JPS6216315B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、小径トンネルの一部に局部的な拡大
トンネル部を造成するための拡大シールド掘削方
法に関し、特に前方の切羽側を泥水で満たして水
のジエツト噴射により切羽を掘削するようにした
拡大シールド掘削方法に関するものである。

一般に、地下鉄工事や地下ケーブル等の埋設工
事のためのトンネル掘削には、シールド工法が優
れた工法として多く用いられているが、地下鉄の
駅を構築したり地下ケーブルの連結作業場を設け
たりするには、トンネルの一部を拡大させる必要
が生じる。

この拡大工事を行なうための従来工法として
は、一般的にはシールド工法で構築されたトンネ
ルの拡大予定区域に対して地上から立坑を掘り、
この立坑を利用して拡大トンネルの構築が行なわ
れていた。

しかし、立坑を掘る方法では、近年市街地にお
いて地上および地下の各種障害物の制限を受けて
トンネルの構築路線が地中深くなつている実状に
鑑みて、その実施が次第に困難になつており、ま
た折角掘削した立坑も拡大工事後一部を除いて埋
め戻さなければならないこと等から、コスト的に
も問題があつた。

そこで、本件出願人は先に特願昭56−153966号
（特開昭58−98595号）において、これらの従来工
法を改善するトンネル掘削工法を提案している。

この先に提案した工法によると、一次セグメン
ト（シールド）を装着したトンネル内の拡大予定
区域の始端部に拡大シールド機の発進基地となる
拡大掘削部を設け、ここに一次セグメントの外周
に沿つてトンネルの軸線方向に推進する拡大シー
ルド機を設置し、当該拡大シールド機を推進させ
て拡大掘削を行なうとともに、拡大掘削予定部分
の一次セグメントを順次取外しながら拡大掘削部
に二次セグメントを施すことを行なう。

これによつて、前記従来工法の欠点を改善し、
通常径（小径）のトンネル掘削と並行作業が可能
となり、しかも拡大部分を短時間で安価に掘削す
ることができる新規な拡大シールド掘削方法を提
供した。

そして本願発明は上記発明を発展させたもので
あり、拡大シールド掘削装置に設けた仕切壁とシ
ール部材とで閉塞させた前方の切羽側に泥水を注
入し、同じく拡大シールド掘削装置に設けたジエ
ツト噴射装置から前方の切羽側に水をジエツト噴
射させながら、一次セグメントの外周に沿つて拡
大シールド掘削装置を推進させることにより拡大
掘削部を造成する拡大シールド掘削方法の提供を
目的とする。

以下に本発明の一実施例を図面に基づいて説明
する。

第１〜２図は、本発明方法で使用するための拡
大シールド掘削装置Ａを示し、この装置Ａは小径
トンネルT₁を形成している一次セグメント１の
外表面上を走行するように内側にローラーを設け
た内筒２と、該内筒２と協動して前記一次セグメ
ント１の周囲で拡大トンネルT₂を掘削する先端
に刃口を設けた外筒３と、前記拡大トンネルT₂
の内周面に装着された二次セグメント４より反力
を得て前記外筒３を推進させるように取付けられ
たジヤツキ５と、前記内筒２及び一次セグメント
１の外表面間を密封するため、前記内筒２の下部
に取付けられたゴムシール６及び空気袋状のエア
ーシール７のようなシール部材と、前記内筒２及
び外筒３の内面間を密封するため、該内筒２及び
外筒３間を連結する態様で設置された密封用仕切
壁８と、前記内筒２の進行側に取付けられたノズ
ルから清水を高圧噴射して切羽９を粉砕するジエ
ツト噴射装置１０とを具備している。

前記小径トンネルT₁は、予め従来のシールド
工法により形成されている。

また、前記ゴムシール６は内筒２が前進する際
に一次セグメント１上を摺動し、エアーシール７
は内筒２と外筒３とが前進する際にエアーを抜か
れて一次セグメント１から離れ、内筒２が停止し
たときに再度エアーを充填されて、再び一次セグ
メント１上に密着する。また、前記外筒３と二次
セグメント４の間を密閉するため、外筒３の後端
部には摺接シール１１が取付けられている。

更に、前記一次セグメント１には、六角ボルト
装着孔（図示せず）を利用して泥水入口１２と泥
水出口１３が設けられている。このような泥水入
口１２と泥水出口１３は、第３図に示すように、
拡大シールド掘削装置Ａの仕切壁８に設けること
もできる。泥水入口１３からは、崩壊を防止する
ために切羽９側へ泥水が注入される。

本発明方法の一例によると、先ず上記拡大シー
ルド掘削装置Ａを任意の方法により拡大トンネル
T₂の始端部に配置し、ジヤツキ５を伸長させ外
筒３の先端刃口を地山に突出させ、泥水入口１２
より泥水を注入すると共に、ジエツト噴射装置１
０を作動して前方地山を泥状化させながらジヤツ
キ５により内筒２を一次セグメント１の外周に沿
つて進行させながら切羽９を掘削し、小径トンネ
ルT₁の一部に拡大トンネルT₂を造成する。又泥
状化した掘削土砂は泥水出口１３より順次トンネ
ルT₁又はT₂に押し出され、公知の泥水式シール
ド工法と同様にポンプでトンネル外へ排出した
り、土砂と水を分離して水を再度切羽の加圧水と
して循環使用することができる。

上記実施例の説明から明らかなように、本発明
は小径トンネル用の一次セグメントの外表面上で
掘削を行う拡大シールド掘削装置を用いて拡大ト
ンネルを形成するので、小径すなわち通常径のト
ンネルの工事とは別に独立して工事を行うことが
でき、作業能率を向上させることができる。ま
た、通常径のトンネルに立坑を設ける必要がな
く、通常径の一部に前記拡大シールド掘削装置が
入る空間を確保するだけで良いので、経費及び工
期を大幅に減少させることができる。

更に切羽に対してシールド先端の刃口で山止め
されしかも充填した泥水で土圧に耐える構成によ
り軟弱地盤でも切羽の崩壊が少なく、又切羽側が
閉塞されていることにより作業者は後方で安全作
業を行うことができると共に、掘削およびずりの
搬出に入力を要しない等の利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明方法の一実施例を示す拡大ト
ンネル部の概略縦断面図、第２図は第１図の一部
を省略した左側面図、第３図は第２図の変更例の
説明図である。 ［符号の説明］、Ａ…拡大シールド掘削装置、
T₁…小径トンネル、T₂…拡大トンネル、１…一
次セグメント、２…内筒、３…外筒、４…二次セ
グメント、５…ジヤツキ、６…ゴムシール、７…
エアーシール、８…仕切壁、９…切羽、１０…ジ
エツト噴射、１１…摺接シール、１２…泥水入
口、１３…泥水出口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一次セグメントが装着された小径トンネルの
   拡大予定区域の始端部に内筒および外筒によるド
   ーナツ状の拡大シールド機を設置し、該拡大シー
   ルド機の内外筒間に設けられて切羽側を密閉する
   仕切壁および拡大シールド機の内筒と前記一次セ
   グメント間を密封するシール部材により切羽側を
   閉塞すると共に、当該仕切壁の前方に泥水を注入
   せしめ、前記拡大シールド掘削装置に設けたジエ
   ツト噴射装置から水を切羽に噴射させながら、拡
   大シールド掘削装置を一次セグメントの外周に沿
   つて推進せしめ、泥状化した掘削土砂を順次トン
   ネル内に取り込むようにして拡大掘削部を造成す
   ることを特徴とした拡大シールド掘削方法。