JPS6214630B2 - - Google Patents
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- JPS6214630B2 JPS6214630B2 JP57172850A JP17285082A JPS6214630B2 JP S6214630 B2 JPS6214630 B2 JP S6214630B2 JP 57172850 A JP57172850 A JP 57172850A JP 17285082 A JP17285082 A JP 17285082A JP S6214630 B2 JPS6214630 B2 JP S6214630B2
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Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
この発明は、溶接性、高温強度そして耐食性が
ともにすぐれたオーステナイトステンレス鋼に関
する。 高温環境下で使用されるボイラや化学プラント
機器等の装置用材料では、高温強度は勿論である
が、この外に耐食性、溶接性が重視される。 従来よりこの種用途には、主として18−8系の
オーステナイトステンレス鋼が汎用されてきた
が、近年かかる用途では、使用条件の苛酷化が著
しく、要求される材料性能が高度化し、その結果
現用の上記18−8系では、高温強度と耐食性がと
もに不十分となつてきた。 一般に、耐食性の改善はCrの増量によつて達
成される。ところでCr量を増すと、オーステナ
イト相を維持するのにNi量の増加を余儀なくさ
れることとなるが、このような高合金化では、耐
食性の改善は達せられるものの、高温強度として
は18−8系ステンレス鋼レベルを維持できればよ
い方で、多くの場合、SUS310鋼の例にみるよう
に低下を来たす。それ許りか、かかる高合金化
は、溶接性の劣化にもつながる傾向が否めない。 本発明者らは、耐食性の改善に必要なCrの増
量という条件の下に、高温強度と溶接性を高める
方法を見い出すべく、鋭意実験、研究を行ない、
その結果以下のような知見を得た。 Cr増量下で、オーステナイト相維持にNを
使用してその分Ni量の増量を抑え、Nの固溶
強化により高温強度向上が得られるとともに、
B、Nbを単独あるいは複合添加させることに
より炭窒化物の微細分散析出強化が得られ高温
強度改善が図られる。 Al、Mgの添加により、高温強度更に延性、
靭性を高めることができる。 不純物としてのP、Sレベルを互いの量およ
びのB、Nb量を考慮して特定の条件下で低
く規制することにより、溶接性が向上する。 すなわち本発明は以上の知見に基くものであつ
て、その要旨とするところは、C0.01〜0.20%、
Si3%以下、Mn10%以下、Cr20〜30%、Ni10〜
30%、N0.04〜0.30%で、Al 0.01〜0.5%、
Mg0.001〜0.05%の一方または双方を含み、必要
に応じB0.001〜0.020%、Nb0.01〜1.0%の一方ま
たは双方を含有し、不純物としてのP・Sが、
P0.020%以下、S0.010%以下で、かつ次式、 206P(%)+400S(%)+4Nb(%)+150B(%)7.0 を満足し、残部Feと不可避的不純物からなるオ
ーステナイトステンレス鋼にある。この本発明鋼
は、現用の18−8系オーステナイト鋼や高Cr−
Ni系のSUS310鋼を浚ぐすぐれた高温強度を有
し、かつ溶接性も上記18−8系と同等以上を示
し、しかも耐食性はSUS310鋼と同等以上を示す
ものである。 以下、本発明における成分限定の理由について
述べる。 C:耐熱鋼として必要な引張強さおよびクリープ
破断強度を確保するのに有効な成分で、0.01%
以上必要であるが、0.20%を越えても固溶化処
理状態で未固溶の炭化物が残存することとなる
許りで高温強度に対する効果の向上はなく、む
しろ時効後の靭性に悪影響が出るので、0.01〜
0.20%とした。 N:NはCと同様オーステナイト生成元素である
とともに高温強度改善に有効な元素であり、そ
の効果を発揮させるには0.04%以上必要であ
る。しかし0.30%を上廻ると多量の窒化物が生
成し時効後の靭性の低下を来たすので、0.04〜
0.3%とした。 Si:脱酸剤として、また耐酸化性を高めるのに
も、有効な元素であるが、3%を越えると溶接
性が劣化し組織も不安定になるので、3%以下
とした。 Mn:脱酸および加工性改善に効果があり、同時
にオーステナイト生成にも有用であつてNiの
一部をMnで置換えることができる。さらに高
温強度改善にも有効であるが、過剰添加では耐
熱特性の劣化を来たすので、10%以下とする必
要がある。 Cr:高温強度、耐酸化性、耐食性の改善に優れ
た効果を示すが、20%未満では十分な耐食性が
得られず、また30%を越えると加工性が不足す
るとともに安定した完全オーステナイト相を得
難くなるので、本発明では20〜30%に限定し
た。 Ni:安定なオーステナイト組織を得るために必
須の元素であり、N量およびCr量との関係か
ら決められるが、本発明では10〜30%が適当で
ある。 Al:脱酸成分であるが、高温強度、延性、靭性
に対しても有効で、その効果を得るために0.01
%以上必要であるが、0.5%を上廻ると効果が
飽和する。したがつて0.01〜0.5%とした。 Mg:脱酸、および加工性改善に必要な元素であ
るとともに延性、靭性改善にも寄与するが、過
剰な添加はかえつて加工性を損じる結果となる
から、0.001〜0.05%とした。前記AlとこのMg
は、複合添加によりその効果が最も顕著に発揮
される。 B:炭化物の微細分散析出強化および粒界強化を
通して高温強度特性を改善するのに有効な元素
であるが、0.001%未満では効果が得られず、
また過剰の添加は溶接性の劣化を来たすので、
上限は0.020%とした。 Nb:炭窒化物を微細に分散析出することにより
高温強度の改善に大きく寄与するが、N含有量
が多い場合には溶体化処理状態で未固溶のNb
炭窒化物の量が増加し、高温強度改善の効果が
減殺されるので、N量に応じて添加量を調整す
る必要がある。また過剰に添加するのは、溶接
性、更に高温強度の点からも好ましくない。し
たがつて、Nbは0.01〜1.0%に限定した。 P、S:一般鋼のP、Sレベルはそれぞれ0.020
〜0.030%、0.005〜0.015%程度であるが、本発
明鋼のような高Cr高合金の成分系の場合、上
記通常レベルのP、S含有では、溶接時大きな
高温割れ感受性を示す。18−8系オーステナイ
ト鋼と同等レベルの溶接性を確保するには、少
なくともP0.020%以下、S0.010%以下とするこ
とが必須であり、更にPについては0.010%以
下、Sについては0.005%以下に抑えるのが望
ましい。これは、PおよびSの低減は溶接性の
他、加工性向上にも寄与するからである。更に
18−8系と同等レベルの溶接性が得られる限界
のP、Sレベルは、溶接性を劣化させるB、
Nb量との関連において変化することから次式
を満足する範囲内にPおよびSレベルを抑える
必要がある 206P(%)+400S(%)+4Nb(%)+150B(%)7.0 次に、本発明を実施例を掲げて具体的に説明す
る。 第1表に供試材化学成分を示す。(A)〜(U)は
比較鋼であり、(1)〜(29)が本発明鋼である。こ
れらの供試材は、次のような手順で得た。すなわ
ち、大気中で25Kg溶製を行い、鍛造→冷間圧延を
経たのち、比較鋼、本発明鋼ともNb無添加鋼は
1150℃、Nb添加鋼は1200℃で溶体化処理を実施
した。なお、鋼中のP、Sレベルの調整は、溶解
原料の配合比を変化させることで行なつた。 この各供試材について、700℃でのクリープ破
断試験を行い、700℃、3000hでの破断強度を求
めた。また溶接性評価のために、バレストレイン
試験およびTIG溶接による溶接割れ試験を行なつ
た。バレストレイン試験とは、平板試験片の上に
溶加棒の使用なしで溶接を施し、この溶接中に一
定半径の治具に沿わせて歪を加え人為的に溶接部
に割れを発生させ、その割れの長さでもつて高温
割れ感受性を評価するものである。試験片板厚は
8mm、溶接条件としては200A×15V、溶接速度15
cm/min、付加歪2%で実施した。 TIG溶接による溶接割れ試験は、第1図に示す
ように60゜の開先をとつた平板試験片を用い、
180A×15V、10cm/min(溶接速度)にて、溶加
棒を使用しない溶接を行ない、ビード割れ発生の
有無を調べ、評価する方法によつた。 結果は第2表にまとめて示す。また第2図に
は、上記バレストレイン試験による溶接金属割れ
長さの多重回帰分析結果およびTIG溶接による溶
接割れ試験(以下、TIG溶接試験と云う)結果を
示す。図中、○、●印は高Cr系(20〜30%)、△
印は18−8系であり、○:TIG溶接試験でビード
割れなし、●:同じくビード割れあり、をそれぞ
れ表わし、同記号への添字は第1表の鋼記号と対
応している。
ともにすぐれたオーステナイトステンレス鋼に関
する。 高温環境下で使用されるボイラや化学プラント
機器等の装置用材料では、高温強度は勿論である
が、この外に耐食性、溶接性が重視される。 従来よりこの種用途には、主として18−8系の
オーステナイトステンレス鋼が汎用されてきた
が、近年かかる用途では、使用条件の苛酷化が著
しく、要求される材料性能が高度化し、その結果
現用の上記18−8系では、高温強度と耐食性がと
もに不十分となつてきた。 一般に、耐食性の改善はCrの増量によつて達
成される。ところでCr量を増すと、オーステナ
イト相を維持するのにNi量の増加を余儀なくさ
れることとなるが、このような高合金化では、耐
食性の改善は達せられるものの、高温強度として
は18−8系ステンレス鋼レベルを維持できればよ
い方で、多くの場合、SUS310鋼の例にみるよう
に低下を来たす。それ許りか、かかる高合金化
は、溶接性の劣化にもつながる傾向が否めない。 本発明者らは、耐食性の改善に必要なCrの増
量という条件の下に、高温強度と溶接性を高める
方法を見い出すべく、鋭意実験、研究を行ない、
その結果以下のような知見を得た。 Cr増量下で、オーステナイト相維持にNを
使用してその分Ni量の増量を抑え、Nの固溶
強化により高温強度向上が得られるとともに、
B、Nbを単独あるいは複合添加させることに
より炭窒化物の微細分散析出強化が得られ高温
強度改善が図られる。 Al、Mgの添加により、高温強度更に延性、
靭性を高めることができる。 不純物としてのP、Sレベルを互いの量およ
びのB、Nb量を考慮して特定の条件下で低
く規制することにより、溶接性が向上する。 すなわち本発明は以上の知見に基くものであつ
て、その要旨とするところは、C0.01〜0.20%、
Si3%以下、Mn10%以下、Cr20〜30%、Ni10〜
30%、N0.04〜0.30%で、Al 0.01〜0.5%、
Mg0.001〜0.05%の一方または双方を含み、必要
に応じB0.001〜0.020%、Nb0.01〜1.0%の一方ま
たは双方を含有し、不純物としてのP・Sが、
P0.020%以下、S0.010%以下で、かつ次式、 206P(%)+400S(%)+4Nb(%)+150B(%)7.0 を満足し、残部Feと不可避的不純物からなるオ
ーステナイトステンレス鋼にある。この本発明鋼
は、現用の18−8系オーステナイト鋼や高Cr−
Ni系のSUS310鋼を浚ぐすぐれた高温強度を有
し、かつ溶接性も上記18−8系と同等以上を示
し、しかも耐食性はSUS310鋼と同等以上を示す
ものである。 以下、本発明における成分限定の理由について
述べる。 C:耐熱鋼として必要な引張強さおよびクリープ
破断強度を確保するのに有効な成分で、0.01%
以上必要であるが、0.20%を越えても固溶化処
理状態で未固溶の炭化物が残存することとなる
許りで高温強度に対する効果の向上はなく、む
しろ時効後の靭性に悪影響が出るので、0.01〜
0.20%とした。 N:NはCと同様オーステナイト生成元素である
とともに高温強度改善に有効な元素であり、そ
の効果を発揮させるには0.04%以上必要であ
る。しかし0.30%を上廻ると多量の窒化物が生
成し時効後の靭性の低下を来たすので、0.04〜
0.3%とした。 Si:脱酸剤として、また耐酸化性を高めるのに
も、有効な元素であるが、3%を越えると溶接
性が劣化し組織も不安定になるので、3%以下
とした。 Mn:脱酸および加工性改善に効果があり、同時
にオーステナイト生成にも有用であつてNiの
一部をMnで置換えることができる。さらに高
温強度改善にも有効であるが、過剰添加では耐
熱特性の劣化を来たすので、10%以下とする必
要がある。 Cr:高温強度、耐酸化性、耐食性の改善に優れ
た効果を示すが、20%未満では十分な耐食性が
得られず、また30%を越えると加工性が不足す
るとともに安定した完全オーステナイト相を得
難くなるので、本発明では20〜30%に限定し
た。 Ni:安定なオーステナイト組織を得るために必
須の元素であり、N量およびCr量との関係か
ら決められるが、本発明では10〜30%が適当で
ある。 Al:脱酸成分であるが、高温強度、延性、靭性
に対しても有効で、その効果を得るために0.01
%以上必要であるが、0.5%を上廻ると効果が
飽和する。したがつて0.01〜0.5%とした。 Mg:脱酸、および加工性改善に必要な元素であ
るとともに延性、靭性改善にも寄与するが、過
剰な添加はかえつて加工性を損じる結果となる
から、0.001〜0.05%とした。前記AlとこのMg
は、複合添加によりその効果が最も顕著に発揮
される。 B:炭化物の微細分散析出強化および粒界強化を
通して高温強度特性を改善するのに有効な元素
であるが、0.001%未満では効果が得られず、
また過剰の添加は溶接性の劣化を来たすので、
上限は0.020%とした。 Nb:炭窒化物を微細に分散析出することにより
高温強度の改善に大きく寄与するが、N含有量
が多い場合には溶体化処理状態で未固溶のNb
炭窒化物の量が増加し、高温強度改善の効果が
減殺されるので、N量に応じて添加量を調整す
る必要がある。また過剰に添加するのは、溶接
性、更に高温強度の点からも好ましくない。し
たがつて、Nbは0.01〜1.0%に限定した。 P、S:一般鋼のP、Sレベルはそれぞれ0.020
〜0.030%、0.005〜0.015%程度であるが、本発
明鋼のような高Cr高合金の成分系の場合、上
記通常レベルのP、S含有では、溶接時大きな
高温割れ感受性を示す。18−8系オーステナイ
ト鋼と同等レベルの溶接性を確保するには、少
なくともP0.020%以下、S0.010%以下とするこ
とが必須であり、更にPについては0.010%以
下、Sについては0.005%以下に抑えるのが望
ましい。これは、PおよびSの低減は溶接性の
他、加工性向上にも寄与するからである。更に
18−8系と同等レベルの溶接性が得られる限界
のP、Sレベルは、溶接性を劣化させるB、
Nb量との関連において変化することから次式
を満足する範囲内にPおよびSレベルを抑える
必要がある 206P(%)+400S(%)+4Nb(%)+150B(%)7.0 次に、本発明を実施例を掲げて具体的に説明す
る。 第1表に供試材化学成分を示す。(A)〜(U)は
比較鋼であり、(1)〜(29)が本発明鋼である。こ
れらの供試材は、次のような手順で得た。すなわ
ち、大気中で25Kg溶製を行い、鍛造→冷間圧延を
経たのち、比較鋼、本発明鋼ともNb無添加鋼は
1150℃、Nb添加鋼は1200℃で溶体化処理を実施
した。なお、鋼中のP、Sレベルの調整は、溶解
原料の配合比を変化させることで行なつた。 この各供試材について、700℃でのクリープ破
断試験を行い、700℃、3000hでの破断強度を求
めた。また溶接性評価のために、バレストレイン
試験およびTIG溶接による溶接割れ試験を行なつ
た。バレストレイン試験とは、平板試験片の上に
溶加棒の使用なしで溶接を施し、この溶接中に一
定半径の治具に沿わせて歪を加え人為的に溶接部
に割れを発生させ、その割れの長さでもつて高温
割れ感受性を評価するものである。試験片板厚は
8mm、溶接条件としては200A×15V、溶接速度15
cm/min、付加歪2%で実施した。 TIG溶接による溶接割れ試験は、第1図に示す
ように60゜の開先をとつた平板試験片を用い、
180A×15V、10cm/min(溶接速度)にて、溶加
棒を使用しない溶接を行ない、ビード割れ発生の
有無を調べ、評価する方法によつた。 結果は第2表にまとめて示す。また第2図に
は、上記バレストレイン試験による溶接金属割れ
長さの多重回帰分析結果およびTIG溶接による溶
接割れ試験(以下、TIG溶接試験と云う)結果を
示す。図中、○、●印は高Cr系(20〜30%)、△
印は18−8系であり、○:TIG溶接試験でビード
割れなし、●:同じくビード割れあり、をそれぞ
れ表わし、同記号への添字は第1表の鋼記号と対
応している。
【表】
【表】
【表】
【表】
第2表および第2図に明かなように、本発明成
分系の如き高Crオーステナイト鋼において、溶
接時の高温割れ感受性は、P、S、NbおよびB
量の影響を受け、バレストレイン試験における溶
接金属割れ長さは、x値のパラメータで十分整理
でき、このx値が大きくなるにつれ割れ感受性が
略1次的に増す傾向がある。そうしてこの場合、
x値が7.0越えになると、TIG溶接試験でビード
割れがみられる。x値が7.0以下(本発明範囲)
では、TIG溶接試験でビード割れなしの結果が得
られ、バレストレイン試験における溶接金属割れ
長さも、x値7.0越えの高Cr系(20〜30%Cr)(A)
〜(M)および(Q)鋼より小さな値を示し、18
−8系オーステナイト鋼のSUS304やSUS316鋼に
相当する比較鋼(N)、(O)、(P)と同程度の割
れ感受性が維持できる。 第3図は、第2表の試験結果に基くプロツト図
で、P、S量と700℃×3000hクリープ破断強度
(0.05/0.07%C−25%Cr−18/21%Ni−0.18/
0.21%N−0.4/0.5%Nb−0.003/0.005%B系)
を表わす。クリープ破断強度(Kg/mm2)は、図に
プロツトした○印の座標での値をその○印の添字
の形で示してある。○印内の記号は、第1表の鋼
記号に対応する。これより明らかなようにP、S
量によるクリープ破断強度変化は特に認められ
ず、第2表に示したように本発明鋼(1)〜(29)は
いずれもSUS316鋼相当の(N)(O)鋼、
SUS304鋼相当の(P)鋼およびSUS310鋼相当の
(Q)鋼に比較して著しくすぐれたクリープ破断
強さを示した。 更に、本発明の特徴の一つであるAl、Mg添加
による高温強度、そして延性および靭性改善の効
果を明らかにする試験結果を、第4図および第5
図に示す。第4図は、700℃、14Kg/mm2応力下で
のクリープ破断試験結果、第5図は700℃での
1000h時効後のシヤルピー衝撃試験結果、をそれ
ぞれ表わし、図中の符号は供試鋼が第1図の同符
号の鋼であることを示している。 両図から、何れの成分系においても、Al、Mg
の単独或いは複合添加により破断寿命、破断延性
および時効後の靭性が改善されることが明らかで
あり、とくにその延性、靭性の改善効果が著しい
ことが分る。また、Al、Mgによるかかる効果
は、Al、Mgの複合添加の場合にとりわけ顕著な
ものとなる。 以上に説明した如く本発明鋼は、18−8系オー
ステナイト鋼や高Cr−Ni系のSUS310鋼を遥かに
浚ぐすぐれた高温強度に、上記18−8系と同等以
上の溶接性を併せ持ち、耐食性はSUS310鋼と同
等以上を示し、更に延性、靭性も良好なものであ
り、とくにボイラや化学プラント機器等、高温機
器に適用して耐久性向上にきわめて有効なもので
ある。
分系の如き高Crオーステナイト鋼において、溶
接時の高温割れ感受性は、P、S、NbおよびB
量の影響を受け、バレストレイン試験における溶
接金属割れ長さは、x値のパラメータで十分整理
でき、このx値が大きくなるにつれ割れ感受性が
略1次的に増す傾向がある。そうしてこの場合、
x値が7.0越えになると、TIG溶接試験でビード
割れがみられる。x値が7.0以下(本発明範囲)
では、TIG溶接試験でビード割れなしの結果が得
られ、バレストレイン試験における溶接金属割れ
長さも、x値7.0越えの高Cr系(20〜30%Cr)(A)
〜(M)および(Q)鋼より小さな値を示し、18
−8系オーステナイト鋼のSUS304やSUS316鋼に
相当する比較鋼(N)、(O)、(P)と同程度の割
れ感受性が維持できる。 第3図は、第2表の試験結果に基くプロツト図
で、P、S量と700℃×3000hクリープ破断強度
(0.05/0.07%C−25%Cr−18/21%Ni−0.18/
0.21%N−0.4/0.5%Nb−0.003/0.005%B系)
を表わす。クリープ破断強度(Kg/mm2)は、図に
プロツトした○印の座標での値をその○印の添字
の形で示してある。○印内の記号は、第1表の鋼
記号に対応する。これより明らかなようにP、S
量によるクリープ破断強度変化は特に認められ
ず、第2表に示したように本発明鋼(1)〜(29)は
いずれもSUS316鋼相当の(N)(O)鋼、
SUS304鋼相当の(P)鋼およびSUS310鋼相当の
(Q)鋼に比較して著しくすぐれたクリープ破断
強さを示した。 更に、本発明の特徴の一つであるAl、Mg添加
による高温強度、そして延性および靭性改善の効
果を明らかにする試験結果を、第4図および第5
図に示す。第4図は、700℃、14Kg/mm2応力下で
のクリープ破断試験結果、第5図は700℃での
1000h時効後のシヤルピー衝撃試験結果、をそれ
ぞれ表わし、図中の符号は供試鋼が第1図の同符
号の鋼であることを示している。 両図から、何れの成分系においても、Al、Mg
の単独或いは複合添加により破断寿命、破断延性
および時効後の靭性が改善されることが明らかで
あり、とくにその延性、靭性の改善効果が著しい
ことが分る。また、Al、Mgによるかかる効果
は、Al、Mgの複合添加の場合にとりわけ顕著な
ものとなる。 以上に説明した如く本発明鋼は、18−8系オー
ステナイト鋼や高Cr−Ni系のSUS310鋼を遥かに
浚ぐすぐれた高温強度に、上記18−8系と同等以
上の溶接性を併せ持ち、耐食性はSUS310鋼と同
等以上を示し、更に延性、靭性も良好なものであ
り、とくにボイラや化学プラント機器等、高温機
器に適用して耐久性向上にきわめて有効なもので
ある。
第1図は、TIG溶接試験片を示す斜視図、第2
図は供試鋼のx値とバレストレイン試験および
TIG溶接試験結果の関係を示す図、第3図は供試
鋼のP、S量とクリープ破断強度(700℃、
3000h)を表わす図、第4図は供試鋼のクリープ
破断試験(700℃、σ=14.0Kg/mm2)の結果を示
す図、第5図は供試鋼の700℃、1000h時効後に
おけるシヤルピー衝撃試験の結果を示す図であ
る。
図は供試鋼のx値とバレストレイン試験および
TIG溶接試験結果の関係を示す図、第3図は供試
鋼のP、S量とクリープ破断強度(700℃、
3000h)を表わす図、第4図は供試鋼のクリープ
破断試験(700℃、σ=14.0Kg/mm2)の結果を示
す図、第5図は供試鋼の700℃、1000h時効後に
おけるシヤルピー衝撃試験の結果を示す図であ
る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 C0.01〜0.20%、Si3%以下、Mn10%以下、
Cr20〜30%、Ni10〜30%、N0.04〜0.30%で、Al
0.01〜0.5%、Mg0.001〜0.05%の一方または双方
を含有し、不純物としてのP、Sが、P0.020%以
下、S0.010%以下で、かつ下式、 206P(%)+400S(%)7.0 を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物から
なることを特徴とする溶接性と高温強度の良好な
オーステナイト鋼。 2 C0.01〜0.20%、Si3%以下、Mn10%以下、
Cr20〜30%、Ni10〜30%、N0.04〜0.30%で、Al
0.01〜0.5%、Mg0.001〜0.05%の一方または双方
を含み、さらにB0.001〜0.020%、Nb0.01〜1.0%
の一方または双方を含有し、不純物としてのP、
Sが、P0.020%以下、S0.010%以下で、かつ下
式、 206P(%)+400S(%)+4Nb(%)+150B(%)7.0 を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からな
ることを特徴とする溶接性と高温強度の良好なオ
ーステナイト鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17285082A JPS5964752A (ja) | 1982-09-30 | 1982-09-30 | 溶接性と高温強度に優れたオ−ステナイト鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17285082A JPS5964752A (ja) | 1982-09-30 | 1982-09-30 | 溶接性と高温強度に優れたオ−ステナイト鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5964752A JPS5964752A (ja) | 1984-04-12 |
JPS6214630B2 true JPS6214630B2 (ja) | 1987-04-03 |
Family
ID=15949459
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17285082A Granted JPS5964752A (ja) | 1982-09-30 | 1982-09-30 | 溶接性と高温強度に優れたオ−ステナイト鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5964752A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63124799U (ja) * | 1987-02-05 | 1988-08-15 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5980757A (ja) * | 1982-11-01 | 1984-05-10 | Hitachi Ltd | 高強度オ−ステナイト系鋼 |
JPS6152351A (ja) * | 1984-08-20 | 1986-03-15 | Nippon Steel Corp | 極低温耐力、靭性に優れた構造用オ−ステナイト系ステンレス鋼 |
CN115772626B (zh) * | 2022-11-17 | 2023-11-28 | 华能国际电力股份有限公司 | 一种镍基高温合金及其制备方法和应用 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5021922A (ja) * | 1973-06-27 | 1975-03-08 | ||
JPS514015A (en) * | 1974-06-25 | 1976-01-13 | Nippon Steel Corp | Netsukankakoseino sugureta tainetsuseioosutenaitosutenresuko |
JPS52109420A (en) * | 1976-03-10 | 1977-09-13 | Nippon Steel Corp | Heat resisting austenite stainless steel |
-
1982
- 1982-09-30 JP JP17285082A patent/JPS5964752A/ja active Granted
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5021922A (ja) * | 1973-06-27 | 1975-03-08 | ||
JPS514015A (en) * | 1974-06-25 | 1976-01-13 | Nippon Steel Corp | Netsukankakoseino sugureta tainetsuseioosutenaitosutenresuko |
JPS52109420A (en) * | 1976-03-10 | 1977-09-13 | Nippon Steel Corp | Heat resisting austenite stainless steel |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63124799U (ja) * | 1987-02-05 | 1988-08-15 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5964752A (ja) | 1984-04-12 |
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