JPS6226404Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、着用時における腕の前動作を楽に行
ない得る上衣に関するものであり、さらに詳しく
は、後身頃の裏面部に、特に肩部からウエスト部
にかけて斜め状となる辺部を有する布辺を設けた
機能性を有する上衣に関する。

従来、背広型上衣は着用時における外観上の形
態を美しく見せるため、縫製の場合にも種々の配
慮や手段がとられており、このため実際にこれを
着用する場合、背脇部分に違和感があつたり、ま
た両腕を前方に差し出したりするとき、背脇部分
に窮屈感を覚えるようなことは屡々経験するとこ
ろであり、着用時における機能性がかなり犠牲に
されていることも決して少なくない。このため、
カジユアル的なブレザーコートや、レジヤー用の
ジヤケツト、或いは職場で着用されることの多い
各種のユニフオームなどにあつては、腕の前動作
に対する順応性を持たせるため、後身頃への袖付
け個所に、たとえばプリーツ部を形成したり、或
いは後身頃の裏面部に伸縮性の素材をもつて形成
した布片を配置させ、上衣の袖付けを該伸縮性布
片に対して行なつた構成のものなどがみられる。

しかしながら、後身頃の袖付け個所にプリーツ
部を形成したものにあつては、着用時における腕
の前動作によつて、襞の部分が立ち上がつた状態
となつて、その内部が露出する状態となり、外観
上も見苦しさを否定し得ないばかりか、両脇部が
かさ張りがちとなり、着用者に対して少なからず
の違和感を与える結果となつている。また、この
種の構成のものにあつては、その縫製工程が複雑
を極め、高温プレスなどの加工工程を必要とする
ことにもなるし、もしこれが不十分であると、長
期間にわたる使用中にプリーツ部の戻りが悪くな
り、常時、襞の内部を露出させたままの状態とな
つたり、また、その部分が特に変色しているもの
が見掛けられる。

本考案は、上記の如き事情にかんがみ種々検討
の結果、到達したものであり、さらに、出願人の
昭和58年実用新案登録願第76710号（実開昭59−
181823号公報）の改良にかかるものであつて、後
身頃の裏面位置に、肩部からウエスト部にかけて
斜め状となる辺部を有する布片を配置させ、該布
片の上端部は肩部に縫合止着し、一方、下端部は
後身頃に縫合せず、その先端間を、伸縮性布地を
もつて縫合連結するとともに、上衣本体の袖の取
り付けを該布片並びに前身頃に対して行ない、か
つ、該布片の斜め状の辺部は、後身頃によつて隠
蔽せられるように構成したことを特徴とする上衣
を提供するものであり、これによつて従来技術に
おいてみられた上記の如き欠点を除去しようとす
るものである。

図面にもとづいて、本考案にかかる上衣の構成
を説明すると、上衣本体１は、第１図ならびに第
２図に示す通り、後身頃２の裏面位置に、内側端
部が肩部からウエスト部にかけて斜め状となる形
態の布片３，３を配置させ、該布片３，３の上端
部５を後身頃２に縫合止着し、一方、下端部６は
後身頃２に直接縫合せず遊離した状態とし、その
先端部８，８間を伸縮性布地９でもつて縫合連結
して結合部１０を形成せしめるとともに、上衣本
体１の袖４，４の取り付けを、該布片３，３なら
びに前身頃に対して行ない、かつ、該布片３，３
の斜め状の辺部７，７は、後身頃２によつて隠蔽
せられた状態となるようにした概略構成となつて
いる。

すなわち、上衣本体１は、第１図ならびに第２
図に示す通り、後身頃２の裏面部には、第４図で
示す形態の布片３，３が配置せられた構成となつ
ている。

布片３，３は、第３図に示す通り、内側辺部が
斜め状に、外側辺部がほぼ垂直状に裁断された構
成となつており、その上方には袖４を取付けるた
めの袖ぐり１１が形成された構成となつている。
該布片３，３の上端部５は後身頃２と前身頃との
縫合の際にともに縫着せられ、また、該布片３，
３の下端部６は、後身頃２と直接縫合せず遊離状
態となつており、その先端部８，８間には伸縮性
布地９をもつて縫合連結せしめた結合部１０を形
成するとともに、該布片３，３が後身頃２の裏面
部に配置された状態となり、上衣本体１の袖付け
は、該布片３の袖ぐり１１並びに前身頃の袖ぐり
に対して行なわれる。そして、上記の結合部１０
において用いる伸縮性布地９は、伸縮性機能を具
備するものであればいずれでもよいが、好ましく
は、着用時において、特に腰掛け等に座わり背中
ウエスト部分が椅子等と密接するとき段がつき異
物感を覚えないように、できるだけ感触が柔らか
く、嵩張らない伸縮性布地が適している。

なお、第１図は、後身頃２の両端にくり１２を
を形成した場合であるが、第４図に示す如く、こ
のようなくりを設けることなく、その両端部をス
トレート状に形成した構成とすることもできる。
この場合、後身頃２と布片３，３との間に保温性
布片などを差し入れるのに適している。また、布
片３，３の下端部６並びに結合部１０はいずれも
後身頃２と縫合せず遊離状態となつているが、必
要により、後身頃２と結合部１０との間に、適宜
長さを有する紐体をもつて両者間を揺動し得る如
く連結した構成とすることもできる。

本考案にかかる上衣本体１の構成は上記の如き
ものであつて、次のような効果を期待し得る。

すなわち、上衣本体１はその後身頃２の裏面に
恰も、たすき状の布片３，３が配置された構成と
なつており、しかも、上衣本体１の袖付けが、そ
の布片３，３に対してなされた構成となつている
ので、上衣の着用時の腕の前動作に対する順応性
を向上させることはいうまでもなく、たすきの原
理によつて、腕を通常の状態に戻した際の脇部分
の戻りをより良好になし得るという効果がある。

さらに、本考案においては布片３，３の下端部
６は後身頃２と直接縫合されておらず遊離状態と
なつており、また布片３，３の下方の結合部１０
は、伸縮性布地をもつて縫合連結されているた
め、通常、従来技術の背広型上衣では着用時に両
腕を同時に前方へ差し出したとき、背脇部分に窮
屈感や、圧迫感を覚え、場合によつては身頃全体
が上方へ持ち上がるような現象が生ずるが、本考
案においては、たとえば、両腕または片腕を前に
差し出したとき、必要量だけ結合部１０に配置し
た伸縮性布地が伸び、また、腕を元に戻せば正常
な状態に復帰せしめることができる。

このように、本考案では、従来のプリーツ部を
形成したものの欠点を除去した機能的な上衣とし
て、後身頃２の裏面部に、その内側辺部が斜め状
となるように裁断した布片３，３を配置した構成
に加えて、さらに、該布片３，３の下方の結合部
１０に伸縮性布地９を設けてなるものであるため
着用時における背脇部分の圧迫感、窮屈感をさら
に除去し得ることができ、着心地が良好で、また
外観上も、従来のプリーツなどにみられるような
難点を全く解消し、かつ、布片３，３の内側辺部
が斜め状に裁断されているため、夏期には背中部
の通気性が図られるとともに、後身頃２と布片
３，３との間に貫通部が形成された構成となつて
いるので、該貫通部にキルテイングなどの布片を
差し入れることも可能である。これによつて冬期
における保温を図り得るし、必要により比較的薄
い保温ラミネートシートなどを差し入れれば外観
上も全く体裁を損なうことがないなど、本考案に
かかる上衣は着用時における機能性を格段に向上
せしめる利点があり、その効果は顕著である。

【図面の簡単な説明】

添付図面は、本考案の一実施例を示すもので、
第１図は上衣本体の全体を示す背面図、第２図は
上衣本体の後身頃の一部切欠背面図、第３図は布
片の配置状態を示す背面図である。第４図は別実
施例における布片の配置状態を示す背面図であ
る。 １……上衣本体、２……後身頃、３……布片、
４……袖、７……辺部、９……伸縮性布地、１０
……結合部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 後身頃２の裏面位置に、肩部からウエスト部に
   かけて斜め状となる辺部７を有する布片３，３を
   配置させ、該布片３，３の上端部は肩部に縫合止
   着し、一方、下端部は後身頃２に縫合せず、その
   先端部８，８間を伸縮性布地９をもつて縫合連結
   して結合部１０を形成せしめると共に、上衣本体
   １の袖４，４の取付けを、該布片３，３並びに前
   身頃に対して行ない、かつ、該布片３，３の斜め
   状の辺部７，７は後身頃２によつて隠蔽せられる
   ように構成したことを特徴とする上衣。