JPS6212670Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車、特にフロントエンジン・フロ
ントドライブ車（以下単にF.F.車と略称する）
のチエンジレバー支持装置の改良に関する。

一般に、F.F.車では、チエンジレバーが、変
速機コントロール杆を介して、トランスミツシヨ
ンと機械的に連係されている。そのため、トラン
スミツシヨンの振動、特に前後方向の振動による
チエンジレバーの変位によつて該チエンジレバー
がセツトされた変速位置より変位して変速ギヤの
抜けが生じたり、あるいは前記振動がチエンジレ
バーを経て車体に伝達されるという不具合を生ず
るので、チエンジレバーを、マウントラバーを介
して車体に取付けるとともに、トランスミツシヨ
ンケースとチエンジレバーの支持部とを、エスス
テンシヨンロツドにて直接に連結して同期振動さ
せることが行われている。

また、マウントラバーの特性としては、チエン
ジレバーの変位を吸収するためにシフト方向に対
しては柔かく、ミスシフトを防止するためにセレ
クト方向に対しては硬いことが要求される。

そのような特性を具有するマウントラバーを有
するチエンジレバーの支持装置としては、例えば
実公昭53−7460号があるが、このような構造では
支持枠に密嵌合する管と、車体の連通孔壁を構成
する管との間にマウントラバーを配設しているた
め、該マウントラバーの取付けは焼付けによつて
行わなければならず、コスト高になるという不具
合があつた。

本考案はかかる点に鑑みてなされたもので、車
体パネルと、チエンジレバーを支持する取付金具
との間のマウントラバーを、焼付けを利用するこ
となく取付けることができる自動車のチエンジレ
バー支持装置を提供し、上記従来の不具合を解消
することを主目的とする。

以下、本考案の構成を、実施例について、図面
に沿つて説明する。

１は自動車のチエンジレバーで、フロアパネル
２（車体パネル）に設けた連通孔２ａに挿通さ
れ、しかしてその下端部が、車室外で、変速機コ
ントロール杆３に連結されている。

４はベースプレートで、チエンジレバー１のセ
レクト方向（第１図矢符Ａ参照）に沿つた直線上
に配置された２つの固定ピン５，５によつて、該
ベースプレート４上に、マウントラバー６（特に
その基部６ａ）が取付固定されるとともに、固定
ピン５，５間のほぼ中間部分に、円形状の貫通孔
４ａが設けられている。また、ベースプレート４
は、フロアパネル２下側に、連通孔２ａを覆い隠
すように外周縁付近の４箇所においてボルト７に
て固定されている。

前記マウントラバー６は、ほぼだ円柱状の基部
６ａと該基部６ａ下端より外方へ延びるほぼ八角
形状のフランジ部６ｂとが一体成形されてなる。
基部６ａには、固定ピン５，５が嵌挿された２つ
のピン孔６ｃ，６ｃと、該両ピン孔６ｃ，６ｃの
間に位置し、取付金具８が嵌挿された円形貫通孔
６ｄが形成されている。一方、フランジ部６ｂ
は、シフト方向（第１図矢符Ｂ参照）において、
基部６ａに関して両側に、上方に突出して湾曲形
成された波形部６ｅが形成されるとともに、外周
縁がフロアパネル２とベースプレート４との間に
挿入支持されている。

前記取付金具８は、円筒部９ａ、該円筒部９ａ
の上縁に連設され外形がシフト方向に長いほぼだ
円形状の上側鍔部９ｂおよび前記円筒部９ａの下
縁に連設され内方に湾曲している下側係止部９ｃ
とからなる内側金具９と、該内側金具９の円筒部
９ａ外側に嵌合固定され該円筒部９ａよりも下方
に若干長い円筒状の外側金具１０とからなる。ま
た、外側金具１０の下端部は、一端部が変速機ケ
ース（図示省略）に連結固定されたエクステンシ
ヨンロツド１１の他端部に固着した接続部材１２
の中心孔１２ａに圧入され、該接続部材１２にカ
シメ等により固定されている。それによつて、マ
ウントラバー６の円形貫通孔６ｄの周縁部分付近
は、取付金具８（内側金具９）の上側鍔部９ｂと
接続部材１２の上側フランジ部１２ｂとの間に挟
持されている形となつているので、取付金具８が
マウントラバー６より離脱するおそれがない。

１３はセツトプレートで、内側金具９の下側鍔
部９ｂとほぼ同様の外形を呈し、中央の膨出部１
３ａにはチエンジレバー１が挿通された内側金具
９の内径よりも十分に小さい径の貫通孔１３ｂが
形成されている。しかして、セツトプレート１３
は、ボルト１４およびナツト１５によつて内側金
具９の上側鍔部９ｂに締付固定され、それによつ
てチエンジレバー１のボール部１ａを首振り自在
に支承するボールシート１６が、内側金具９に嵌
合された状態に保持されることになる。

１７はセツトプレート１３とボールシート１６
との間に介設されたクツシヨン材、１８はボール
シート１６への泥等の侵入を防止するシールラバ
ーで、上端縁部が内側金具９の下側係止部９ｃに
係止される一方、下端縁部がチエンジレバー１の
環状溝１ｂに嵌合係止されている。

上記のように構成すれば、チエンジレバー１を
支持するマウントラバー６は、セレクト方向に沿
つた直線上に配置された２つの固定ピン５，５に
よつてベースプレート４に固定され、該ベースプ
レート４がフロアパネル２に取付固定されている
ので、変速機（図示省略）よりフロアパネル２
（車体）へ伝達される振動は吸収緩和されるとと
もに、特に、チエンジレバー１によるセレクト操
作の場合などのようにセレクト方向に荷重が加わ
る場合には、固定ピン５，５と円形貫通孔６ｄと
の間に位置するマウントラバー６の変形部分を圧
縮変形させることになるが、圧縮変形させるには
比較的大きな荷重を加える必要があるので、その
ような圧縮変形は起こりにくく、したがつて、例
えばチエンジレバー１を第３速位置から第５速位
置へ操作する場合には、チエンジレバー１がいき
なり第２速位置や第５速位置の方へ飛び越して、
誤操作をするというおそれがほとんどない。

また、変速機の振動などのようにシフト方向に
荷重が加わる場合は、前記変形部分は剪断変形を
起こすことになるので、該変形にはあまり大きな
力が要せず、したがつて、例えば変速機より伝達
される振動は、マウントラバー６の剪断変形とエ
クテンシヨンロツド１１による同期運動とが相俟
つて吸収緩和されることになり、チエンジレバー
１がセツトされた変速位置より抜けるという不具
合は生じない。

なお、上記実施例においては、マウントラバー
６のフランジ部６ｂの全周縁を、フロアパネル２
とベースプレート４との間に挿入支持させるよう
にしているが、シール性の点からは、マウントラ
バー６のフランジ部６ｂがベースプレート４の貫
通孔４ａ全体を完全に覆つていれば、実用上差支
えない。

本考案は上記のように構成したから、マウント
ラバーを焼付固定することなく取付けができ、作
業性よく安価に製造できるとともに、車体パネル
に設けた連通孔は、ベースプレートとマウントラ
バーとによつて閉塞され、特別のシール材を設け
ることなくシールを行うことができ、車室よりの
泥等の侵入が防止される等の優れた効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施態様を例示するもので、第
１図は自動車のチエンジレバー支持装置の平面
図、第２図は第１図の−線に沿う断面図、第
３図は一部を第１図の−線に沿う断面で示す
側面図である。 １……チエンジレバー、２……フロアパネル、
２ａ……連通孔、３……変速機コントロール杆、
４……ベースプレート、４ａ……貫通孔、５……
固定ピン、６……マウントラバー、６ａ……基
部、６ｂ……フランジ部、６ｃ……ピン孔、６ｄ
……円形貫通孔、７……ボルト、８……取付金
具、９ａ……円筒部、１１……エクステンシヨン
ロツド、１３……セツトプレート。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 車体パネルに設けた連通孔に挿通され、車室
   外の変速機コントロール杆に連結されるチエン
   ジレバーを支持する装置であつて、チエンジレ
   バーのセレクト方向に沿つた直線上に配置され
   た２つの固定ピンおよび該両固定ピンの間に設
   けられた貫通孔を備え、前記車体パネルに前記
   連通孔を覆うように取付けられたベースプレー
   トと、前記固定ピンがそれぞれ嵌挿された２つ
   のピン孔および該両ピン孔の間に設けられた円
   形貫通孔を有するほぼだ円柱状の基部ならびに
   該基部より外方に延び少なくとも前記ベースプ
   レートの貫通孔を覆うフランジ部を備え、前記
   基部およびフランジ部が一体成形されてなるマ
   ウントラバーと、チエンジレバーのボール部を
   首振り自在に支持する円筒部を備え、前記円形
   貫通孔に嵌合固定された取付金具とを具備する
   ことを特徴とする自動車のチエンジレバー支持
   装置。 (2) マウントラバーは、そのフランジ部の周縁が
   ベースプレートと車体パネルとの間に挿入支持
   されている実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の自動車のチエンジレバー支持装置。