JPS6212103Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は新規なねじりコイルバネの取付構造に
関する。詳しくは、使用中にねじりコイルバネが
取付部から脱落することがないようにした新規な
ねじりコイルバネの取付構造を提供しようとする
ものである。

背景技術とその問題点 例えば、カセツト型ビデオテープレコーダやビ
デオテーププレーヤ（以下「VTR」という。）等
に使用されるテープカセツトにおいては、カセツ
トケース内に収納されている磁気テープが使用時
に該カセツトケースから引き出されてVTR内の
回転磁気ヘツド装置に巻装され、そして、使用が
終了すると、カセツトケース外に引き出されてい
た磁気テープが上記カセツトケース内に引き戻さ
れるようになつている。このため、テープカセツ
トにおいては、不使用時には磁気テープがカセツ
トケースの前面両側寄りに形成された開口の間に
架け渡された状態になつており、これを保護する
ために、カセツトケースの前面を開閉するカバー
が付設されている。そして、このようなカバーに
はねじりコイルバネが付設されていて、常時閉方
向に力が加わるようになつている。

ところで、従来においては、ねじりコイルバネ
を設ける場合、第１図に示すように、取付位置に
取付ピンａを形成し、該取付ピンａにその軸方向
に延びるスリ割ｂを形成し、一方、ねじりコイル
バネｃにはそのコイル部ｄの一端から延びる作用
部ｅと他端に形成された係止部ｆとを一体に形成
し、コイル部ｄを取付ピンａに外嵌すると共に係
止部ｆを取付ピンａのスリ割ｂに挿入するのみで
あつたので、使用中にねじりコイルバネｃが取付
ピンａから脱落してしまうということがしばしば
あつた。

考案が解決しようとする問題点 そこで、本考案は、従来のねじりコイルバネの
取付構造にあつた上記欠点を解決して、使用中等
に取付部からねじりコイルバネの脱落することの
ない新規なねじりコイルバネの取付構造を提供し
ようとするものである。

考案の概要 そこで、本考案ねじりコイルバネの取付構造
は、コイル部とコイル部の一端から延びる作用部
とコイル部の他端にコイル部を略半径方向に横切
るように設けられかつコイル部の直径より短い係
止部とが線バネ材により一体に形成されたねじり
コイルバネと、該ねじりコイルバネのコイル部を
外嵌状に係止する取付ピンとから成り、取付ピン
にはその軸方向の先端に達するまで延びかつ深さ
が前記ねじりコイルバネの係止部の長さよりも大
きい溝が形成され、該溝の途中には突起が形成さ
れ、該突起部において溝の深さが前記係止部の長
さより小さくされ、前記ねじりコイルバネはその
コイル部が前記取付ピンに外嵌されかつその係止
部が突起部より奥即ち取付ピンの基端側で前記溝
と係合されたことを特徴とするものであつて、そ
の係止部が取付ピンの溝中に形成された突起に阻
止されて溝から外れないようにすることによつ
て、使用中等におけるねじりコイルバネの取付部
からの脱落を防止することができるものである。

実施例 以下に、本考案ねじりコイルバネの取付構造の
詳細をテープカセツトの前面カバーの取付部に適
用した図示実施例に従つて説明する。

先ず、第２図乃至第５図によつて本考案に係る
ねじりコイルバネの取付構造を適用したテープカ
セツトについて、その概要を説明する。

１は小型ビデオテープレコーダ用のテープカセ
ツト１であり、上ハーフ２及び下ハーフ３とから
成るカセツトケース４内に磁気テープ５の両端を
それぞれ巻装した２個テープリール６及び７が配
置され、そして、このようなカセツトケース４の
テープ引出し部である前面部が開閉自在なカバー
８にて覆われている。

第４図は上記のようなテープカセツト１から上
ハーフ２とカバー８とを取り除いた状態を示す平
面図である。カセツトケース４内に回転自在に配
置されたテープリール６，７の一方６はテープ供
給リール（以下「Ｓリール」と言う。）で、他方
７が巻取りリール（以下「Ｔリール」と言う。）
となる。Ｓリール６から引き出された磁気テープ
５は、カセツトケース４前面の一側縁寄りの位置
に形成された開口９からカセツトケース４外に導
出され、カセツトケース４の前面の他側縁寄りの
位置に形成された開口１０からカセツトケース４
内に導入され、Ｔリール７に巻き取られる。ま
た、磁気テープ５はそれぞれの開口９，１０の他
の開口寄りに設けられたガイドピン１１，１２の
滑らかな外周面に沿わされている。１３，１４は
カセツトケース４内のテープリール６，７と開口
９，１０との間に設けられたピンで、磁気テープ
５の緊張時、例えば使用時には磁気テープ５と接
触されないようになつている。１５はＳリール側
に設けられた接触片で、例えばポリエステルのよ
うな弾性のあるプラスチツクシートから成り、基
端部がカセツトケース４の内壁内に貼着固定さ
れ、先端部が前記ピン１３の外周面に弾接されて
いる。そして、この接触片１５の先端部のピン１
３と接触される面には辷り性の良好なるコーテイ
ング、例えばテフロン（商品名）の薄膜シートを
貼り合わせる等の、処理が施されている。１６も
１５と同様の接触片で、基端部がカセツトケース
４に固定され、先端部がピン１４の外周面に弾接
されている。しかして、磁気テープ５の、例えば
不使用時の如き非緊張時には、磁気テープ５はピ
ン１３と接触片１５の先端との間及びピン１４と
接触片１６の先端との間で挾持され、磁気テープ
５が無用にカセツトケース４外へ引き出されてし
まうことが防止される。

１７，１８は略Ｖ字状のリールストツパであ
り、Ｖ字の屈曲点位置でカセツトケース４に設け
られたピン１９，２０に回動自在に支持されてい
る。Ｓリール６側に配置されたリールストツパ１
７のリール側腕片２１の先端は稍外側へ屈曲され
た係止爪２２とされている。また、このリールス
トツパ１７の他方の腕片２３の先端部には係合突
起２４が形成されている。Ｔリール７側に配置さ
れたリールストツパ１８のリール側腕片２５の先
端は稍外側へ屈曲された係止爪２６とされてい
る。そして、リールストツパ１８の反リール側腕
片２７の先端部はリールストツパ１７の係合突起
２４よりリールストツパ１７の回動支点側に位置
されている。２８はスプリングであり、その中央
部がカセツトケース４に設けられたピン２９に支
持されており、２つの自由端はリールストツパ１
７，１８の腕片２１，２５の先端より稍回動支点
側に一体に形成された突起３０，３１に弾接し、
これによつて、リールストツパ１７，１８の係合
爪２２，２６がテープリール６，７の下側フラン
ジ３２，３３の周面に弾接せしめられるようにな
つている。そして、テープリール６，７の下側フ
ランジ３２，３３の外周面には切欠３４，３４，
……，３５，３５……が形成されており、前記リ
ールストツパ１７，１８の係止爪２２，２６がテ
ープリール６，７の切欠３４，３４，……，３
５，３５……と係合することによつて、ロツク状
態となり、不使用時のテープリール６，７の空回
りが防止される。そして、使用時にあつては、リ
ールストツパ１７の腕片２３の先端部を第４図の
紙面下方へ押し下げれば、各リールストツパ１
７，１８は反リール側へ回動し、各係止爪２２，
２６が切欠３４，３４，……，３５，３５，……
から外れるため、テープリール６，７のロツク状
態が解除される。

３６はカバーストツパで、基端部がカセツトケ
ース４に設けられたピン３７に回動自在に支持さ
れている。カバーストツパ３６の遊端部の一側面
には突起３８，３９が一体に形成されており、何
れもその先端はカセツトケース４外へ突出されて
おり、更に、突起３８はカバー８の側面に形成さ
れた孔４０と係合されている。また、カバースト
ツパ３６の中間部には突起４１が形成されてお
り、この突起４１に前記ピン３７に支持されたス
プリング４２の遊端が弾接し、前記突起３８及び
３９がカセツトケース４から突出する方向に回動
するようにカバーストツパ３６を弾発付勢してい
る。しかして、第２図に示すように、カバースト
ツパ３６の突起３８がカバー８の孔４０と係合し
ている状態では、カバー８が第３図に示すように
開くことが防止される。そして、テープカセツト
１の使用時には、カバーストツパ３６をスプリン
グ４２の弾発力に抗して回動せしめれば、その突
起３８がカバー８の孔４０から外れ、カバー８は
第３図図示のように開くことができる状態とな
る。

４３はカセツトケースの前面の開口９と１０と
の間に形成された平面形状略浅いＶ字状を為すテ
ープ引出し用凹部である。従つて、テープ５、は
このテープ引出し用凹部４３の前面を塞ぐような
経路を通つて送行される。

４４は弾性のある合成樹脂シート、例えばポリ
エステルフイルムで略Ｔ字状に形成されたテープ
位置規制片で、その中央の片４５で上ハーフ２の
前端部下面に貼着保持され、該取付片４５の先端
から左右に延びる部分４６，４６はテープ引出し
用凹部４３の前方開口部で不使用時におけるテー
プパスに僅かに離間してかつ該テープパスと平行
になるように配置されている。尚、４７，４７は
辷り性の良い材料、例えばテフロン（商品名）の
薄膜シートで、接触片４６，４６の先端部をサン
ドイツチ状に挾むように貼着されている。そし
て、このテープ位置規制片４４によつて、テープ
５に弛みが生じた場合に、テープ５がテープ引出
し用凹部４３の奥に入り込むのが防止される。

カバー８は次のようにしてカセツトケース４に
取り付けられる。カバー８の側面部４８，４９の
内面にはピン５０（一方の側面部４９のピンは図
示していない）が突設され、該ピン５０が上ハー
フ２と下ハーフ３との側面部前端部の付き合わせ
部５１，５２にて回動自在に支持されている。こ
れによつて、カバー８がカセツトケース前面にて
回動自在に取り付けられる。そして、前記ピン５
０がねじりコイルバネの取付用のピンとなる。

取付ピン５０にはその軸方向に延びかつ先端に
至る溝５３が形成されている。そして、該溝５３
の途中には突起５４が形成されており、該突起５
４は奥側、即ち、取付ピン５０の基部側の面５５
が取付ピン５０の軸に垂直な面とされており、
又、先端側の面５６が先端側へ向うに従つて低く
なる傾斜面とされている。

５７はねじりコイルバネであり、コイル部５８
と該コイル部５８の一端からコイル部５８の軸と
直行する方向に向つて延びる作用部５９とコイル
部５８の他端で該他端部を半径方向に横断する如
く折り曲げて形成されかつコイル部５８の直径よ
り短い長さの係止部６０とが線バネ材によつて一
体に形成されて成るものである。

上記のようなねじりコイルバネ５７は、そのコ
イル部５８が取付ピン５０に外嵌され、そのと
き、係止部６０が突起５４の位置より奥側で取付
ピン５０の溝５３と係合され、これによつて、コ
イル部５８の他端部は回転止めされると共に、係
止部６０は突起５４によつて取付ピン５０先端方
向への移動を阻止されて溝５３からの抜けが防止
され、従つて、ねじりコイルバネ５７は取付ピン
５０に確実に取り付けられることとなる。このた
めに、ねじりコイルバネ５７の係止部６０の長さ
ｌは取付ピン５０の溝５３の深さＤ１より短く、
即ちＤ１＞ｌの関係にあり、かつ、突起５４形成
位置（特に突起５４の突出量の一番大きな部分）
での溝５３の深さＤ２が係止部６０の長さｌより
小さい、即ちＤ２＜ｌの関係にあるようにされる
ことが必要である。

尚、ここで、ねじりコイルバネ５７の取付ピン
５０への取付手順をより詳細に説明する。

先ず、ねじりコイルバネを取付ピン５０に対し
て第８図Ａに示す状態とし、この状態から、ねじ
りコイルバネ５７を矢印に示す如く、即ち、取付
ピン５０の先端部から取付ピン５０に外嵌するよ
うに移動する。このとき、ねじりコイルバネ５７
の係止部６０は取付ピン５０の溝５３に案内され
て進む。そして、係止部６０が突起５４の位置ま
で来ると、係止部６０の長さｌと突起５４の位置
における溝５３の深さＤ２との関係が、ｌ＞Ｄ２
となつているため、係止部６０の先端が突起５４
に衝突する。しかしながら、そのままねじりコイ
ルバネ５７を矢印の方向へ押し込めば、バネ弾性
によつて撓み、係止部６０先端は突起５４を乗り
越えることができ、第８図Ｂの状態となる。尚、
この場合、実施例に示すような、突起５４のピン
５０先端側の面が傾斜面５６とされていると、係
止部６０先端の上記した突起５４の乗り越えがス
ムースに行なわれる。そして、第８図Ｂの状態と
なると、ねじりコイルバネ５７が取付ピン５０か
ら抜ける方向に動くと、係止部６０が突起５４の
奥側の面５５と係合するため、強い力を加えない
限り、ねじりコイルバネ５７が取付ピン５０から
抜け落ることはない。

６１，６２は上ハーフ２に立設された突起であ
り、ねじりコイルバネ５７を取り付けたカバー８
がカセツトケース４に取り付けられたときに、ね
じりコイルバネ５７の作用部５９が延びる方向に
沿つてかつ作用部５９が延びる方向に梢離間して
配列されている。また、これら突起６１，６２は
作用部５９を挾んで互いに反対側に位置するよう
に配置され、かつ、作用部５９に対面する側面の
端部に爪６３，６４が形成されている。そして、
ねじりコイルバネ５７の作用部５９はこれら突起
６１，６２の各爪６３，６４に係合される（第７
図参照）。これによつて、第７図の状態からカバ
ー８が矢印の方向へ回動されて閉じられる方向に
回動せしめる力が蓄えられる。

考案の効果 以上に記載したところから明らかなとおり、本
考案ねじりコイルバネの取付構造においては、コ
イル部とコイル部の一端から延びる作用部とコイ
ル部の他端にコイル部を略半径方向に横切るよう
に設けられかつコイル部の直径より短い係止部と
が線バネ材により一体に形成されたねじりコイル
バネと、該ねじりコイルバネのコイル部を外嵌状
に係止する取付ピンとから成り、取付ピンにはそ
の軸方向の先端に達するまで延びかつ深さが前記
ねじりコイルバネの係止部の長さよりも大きい溝
が形成され、該溝の途中には突起が形成され、該
突起部において溝の深さが前記係止部の長さより
小さくされ、前記ねじりコイルバネはそのコイル
部が前記取付ピンに外嵌されかつその係止部が突
起部より奥即ち取付ピンの基端側で前記溝と係合
されたことを特徴とするものであるから、係止部
が溝に案内されるようにしてコイル部を取付ピン
に外嵌するようにするだけで、ねじりコイルバネ
を取付ピンに容易に取着することができ、しか
も、使用中等におけるねじりコイルバネの取付ピ
ンからの脱落を有効に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のねじりコイルバネの取付構造の
一例を示すもので、Ａは分解斜視図、Ｂは縦断側
面図、第２図乃至第５図は本考案ねじりコイルバ
ネの取付構造を適用したテープカセツトの一例を
示し、第２図は斜視図、第３図はカバーを開けテ
ープを僅かに引き出した状態を示す一部切欠斜視
図、第４図は上ハーフとカバーとを外した状態を
示す平面図、第５図はカバーを開けた状態を裏返
して見た状態の斜視図、第６図乃第１０図は本考
案ねじりコイルバネの取付構造の実施の一例を示
し、第６図は分解斜視図、第７図は組立てた状態
の斜視図、第８図は要部の拡大斜視図で、Ａは分
解した状態を、Ｂは結合した状態を示し、第９図
はねじりコイルバネを係止部側から見た図、第１
０図は取付ピンの縦断側面図である。 符号の説明、５０……取付ピン、５３……溝、
５４……突起、５７……ねじりコイルバネ、５８
……コイル部、５９……作用部、６０……係止
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コイル部とコイル部の一端から延びる作用部と
   コイル部の他端にコイル部を略半径方向に横切る
   ように設けられかつコイル部の直径より短い係止
   部とが線バネ材により一体に形成されたねじりコ
   イルバネと、該ねじりコイルバネのコイル部を外
   嵌状に係止する取付ピンとから成り、取付ピンに
   はその軸方向の先端に達するまで延びかつ深さが
   前記ねじりコイルバネの係止部の長さよりも大き
   い溝が形成され、該溝の途中には突起が形成さ
   れ、該突起部において溝の深さが前記係止部の長
   さより小さくされ、前記ねじりコイルバネはその
   コイル部が前記取付ピンに外嵌されかつその係止
   部が突起部より奥即ち取付ピンの基端側で前記溝
   と係合されたことを特徴とするねじりコイルバネ
   の取付構造。