JPS6217626Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は一方の軸の回転を他方の軸に伝達する
自在継手に関し、特に両軸の交角が10度程度以下
の小角度に適した自在継手に関する。

従来の自在継手としてはカルダン継手が一般的
であるが、カルダン継手は２個のヨーク、１個の
十字軸、４個の軸受等を有し、大角度にも使用で
きるものであつて、小角度用としては過剰品質を
有するといつてよい。また、ポツト形継手は、ト
ラニオンボールが嵌合する筒状の穴を有する円筒
ヨークを備えており、円筒ヨークの加工がやゝ困
難で精度およびコスト上不利でありかつ円筒ヨー
クが重いという欠点がある。

本考案はこれらの欠点を解決するもので、小角
度用として極力小形、軽量かつ低コストとなるよ
うな構造の自在継手を提供することを目的とす
る。

この目的を達成するための構成を以下図面につ
き、本考案の実施例で説明する。第１図ないし第
３図において、一方の軸１の軸端に、コ字形に形
成されたヨーク３が溶接等の適宜手段により固定
されており、ヨーク３には軸心をはさんで互いに
対向して軸方向にのびるやゝ先細のヨークアーム
４，５があつて、ヨークアーム４，５にはそれぞ
れ軸方向の長穴６，６が設けられている。他方の
軸２には、軸直角方向両側に均等に突き出るよう
に断面円形のピン７が圧入等の手段で固定されて
いる。ピン７の両側の先端には受圧片８がそれぞ
れ嵌合され、この受圧片８はヨークアーム４，５
の長穴６に軸方向に摺動自在に嵌合されており、
かつヨークアーム４，５の外方に突出する部分を
有している。受圧片８はピン７に回転自在に嵌合
する有底の断面円形の穴を有する角形ブロツク状
の部材で、穴底に対向する外面に円弧状断面で中
央が深い溝があり、この溝に押えばね９の端部が
嵌着している。押えばね９は縦長のコ字状に形成
された鋼線製のばねであつて、その両端部に受圧
片８に嵌着する曲り部分を有し、受圧片８はヨー
クアーム４，５から突出する部分に係合された押
えばね９のばね力でピン７に向つて押圧され受圧
片８がピン７の両端から脱落するのを防止され、
押えばね９は受圧片脱落防止部材となつている。
なお、第１図中符号１０，１１は軸１および軸２
を支承する軸受である。

第４図は受圧片脱落防止部材をそれぞれカバー
２９とした他の実施例を示す第２図に相当する断
面を示している。第４図のヨーク２３のヨークア
ーム２４，２５の横断面は円弧状に形成されてお
り、ピン７の軸方向に縮もうとする弾性を有する
カバー２９がヨーク２３に外嵌しかしめ等適宜手
段で固定される。カバー２９の内面に受圧片２８
の球面に形成された外面が接触しており、ヨーク
アーム２４，２５から突出する受圧片２８はカバ
ー２９によりピン７に向つて押圧されている。軸
２およびピン７は第１の実施例と同様な形状であ
る。

以上のように構成した本考案の自在継手は軸１
を駆動軸とした場合には、軸１の回転がヨークア
ームの長穴６に嵌合した受圧片を介してピン７か
ら軸２に伝達されるが、ピン７が第１図の状態か
ら右または左に傾いて、受圧片が長穴６の端部に
接触しない範囲内の交角までは回転力の伝達が可
能である。そして従来のカルダン継手と比較した
場合、(1)ヨークが１個少くてすむ、(2)十字軸がな
く、これにかわるものがピンであり簡易化されて
いる。(3)４個の軸受は２個の受圧片に代替され
た。等により重量およびコストが低減しかつ形状
が小形化されておりヨークアームの長穴６を軸方
向にやゝ長目に設定すれば両軸が作動中などでも
軸方向に微少量ではあるが移動可能である。ま
た、ポツト形継手と比較した場合には、円筒ヨー
クがなく、かつ両軸の抜け止め機構等も不要なの
で重量およびコストが低減されている。このよう
に、ヨークの形状が簡単で板材よりプレス加工で
きるので加工しやすく、ヨークアームに設けた長
穴は軸方向の端部が開放されていないので強度も
十分で、他の構成部品の形状も簡単であるので、
小型軽量かつ低コストの自在継手を提供し得る効
果があり、車両のチルト式ステアリング装置の中
の自在継手のような伝達トルクおよび交角の小さ
な個所の使用に適している。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は交角零
の場合の一部を断面で示した自在継手の正面図、
第２図は第１図の−線における断面図、第３
図は第１図の矢印方向からみた平面図、第４図
は他の実施例を示す第２図相当の断面図である。 符号の説明、１，２：軸、３，２３：ヨーク、
４，５，２４，２５：ヨークアーム、６：長穴、
７：ピン、８，２８：受圧片、９：押えばね、１
０，１１：軸受、２９：カバー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 一方の軸の回転を他方の軸に伝達する自在継
   手において、一方の軸は軸心をはさんで互いに
   対向され軸方向にのびるヨークアームをもつた
   コ字形に板材より成形されたヨークを軸端に備
   え、他方の軸は軸直角方向両側に突き出たピン
   を有し、前記ヨークアームには軸方向の長穴が
   それぞれ設けられ、前記ピンの先端部には該ピ
   ンに嵌合する有底の穴を設けた角形ブロツク状
   の受圧片がそれぞれ回動自在に嵌合され、該受
   圧片はそれぞれ前記ヨークアームの長穴にそれ
   ぞれ軸方向摺動自在に嵌合されると共に前記ヨ
   ークアームのヨークの外方に突出する部分を有
   し、該受圧片の突出する部分に係合し前記受圧
   片を前記ピンに向つて押圧することにより前記
   受圧片の脱落を防止する受圧片脱落防止部材を
   設けたことを特徴とする自在継手。 (2) 前記受圧片は有底の穴に対向する外端面に中
   央部が深くされた溝を有し、前記受圧片脱落防
   止部材は前記受圧片の溝に係合する曲り部分を
   両端部に有しコ字形状に折曲げられた線材であ
   る、前記実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   自在継手。