JP3087229B2 - 既設シールドの解体用シールド機 - Google Patents

既設シールドの解体用シールド機

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JP3087229B2
JP3087229B2 JP03108464A JP10846491A JP3087229B2 JP 3087229 B2 JP3087229 B2 JP 3087229B2 JP 03108464 A JP03108464 A JP 03108464A JP 10846491 A JP10846491 A JP 10846491A JP 3087229 B2 JP3087229 B2 JP 3087229B2
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由幸 小原
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Shimizu Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トンネル内の既設シー
ルド(セグメントの集合体)を解体するための解体用シ
ールド機に関する。
【0002】
【従来の技術】トンネルを構築する方法として、シール
ド工法は硬岩以外のあらゆる地山に適用でき、しかも地
上施設に影響を与えず、地下深部の施工が可能である等
の利点を有するため、近年特にその施工実績が増加して
いる。このシールド工法は、シールド機先端のカッタ装
置により地山を掘削しつつ、掘削されたトンネルの内壁
をセグメントにより覆工し、この覆工したセグメントの
前端で推進ジャッキの反力を取り、シールド機を掘進さ
せる工法である。
【0003】かかるシールド工法において、不要になっ
た既設のシールド(セグメント集合体)を撤去する場合
には、地盤に薬液を注入したり地盤を凍結したりして、
地盤を固化した後に、セグメント解体装置などの手段に
より各セグメントを一つずつ解体して撤去し、その後原
地盤を復旧するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の方法によれば、セグメントの解体前に地盤に薬液を
注入したり地盤を凍結させたりして地盤を固化させる作
業が必須であるため、セグメントの解体に時間がかかる
とともに、解体・撤去費用がかさむ問題があった。また
後者の凍結工法によれば、凍結により地盤が隆起する問
題もあった。
【0005】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
で、既設シールドを容易に解体できるとともに、原地盤
の復旧を同時に行なうことのできる既設シールドの解体
用シールド機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、トン
ネル内壁を覆工するセグメントの集合体から成るシール
ドを解体するためのシールド機において、前記シールド
の外径よりも大きい口径のスキンプレートを有するとと
もに、該スキンプレートの先端部に前記シールドの周囲
の地盤を掘削する掘削装置を備えて、当該シールド機の
背後に裏込材を注入充填してシールド機の推進反力を裏
込材に取り、前記掘削装置によりシールドの周囲の地盤
を掘削して当該シールド機を掘進させつつ、当該シール
ド機に内包されるシールドを解体する構成とし、前記掘
削装置は前記スキンプレートの先端部からウォータージ
ェットを噴出することでシールドの周囲地盤を掘削する
構成とされ、前記スキンプレートの先端内周部に、解体
対象のシールドとの間を封止するシール部材を備え、
記シール部材は断面形状が略U形をなすように屈曲して
いてその屈曲部を後方側に向けた状態で一端側が前記ス
キンプレートに固定されかつ前記掘削装置から噴出され
たウォータージェットの水圧を受けて他端側が前記シー
ルドに押圧される状態で取り付けられてなることを特徴
とする。
【0007】
【作用】本発明によれば、既設シールドの外径よりも大
きい口径を有するシールド機をシールドを正面視して内
包する形で設置し、この状態から、掘削装置により既設
シールドの周囲の地盤を掘削し、かつシールド機の背後
に裏込材を注入しつつ、シールド機の推進反力を裏込材
に取ることでシールド機が掘進する。シールド機が掘進
した分だけ、後端のセグメントがシールド機にすっぽり
と覆われ、当該箇所の地盤がシールド機により補強され
るため、シールド機に内包されるセグメントを解体する
ことができる。裏込材はそのまま各セグメントを解体し
た後の原地盤の覆工材料となる。既設シールドの周囲の
掘削はウォータージェットの噴出により行う。既設シー
ルドとシールド機のスキンプレートとの間はシール部材
により常に封止され、土砂や地下水はもとより掘削に用
いたウォータージェット水がスキンプレート内に浸入す
ることがない。シール部材は略U形をなすように屈曲し
ていてウォータージェットの水圧を受けて既設シールド
に押圧され、したがってその水圧によりシール性能が高
められる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。
【0009】図1はシールド機Sにより既設シールドW
を解体しながら解体後の原地盤Gを裏込め材10により
復旧する状態を示している。
【0010】本発明に使用されるシールド機Sは、既設
シールドの外径よりも大きい口径を有する筒状のスキン
プレート1と、このスキンプレート1のテール部に周方
向に複数本装備された推進ジャッキ2と(本実施例では
12本)、各推進ジャッキ2の先端に一体に設けられた
面板3とから基本的に構成されている。そして、前記ス
キンプレート1の外面には後端から先端に延びるウォー
タージェット管4が周方向に等間隔に複数配設されてお
り、先端の噴出口からウォータージェットを噴出させる
ことによりスキンプレート1の周囲の地盤を掘削するよ
うになっている。
【0011】一方、前記面板3には、図1及び図2に示
すように、当該面板3の背後に裏込材6を注入するため
の裏込材注入管5の先端が複数取付けられている(本実
施例では4本)。この裏込材注入管5の後端はシールド
機Sの前方から既設シールドWを通って前方に配置され
た裏込材供給装置に接続されている。面板3の背後に注
入される裏込材6としては、面板3との剥離性が良くか
つ安価な発泡モルタルを用いる。
【0012】図3は、シールド機Sとセグメント10と
の間のシール構造を示している。本実施例のように水圧
下の条件で使用するシールド機Sとセグメント10との
間には、シール構造が必要とされるが、本実施例のよう
なセグメント解体用のシールド機はその進行方向が従来
のシールド機と逆であるため(既設シールドを覆う方向
へ進行する)、従来のシールド機に採用されているシー
ル構造はそのまま採用することができない。したがっ
て、本シールド機Sに適用されるシール構造にはシール
ド機Sの掘進時にシール機能を自ら復元できる自己バラ
ンス機能を持たせてある。
【0013】このシール構造の詳細を説明すれば、図3
に示すように、スキンプレート1の先端内面にシール材
20の根本を取付け治具21により固定し、シール部材
20の凸形屈曲部20aがシールド機Sの進行方向と逆
方向に来るようにシールド部材20を屈曲させ、当該シ
ールド部材20の先端(自由端)をスキンプレート1の
先端側へ来るように配置する構造としている。これによ
り、スキンプレート1先端のウォータージェット管4の
噴出口から噴出されたウォータージェットの水圧等がシ
ール部材20に作用しても、この水圧が屈曲状のシール
部材20をセグメント10に押し付けるため、掘削時に
シール機能を常時維持し、水密性を確保できる構造とな
っている。
【0014】なお、上記のシール材20の材質として
は、スキンプレート1の先端内面に取付ける根本部分を
鋼材系で構成し、先端部分を弾性のあるゴム系で構成す
ることが好ましい。また、このシール部材20は、必要
に応じてシール機能を向上させるためにスキンプレート
1の先端内面から後端へ向けて多段設けることが好ま
しい。
【0015】次に、本実施例の作用を説明する。
【0016】シールド機Sを前方のシールドWを正面視
して内包する形で設置する。この設置状態からシールド
機Sを掘進させる。スキンプレート1先端のウォーター
ジェット管4の噴出口からウォータージェットを噴出さ
せ、その水圧によりシールドWの周囲の地盤を掘削す
る。これと並行してスキンプレート1後端の面板3の背
後に裏込材注入管5により裏込材6を注入する。そし
て、この注入された裏込材6に推進ジャッキ2の推進反
力を取り、推進ジャッキ2により方向制御を行ないつ
つ、シールド機Sを掘進させる。
【0017】一方、スキンプレート1の内部ではシール
ド機S内側に内包され、地盤がスキンプレート1により
補強された分のシールドWを構成するセグメント10を
解体する。セグメント10はセグメント解体装置などの
手段により一列ずつ解体し、例えばシールドWの前方に
向けて敷設されたレール上を走行する台車を利用して前
方へ搬送し、外部へ搬出する。
【0018】このように、シールド機S先端のウォータ
ージェット管4で地盤を掘削しつつ、シールド機S背後
に注入された裏込材6に推進反力を取り、シールド機S
を掘進させ、これと並行してスキンプレート1内部でセ
グメント10の解体作業を進める。また、セグメント1
0が解体された後の原地盤には掘削と並行して裏込材6
が注入されるので原地盤の復旧も同時に行なわれる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明
は、既設シールドの外径よりも大きい口径を有するシー
ルド機を前記既設シールドを構成する各セグメントを正
面視して内包する形で設置し、掘削装置により既設シー
ルドの周囲の地盤を掘削するとともに、当該シールド機
の背後に裏込材を注入しつつ、シールド機の推進反力を
裏込材に取り、シールド機を掘進させつつ、当該シール
ド機に内包されるセグメントを解体するようにしたか
ら、既設シールドの解体を短時間でかつ容易に行なえる
とともに、その解体および撤去に要する費用を大幅に削
減することができる。また解体後のトンネルにシールド
機の推進反力を取る裏込材を注入することで、原地盤の
復旧を同時に行なうことができる。そして、掘削装置は
スキンプレートの先端部からウォータージェットを噴出
することで既設シールドの周囲地盤を掘削する構成であ
るので、ウオータージェットによる効率的な掘削が可能
である。また、スキンプレートの先端内周部に、解体対
象のシールドとの間を封止するシール部材を備えている
ので、既設シールドとシールド機のスキンプレートとの
間はシール部材により常に封止され、したがって周囲地
盤から機内に土砂や地下水が浸入することを防止できる
ことはもとより、掘削に用いたウォータージェット水の
浸入を確実に防止できる効果がある。さらに、断面形状
が略U形をなすように屈曲しているシール部材を採用
し、その屈曲部を後方側に向けた状態で一端側を前記ス
キンプレートに固定しかつ掘削装置から噴出されたウォ
ータージェットの水圧を受けて他端側が既設シールドに
押圧される状態で取り付けているので、シール部材のシ
ール性能がウォータージェット水の水圧により自ずと高
められる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例を示すもので、セグメ
ント解体用のシールド機が既設シールドの周囲の地盤を
掘削する様子を示すトンネルの側断面図である。
【図2】図2は図1におけるAーA線矢視断面図であ
る。
【図3】図3はシールド機のスキンプレート先端を示す
要部断面図である。
【符号の説明】
1 スキンプレート 2 推進ジャッキ 3 面板 4 ウォータージェット管(掘削装置) 5 裏込材注入管 6 裏込材 10 セグメント 20 シール部材 S シールド機 W 既設シールド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21D 9/06 301 E21D 9/06 311 E21F 15/00 E21F 15/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トンネル内壁を覆工するセグメントの集
    合体から成るシールドを解体するためのシールド機にお
    いて、前記シールドの外径よりも大きい口径のスキンプ
    レートを有するとともに、該スキンプレートの先端部に
    前記シールドの周囲の地盤を掘削する掘削装置を備え
    て、当該シールド機の背後に裏込材を注入充填してシー
    ルド機の推進反力を裏込材に取り、前記掘削装置により
    シールドの周囲の地盤を掘削して当該シールド機を掘進
    させつつ、当該シールド機に内包されるシールドを解体
    する構成とし、 前記掘削装置は前記スキンプレートの先端部からウォー
    タージェットを噴出することでシールドの周囲地盤を掘
    削する構成とされ 前記スキンプレートの先端内周部に、解体対象のシール
    ドとの間を封止するシール部材を備え、 前記シール部材は断面形状が略U形をなすように屈曲し
    ていてその屈曲部を後方側に向けた状態で一端側が前記
    スキンプレートに固定されかつ前記掘削装置から噴出さ
    れたウォータージェットの水圧を受けて他端側が前記シ
    ールドに押圧される状態で取り付けられてなることを特
    徴とする既設シールドの解体用シールド機。
JP03108464A 1991-04-12 1991-04-12 既設シールドの解体用シールド機 Expired - Lifetime JP3087229B2 (ja)

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JPH04315698A JPH04315698A (ja) 1992-11-06
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009013584A (ja) * 2007-06-29 2009-01-22 Shimizu Corp トンネル構築方法及びこの方法で用いる撤去シールド
JP2009013585A (ja) * 2007-06-29 2009-01-22 Shimizu Corp 撤去シールド
JP2009013586A (ja) * 2007-06-29 2009-01-22 Shimizu Corp 撤去シールド及びこれを用いたトンネル撤去方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009013584A (ja) * 2007-06-29 2009-01-22 Shimizu Corp トンネル構築方法及びこの方法で用いる撤去シールド
JP2009013585A (ja) * 2007-06-29 2009-01-22 Shimizu Corp 撤去シールド
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