JPS6317695Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動二輪車における伝動系の強制空冷
式冷却装置に関するものである。

従来車体フレームに、エンジンとこれに連なる
伝動部とよりなるパワーユニツトを支持し、前記
パワーユニツトのクランクケースを含む伝動ケー
スの外側面に伝動ケースカバーを被着し、それら
ケースとカバーとで伝動室を画成し、該室内にエ
ンジンと後車輪とを連動するベルト式無段変速機
等の伝動系を収容した自動二輪車が知られてい
る。ところでかゝるものでは密閉状の狭隘な伝動
室内に発熱部をもつ伝動系を収容するため該室内
の温度が上昇して伝動系が過熱されるおそれがあ
るので、該伝動室内に強制的に冷たい外気を導く
ようにした冷却装置が設けられるが、従来のこの
種の冷却装置は車体フレームのヘツドパイプ上に
メインパイプとは別の外気導入パイプを設け、こ
のパイプをゴムチユーブ等でエンジンカバーに接
続するか、あるいは吸気系のエアクリーナケース
に吸気口を設け、この吸気口をゴムチユーブ等で
エンジンカバーに接続してエンジンカバー内に外
気を導入し、前記伝動系を冷却するようにしてい
るので、コスト高になるばかりでなく、伝動系の
メンテナンスを行うに際して前記外気導入系の連
結部を外す必要があつて前記メンテナンスの作業
性を悪くする不具合があつた。

そこで本考案は前記不具合を解消することがで
き、しかも外気導入系を通して伝動ケース内に塵
埃等の異物が侵入することを効果的に防止できる
ようにした、自動二輪車における伝動系の冷却装
置を提供することを目的とする。

そして上記目的を達成するために本考案は、車
体フレームに、エンジンとこれに連なる伝動部と
よりなるパワーユニツトを支持し、前記パワーユ
ニツトのクランクケースを含む伝動ケースの外側
面には伝動ケースカバーを被着し、前記伝動ケー
スと伝動ケースカバーとで画成される伝動室内に
エンジンと後車輪とを連動する伝動系を収容して
なる自動二輪車において、前記伝動ケースカバー
の前、後部に前記伝動室内に通じる外気吸込口と
排出口とを開口し、また前記伝動ケースカバーの
前部外面に前記吸込口を覆う外気導入カバーを固
着して、前記伝動ケースカバーと外気導入カバー
とにより、該伝動ケースカバーの上方に位置する
外気取入口から前記吸込口へ向けて外気を導入す
るための外気導入通路を画成し、この外気導入通
路は、伝動ケースカバーの上面に隣接してその前
後方向にのび一端に前記外気取入口が開口する上
部通路と、この上部通路の他端と前記吸込口との
間を連通させる下部通路とより構成され、前記上
部通路内には、そこに迷路を形成するための邪魔
板を設けたことを特徴としている。

以下、図面によりスクータ型自動二輪車に本考
案装置を実施した場合の一実施例について説明す
る。

尚、以下の説明において「左、右」「上、下」
は自動二輪車の進行方向に対して云う。

第１図において、スクータ型自動二輪車の車体
フレームＦは、グーズネツク状の後部フレーム１
を備えており、この後部フレーム１下に後車輪Ｗ
を駆動するためのパワーユニツトＰが配設され
る。前記パワーユニツトＰの前部は後部フレーム
１の前部に防振リンク２を介して揺動可能に軸支
３され、またその後端は後部フレーム１の上部に
リヤクツシヨン４を介して懸架される。

前記パワーユニツトＰはエンジン５とこれに連
なる伝動部６とを備えており、エンジン５の吸気
ポートに連なる気化器７は前記伝動部６上に位置
している。またエンジン５は、上，下部シユラウ
ド８，９およびフアンカバー１０によつて被覆さ
れる。前記エンジン５のクランクケース１１は
左，右クランクケース半体１１ｌ，１１ｒを一体
に結合してなり、左クランクケース半体１１ｌ
は、後方に延長され、その後半部は伝動ケース１
２を構成している。左クランクケース半体１１ｌ
および伝動ケース１２の開口外側面は、合成樹脂
製伝動ケースカバー１３によつて被覆され、この
伝動ケースカバー１３は複数本のボルト１４によ
つて左クランクケース半体１１ｌに固着される。

左クランクケース半体１１ｌおよび伝動ケース
１２と、伝動ケースカバー１３によつて囲まれる
伝動室Ｃ内において、エンジン５のクランク軸１
５と、伝動ケース１２に回転自在に支承される伝
動軸１６間には、従来公知のベルト式無段変速機
Ｔが設けられる。この変速機Ｔは、クランク軸１
５の左端部に設けられる駆動側可変径プーリ１７
と、伝動軸１６に設けられる被動側可変径プーリ
１８と、両プーリ１７，１８間に懸回されるＶベ
ルト１９とよりなる。また伝動軸１６の端部に
は、被動側可変径プーリ１８と並列して従来の公
知の発進クラツチClが設けられ、該クラツチClと
対向する伝動ケースカバー１３の内側面に耐熱部
材１３ａが沿着される。さらに前記伝動ケース１
２の後端には、伝動軸１６と平行な車軸２０が回
転自在に支承され、伝動軸１６と車軸２０とは従
来公知の減速歯車機構２１を介して連動連結され
る。車軸には後車輪Ｗが固着される。

エンジン５のクランク軸１５の回転は、前記無
段変速機Ｔ、発進クラツチClおよび減速歯車機構
２１を介して後車輪Ｗに伝達されるようになつて
いる。而して前述の伝動系は従来公知であるの
で、その詳細な説明を省略する。

クランク軸１５の右側にはエンジン５上部の動
弁カム軸２２を駆動するための調時伝動機構Tr
が設けられ、さらにクランク軸１５の右端にAC
発電機Ｇが連結されている。

伝動ケースカバー１３には、主として前記ベル
ト式無段変速機Ｔを冷却するための冷却装置が設
けられる。次にこの冷却装置の構造を第４〜９図
を参照して説明する。

クランク軸１５の延長軸線上において、伝動ケ
ースカバー１３には、外気吸込口２４が開口さ
れ、また該カバー１３の後部には排出口２５が穿
設される。駆動側可変径プーリ１７の、前記外気
吸込口２４と対面する背面には、吸込フアン２６
が一体に設けられており、該プーリ１７が回転す
れば、前記吸込フアン２６によつて外気は外気吸
込口２４を通して伝動ケースカバー１３すなわち
伝動室Ｃ内に強制的に吸込まれる。

第４〜９図に示すように前記伝動ケースカバー
１３の前部には隔壁２７が一体に形成され、この
隔壁２７の外面には、前記外気吸込口２４を被覆
する外気導入カバー２８が複数本の取付ボルト２
９，３０，３１によつて固着され、前記隔壁２７
と外気導入カバー２８とによつて、伝動ケースカ
バー１３の上方に位置する外気取入口３２から前
記外気吸込口２４へ向けて外気を導入するための
外気導入通路PAが画成される。この外気導入通
路PAは、伝動ケースカバー１３の上面に隣接し
てその前後方向にのびる。上部通路Puと、伝動
ケースカバー１３の前部を上下方向にのび前記外
気吸込口２４に至る下部通路Pdとより構成され
る。前記上部通路Puの後端には、外気取入口３
２が開口され、この外気取入口３２の後車輪Ｗ側
は、前記隔壁２７と一体の泥除板３３によつて覆
われていて、これによつて後車輪Ｗの回転によつ
て跳ね上げられる泥土、泥水等が外気取入口３２
に侵入しないようになつている。

前記外気導入通路PAの上部通路Pu内には、前
記外気導入カバー２８の内面より一体にのびる２
枚の邪魔板３４，３５が迷路を形成するように千
鳥状に配設され、さらにこれらの板３４，３５よ
りも内方には前記上部通路Puを横切つて四角板
状のフイルタエレメント３６が配設される。この
フイルタエレメント３６は外気導入カバー２８の
内面上下に形成される保持溝３７，３８に抜差自
在に差込まれて保持される。さらに前記上部通路
Puのフイルタエレメント３６よりも内方には、
このエレメント３６の面と空気通路を存して略直
交する案内板３９が外気導入カバー２８の内面よ
り一体に突設される。また前記下部通路Pdは上
部通路Puの内端と外気吸込口２４とを連通する
直状の空気通路を形成している。

次に本考案の実施例の作用について説明する
と、いまエンジン５の駆動により、無段変速機Ｔ
の駆動側可変径プーリ１７が回転されると、吸込
フアン２６が回転し、前記外気吸込口２４に吸引
力が発生する。この吸引力は外気導入通路PAを
通つて外気取入口３２に及ぶので、冷たい外気は
該外気取入口３２より外気導入通路PAの上部通
路Pu内に導入される。上部通路Pu内に流入した
外気は、邪魔板３４，３５によつて形成される迷
路を通りその間にその中に含まれる水分が除去さ
れた後、フイルタエレメント３６を通過して濾過
される。濾過後の清浄外気は案内板３９によつて
下向きに案内され下部通路Pdを通り、外気取入
口３２より伝動室Ｃ内に吸込フアン２６によつて
吸込まれる。

伝動ケースカバー１３内に吸込まれた冷たい清
浄外気はベルト式無段変速機Ｔの発熱部特に駆動
側可変径プーリ１７とＶベルト１９および該Ｖベ
ルト１９と被動側可変径プーリ１８の摩擦接触部
を有効に冷却しつつ伝動ケースカバー１３内を後
方へと流れ、該伝動ケースカバー１３の後端に開
口した排出口２５より外部へ放出される。

以上の実施例により明らかなように本考案によ
れば、パワーユニツトの伝動ケースに被着される
伝動ケースカバーの前部外面に、該伝動ケースに
開口した吸込口を覆う外気導入カバーを固着し、
伝動ケースカバーと外気導入カバーとで外気取入
口を開口した外気導入通路を画成し、外気導入路
内に導入された冷たい外気を伝動ケースカバー内
に導入して伝動系の発熱部を冷却できるようにし
たので、伝動ケースカバーの一部を利用して外気
導入通路を簡単に形成することができ、従来のよ
うに配管を必要とすることなく、大幅なコストダ
ウンを図ることができる。また外気導入通路は伝
動ケースカバーとともに伝動ケースから外すこと
ができ、外気導入通路に何ら影響を及ぼすことな
く、伝動系のメンテナンスを行うことができる。

また前記外気導入通路は、伝動ケースカバーの
上面に隣接してその前後方向にのび一端に前記外
気取入口が開口する上部通路と、この上部通路の
他端と前記吸込口との間を連通させる下部通路と
より構成され、前記上部通路内には、そこに迷路
を形成するための邪魔板を設けたので、その上部
通路内の邪魔板によつて、外気取入口から外気と
共に侵入した塵埃等の異物の上部通路通過を効果
的に阻止することができ、従つてその異物の伝動
ケース内への侵入防止に有効であり、そのケース
内伝動系の耐久性向上に寄与し得る。しかも上部
通路は、伝動ケースカバーの上面に隣接してその
前後方向に配設されるから、伝動ケースカバー上
方のデツドスペースの有効利用が図られることは
勿論のこと、上部通路の通路壁を伝動ケースカバ
ーの外側方に大きく突出させることなくその通路
面積を広く確保することができ、従つて該上部通
路内に前記邪魔板を設けてもその通路の空気抵抗
が特別に大きくなることはなく、外気導入通路を
通して伝動ケース内へ外気をスムーズに導入する
ことができる。さらに前記外気取入口は伝動ケー
スカバーの上方に位置するので、走行中路面より
直接跳ね上がる泥水等が外気取入口へ侵入するこ
とを、該外気導入口よりも下方に位置する伝動ケ
ースカバーや伝動ケースによつて効果的に防止す
ることができる。

尚、前記実施例に示したように伝動ケースカバ
ーを合成樹脂製としたことにより、パワーユニツ
トの軽量化が可能となり、また前記カバーは従来
の金属性のものに比べて弾性が高いので耐衝撃性
に優れ、割れにくい。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は本考案装置を備えた自動二輪車の側面図、第２
図は、第１図線矢視図、第３図は、第１図線
矢視図、第４図は、第１図−線拡大断面図、
第５図は伝動ケースカバーの一部破断側面図、第
６図は、第５図−線断面図、第７図は伝動ケ
ースカバーの内面図、第８図は第５図−線断
面図、第９図は、第５図−線断面図である。 Ｆ……車体フレーム、Ｗ……後車輪、Ｐ……パ
ワーユニツト、Ｃ……伝動室、５……エンジン、
６……伝動部、１１……クランクケース、１２…
…伝動ケース、１３……伝動ケースカバー、２４
……外気吸込口、２５……排出口、２８……外気
導入カバー、３２……外気取入口、３４，３５…
…邪魔板、PA……外気導入通路、Pu……上部通
路、Pd……下部通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体フレームＦに、エンジン５とこれに連なる
   伝動部６とよりなるパワーユニツトＰを支持し、
   前記パワーユニツトＰのクランクケース１１を含
   む伝動ケース１２の外側面には伝動ケースカバー
   １３を被着し、前記伝動ケース１２と伝動ケース
   カバー１３とで画成される伝動室Ｃ内にエンジン
   ５と後車輪Ｗとを連動する伝動系を収容してなる
   自動二輪車において、前記伝動ケースカバー１３
   の前、後部に前記伝動室Ｃ内に通じる外気吸込口
   ２４と排出口２５とを開口し、また前記伝動ケー
   スカバー１３の前部外面に前記吸込口２４を覆う
   外気導入カバー２８を固着して、前記伝動ケース
   カバー１３と外気導入カバー２８とにより、該伝
   動ケースカバー１３の上方に位置する外気取入口
   ３２から前記吸込口２４へ向けて外気を導入する
   ための外気導入通路PAを画成し、この外気導入
   通路PAは、伝動ケースカバー１３の上面に隣接
   してその前後方向にのび一端に前記外気取入口３
   ２が開口する上部通路Puと、この上部通路Puの
   他端と前記吸込口２４との間を連通させる下部通
   路Pdとより構成され、前記上部通路Pu内には、
   そこに迷路を形成するための邪魔板３４，３５を
   設けたことを特徴とする、自動二輪車における伝
   動系の冷却装置。