JPS6212900Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は雌部材に球面軸受を介してピンで雄
部材を接続したピン接続部のシール構造に関する
ものである。

第１図は油圧シヨベルを示す図である。図にお
いて、１は油圧シヨベル本体、２はブーム、３は
アーム、４はバケツト、５はブームシリンダ、６
はアームシリンダ、７はバケツトシリンダで、た
とえばバケツトシリンダ７とアーム３とはピン８
で接続されている。

ところで、総重量70t級以上の油圧シヨベルに
おいては、たとえばバケツトシリンダ７に偏心荷
重が作用したときには、その荷重の偏心量がわず
かでも、バケツトシリンダ７のピストンロツド９
に大きな曲げ力、ねじり力が作用して、ピストン
ロツド９が折損してしまうことがある。このた
め、ピン８とバケツトシリンダ７との間に球面軸
受を設けて、ピストンロツド９に曲げ力、ねじり
力が作用しないようにしている。

第２図は従来のアーム３とバケツトシリンダ７
とのピン接続部を示す図、第３図は第２図のＡ−
Ａ断面図である。図において、１０はアーム３に
固定された雌部材、１１は雌部材１０に設けられ
たピン穴、１２はバケツトシリンダ７のヘツド部
に固着された雄部材、１３は雄部材１２に設けら
れた穴、１４は穴１３に設けられた段付部、１５
は穴１３に嵌合されたアウタレースで、アウタレ
ース１５は２つの部材１５ａ，１５ｂに分割され
ている。１６は部材１５ａ，１５ｂの接触面、１
７は穴１３に設けられた溝、１８は溝１７に取り
付けられたアウタレース抜け止め用スナツプリン
グ、１９はアウタレース１５の内面に嵌合された
インナレース、２０はインナレース１９に設けら
れたピン穴で、インナレース１９とアウタレース
１５とで球面軸受を構成しており、球面軸受の傾
き角は雌部材１０と雄部材１２とによつて規制さ
れる。２１は球面軸受と雌部材１０との間に設け
られたスペーサで、スペーサ２１は雄部材１２を
雌部材１０のほぼ中心に位置せしめている。２２
はスペーサ２１に設けられたピン穴で、ピン８は
ピン穴１１，２０，２２に挿入されている。２３
はピン８の一端に設けられたプレート、２４はプ
レート２３に設けられたピン穴、２５は雌部材１
０に固定されたストツパピンで、ストツパピン２
５がピン穴２４に挿入されている。２６はボルト
２７によりピン８の他端に取り付けられたストツ
パ、２８〜３０は雄部材１２、アウタレース１
５、インナレース１９に設けられた給脂穴、３１
は給脂穴２８に取り付けられたグリースニツプ
ル、３２，３３はアウタレース１５、インナレー
ス１９の外周にそれぞれ設けられた油溝、３４は
ピン８の外面に設けられた油溝で、給脂穴２８〜
３０は常時相互に連通しており、給脂穴２８〜３
０はグリースニツプル３１から油溝３４まで連通
する油道を構成している。３５は雄部材１２とア
ウタレース１５との摺動部、３６はアウタレース
１５とインナレース１９との摺動部すなわち球面
軸受の摺動部、３７はインナレース１９とピン８
との摺動部である。

このようなピン接続部のシール構造において
は、摺動部３５〜３７にシールがないため、摺動
部３５〜３７に土砂が侵入し、また摺動部３５〜
３７からグリースが流出して、かじりが生じ、つ
いにはアウタレース１５、インナレース１９が損
傷してしまうことがある。

この考案は上述の問題点を解決するためになさ
れたもので、摺動部に土砂が侵入することがな
く、また摺動部からグリースが流出することがな
く、しかも球面軸受が傾き、移動したとしても、
確実にシールすることができるピン接続部のシー
ル構造を提供することを目的とする。

この目的を達成するため、この考案において
は、球面軸受の傾き角が雌部材と雄部材とによつ
て規制されるように、上記雌部材に上記球面軸受
を介してピンで上記雄部材を接続し、上記球面軸
受と上記雌部材との間にスペーサを設け、上記雄
部材の給脂穴より上記ピンの油溝まで油道が連通
しているピン接続部のシール構造において、上記
スペーサの外周面に上記球面軸受の摺動部とほぼ
同心の球面を形成し、その球面に接するシールを
上記雄部材に取り付けるとともに、上記ピンと上
記スペーサとの間にシールを介在させる。

第４図はこの考案に係るピン接続部のシール構
造を示す断面図である。図において、３８はスペ
ーサ２１の外周に形成された球面で、球面３８は
球面軸受の摺動部３６と同心である。３９は段付
部１４に設けられた段付部、４０は穴１３（段付
部３９）に圧入された第１のシールで、シール４
０は球面３８に一定の押付け力を有して接してお
り、このためスペーサ２１は常時インナレース１
９の端部に接している。４１はピン穴２２に設け
られた溝、４２は溝４１内に挿入されたＯリング
シール（第２のシール）で、Ｏリングシール４２
はピン８とスペーサ２１との間をシールする。

このピン接続部のシール構造においては、ピン
８とスペーサ２１との間にＯリングシール４２が
設けられているから、スペーサ２１がピン８に対
して回転し、あるいはスペーサ２１がインナレー
ス１９とともにスラスト方向に移動したとして
も、ピン８とスペーサ２１との間はシールされ
る。このため、雄部材１２の内側はシール４０と
Ｏリングシール４２とによつて油密構造とされて
いる。したがつて、雄部材１２の内側に土砂が侵
入するのを防止することができ、しかもグリース
ニツプル３１から給脂されたグリースは、給脂穴
２８〜３０を通り、摺動部３５〜３７を潤滑する
とともに、雄部材１２の内側に充満し、摺動部３
５〜３７からグリースが流出することはないか
ら、摺動部３５〜３７の潤滑が向上する。さら
に、バケツトシリンダ７に曲げ力、ねじり力が作
用したとき、アウタレース１５とインナレース１
９とが相対的に傾き、摺動するが、この場合シー
ル４０のリツプ部もスペーサ２１の球面３８上を
摺動する。このとき、球面３８と摺動部３６とは
同心であり、しかもスペーサ２１は球面３８上に
働くシール４０の押付け力によりインナレース１
９の端部に押し付けられているため、球面軸受が
スラスト方向に移動したとしても、球面３８の中
心と摺動部３６の球面の中心とは偏心しないの
で、シール４０の押付け力はほぼ一定に保持され
る。したがつて、球面軸受の傾き、移動に無関係
にシール機能を一定に保持することができ、さら
にシール４０に加わる負荷が変動しないので、シ
ール４０の寿命が延び、安定したシール機能が得
られる。

なお、上述実施例においては、油圧シヨベルの
アーム３とバケツトシリンダ７とのピン接続部の
シール構造について説明したが、油圧シヨベルの
他のピン接続部のシール構造、他の建設機械のピ
ン接続部のシール構造にもこの考案を適用できる
ことは当然である。

以上説明したように、この考案に係るピン接続
部のシール構造においては、雄部材の内側は第
１、第２シールによつて油密構造とされているか
ら、土砂の侵入を防ぐことができるとともに、グ
リースの流出を防止できるから、摺動部のかじり
が生ずることがない。しかも、球面軸受の傾き、
移動に影響されずに、シール機能を一定に維持す
ることができるので、雄部材の内側がより一層油
密となるため、土砂の侵入、グリースの流出を確
実に防止でき、しかもシールに無理な負荷や変動
負荷が生じないので、シールの押付け力が長時間
維持され、摺動部の寿命を大幅に延ばすことがで
きる。このように、この考案の効果は顕著であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は油圧シヨベルを示す図、第２図は従来
のピン接続部を示す図、第３図は第２図のＡ−Ａ
断面図、第４図はこの考案に係るピン接続部のシ
ール構造を示す断面図である。 ８……ピン、１０……雌部材、１２……雄部
材、１５……アウタレース、１９……インナレー
ス、２１……スペーサ、３５〜３７……摺動部、
３８……球面、４０……シール、４２……Ｏリン
グシール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 雌部材に球面軸受を介してピンで雄部材が接続
   され、上記球面軸受の傾き角が上記雌部材と上記
   雄部材とによつて規制され、上記球面軸受と上記
   雌部材との間にスペーサが設けられ、上記雄部材
   に設けられたグリースニツプルから上記ピンの油
   溝まで油道が連通しているピン接続部のシール構
   造において、上記スペーサの外周面に上記球面軸
   受の摺動部とほぼ同心の球面を形成し、その球面
   に接する第１のシールを上記雄部材に取り付ける
   とともに、上記ピンと上記スペーサとの間に第２
   のシールを介在させたことを特徴とするピン接続
   部のシール構造。