JPS6225547Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は磁性粒子式電磁連結装置、特に第１
の連結主体の製作の改良に関するものである。一
般にこの種の装置は、トルク制御性の良いことか
ら、クツシヨンスタート用、張力制御用に広く使
用されている。

本考案は従来装置よりも更に安価で、且つ信頼
性の高い磁性粒子式電磁連結装置を提供するもの
である。

以下、第１図、第２図に示す実施例について詳
細に説明する。即ち制動装置を示す図に於て、１
は図示しない負荷にトルクを伝達するシヤフト、
２はこのシヤフト１に嵌着された第２の連結主体
である円筒状の回転子、３はこの円筒状回転子３
に筒状空隙ｇを介して対向する第１の連結主体で
ある環状の固定子で、一対の軸受４を介してシヤ
フト１及び回転子２を回転自在に支承する。この
固定子３は図示する如く略々左右対称なる固定子
部材８ａ，３ｂを互いに突き合せ、この突き合せ
箇所ＡをCO₂溶接等の溶接法により固着されて形
成される。５は固定子３内に形成された環状空所
で、環状に巻回されてなる励磁コイル６が内蔵さ
れる。７は固定子３の特に左側固定子部材３ａの
外周部を覆う筒状部と、この筒状部と連続した取
付用のフランジ部からなる環状プレートで、断面
Ｌ字状をなし図示しないが他の機械等に固定され
る。

このプレート７は板金等により左側固定子部材
３ａの外周部に嵌合可能な如く一体成形される。
７ａはプレート７の取付穴、８は環状空隙ｇに封
入された磁性粒子である。

以上の通り構成された制動装置の動作は周知の
如く、磁性粒子８が励磁コイル６の励磁により磁
化され、それによつて磁性粒子８相互間の剪断抵
抗と、これら磁性粒子８とこれらを取囲む回転子
２と固定子３との摩擦力により制動トルクを発生
するものであり、この制動トルクは励磁コイル６
の励磁電流を変えれば制動可能となる。

さてここで、本考案の特徴である固定子３の構
成について詳述するに、固定子３を形成する左右
固定子部材３ａ，３ｂを鍛造加工、あるいは切削
加工等により環状空所５を形成する凹部を含めて
形成する。次に、左右固定子部材３ａ，３ｂを図
示する如く互いに突き合せて合致させ、このとき
励磁コイル６を環状空所５内に収納しておく。而
して、環状プレート７を左側固定子部材３ａに嵌
合しその筒状部の先端部Ａを各固定子部材３ａ，
３ｂの突き合せ部Ｂに近接させる。そうすれば、
肉盛のための環状凹部Ｃが形成されることにな
る。而して、左右固定子部材３ａ，３ｂの突き合
せ部Ｂ及びプレート７の先端部ＡをCO₂溶接等に
より溶接し、その環状凹部Ｃ内に内盛部Ｄを全周
に亘つて形成させる。その結果、左右固定子部材
３ａ，３ｂ及びプレート７を一体的に固着でき、
固定子３が製作できることになる。

ここで、第８図に示す従来例にあつては、左右
固定子部材３ａ，３ｂの形状が異なり、且つ左側
固定子部材３ａにプレート部７を一体的に形成す
るものであるため加工が困難であり、材料の歩留
りが極めて悪く、しかも部品共用化が計れず部品
点数の多いものである。また、左右固定子部材３
ａ，３ｂを固着するものとしてボルトを使用して
いるため、どうしても突き合せ部Ｂに隙間が生
じ、この隙間を通じて水が侵入し励磁コイル６の
漏電を誘発するものである。

然るに、本考案実施例にあつては、左右固定子
部材３ａ，３ｂを略々左右対称形状に形成するこ
とにより部品の共用化が計れ部品点数が削減で
き、プレート７を別体部品とすることにより、左
右固定子部材３ａ，３ｂの加工が比較的簡単に行
なえると共に、材料歩留りが極めて向上し、装置
全体の価格の低減に大きく寄与するものである。
また、左右固定子部材３ａ，３ｂ及びプレート７
はCO₂溶接等により同時に溶接固着できるため、
プレート７を取付けるための特別の工程を必要と
することなく、装置を安価に構成することができ
ると共に肉盛部Ｄは突き合せ部Ｂを含んで全周に
亘つて形成されるため環状空所５と外部とが完全
に遮断でき、水等の侵入は確実に阻止でき励磁コ
イル６の漏電が回避できるものとなる。さらに、
プレート７を板金等により左側固定子部材３ａの
外周部に沿つて形成することによつてプレート７
の筒状部を磁路とすることができ、第１の連結主
体の径を小形化することが可能となる。更に、制
動装置に限定されず連結装置に適用しても同様の
効果が得られる。

以上の通りこの考案によれば、第１の連結主体
を形成する一対の部材とプレートとを同時に全周
溶接することにより第１の連結主体の環状空所と
外部との空間的遮断が確実に行なえ、励磁コイル
の漏電が防止できる。また、第１の連結主体とプ
レートとを別体部品とすることにより第１の連結
主体の製造加工が簡単安価にでき、さらに、プレ
ートの筒状部を第１の連結主体の一方の部材とと
もに磁路とすることにより一方の部材の外径を小
さくすることができ、従つて、装置全体の原価低
減および小形化が図れる等実用上極めて優れた効
果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す断面図、第
２図はその要部を示す外周正面図、第３図は従来
例を示す断面図である。 図に於て、２は回転子、３は固定子、３ａ，３
ｂは固定子部材、５は環状空所、６は励磁コイ
ル、７はプレート、８は磁性粒子、ｇは環状空隙
である。尚、各図中同一符号は同一または相当部
分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一方の部材の外周を他方の部材の外周より小と
   して略左右対称形状に形成された一対の部材を互
   いに突き合わせて形成され、環状空所を有する第
   １の連結主体、上記環状空所に内蔵された励磁コ
   イル、上記第１の連結主体と筒状空隙を介して対
   向する第２の連結主体、上記筒状空隙内に充填さ
   れ、上記励磁コイルにより磁化されて上記第１と
   第２の連結主体とを連結させる磁性粒子、及び上
   記第１の連結主体の一方の部材の外周部に沿つて
   形成された筒状部と、この筒状部に連結して形成
   された取付用のフランジ部とからなり、上記第１
   の連結主体とは別体のプレートを備え、上記一対
   の部材の突き合せ部と上記プレートの筒状部端部
   が近接するよう配置し、これらを同一周上で全周
   溶接して上記環状空所と上記第１の連結主体の外
   部とを空間的に遮断し、かつ、上記プレートの筒
   状部が上記連結主体の一方の部材とともに磁路を
   形成するように構成したことを特徴とする磁性粒
   子式電磁連結装置。