JPS6216783Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関用点火装置の点火時期を定め
るための信号を発生させるのに好適な信号発電機
に関するものである。

従来用いられているこの種の信号発電機とし
て、機関に取付けられるフライホイール磁石回転
子のボス部に永久磁石を取付けて信号用磁石回転
子を構成し、この回転子に信号発電子の鉄心の磁
極部を対向させたものがある。第１図及び第２図
は従来のこの種の信号発電機の構成を示したもの
で、これらの図において１は鉄からなるカツプ状
のフライホイール、２はフライホイール１の周壁
部１ａの内周に固着された永久磁石であり、永久
磁石２はフライホイール１の周方向に間隔をあけ
て複数個設けられている。フライホイール１の底
壁部１ｂの中央には孔１ｃが設けられてこの孔に
鉄等の磁性材料からなるボス３が嵌合され、フラ
イホイール１、永久磁石２及びボスに３によりフ
ライホイール磁石回転子が構成されている。ボス
３の一端にはフランジ３ａが設けられ、このフラ
ンジ３ａがフライホイール１の底壁１ｂにリベツ
ト（図示せず。）等により固定されている。ボス
３はテーパ孔３ｂを有し、このテーパ孔３ｂが例
えば機関のクランク軸の先端に設けられたテーパ
部に嵌合される。そしてボス３から突出したクラ
ンク軸の先端に設けられたネジ部にナツトが螺合
され、このナツトを締めることによりフライホイ
ール磁石回転子がクランク軸に固定されるように
なつている。このフライホイール磁石回転子と図
示しない電機子とにより磁石発電機が構成される
のは周知の通りである。この種の磁石発電機は一
般に４極以上の多極に構成されるため、その発電
コイルにはクランク軸の１回転当り２サイクル以
上の電圧が誘起する。したがつて点火時期を定め
る信号を１回転当り１回だけ発生させる必要があ
る場合には、フライホイール磁石回転子の磁極を
そのまま利用することはできず、特別に信号用の
磁石回転子を構成する必要がある。そのため第１
図及び第２図に示した例ではボス３の筒状部の端
部に小径部３０１が設けられてこの小径部の外周
の一部に平坦部３０２が形成され、この平坦部３
０２の上に第３図に示すような矩形または正方形
状の厚味方向に着磁された板状の永久磁石４が配
置されている。この磁石はサマリウムコバルト等
の高性能磁石からなつており、１mm（厚さ）×７
mm□程度の大きさに形成されている。この磁石の
押えと保護とを図るため、ボス３の小径部３０１
の外周に非磁性材料からなる金属環５が嵌合さ
れ、磁石４と平坦部３０２との間及び金属環５と
小径部３０１の外周面及び磁石４との間にそれぞ
れ接着剤が流し込まれて金属環５と磁石４とボス
３とが相互に固定されている。ボス３、磁石４及
び金属環５により信号用磁石回転子６が構成さ
れ、この回転子６と信号発電子７とにより信号発
電機が構成されている。信号発電子７は、金属環
５の外周にギヤツプを介して対向する円弧状部８
ａとこの円弧状部の相対向する端部に連続して径
方向の外方に突出するコの字状部８ｂとコの字状
部８ｂの底辺の中央部から回転子６側に突出して
先端部が金属環５にギヤツプを介して対向した突
出部８ｃとからなる鉄心８と、鉄心８の突出部８
ｃに巻装された信号発電コイル９とからなり、適
宜の手段により機関のケースやカバー等に固定さ
れた固定子台板に取付けられている。この信号発
電機においては、鉄心８の突出部８ｃの先端と、
この突出部８ｃの両側に隣接する円弧状部８ａと
がそれぞれ磁極部を構成し、磁石４がこれらの磁
極部の位置を通過した際に信号発電コイル９に突
出電圧が誘起する。

上記のようにフライホイール磁石回転子のボス
部を利用して信号用磁石回転子を構成すればスペ
ースの有効利用を図り発電機の小形化を図ること
ができるが、上記従来の信号発電機では非磁性金
属環５を旋削加工で作る必要があつたためコスト
が高くなるだけでなく、各部品の加工公差により
磁石４が第２図の矢印Ｘ方向にずれ易くなるた
め、信号電圧の発生位相にばらつきが生じる欠点
があつた。

本考案の目的は、上記従来の欠点を解消した信
号発電機を提供することにある。

本考案は上記問題点を解決するため、フライホ
イール磁石回転子の磁性材料からなるボスの外周
の一部に設けた平坦部に永久磁石を配置し該永久
磁石を押える非磁性金属環を前記ボスの外周に嵌
着してなる信号用磁石回転子と、前記信号用磁石
回転子の外周にギヤツプを介して対向する少なく
とも一対の磁極部を有する鉄心に信号発電コイル
を巻装してなる信号発電子とを備えてなる信号発
電機において、前記ボスの前記平坦部を略対称な
位置に一対設けている。そして本考案では更に前
記非磁性金属環を前記永久磁石を収容して該永久
磁石を前記一対の平坦部の一方の平坦部上に位置
決めする箱形部と該箱形部の両端からそれぞれ延
長されて前記ボスの外周に嵌合され且つ先端部が
前記一対の平坦部の他方の平坦部に係接された一
対の腕部とを一体に有する形状に形成した。

第７図は、一部を断面にして示した本考案の一
実施例の回転子部分の正面図である。本考案にお
いては、ボス３が小径部３０１の相対する位置に
一対の平坦部３０２，３０２′を有しており、磁
石４は非磁性金属環１０により一方の平坦部３０
２上に配置されている。本実施例で用いる非磁性
金属環１０は、ボス３の小径部３０１に取付けら
れる前は、第４図及び第５図に示す形状を有して
いる。取付け前の金属環１０は、ボス３の外周の
一方の平坦部３０２の上に載置された磁石４を収
容する箱形部１と、この箱形部１１の両端からそ
れぞれ延長された円弧状の一対の腕部１２，１
２′とからなり、腕部１２，１２′の箱形部１１に
つながる端部付近１２ａ，１２′ａはボスの平坦
部３０２に当接するようにフラツトに形成されて
いる。このような金属環は例えば第６図に示した
ような帯板１３に耳部１４，１４′を形成した非
磁性金属板１５を打抜き等により形成した後、こ
の非磁性金属板１５を図の破線の部分で折曲げ成
形することにより容易に製作することができる。

このようにして製作した金属環１０は、第７図
に示すように箱形部１１内に磁石４を収容した状
態で腕部１２，１２′をボスの小径部３０１に嵌
合させ、腕部１２，１２′の先端部１２０，１２
０′を他方の平坦部３０２′に係接するように折曲
げることによりボス３に取付けられる。そして、
更に金属環１０と磁石４との間及び金属環１０と
ボス３の小径部３０１との間がそれぞれ接着剤に
より固定される。

上記のように磁石４が配置される平坦部３０２
と相対する位置に更に別の平坦部３０２′を設け
て、金属環１０の腕部１２，１２′の先端部１２
０，１２０′を平坦部３０２′と係接させるように
すれば、金属環１０の取付け強度を高めることが
できる。したがつて、高速回転によつて金属環１
０に大きな遠心力が加わつた場合や、長期間に亘
つて振動が加わつた場合でも金属環１０が外れる
といつた不都合が生じることはない。

尚信号発電子の鉄心は第１図及び第２図に示し
たような３極の構成のものに限られるものではな
く、２極の鉄心を用いてもよい。

以上のように、本考案によれば、折曲げ加工ま
たはプレス加工により非磁性金属環を作ることが
できるので、製造を容易にすることができる。ま
た磁石を非磁性金属環の箱形部内に収容して位置
決めするようにしたので、磁石の位置決めを確実
にすることができ、磁石の位置ずれにより信号電
圧の発生位相がばらつくのを防止することができ
る。

特に本考案によれば、ボスの外周の磁石が配置
される平坦部と略対称な位置にも平坦部を設けた
のでボスの回転バランスを良くすることができ
る。また非磁性金属環の一対の腕部の先端部をそ
れぞれボスの磁石が配置される一方の平坦部と略
対称な位置に設けた他方の平坦部と係接させるの
で非磁性金属環の取付け強度を高めることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す要部縦断面図、第２図は
第１図の信号発電機部分の正面図、第３図は磁石
の一例を示す斜視図、第４図はボスの外周に取付
ける前の本考案で用いる非磁性金属環の一例を示
す正面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ線断面図、第
６図は第４図及び第５図の金属環を作るための素
材を示す要部平面図、第７図は本考案の一実施例
における回転子部分を示す正面図である。 １……フライホイール、３……ボス、３０２，
３０２′……平坦部、４……永久磁石、７……信
号発電子、８……鉄心、９……信号発電コイル、
１０……非磁性金属環、１１……箱形部、１２，
１２′……腕部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 フライホイール磁石回転子の磁性材料からなる
   ボスの外周の一部に設けた平坦部に永久磁石を配
   置し該永久磁石を押える非磁性金属環を前記ボス
   の外周に嵌着してなる信号用磁石回転子と、前記
   信号用磁石回転子の外周にギヤツプを介して対向
   する少なくとも一対の磁極部を有する鉄心に信号
   発電コイルを巻装してなる信号発電子とを備えて
   なる信号発電機において、 前記ボスの前記平坦部は略対称な位置に一対設
   けられ、 前記非磁性金属環は前記永久磁石を収容して該
   永久磁石を前記一対の平坦部の一方の平坦部上に
   位置決めする箱形部と該箱形部の両端からそれぞ
   れ延長されて前記ボスの外周に嵌合され且つ先端
   部がそれぞれ前記一対の平坦部の他方の平坦部に
   係接される一対の腕部とを一体に有する形状に形
   成されていることを特徴とする信号発電機。