JPS6222759B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、種々の材料のシートの剪断装置に関
し、特に複写機やフアクシミリなどの事務機器に
装填された巻紙のシートを剪断するための装置に
関する。

従来、この種のシート剪断装置として、フレー
ムの両側板に回転可能に支承されたらせん状の切
刃を有する回転刃と、剪断作用中回転刃のらせん
状刃にばねにより圧接されるようにフレームに枢
着された揺動可能な直線状切刃の固定刃とからな
るロータリーカツタ装置が知られている。この装
置では、回転刃と固定刃がセリ合い状態でシート
を剪断できるように固定刃支持軸心を回転刃支持
軸心の方に若干傾斜させていた。さらに、回転刃
は、その軸心に対し斜めに走る溝を有する支持軸
と、この支持軸の溝に固定されてらせん状に延び
る細長い板状の刃先と、支持軸の一端の切初め側
に固定される固定刃のためのガイドリングとから
構成されていた。しかし、従来の装置は、回転刃
の部品点数が多くて構造が複雑であり、かつ回転
刃の組立に際しては、支持軸の溝に刃先を固定
し、支持軸にガイドリングを装着し、それから刃
先を回転刃軸心に対して円筒面を形成するように
研磨しなければならず、製造および組立作業がき
わめて面倒でありかつコスト高であつた。

本発明の目的は、上記の欠点を除去して、構造
が簡単でかつ安価に製造および組立ができるシー
トの剪断装置を提供することである。

上記の目的を解決するには、本発明により、両
側板からなるフレームと、この両側板に両端が取
りつけられていてかつ一縁に直線切刃を有する板
状の固定刃と回転刃を備えたシートの剪断装置に
おいて、固定刃の直線切刃がほぼ水平に延びるよ
うに固定刃の両端をフレームの両側板に固定し、
固定刃の直線切刃に垂直な平面であつて固定刃の
切刃の切始め側の点を含む平面において固定刃の
切刃の切始め側の点に対して上方に所定の間隔を
置いて回転刃の直線切刃の切始め側縁を配置し、
回転刃の切刃の切始め側の回転中心からその切始
め側縁までの間の所定の距離を半径として回転刃
が回転したときにその切始め側縁が描く円弧が固
定刃の切刃の点を通るように回転刃の切始め側の
回転中心を位置決めし、その回転中心に対しシヤ
ー角に基いて計算した垂直距離だけ回転刃の切終
り側縁の回転中心を上方に変位させ、回転刃が固
定刃と同じ形状の長方形の材料であるときにさら
に回転刃の切終り側縁が前記所定の半径で描く円
弧が固定刃の切刃の切終り側の点を通るような位
置に前記回転中心を水平に固定刃側へ変位させる
ことにより回転中心を位置決めし、回転刃の切始
め側の回転中心と切終り側の回転中心をそれぞれ
支持軸によりフレームの一方の側板と他方の側板
に回転可能に取りつければよい。

また、回転刃の形状が固定刃の形状と異なる場
合には、前記と同様にして回転刃の切始め側の回
転中心を求めて、その回転中心に対しシヤー角に
基いて計算した垂直距離だけ回転刃の切終り側縁
の回転中心を上方へ変位させて位置決めした後、
その回転中心と切始め側の回転中心を結ぶ軸線を
中心として回転刃が回転したときにその切刃の切
終り側縁が固定刃の切刃の切終り側の点を通るよ
うに回転刃の切終り側縁を固定刃の方へ変位させ
た形状に回転刃の切刃を形成し、前記の回転刃の
切始め側の回転中心と切終り側の回転中心をそれ
ぞれ支持軸によりフレームの一方の側板と他方の
側板に回転可能に取りつければ良い。

以下、本発明の装置を実施例について図面によ
り説明する。

第１図と第２図に本発明による装置を示す。

板状の固定刃１０を、その直線切刃１２がほぼ
水平に延びるように長手方向両端でフレーム両側
板１４，１５にねじで完全に固定してある。従つ
て、固定刃１０も剛性のあるフレームを構成する
一構成要素である。一方、同じ直線切刃１８を有
する回転刃２０がその長手方向両端で、固定刃１
０の上方のフレーム側板１４，１６に支持軸２２
と２４により回転可能に支持されている。本発明
では、回転刃２０の切終り側の支持軸２４を切始
め側の支持軸２２に対して変位した位置に配置し
て支持軸心を傾斜させることにより、シヤー角
（傾斜角）を与えかつ回転刃の直線切刃のすべて
の点が切始め側から切終り側まで異なるＲ軌道を
描いて固定刃の直線切刃と連続的に協働するよう
に配置してある。これについては、詳細に後述す
る。

回転刃２０の一方の支持軸２４にはねじりばね
２６が巻きつけられており、ねじりばねの一端の
アームをフレームの側壁１６に係止しかつ他端の
アームを回転刃２０に係止することにより常時回
転刃の切刃１８が固定刃１０から離れる方向に付
勢されている。回転刃２０の切終り側端部に切刃
側位置に固定された操作軸２８がフレーム側板１
６の長孔３０を通つて突出している。操作軸２８
を下方へ固定刃１０に向つて押すと、回転刃２０
が支持軸２２，２４を中心として回動して固定刃
１０と協働することができる。

本発明による剪断作用原理をさらに二つの異な
る例について説明する。

第３図は、回転刃２０に固定刃１０と全く同じ
形状の材料を用いた場合の例である。固定刃１０
の切刃１２と協働する回転刃２０の回転中心を求
めてみる。説明を分りやすくするために平面的に
説明する。固定刃１０の切刃１２の点Ｄから水平
に引いた基準線Ｌより若干の距離ｍだけ上方に回
転刃２０の切始め側縁を配置し、固定刃１０の点
Ｄを中心として、回転刃２０の切刃１８の切初め
側点Ｅから切初め側の回転中心Ａとの距離＝
半径Ｒで円弧を描き、基準線Ｌより上方にｍ＋ｔ／２ の距離を引いた水平線との交点を求めると、その
交点が切初め側の回転中心Ａの位置となる。な
お、ｔは回転刃の厚さとする。本発明により、回
転刃２０の切初め側回転中心Ａに対し、シヤー角
に基いて計算した垂直距離ａだけ切終り側の回転
中心Ｂを上方へ変位させる。この傾斜した状態で
は回転刃２０をその軸心を中心として回動させて
も切刃の切初め側の点Ｅ以外は固定刃１０の切刃
１２と協働しないので、回転刃の軸心を切初め側
回転中心Ａを中心として固定刃側へ水平に若干回
転させる必要がある。すなわち、固定刃１０の切
刃の点Ｄを中心としてＲの円弧を描き、この円弧
と、基準線Ｌからｍ＋ｔ／２＋ａの距離にある水平線 との交点を求めると、その交点が回転刃２０の切
刃の切終り側の点Ｆの回転中心である。かくし
て、固定刃と回転刃に同じ形状の材料を使つた場
合には、回転刃２０の切始め側回転中心Ａに対し
切終り側縁回転中心Ｂを上方にシヤー角から計算
した距離ａだけ変位させてから、さらに水平に固
定刃に向つて距離ｂだけ変位させれば、回転刃の
切刃と固定刃の切刃が協働できる配置が得られ
る。

第３図において、直線の中点をＣとする
と、直線が直線＝＝Ｒより明らかに若
干小さくなるので、この回転刃の配置によれば、
切り始めと切り終りで固定刃と回転刃のセリ合い
が弱く、中央でセリ合いが強くなることが分る。
通常の可動刃と固定刃による剪断の場合、固定刃
の切刃が可動刃に対して凹状に彎曲していると、
切り終りで可動刃が固定刃に当つて動かなくなる
ので、固定刃の中央部分が可動刃に対して突出す
るように中高に形成して剪断作用がなめらかに行
われるようにするのが普通である。この点は、本
発明によれば、特に固定刃を中高に形成しなくと
も、前述したように中央で固定刃と回転刃のセリ
合いが強くなることにより十分補償される。な
お、切初め側の調整は固定刃の取付により行う。

上記のように、固定刃１０と回転刃２０のセリ
合いが中央で強くなるため回転刃２０を固定刃１
０に対して弾性的に支持する必要がある。このた
めに、第１図、第２図の実施例では、フレームの
側板１４，１６の材料として熱処理したバネ鋼を
用い、これらの側板に回転刃２０の支持軸２２，
２４の前に、上端の開放した垂直なスリツト３２
を設けて回転刃が弾性的に後方へ変位できるよう
にしてある。これに代る弾性支持手段としては、
例えばフレーム側板１４，１６に設ける回転刃２
０の支持軸の軸受孔を固定刃に向つて延びる長孔
に形成し、これらの長孔に挿入された回転刃２０
の支持軸２２，２４を別のねじりばねにより固定
刃１０の方へ常時付勢することもできる。

次に、回転刃の形状が固定刃の形状と異なる例
について本発明の作動原理を第４図により説明す
る。

この回転刃１２０の配置では、第３図の回転刃
２０の配置と同様にシヤー角を与えるために回転
刃１２０の切始め側回転中心Ａに対して切終り側
回転中心Ｂを上方へ変位させるが、切終り側の回
転中心Ｂを固定刃に向つて水平に変位させない
で、回転刃１２０の直線切刃１１８自体の固定刃
１１０の方へ変位させた形状に回転刃１２０を予
め形成してある。すなわち、回転刃１２０の切刃
１１８の切初め側の点E′からその回転中心A′ま
での距離′′の半径R₁で固定刃１１０の切刃の
点D′を中心として円弧を描き、前と同様にして
切初め側の回転中心A′の位置を求め、そして
A′よりａだけ垂直に上方に位置する切終り側の
回転中心B′を求め、次に′′の半径R₂で切終り
側の回転中心B′を中心として円弧を描き、この円
弧と、B′からｔ／２だけ下の位置に引いた水平線との 交点F′を求めれば、その交点F′が回転刃１２０
の切刃１１８の切終り側の点である。この場合
も、第３図の例と同様に固定刃と回転刃のセリ合
いが切始めと切終りで弱く、中央で強いという好
ましい特性が得られる。

第１図および第２図に示した装置を自動的にか
つ連続的に作動させるには、回転刃２０の操作軸
２８をカムまたはその他の手段により間欠的に下
方へ押圧すれば良い。回転刃２０と固定刃１０の
切刃の間に巻紙のようなシートを通して回転刃２
０の操作軸２８を下方へ押すと、回転刃２０の切
刃１８が切始め側から切終り側へ固定刃１０の切
刃１２と連続的に協働してシートを剪断すること
ができる。

本発明の構成によれば、固定刃と回転刃の両方
で直線刃を用いて剪断作用を行うことが可能とな
り、従来のように回転刃の円筒研磨の必要がない
上、回転刃の構造が非常に簡単になり、さらに固
定刃を完全に固定したまま剪断できるので、固定
刃をフレームの一部材として構成して、従来のフ
レーム両側板の間にあつた横梁を省くことができ
る。かくして、装置全体の製造組立の費用が著し
く低減し、かつ装置を小形軽量化することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による装置の正面図、第２図は
第１図の装置を矢印の方向より見た側面図、第
３図は直線切刃を有する固定刃と回転刃の剪断作
用原理を示す説明図、第４図は同様に直線切刃を
有するが第３図と異なる回転刃を用いたときの剪
断作用原理を示す別の説明図である。 １０，１１０……固定刃、１２，１１２……固
定刃の直線切刃、１４，１６……フレーム側板、
１８，１１８……回転刃の直線切刃、２０，１２
０……回転刃、２２，２４……支持軸、３２……
弾性支持手段、Ａ，A′……回転刃の切初め側回
転中心、Ｂ，B′……回転刃の切終り側回転中心。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 両側板からなるフレームと、この両側板に両
   端が取りつけられていてかつ一縁に直線切刃を有
   する板状の固定刃と回転刃を備えたシートの剪断
   装置において、固定刃１０の直線切刃１２がほぼ
   水平に延びるように固定刃の両端をフレームの両
   側板に固定し、固定刃の直線切刃に垂直な平面で
   あつて固定刃の切刃の切始め側の点Ｄを含む平面
   において固定刃の切刃の切始め側の点Ｄに対して
   上方に所定の間隔を置いて回転刃２０の直線切刃
   の切始め側縁Ｅを配置し、回転刃の切刃の切始め
   側の回転中心からその切始め側縁Ｅまでの間の所
   定の距離を半径として回転刃が回転したときにそ
   の切始め側縁Ｅが描く円弧が固定刃の切刃の点Ｄ
   を通るように回転刃の切始め側の回転中心Ａを位
   置決めし、その回転中心Ａに対しシヤー角に基い
   て計算した垂直距離ａだけ回転刃の切終り側縁Ｆ
   の回転中心Ｂを上方に変位させ、回転刃が固定刃
   と同じ形状の長方形の材料であるときにさらに回
   転刃の切終り側縁Ｆが前記所定の半径で描く円弧
   が固定刃の切刃の切終り側の点Ｄを通るような位
   置に前記回転中心Ｂを水平に固定刃側へ変位させ
   ることにより回転中心Ｂを位置決めし、回転刃の
   切始め側の回転中心Ａと切終り側の回転中心Ｂを
   それぞれ支持軸によりフレームの一方の側板と他
   方の側板に回転可能に取りつけたこどを特徴とす
   る装置。 ２ 両側板からなるフレームと、この両側板に両
   端が取りつけられていてかつ一縁に直線切刃を有
   する板状の固定刃と回転刃を備えたシートの剪断
   装置において、固定刃１０の直線切刃１１２がほ
   ぼ水平に延びるように固定刃の両端をフレームの
   両側板に固定し、固定刃の直線切刃に垂直な平面
   であつて固定刃の切刃の切始め側の点D′を含む
   平面において固定刃の切刃の切始め側の点D′に
   対して上方に所定の間隔を置いて回転刃１２０の
   直線切刃の切始め側縁E′を配置し、回転刃の切
   刃の切始め側の回転中心からその切始め側縁
   E′までの間の所定の距離を半径として回転刃が
   回転したときにその切始め側縁E′が描く円弧が
   固定刃の切刃の点D′を通るように回転刃の切始
   め側の回転中心A′を位置決めし、その回転中心
   A′に対しシヤー角に基いて計算した垂直距離ａ
   だけ回転刃の切終り側縁F′の回転中心B′を上方
   に変位させて回転中心B′を位置決めし、その回転
   中心B′と切始め側の回転中心A′を結ぶ軸線を中
   心として回転刃が回転したときにその切刃の切終
   り側縁F′が固定刃の切刃の切終り側の点D′を通
   るように回転刃の切終り側縁F′を固定刃の方へ
   変位させた形状に回転刃の切刃を形成し、前記の
   回転刃の切始め側の回転中心A′と切終り側の回
   転中心B′をそれぞれ支持軸によりフレームの一方
   の側板と他方の側板に回転可能に取りつけたこと
   を特徴とする装置。