JPS5910991B2

JPS5910991B2 - 疫労強度と溶接性の優れたメタルバンドソ−胴材

Info

Publication number: JPS5910991B2
Application number: JP15111980A
Authority: JP
Inventors: 義行村川; 瞭生吾郷
Original assignee: Hitachi Metals Ltd
Current assignee: Proterial Ltd
Priority date: 1980-10-28
Filing date: 1980-10-28
Publication date: 1984-03-13
Also published as: JPS5776171A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は高速度鋼高硬度材を刃付とし、これと溶接され
るメタルバンドソー胴部に関するものである。

従来メタルパッドソーとしては高価な高速度鋼を節約す
るためと胴部に靭性を持たせるために胴部には低級鋼を
用い高速度鋼の刃付と電子ビーム溶接により溶接したも
のが多く用いられている。

胴部としての具備すべき条件としては安価であることは
勿論であるがその他に（１）刃付との溶接部が脱炭、浸
炭により組織的に強度が劣下しないこと。

（２）高速度鋼との同時熱処理（高温焼入、高温焼もど
し）により結晶粒粗大化による靭性低下あるいは強度低
下により疲労強度が劣下し胴部破断を生じないこと。

（３）銅材同士の突合わせ溶接の際にブローホール発生
やアブセット性不十分あるいは溶接部が軟化しないこと
などに寄因して溶接部破断を起さないこと。

等が必須条件である。

これらの必須条件に対して、従来銅材として使用されて
いるＳ５５Ｃ、ＡＩＳＩ６１５０等は前記（１）、（２
）項について十分でなく、種々の改良鋼（特公昭４９−
１６００８号、特開昭４９−８８７１３号、特開昭５２
−８９１８号、特開昭５２−２０３１７号、特開昭５４
−７６４１４号）が開発され（１）項については、ほぼ
満足なものが得られているがしかし（２）、（３）につ
いては十分に改良されたとは言えない。

本発明は上記改良鋼について（１）のすぐれた特性を維
持しながら（２）、（３）項についてもさらに改善を加
えたものである。

すなわち、中Ｃ−Ｃｒ−Ｍｏ−Ｗ−Ｖ鋼にて合金元
素の広い範囲にわたる実験よりＶは疲労に対してはむし
ろ強度を低下させる傾向にあるという結果と、さらにＶ
は銅材同士の突合わせ溶接部のアブセット性および溶接
部の軟化に対しても非常に有害であるということが判明
した。

しかし、一方Ｖは焼もどし抵抗の増大に顕著な効果をも
ち、高温焼もどしにおいても胴材に高い強度を与えるの
に有効な元素であり、またＣの活量を下げて、脱炭、浸
炭を防止する重要な効果を有する元素であるが、本発明
は疲労寿命および溶接性改善のためＶの含有量を極力節
減しながら、Ｃｒ＋ＭＯ＋Ｗ等の適性配合により焼
もどし抵抗の保持、脱炭、浸炭の防止を十分カバーでき
ると同時に、疲労強度、溶接性などメタルバンドソー材
として必要な特性を改善できるような成分構成からなる
ものである。

すなわち、Ｃｒは上記Ｃの活量を下げると同時に疲労強
度を増大させる作用およびアブセット性、突合わせ溶接
部の軟化を容易にする効果を有するが疲労強度の向上に
対しては３．５％を越えると効果は少なくなり、５５％
を越えると逆に低下することが判明した。

さらに胴材の耐久性について硬さが重大な影響を及ぼし
ているが、本合金系では高速度鋼と同一熱処理をした場
合の硬さはほぼＣ，ＭＯ，Ｗで決まり、実験の結果Ｃ，
ＭＯ，Ｗの適量は実験式１１％〈２９（％Ｃ）＋３｛（
％ＭＯ）＋４（％ｗ））く１９％によって決めら
れるという結論に達した。以上に述べたように、本発明
鋼はＶ量を省き、かつ適量のＣｒとＣおよびＭＯ，Ｗの
バランスにより、従来鋼よりもすぐれた胴材としての特
性を具備する鋼を見出したものであり、（１）重量％で
ＣＯ．２５〜０．５０％、Ｓｉｌ．Ｏ％以下、Ｍｎｌ．
Ｏ％以下、ＮｉＯ．ｌ〜１．０％、Ｃｒｌ．５〜３．５
％。

ＭＯ＋’ＷＯ．８〜２．５％、ＡｔＯ．ｌＯ％以下、Ｎ
ｂＯ．Ｏ２〜０．３チ、かつ２９（％Ｃ）＋３｛（％Ｍ
Ｏ）＋’ （％Ｗ）｝−１１〜１９％を満足し、残部Ｆ
ｅおよび不純物（２）重量係でＣＯ．３５〜０．５０チ
、Ｓｉｌ．Ｏ％以下、Ｍｎｌ．Ｏ％以下、ＮｉＯ．ｌ〜
１．０％、Ｃｒｌ．５〜３．５％、ＭＯ＋−！−ＷＯ．
８〜２．５％、ＡｔＯ．ｌＯ２チ以下、ＮｂＯ．Ｏ２〜
０．３％、ＶＯ．ｌ％以下、かつ２９（％Ｃ）＋３｛（
％ＭＯ）＋２（％Ｗ））＝１１〜１９％を満足し、残
部Ｆｅおよび不純物よりなることを特徴とするものであ
る。

次に本発明の成分限定理由について述べる。

Ｃは基質に固溶して強化すると共にＣｒ，ＭＯ，Ｗと炭
化物を形成して耐摩耗性を向上させる働きと同時に突合
わせ溶接部のアブセット性を増大さするので０．２５％
以上が必要である。しかし０．５０チを越えると逆にア
ブセット性は悪くなり、また高温焼入による靭性も低下
するのでＣの範囲は０。２５〜０．５０係とした。

ＳｉおよびＭｎは脱酸剤として用いられるが、過剰に含
有すると焼鈍硬さが低下し難くなるのでそれぞれ１．０
％を上限とした。

Ｎｉはアブセット性をよくシ、また靭性を向上して疲労
寿命のバラツキが少なくなり安定する。

このためには０．１係以上が必要であり１．０％を越え
ると溶接部の焼なまし硬さを低下し難いものとし、靭性
をかえって害するので０．１〜１．０％とした。Ｃｒは
前述のようにＶの代りにＣの活量を下げ、脱炭、浸炭を
防止する効果と同時に疲労強度の増大、およびアブセッ
ト性、溶接部の軟化に効果を示し、そのためには１．５
係以上が必要であるが過剰になると逆に疲労強度が低下
するので上限を３．５係とした。

ＭＯおよびＷは鋼の焼もどし軟化抵抗を増大して、高速
度鋼と同時熱処理をした場合でも高硬度を維持するのに
有効であり、その作用のためにはＭＯ＋”Ｗで０．８％
以上、さらＫＣとの組合わせでは２９（％Ｃ）＋３
ｒ（％ＭＯ）＋２（％Ｗ）Ｐｌｌ％が必要である
が過剰になると逆に溶接部の軟化の妨げおよび疲労強度
を低下させるのでＭＯ＋２Ｗで０．５係以下、Ｃとの組
合わせでは２９（％Ｃ）＋３｛（係ＭＯ）十！− （％
Ｗ）｝＜１９％を満足することが必要である。

Ａｔは強い脱酸剤としての作用を有し、溶接部のブロー
ホール発生を防止し、正常な溶接部形成に効果を示すが
過剰に含有すると有害な非金属介在物が増加するので０
．１０％以下望ましくは、０．０５％以下を範囲とした
。ＮｂはＶに代って高温焼入の際、結晶粒の粗大化を阻
止する効果を有しておりそのためには０．０２係以上が
必要であるが０．３％を越えて含有してもそれ以上の効
果はなく、逆に加工性が劣下するので０．０２〜０．３
％とした。

Ｖは前述のごとく疲労強度あるいは突合わせ溶接性に対
してはむしろ有害である。

しかし高Ｃ域では疲労強度の増加に対してＶＯ．ｌ％ま
では若干Ｖの効果が認められるのでＣＯ．３５〜０．５
％の場合はＶＯ，ｌ％以下とした。つぎに本発明の効果
を実施例により説明する。

第１表は本発明鋼Ａ−Ｆ，比軟鋼Ｇ−Ｋ，従来鋼ＬＭの
化学成分を示す。

第２表は同鋼種の疲労試験結果を示す。熱処理は０．８
５ｍ薄板について１２２０℃焼入５６０℃焼もどしを行
ない疲労試験はサイクル数１０ｃｐｓで応力１
５Ｋ９／ｒｎａ〜６５Ｋｙ／Ｈ，ｉ，の繰返し
引張応力を負荷したときの寿命を示す。

発明鋼Ａ〜Ｆは比較鋼および従来鋼よりも２〜３倍の疲
労寿命を有するものである。

また刃材との突合わせ溶接部のアブセット性、軟化性に
ついても確認されたが、従来例に比して、アブセット性
、軟化性は優れており、従来材に比して、溶接部破断事
故は大巾に低下した。

以上に記述するように本発明鋼は従来鋼に比してＶ量を
省きかつ適量のＣｒ量とＣおよびＭｏ％Ｗのバランス
により、優れた疲労寿命と溶接性を有する材料を提供す
るものである。

Claims

【特許請求の範囲】１重量％でＣ０．２５〜０．５０％、Ｓｉ１．０％以
下、Ｍｎ１．０％以下、Ｎｉ０．１〜１．０％、Ｃｒ１
．５〜３．５％、Ｍｏ＋１／２Ｗ０．８〜２．５％、Ａ
ｌ０．１０％以下、Ｎｂ０．０２〜０．３％、かつ２９
（％Ｃ）＋３｛（％Ｍｏ）＋（％Ｗ）｝＝１〜１９％を
満足し、残部Ｆｅおよび不純物よりなることを特徴とす
る疲労強度と溶接性の優れたメタルバンドソー胴部。２重量％でＣ０．３５〜０．５０％、Ｓｉ１．０％以
下、Ｍｎ１．０％以下、Ｎｉ０．１〜１．０％、Ｃｒ１
．５〜３．５％、Ｍｏ＋１／２Ｗ０．８〜２．５％、Ａ
ｌ０．１０％以下、Ｎｂ０．０２〜０．３％、Ｖ０．１
％以下、かつ２９（％Ｃ）＋３｛（％Ｍｏ）＋１／２（
％Ｗ）｝＝１１〜１９％を満足し、残部Ｆｅおよび不純
物よりなることを特徴とする疲労強度と溶接性の優れた
メタルバンドソー胴部。