JPS6312449Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は新規なテープカセツトにおけるリール
ロツク構造に関する。詳しくは、カセツト型ビデ
オテープレコーダやビデオテーププレーヤ（以下
「VTR」という）等に使用されるテープカセツト
において、カセツトケース内に配置されたテープ
リールの不使用時における回転を防止しておくた
めの新規なロツク構造を提供しようとするもので
ある。

一般に、VTR等に使用されるテープカセツト
においては、カセツトケース内に収納されている
磁気テープが、使用時に該カセツトケースから引
き出されてテープレコーダ本体内の回転磁気ヘツ
ド装置に巻装され、そして使用が終了すると、カ
セツトケース外に引き出されていた磁気テープが
上記カセツトケース内に引き戻されるようになつ
ている。

ところで、このようなカセツトケースにおい
て、不使用時に磁気テープにたるみがあると磁気
テープがカセツトケース本体内から飛び出して来
て、カセツトケースの前側に開閉自在に設けられ
た蓋体の中で所定の位置から外れて存在すること
となり、使用時に磁気テープを回転磁気ヘツドに
巻装するいわゆるローデイング装置が正しく磁気
テープを引つ掛けることができずに磁気テープを
損傷したり、場合によつては磁気テープがビデオ
テープレコーダ内の回転部に巻き込まれたりする
事故の原因となる。また、磁気テープがカセツト
ケース外へ飛び出して、運搬や携行のときに、磁
気テープが損傷されるということもある。

そこで、従来から、テープカセツトにおいて
は、磁気テープのたるみを防止するべく、いくつ
かの工夫が為されており、そのような工夫の１つ
として、テープリールのフランジに係合用切欠を
設け、カセツトケース内にこの係合用切欠に係合
するリールロツク部材を設け、不使用時にリール
ロツク部材を係合用切欠に係合させ、使用時にそ
の係合を解くようにしたものがある。ところが、
従来におけるこの種のロツク構造においては、２
つのテープリールに対応して各別のリールロツク
部材が用意されていて、部品点数が多く、部品
代、組立工数等が多く必要となり、コストアツプ
の原因となり、更には、部品点数が多いことが組
立精度にも影響を与える等、数々の問題があつ
た。また、従来のテープカセツトにおけるリール
ロツク構造においては、リールロツク部材の動作
は回転運動を行ない、これによつてロツク及びア
ンロツクを行なうものである。ところが、テープ
カセツトにおけるテープリールは、VTR等の駆
動軸と確実に連結出来るようにするため、不使用
時において軸と直交する方向へ若干移動できるよ
うにされている。そこで、従来のリールロツク部
材のように回転運動によりロツク及びアンロツク
を行なうものであると、テープリールが軸と直交
する方向に移動したときに、ロツク解除が為され
てしまう惧れがある。

本考案は、従来あつた上記した如き問題点に鑑
み為されたものであり、２つのテープリールに対
して一個のリールロツク部材によつてロツク及び
アンロツクを行なうようにすると共に、テープリ
ールの軸方向と直交する方向への移動に対しても
充分追随できるようにして不所望のロツク解除が
為されることがないようにした新規なテープカセ
ツトにおけるリールロツク構造を提供しようとす
るもので、カセツトケース内にテープの両端を巻
装した２つのテープリールを回転自在にかつ軸に
垂直な方向に僅かに移動できるように配置し、各
テープリールの上下何れかのフランジの周縁に係
合用切欠を形成し、前記２つのテープリールの中
間から稍外方に外れた位置にリールロツク部材を
配置して成り、リールロツク部材は２つのテープ
リールのそれぞれ係合用切欠に各別に係合される
２つの弾性腕片と移動範囲規制孔とを備え、該リ
ールロツク部材は、その弾性腕片の先端がテープ
リールのフランジの係合用切欠と係合する方向に
移動されるように弾発手段が関連され、かつ、移
動範囲規制孔がそれより遥かに小さいピンと係合
された状態でカセツトケースに装着されたことを
特徴とする。

以下に、本考案テープカセツトにおけるリール
ロツク構造の詳細を、図示した実施例に従つて説
明する。

先ず、第１図乃至第４図によつて、テープカセ
ツト１の概要について説明する。

１は小型ビデオテープレコーダ用のテープカセ
ツト１であり、上ハーフ２及び下ハーフ３とから
成るカセツトケース４内に磁気テープ５の両端を
それぞれ巻装した２個テープリール６及び７が配
置され、そして、このようなカセツトケース４の
テープ引出し部である前面部が開閉自在なカバー
８にて覆われている。

第３図は上記のようなテープカセツト１から上
ハーフ２とカバー８とを取り除いた状態を示す平
面図である。カセツトケース４内に回転自在に配
置されたテープリール６，７の一方６はテープ供
給リール（以下「Ｓリール」と言う。）で、他方
７が巻取りリール（以下「Ｔリール」と言う。）
となる。Ｓリール６から引き出された磁気テープ
５は、カセツトケース４前面の一側縁寄りの位置
に形成された開口９からカセツトケース４外に導
出され、カセツトケース４の前面の他側縁寄りの
位置に形成された開口１０からカセツトケース４
内に導入され、Ｔリール７に巻き取られる。ま
た、磁気テープ５はそれぞれの開口９，１０の他
の開口寄りに設けられたガイドピン１１，１２の
滑らかな外周面に沿わされている。１３，１４は
カセツトケース４内のテープリール６，７と開口
９，１０との間に設けられたピンで、磁気テープ
５の緊張時例えば使用時には磁気テープ５と接触
されないようになつている。１５はＳリール側に
設けられた接触片で、例えばポリエステルのよう
な弾性のあるプラスチツクシートから成り、基端
部がカセツトケース４の内壁面に貼着固定され、
先端部が前記ピン１３の外周面に弾接されてい
る。そして、この接触片１５の先端部のピン１３
と接触される面には辷り性の良好なるコーテイン
グ、例えばテフロン（商品名）の薄膜シートを貼
り合わせる等の、処理が施されている。１６も１
５と同様の接触片で、基端部がカセツトケース４
に固定され、先端部がピン１４の外周面に弾接さ
れている。しかして、磁気テープ５の例えば不使
用時の如き非緊張時には、磁気テープ５はピン１
３と接触片１５の先端との間及びピン１４と接触
片１６の先端との間で挟持され、磁気テープ５が
無用にカセツトケース４外へ引き出されてしまう
ことが防止される。

１７はカセツトケース４の前面の開口９と１０
との間に形成された平面形状略浅いＶ字状を為す
テープ引出し用凹部である。従つて、テープ５は
このテープ引出し用凹部１７の前面を塞ぐような
経路を通つて送行される。

１８は弾性のある合成樹脂シート、例えばポリ
エステルフイルムで略Ｔ字状に形成されたテープ
位置規制片で、その中央の片１９で上ハーフ２の
前端部下面に貼着保持され、該取付片１９の先端
から左右に延びる部分２０，２０はテープ引出し
用凹部１７の前方開口部で不使用時におけるテー
プパスに僅かに離間してかつ該テープパスと平行
なるように配置されている。尚、２１，２１は辷
り姓の良い材料、例えばテフロン（商品名）の薄
膜シートで、接触片２０，２０の先端部をサンド
イツチ状に挟むように貼着されている。そして、
このテープ位置規制片１８によつて、テープ５に
弛みが生じた場合に、テープ５がテープ引出し用
凹部１７の奥に入り込むのが防止される。

２２はカバーストツパで、基端部がカセツトケ
ース４に設けられたピン２３に回転自在に支持さ
れている。カバーストツパ２２の遊端部の一側面
には突起２４，２５が一体に形成されており、何
れもその先端はカセツトケース４外へ突出されて
おり、更に突起２４はカバー８の側面に形成され
た孔２６と係合されている。また、カバーストツ
パ２２の中間部には突起２７が形成されており、
この突起２７に前記ピン２３に支持されたスプリ
ング２８の遊端が弾接し、前記突起２４及び２５
がカセツトケース４から突出する方向に回動する
ようにカバーストツパ２２を弾発付勢している。
しかして、第１図に示すように、カバーストツパ
２２の突起２４がカバー８の孔２６と係合してい
る状態では、カバー８が第２図に示すように開く
ことが防止される。そして、テープカセツト１の
使用時には、カバーストツパ２２をスプリング２
８の弾発力に抗して回動せしめれば、その突起２
４がカバー８の孔４０から外れ、カバー８は第２
図図示のように開くことができる状態となる。

２９はリールロツク部材であり、合成樹脂によ
る一体成形品として形成されている。このリール
ロツク部材２９は略ブロツク状の本体部分３０
と、該本体部分３０の一端部から角状に突出した
２本の弾性腕片３１，３１と、そして、本体部分
３０の他端側に形成された移動範囲規制部３２と
が合成樹脂により一体に形成されて成る。

本体部分３０は略角ブロツク状をしており、そ
の上面中央にはピン３３が立設されており、その
下面には弾性腕片３１，３１形成側で高く移動範
囲規制部３２側へ行くに従い低くなるような傾斜
面３４が形成されている。

弾性腕片３１，３１は互いにその先端が離れる
ように外方へ湾曲されている。移動範囲規制部３
２には略扇形の移動範囲規制孔が形成されてい
る。該移動範囲規制孔３５はその要部が本体部分
３０側に、弧状部が本体部分３０から遠い位置に
あるように形成されており、かつ、その要部に連
続して係合孔３６が形成されている。

３７は下ハーフ３に形成された長孔である。こ
の長孔３７は２つのテープリール６，７の中間部
でかつこの２つのテープリール６，７を結ぶ線と
直交する線上にその長手方向が沿うように配置さ
れており、また、その位置はテープリール６，７
を結ぶ位置から外れたところにある。

３８は下ハーフ３に立設されたピンでリールロ
ツク部材２９の移動範囲規制用のものである。こ
のピン３８は前記長孔３７を挟んでテープリール
６，７を結ぶ線の反対側に位置されている。更
に、長孔３７の長軸を挟んで両側に稍離れた位置
に一対のピン３９，３９が下ハーフ３に立設され
ている。

リールロツク部材２９はその本体部分３０が略
長孔３７の上に位置するように配置される。そし
て、このとき、下ハーフ３に立設された位置規制
用のピン３８がリールロツク部材２９の移動範囲
規制孔３５内に挿入された状態とする。そして、
このようなリールロツク部材にスプリング手段が
関連せしめられる。４０はスプリングで、その両
端部でピン３９，３９に支持されており、中間部
に形成されたコイル部４１がリールロツク部材２
９の本体部分３０に形成されたピン３３に外嵌状
に結合されている。このスプリング４０はリール
ロツク部材２９に図面において上方へ移動せしめ
るような弾発力を常時作用せしめるようになつて
いる。従つて、リールロツク部材２９にスプリン
グ４０の弾発力以外の力が作用していない状態で
は、リールロツク部材２９はスプリング４０によ
つて図面における上方へ向つて付勢されており、
従つて、その弾性腕片３１，３１の先端はテープ
リール６，７の下側フランジ４２，４３の周縁に
形成された係合用切欠４４，４４，……、４５，
４５，……と係合され、テープリール６，７をロ
ツクすることになる。尚、弾性腕片３１，３１の
先端はテープリール６，７がテープ５を巻取る方
向に回転するときは、切欠４４，４４，……、４
５，４５，……と逃げ傾斜面的に接触するように
なつているため、回転に対する多少の抵抗は与え
るが、少し力を強くすれば、弾性腕片３１，３１
の弾性により、あるいは、スプリング４０の撓み
により、切欠４４，４４，……、４５，４５，…
…との係合が間欠的に解除され、テープリール
６，７は回転することができる。逆に、テープ５
を繰り出す方向にテープリール６，７が回転する
ときは、弾性腕片３１，３１の先端は切欠４４，
４４，……、４５，４５，……とオーバーハング
的に係合するため、その係合が解除されることは
ない。

リールロツク部材２９は第３図や第５図に示す
ロツク状態において、ピン３８と移動範囲規制孔
３５との係合範囲内、即ち、移動範囲規制孔３５
内でピン３８が動き回れる範囲内では移動するこ
とが可能である。従つて、例えば、テープリール
６，７の一、例えばＴリール７が第５図の実線で
示す位置から２点鎖線で示す位置まで移動したよ
うな場合、リールロツク部材２９も２点鎖線で示
すように、テープリール７の移動に追随して移動
し、ロツク状態を維持することができる。

４６はロツク解除ピンで、例えば、VTRや、
アダプタに設けられており、テープカセツト１を
VTRやアダプタに装着したときに、カセツトケ
ース４の下ハーフ３に形成された前記長孔３７か
らカセツトケース４内に進入されるようになつて
いる。このロツク解除ピン４６が長孔３７からカ
セツトケース４内に進入されると、長孔３７を覆
うように位置されているリールロツク部材２９の
本体部分３０の傾斜面３４にロツク解除ピン４６
の先端が当接し、これを押すため、あたかもロツ
ク解除ピン４６の先端が該傾斜面３４を辷る如く
にして、リールロツク部材２６はスプリング４０
の弾発力に抗して第６図に矢印で示すように移動
し、これによつて、弾性腕片３１，３１の先端が
テープリール６，７のフランジ４２，４３に形成
された切欠４４，４４，……、４５，４５，……
から外れ、ロツクが解除される。このときピン３
８は係合孔３６と係合される。そして、当然のこ
とながら、テープカセツト１がVTRあるいはア
ダプタから取り外されて、ロツク解除ピン４６が
カセツトケース４から引き抜かれると、リールロ
ツク部材２９はスプリング４０により、第６図の
矢印と反対の方向へ移動し、再びテープリール
６，７をロツクすることとなる。

以上に記載したところから明らかなように、本
考案テープカセツトにおけるリールロツク構造に
おいては、２つのテープリールの中間から稍外方
に外れた位置にリールロツク部材を配置して成
り、リールロツク部材は２つのテープリールのそ
れぞれ係合用切欠に各別に係合される２つの弾性
腕片と移動範囲規制孔とを備え、該リールロツク
部材は、その弾性腕片の先端がテープリールのフ
ランジの係合用切欠と係合する方向に移動される
ように弾発手段が関連され、かつ、移動範囲規制
孔がそれより遥かに小さいピンと係合された状態
でカセツトケースに装着されているので、一つの
リールロツク部材によつて２つのテープリールに
対するロツク及びアンロツクを行なうことができ
る。また、リールロツク部材は移動範囲規制孔と
ピンとの係合関係によつて許容される範囲内で自
由な動きをすることができ、従つて、テープリー
ルの動きに追随することができ、不所望のロツク
解除が行なわれてしまうという事故を確実に防止
することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案テープカセツトにおけるリールロ
ツク構造の実施の一例を示すもので、第１図は全
体の斜視図、第２図はカバーを開きテープを稍引
き出した状態を示す一部切欠き斜視図、第３図は
上ハーフとカバーとを取り外した状態を示す平面
図、第４図は底面図、第５図及び第６図は要部の
拡大平面図で、第５図はロツク時を、第６図はア
ンロツク時を示し、第７図はアンロツク時におけ
る要部の一部切欠拡大斜視図である。 符号の説明、１……テープカセツト、４……カ
セツトケース、５……テープ、６……テープリー
ル、７……テープリール、２９……リールロツク
部材、３１……弾性腕片、３５……移動範囲規制
孔、４０……弾発手段、４２……フランジ、４３
……フランジ、４４……係合用切欠、４５……係
合用切欠。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カセツトケース内にテープの両端を巻装した２
   つのテープリールを回転自在にかつ軸に垂直な方
   向に僅かに移動できるように配置し、各テープリ
   ールの上下何れかのフランジの周縁に係合用切欠
   を形成し、前記２つのテープリールの中間から稍
   外方に外れた位置にリールロツク部材を配置して
   成り、リールロツク部材は２つのテープリールの
   それぞれ係合用切欠に各別に係合される２つの弾
   性腕片と移動範囲規制孔とを備え、該リールロツ
   ク部材は、その弾性腕片の先端がテープリールの
   フランジの係合用切欠と係合する方向に移動され
   るように弾発手段が関連され、かつ、移動範囲規
   制孔がそれより遥かに小さいピンと係合された状
   態でカセツトケースに装着されたことを特徴とす
   るテープカセツトにおけるリールロツク構造。