後方に送り
出され、この時ドライブベルト２０に接触して冷
却すると共に変速機室カバー６ａ並びにクランク
ケース２４へ熱伝達し外部に熱を放出する。変速
機室カバー６ａの外面及び内面に形成された多数
の放熱フイン６ｂ，６ｃは変速機室カバー６ａの
伝熱面積を大にし上記熱の放出を促進させる役目
をする。ベルト自動変速機室６の後方に導かれた
外気はクラツチアウタフアンによりクラツチアウ
タ２１ｂの外側を通り中心に吹出される。又ドリ
ブンフエースフアンの吸引力により上記の比較的
冷却された空気がムーバブルドリブンフエース１
７ｂとドリブンフエース１８ａの通孔１８ｊ，１
８ｉを通して吸出される。ドリブンプーリ１８の
前方、上下ドライブベルト２０間にドリブンプー
リ１８の外周に沿つて設けられ円弧状のリム６ｄ
は、後方に達した空気がドリブンプーリ１８の全
体に分散してクラツチアウタフアンに行くように
ガイドの役目をし、このためドライブベルト２０
とドリブンプーリ１８とは過熱することなく効率
よく冷却される。ここで温度上昇した空気は主流
に乗つてクラツチアウタフアンによりクラツチア
ウタ２１ｂの外側に導かれ、変速機室カバー６ａ
の後方上方に開口された上部外気排出孔２８より
外気排出通路１３へ流れ、下部外気排出孔３１を
通りプロテクタ３０の左右両側方に開口された外
気排出口１５から大気へ排出される。

以上述べたように本発明では、エンジンのクラ
ンクシヤフトにより駆動されるピツチ径が可変の
ドライブプーリと、該ドライブプーリからドライ
ブベルトにより駆動され駆動輪に動力を伝えるピ
ツチ径が可変のドリブンプーリを備え、ベルト自
動変速機室内に収容された自動二輪車のベルト自
動変速機において、上記ベルト自動変速機室に外
気吸入口及び外気排出口を通じ、外気吸入口を自
動二輪車の車体の一部を形成する車体カバーとシ
ートに囲まれた外部の塵埃や泥水等の侵入を防い
だ空間内に開口したもので、比較的温度の低い外
気がベルト自動変速機室内に導入されて内部のベ
ルト自動変速機の発熱を効率よく強制冷却するか
らベルトの過熱を防止し寿命を延長することがで
きると共に、従来のものより大きな動力伝動力を
得ることが可能となる。更にベルト自動変速機室
内に塵埃、泥水等の混入のない清潔な外気が導入
されるからこれら障害物によるベルト自動変速機
の損傷が防がれ耐用性を増大することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は本ベ
ルト自動変速機の冷却装置を備えた自動二輪車の
全体概略図、第２図はシート下部の車体カバー内
の透視側面図、第３図はベルト自動変速機室の詳
細水平断面図、第４図は同室の一部断面側面図、
第５図はドリブンプーリの詳細側面図、第６図は
第５図における−線に沿う断面図、第７図は
遠心クラツチ部の拡大側面図、第８図は外気排出
通路下部の部分斜視図である。 １′……車体カバー、３……駆動後輪、４……
シート、５……エンジン、６……ベルト自動変速
機室、１１……外気吸入孔、１２……外気吸入通
路、１３……外気排出通路、１４……外気吸入
口、１４ａ……外気吸入チユーブ、１５……外気
排出口、１６……クランクシヤフト、１７……ド
ライブプーリ、１８……ドリブンプーリ、２０…
…ドライブベルト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ エンジンのクランクシヤフトにより駆動され
   るピツチ径が可変のドライブプーリと、該ドライ
   ブプーリからドライブベルトにより駆動され駆動
   輪に動力を伝えるピツチ径が可変のドリブンプー
   リを備え、ベルト自動変速機室内に収容された自
   動二輪車のベルト自動変速機において、上記ベル
   ト自動変速機室に外気吸入口及び外気排出口を通
   じ、外気吸入口を自動二輪車の車体の一部を形成
   する車体カバーとシートに囲まれた空間内に開口
   したことを特徴とする自動二輪車のベルト自動変
   速機の冷却装置。