JPS6211974Y2

JPS6211974Y2 -

Info

Publication number: JPS6211974Y2
Application number: JP6042283U
Authority: JP
Priority date: 1983-04-20
Filing date: 1983-04-20
Publication date: 1987-03-24
Also published as: JPS59165473U

Description

【考案の詳細な説明】本考案は、装飾効果に優れた光彩を放つ箔糸に
関する。

従来、光の散乱効果を有する箔糸として回折格
子レプリカやエンボスした金銀紙の裁断物が知ら
れる。しかし、これらは金属表面に設けられた規
則正しい微細な凹凸模様によるため、変化に乏し
く、織物に少量の箔糸を用いただけでは、光の散
乱効果がなく、またあまり多量に用いると織物の
風合や品位を損い易いという欠点があつた。

そこで、本考案は少量の箔糸の使用でも織物に
宝石を散りばめたような光彩を付与できる新規な
箔糸を提供する。

本考案の箔糸は、細かい揉みこみ皺を入れた虹
様干渉膜を、不透明なシート状基材に積層貼着
し、得られた積層物を糸条に裁断したものであ
る。

ここに干渉膜とは、石ケンによるしやぼん玉の
表面や水たまりに油を流した時の水面のように虹
様の光干渉作用を呈する膜のことであり、その製
造法は特に限定されないが、例えば）透明な合
成樹脂フイルムに塩化ビスマスや四塩化チタンな
どの有機溶剤溶液（エタノール溶液など）を塗布
する、）透明な合成樹脂フイルムにビスマス、
チタン、鉛などを真空蒸着する、）透明な合成
樹脂フイルム上又はフイルム間にゼラチンや酢酸
繊維素などの有機物質の非常に薄い塗膜を設ける
などによつて製造できる。市販品としては、東洋
虹彩箔株式会社の虹彩箔シート及びエドカ工業株
式会社から入手できるオーロラ（商標）などがあ
る。

干渉膜は、手揉み及び機械揉み、例えば加圧刻
印機による複数回の刻印など、いずれによつて揉
みこみ皺を入れてもよいが25メツシユ〜70メツシ
ユ程度のかなり細かい皺を入れるのが好ましい。
揉みこみ皺により、干渉膜は多面カツトした宝石
の如く、光輝色を散乱させ、見る角度に応じて非
常に妙味ある色の変化が認められるものとなる。
また同時に、干渉膜製造時に起り易い塗層むらも
感知できなくなり、非常に品質のよい高貴なイメ
ージのフイルムとなる。

基材への干渉膜の貼着方式は特に問わないが、
干渉膜の皺をなくさないように貼着することが大
切である。例えば基材上に接着剤を塗布して、揉
みこみ皺を入れた干渉膜を置き、彫刻の深い（２
〜３mm）25〜70メツシユのいぼいぼのある特殊ロ
ールを用いるなどして、干渉膜を点接着してもよ
い。

点接着によつて、干渉膜と基材の間に空間が形
成され、この空間により、光の屈折に変化を生
じ、更に妙味ある光輝色を呈する製品を得ること
ができ、また糸条の柔軟性をも増すこととなる。

基材としては、白色シート、着色シート、金属
色を有する紙又はフイルムなどがいずれも使用で
き、干渉膜の貼着により例えば白色シートでは貝
殻又は真珠様外観を、黒色シートでは玉虫様外観
を呈するものとなる。また、いわゆる金銀紙など
を用いると、更に上品な光輝色を有するものとな
る。

得られた積層物の糸条への裁断は常法に従つて
よい。

実施例 (1) 和紙に三原色の硝化綿ラツカーで迷彩色にコー
テイングした基材１に、厚さ12μのポリエチレン
テレフタレートフイルムに虹彩色の加工を施した
干渉膜２に加圧刻印機で揉み皺をつけたものを、
第２図の如く二本の彫刻ロール５を用いて揉み皺
が消失しないように接着剤３を介して貼着し、そ
の後約１ｍ／ｍ幅に裁断し、糸条４とした（第１
図参照）。

製品は、干渉膜２の揉み皺による強烈な虹彩色
とその下に透視できる基材１の三原色迷彩色の相
乗効果によつて、メキシコオパールのような光彩
を放つものとなつた。

実施例 (2) 基材に特開昭57−195649号公報記載の発明に従
つて得た銀紙を用いる以外は実施例(1)と同様の方
法で箔糸を製造した。

製品はダイヤモンドに近い光彩を有するもので
あり、これを用いて織上げた帯地やハンドバツク
は非常に高貴な風格を備えたものとなつた。

実施例 (3) 厚さ16μのポリエチレンテレフタレートフイル
ムに特許第1097503号によるpdフイルムを貼着し
たものを基材として、実施例(1)と同様の方法で
0.5ｍ／ｍ幅の箔糸を得た。

これを洋服地に織込み、水玉模様を形成したと
ころ、非常に光輝色に優れ、模様を立体的に浮き
立たせてみせるものとなり、通常の箔糸では得ら
れない意匠効果あるものとなつた。また、織上り
の触感も柔かで、箔糸を使用したものとは思えな
いものであつた。

なお、本考案の箔糸は基材の片面に干渉膜を貼
着したものだけでなく、基材の両面に干渉膜を貼
着したもの、又は基材の片面に干渉膜を貼着した
ものを二枚基材面で貼り合わせたものであつても
よく、更に付加的な加工、例えば着色加工などが
施されてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一例を示す側面図、第２図は
本考案の製造方法の一例を示す説明図である。１……基材、２……干渉膜、３……接着剤、４
……糸条、５……彫刻ロール。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】 (1) 細かい揉みこみ皺を入れた透明な虹様干渉膜
を、不透明なシート状基材に積層貼着し、得ら
れた積層物を糸条に裁断してなる光彩箔糸。 (2) 上記シート状基材が着色シートである実用新
案登録請求の範囲第１項記載の箔糸。 (3) 上記シート状基材が金属色の紙又はフイルム
である実用新案登録請求の範囲第１項記載の箔
糸。 (4) 干渉膜が基材に点接着されている実用新案登
録請求の範囲第１項〜第３項いずれか１項記載
の箔糸。