JPS6210452Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、シリンダヘツドをシリンダブロツク
に位置決めする位置決めピンの改良に関するもの
である。

一般に、鋳鉄製のシリンダブロツクにアルミ製
のシリンダヘツドを位置決めする位置決めピンに
関しては例えば実開昭52−4909号公報に開示して
あるノツクピン（位置決めピン）により第１図に
示すように、シリンダブロツク１頂面の前後端部
にそれぞれ金属製の位置決めピン２，２を打ち込
み、シリンダヘツド３に設けたそれぞれの嵌合孔
４，４に各位置決めピン２，２を嵌合してシリン
ダヘツド３をシリンダブロツク１に位置決めして
いた。

しかしながら、シリンダブロツク１とシリンダ
ヘツド３とはそれぞれ材質が異なり、シリンダヘ
ツド３はシリンダブロツクに比して熱膨張率が大
きいため、金属製位置決めピン２，２によりエン
ジンＡ前後方向への伸びが規制されて第１図に示
す一点鎖線の如く上方にわん曲し、シリンダブロ
ツク１とシリンダヘツド３との合せ面に介在する
ガスケツト５のシール性が悪化し、ガス漏れおよ
び水漏れの不具合が生じていた。

本考案は、上記不具合に鑑み、シリンダヘツド
の位置決めピンを金属製および樹脂製のものを用
い、シリンダヘツドとシリンダブロツクとの熱膨
張差を樹脂製の位置決めピンによつて吸収するエ
ンジンのシリンダヘツド位置決め装置を提供する
ものである。

以下に本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第２図、第３図および第４図に示す第１実施例
において、１は直列に配設された４個のシリンダ
を有する鋳鉄製のシリンダブロツクで、該ブロツ
ク１の頂面前端部には金属製の位置決めピン２ａ
が打ち込み配設されているとともに頂面他端部に
は樹脂製の位置決めピン２ｂが打ち込み配設され
ている。３はアルミ製のシリンダヘツドで上記各
位置決めピン２ａ，２ｂに対向してそれぞれ嵌合
孔４，４が設けてある。５はシリンダブロツク１
とシリンダヘツド３との合せ面に介在するガスケ
ツトである。

上記樹脂製の位置決めピン２ｂ，２ｂは、テフ
ロン、ポリフエニレンサルフアイド、フエノール
樹脂、ナイロン６および６６等の樹脂材料で構成
されており、該各樹脂はエンジンＡの使用最高温
度150℃でも弾性を有する耐熱性樹脂である。

上記構成において、シリンダブロツク１に配設
された各位置決めピン２ａ，２ｂに各嵌合孔４，
４を嵌合させてシリンダヘツド３をシリンダブロ
ツク１に位置決め載置し、ヘツドボルト（図示せ
ず）でシリンダブロツク１に固定する。

この状態でエンジンＡの温度が上昇するとシリ
ンダブロツク１とシリンダヘツド３とに熱膨張差
が生じる。この時樹脂製位置決めピン２ｂによ
り、金属製位置決めピン２ａによつて規制される
熱膨張差は第４図に示すように変形して吸収さ
れ、シリンダヘツド３は第３図の一点鎖線で示す
ように熱変形する。したがつて、シリンダヘツド
３が第１図の一点鎖線で示すように上方へわん曲
することがないため、ガスケツト５のシール性を
良好に保つことができる。

第５図および第６図は本考案の第２実施例を示
し、上記第１実施例に示した位置決めピン２ａ，
２ｂに対して配置および個数を変えたものであ
る。具体的に説明すると、シリンダブロツク１の
頂面中央部に金属製の位置決めピン２ａを打ち込
み配設するとともに頂面前後端部にそれぞれ樹脂
製の位置決めピン２ｂ，２ｂを打ち込み配設した
ものである。このように配置するとシリンダヘツ
ド３は金属製位置決めピン２ａを基点にして熱膨
張するため、第１実施例に示すように金属製位置
決めピン２ａを端部に配設したものに比してシリ
ンダブロツク１およびシリンダヘツド３の端部に
おける熱変形差が小さくガスケツト５のシール性
を良好に確保できるとともに、各樹脂製位置決め
ピン２ｂ，２ｂの変形量を少なくでき、該ピン２
ｂ，２ｂの耐久性を向上できる。

なお、その他の構成に関しては第１実施例と何
等異なるところがないため同一符号を付してこれ
以上の説明を省略する。

また、上記樹脂製位置決めピン２ｂは前述した
材料に限定されるものでなく、エンジンＡの使用
最高温度でも弾性を有する耐熱性樹脂であればよ
い。

以上の説明から明らかなように本考案によれ
ば、シリンダヘツドをシリンダブロツクに位置め
する位置決めピンを金属製と樹脂製とで成すこと
により、シリンダヘツドとシリンダブロツクとの
熱膨張差を吸収してシリンダヘツドが上方にわん
曲するのを防止でき、ガスケツトのシール性を向
上できる。

また、金属製位置決めピンをシリンダブロツク
の中央部に配設したことによりシリンダブロツク
とシリンダヘツドとの熱膨張による熱変形差を小
さくでき、ガスケツトのシール性を良好に保つこ
とができるとともに、樹脂製位置決めピンの耐久
性を向上できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のシリンダヘツド位置決め装置を
示す。第２図、第３図および第４図は本考案の第
１実施例を示し、第２図はシリンダブロツクの斜
視図、第３図はシリンダヘツドの位置決め状態
図、第４図は第３図に示す樹脂製位置決めピンの
変形状態図を示す要部断面図、第５図および第６
図は本考案の第２実施例を示し、第５図はシリン
ダブロツクの斜視図、第６図はシリンダヘツドの
位置決め状態図である。 １……シリンダブロツク、２ａ……金属製位置
決めピン、２ｂ……樹脂製位置決めピン、３……
シリンダヘツド。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 材質の異なるシリンダヘツドとシリンダブロ
   ツクとを備え、該シリンダブロツクにシリンダ
   ヘツドを位置決めする少なくとも２個の位置決
   めピンを備えたエンジンにおいて、上記位置決
   めピンが金属製と樹脂製とで成つていることを
   特徴とするエンジンのシリンダヘツド位置決め
   装置。 (2) 上記金属製の位置決めピンがシリンダブロツ
   クの中央部に配設されていることを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第１項記載のエンジン
   のシリンダヘツド位置決め装置。