JP3676436B2 - ホログラム転写箔 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えばクレジットカードや有価証券等に貼着して用いられるホログラム転写箔に関するもので、特にホログラム像に違和感のない光学的な透かし印刷絵柄を付加することにより、偽造防止性及び装飾性を向上し得るホログラム転写箔に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、光の干渉を用いて立体画像を再生し得るホログラムの開発が進められている。このホログラムは高度な製造技術を要し、且つ箔状に形成可能なことから、偽造防止手段としてクレジットカード、有価証券、証明書等の一部に貼着して使用されている。そして、ホログラムをこれらの物品に貼着するための方法として従来からホログラム転写箔を用いてホログラムを転写する方法が用いられている。
【0003】
図3はこの従来のホログラム転写箔の一構成例を示す断面図である。
【0004】
この図3に示すホログラム転写箔は、支持体としての基材1上に剥離性保護層2が形成され、該剥離性保護層2上にホログラム形成層3が形成されている。該ホログラム形成層3はその一部を覆うように印刷層5が形成され、且つこれらホログラム形成層3及び印刷層5を覆うように反射性薄膜層6が形成されている。さらに、該反射性薄膜層6上には接着層7が形成されている。
【0005】
一方、図4はこの従来のホログラム転写箔の他の構成例を示す断面図である。
【0006】
この図4に示すホログラム転写箔は、基材1上に剥離性保護層2が形成され、この剥離性保護層2の一部を覆うように印刷層5が形成されている。また、これら剥離性保護層2及び印刷層5を覆うようにホログラム形成層3、反射性薄膜層6及び接着層7が順次積層されている。
【0007】
また、これら図3及び図4の構成においては、反射性薄膜層6の上部に染料などによって着色された着色層をコーティングなどの手段によって設けるか、ホログラム形成層3に染料を配合することで、ゴールド色やブロンズ色の箔を作製するのが一般的である。
【0008】
これら従来のホログラム転写箔は、接着層7によって物品の表面に貼着された後、剥離性保護層2を境にして基材1が剥離されると、ホログラム像及び印刷像が視認可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のホログラム転写箔の場合、印刷像は印刷インキの減法混色による見え方となり、ホログラム像は光の加法混色による見え方となるため、印刷像とホログラム像とは互いに異質な見え方をするものであった。
【0010】
このように、従来のホログラム転写箔は、印刷像の見え方がホログラム像と異なるため、印刷部分がホログラム像よりも強く視覚されて目立ってしまう。更に、図3の構成の場合は、ホログラム形成層3及び印刷層5に使用される材料が互いに屈折率の近いものとなっているため、回折効率が非常に低いものとなり、印刷像の上のホログラム像が殆ど目に見えないという問題があった。また、図4の構成においては、不透明な印刷層5がホログラム形成層3の上部にあるため、印刷像がホログラム像を隠蔽してしまい、その部分のホログラム像が殆ど目に見えないという問題があった。
【0011】
そのため、特開昭61−254975号公報には、ホログラム層のレリーフ形成面にホログラム層の屈折率よりも大きい屈折率を有する透明連続薄膜を形成した透明型ホログラムが開示されているが、反射性薄膜を有する場合と比べると反射光強度が弱く、ホログラム像の見え方がどうしても弱いという問題がある。
【0012】
上記問題に対して、本発明者等は、先に、支持体上の片面に少なくとも、剥離性保護層、ホログラムパターンを有するホログラム形成層、該ホログラム形成層とは異なる屈折率を有する透過性薄膜層、印刷層、反射性薄膜層、接着層を順次積層してなり、印刷層による印刷絵柄とホログラム形成層によるホログラム像とを両者とも視覚可能なホログラム転写箔を提供している(特願平6−58907号)。このような構成によれば、印刷絵柄とホログラム像の両方が目に見えるが、前述のように通常の印刷絵柄ではホログラム像とは見え方が異なるため印刷部分が強く視覚されやすく違和感がある。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み為されたもので、その目的とするところは、ホログラム像に違和感のない光学的な透かし印刷絵柄と光の干渉による干渉色を呈した印刷絵柄を付加した偽造防止効果及び装飾性の高いホログラム転写箔を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、少なくとも、ホログラムパターンを有するホログラム形成層、該ホログラム形成層とは異なる屈折率を有する透過性薄膜層、該透過性薄膜層とは異なる屈折率を有する透明印刷層、および反射性薄膜層を順次積層してなり、かつ、前記透明印刷層の画線部の厚みと非画線部の厚みとを異ならせたホログラム転写箔からなり、前記透明印刷層はホログラム形成層のホログラム像と同質の光学的な透かし絵柄画像と光の干渉による干渉色の絵柄画像を形成することを特徴とするホログラム転写箔。
【0016】
【作用】
請求項1の発明によると、少なくとも、ホログラムパターンを有するホログラム形成層、該ホログラム形成層とは異なる屈折率を有する透過性薄膜層、該透過性薄膜層とは異なる屈折率を有する透明印刷層、および反射性薄膜層を順次積層することにより、上記透明印刷層による絵柄は光の加法混色による見え方となりホログラム像と同質の見え方となるため、その結果印刷像とホログラム像との違和感がなくなり、また、前記透明印刷層の画線部の厚みと非画線部の厚みとを変えることにより、透明印刷層で生じる光の干渉による画線部と非画線部との干渉色の違いによって印刷像が表現されるため、ホログラム像と違和感のない光学的な透かし印刷絵柄を付加した装飾性及び偽造防止性の高いホログラム転写箔が得られる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して詳しく説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施例に係るホログラム転写箔の構成を示す断面図である。
【0020】
本実施例に係るこのホログラム転写箔は、図1に示すように、支持体としての基材11の片面(図1では下面)上に剥離性保護層12が形成され、該剥離性保護層12の上にはホログラム形成層13が形成されている。このホログラム形成層13は上記剥離性保護層12とは反対側の面にホログラム形成面を有し、該ホログラム形成面上に透過性薄膜層14が真空蒸着、スパッタリング等の薄膜形成法により形成されている。なお、このホログラム形成面は、たとえばレリーフ型ホログラムを構成する微細な凹凸パターンが形成されたニッケル製のプレス版をホログラム形成層13上に加熱押圧することにより形成可能である。また、ホログラム形成層13はホログラムパターンを層表面(前述したホログラム形成面)又は層内に有するものであればよく、他に例えば二光束干渉もしくは電子ビーム(EB)による回折格子(グレーティング)により微細凹凸形状を有するようにしたグレーティングホログラムやリップマンホログラム等が適用可能である。
【0021】
上記透過性蒸着層14上には、画線部15bの厚みと非画線部15cの厚みとが異なる無色透明印刷層15が形成され、該無色透明印刷層15の上には反射性薄膜層16が真空蒸着、スパッタリング等により形成されている。さらに、反射性薄膜層16の上には接着層17が形成されている。
【0022】
ここで、上記基材11としては例えば厚さ25μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムが用いられる。なお、基材11としては、この他にポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等の合成樹脂、天然樹脂、紙、合成紙などを単独で又は組合わせた複合体などが使用可能である。
【0023】
上記剥離性保護層12は、ホログラム転写箔を接着層17を介して被転写体(図示せず)の表面に貼着した後、上記基材11を剥離することにより、上記ホログラム形成層13を効果的に被転写体に転写するために設けられたものであり、例えば以下の配合比(部は重量部を示す。以下同じ)からなる組成物がグラビアコーティング法により、乾燥温度110℃、厚さ1.5μmで形成されている。剥離性保護層配合例
アクリル樹脂 …30部
ポリエステル樹脂 … 5部
トルエン …40部
メチルエチルケトン …40部
メチルイソブチルケトン …20部
なお、剥離性保護層12としては、この他に熱可塑性アクリル樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂あるいはこれらにオイルシリコン、脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛を添加したものが使用可能である。
【0024】
上記ホログラム形成層13としてはエンボス成形性が良好で、プレスムラが生じ難く、明るい再生像が得られ、剥離性保護層12及び透過性薄膜層14との接着性が良好である樹脂が用いられ、例えば以下の配合比からなる組成物がグラビアコーティング法により、乾燥温度110℃、厚さ1.0μmで形成されている。
ホログラム形成層配合例
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 …25部
ウレタン樹脂 …10部
メチルエチルケトン …70部
トルエン …30部
また、ホログラム形成面は、このような組成物のホログラム形成層13に対し、プレス版の版面温度を例えば165℃として前述の加熱プレスにより形成されている。
【0025】
なお、ホログラム形成層13としては、この他にポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレートなどの熱硬化性樹脂あるいはこれらの混合物、さらにはラジカル重合性不飽和基を有する熱成型性材料などが使用可能であり、また、上記以外のものでも、ホログラム画像を形成可能な安定性を有する材料であれば使用可能である。
【0026】
上記透過性薄膜層14は、上記無色透明印刷層15を印刷する際に上記ホログラム形成面のホログラムレリーフを保護し、且つ反射光によりホログラム像が光って見えるようにするための透明材料からなる層である。例えば、厚さ40nmのZnSが真空蒸着法により形成されている。
【0027】
なお、透過性薄膜層14としては、上記ホログラム形成層13(一般に屈折率n=1.3〜1.5程度)とは屈折率の異なる、望ましくはホログラム形成層13よりも屈折率の高いことが装飾性の向上に好ましく、例えば次の表1に示す無機材料(上記ZnSもこの中に含まれている)が使用可能である。
【0028】
【表1】
Figure 0003676436
さらに、干渉色を出すためには、上記無色透明印刷層15との屈折率差が大きい方が好ましい。
【0029】
また、このような透過性薄膜層14を形成する方法としては、前述したように真空蒸着法の他にスパッタリング法、イオンプレーティング法等の成膜手段が適用可能であり、膜厚としては10nm〜100nmの範囲にあることが好ましい。
【0030】
上記無色透明印刷層15は、上記透過性薄膜層14を覆うように形成され、例えば以下の配合からなる組成物がグラビア印刷法により、文字や絵柄等のパターンで形成されている。
無色透明印刷層配合例
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 ・・・30部
ポリエステル樹脂・・・20部
メチルエチルケトン・・・50部
トルエン・・・50部
ここで、画線部の厚みと非画線部の厚みを適当な値に設定することにより、無色透明印刷層15で生じる光の干渉による画線部と非画線部との干渉色の違いによって印刷像が表現されるため、無色透明印刷層15で生じる干渉色に関しては画線部15bと非画線部15cの各々の厚みが重要である。本実施例では上記透過性薄膜層14に使用したZnSの屈折率が2.3、無色透明印刷層15に使用した上記混合樹脂の屈折率が1.4であることから、積層した場合の干渉色をシミュレーションによって検討した結果、画線部15bの厚みを最も干渉色が強い0.5μmに、非画線部15cの厚みを干渉色が出にくくなる領域である1.2μm以上の1.5μmに設定してある。
【0031】
なお、無色透明印刷層15としては、他にポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレートなどの樹脂材料が使用可能であり、また、上記以外のものでも、透明性を有する樹脂であれば何れでも使用可能である。
【0032】
上記反射性薄膜層16は入射光線を反射する層であって、たとえば厚さ100nmのAlが真空蒸着法により形成されている。このような反射性薄膜層16を形成する方法としては、前記真空蒸着法の他にスパッタリング法、イオンプレーティング法等の成膜手段が適用可能であり、膜厚としては100nm以上であることが好ましい。
【0033】
また、反射性薄膜層16としては、上記Alのほかに、Au、Ag、Cu、Ti、などの金属や、これら金属の化合物を含む全ての反射性を持つ材料が使用可能である。
【0034】
上記接着層17は、ホログラム転写箔を被転写体に貼着するためのもので、例えば以下の配合比からなる組成物がグラビアコーティング法により、乾燥温度110℃、厚さ2.0μmで形成されている。
接着層配合例
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 …30部
ポリエステル樹脂 …20部
メチルエチルケトン …50部
トルエン …50部
なお、接着層17としては、他にも、上記反射性薄膜層16を変質させたり冒すものでなければ通常用いられるものでよく、例えばアクリル系接着剤、ポリエステル系ポリアミドなどが使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
図2は、以上のように構成された本実施例のホログラム転写箔の外観を示す平面図である。
【0036】
上記ホログラム転写箔を被転写体に貼着してから表面の基材11を剥離することにより、図示するように、無色透明印刷層15による絵柄15aとホログラム形成層13による絵柄13aとの両者からなる一体的に形成された画像を視認することができる。
【0037】
本実施例においては、上記無色透明印刷層15による絵柄15aは干渉色によって赤褐色を呈し、かつ光の加法混色による見え方となるため、印刷絵柄とホログラム像との違和感はなくなる。すなわち、ホログラム像に違和感のない光学的な透かし絵柄を付加した装飾性に優れ、且つ偽造防止効果の高いホログラム転写箔が得られる。
【0038】
なお、本実施例のホログラム転写箔は、被転写体に貼り合わせてホログラムを転写する形態のものであるが、本発明はこれには限られず、同様な構成にて、例えば、本実施例の基材11や剥離性保護層12を設ける代わりに、接着層17の裏面に剥離用の基材を設け、この剥離用の基材を剥離して物品に貼着して使用する、いわゆるステッカー、シール、或いはラベル等の如き形態として使用することも勿論可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1の発明によれば、少なくとも、ホログラムパターンを有するホログラム形成層、該ホログラム形成層とは異なる屈折率を有する透過性薄膜層、該透過性薄膜層とは異なる屈折率を有する透明印刷層、および反射性薄膜層を順次積層したことにより、上記透明印刷層による絵柄は光の加法混色による見え方となりホログラム像と同質の見え方となるため、その結果印刷像とホログラム像との違和感がなくなり、また、前記透明印刷層の画線部の厚みと非画線部の厚みとを変えることにより、透明印刷層で生じる光の干渉による画線部と非画線部との干渉色の違いによって印刷像が表現されるため、ホログラム像と違和感のない光学的な透かし印刷絵柄を付加した装飾性及び偽造防止性の高いホログラム転写箔が得られるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るホログラム転写箔の構成を示す断面図である。
【図2】同実施例におけるホログラム転写箔の外観を示す平面図である。
【図3】従来のホログラム転写箔の一構成例を示す断面図である。
【図4】従来のホログラム転写箔の他の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,11 基材
2,12 剥離性保護層
3,13 ホログラム形成層
13a ホログラム絵柄
14 透過性薄膜層
5 印刷層
15 無色透明印刷層
15a 印刷絵柄
15b 画線部
15c 非画線部
6,16 反射性薄膜層
7,17 接着層

Claims (1)

  1. 少なくとも、ホログラムパターンを有するホログラム形成層、該ホログラム形成層とは異なる屈折率を有する透過性薄膜層、該透過性薄膜層とは異なる屈折率を有する透明印刷層、および反射性薄膜層を順次積層してなり、かつ、前記透明印刷層の画線部の厚みと非画線部の厚みとを異ならせたホログラム転写箔からなり、前記透明印刷層はホログラム形成層のホログラム像と同質の光学的な透かし絵柄画像と光の干渉による干渉色の絵柄画像を形成することを特徴とするホログラム転写箔。
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