JPS6210423Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、内燃機関の排気浄化装置に関するも
のであり、とくに出力低下の防止をはかつた排気
浄化装置に関するものである。

現今の排気浄化装置においては、排気通路途中
における放熱を少なくして触媒コンバータの暖機
性を良くするために、触媒コンバータを排気マニ
ホルドの直下に配設した触媒コンバータ付排気マ
ニホルドが使用される傾向にある。従来の４気筒
内燃機関用触媒コンバータ付排気マニホルドは、
＃１排気ポートおよび＃２排気ポートからなる双
管部に連なる湾曲通路部と、＃３排気ポートおよ
び＃４排気ポートからなる双管部に連なる湾曲部
とを、中央部の拡張室に左右から開口させ、該拡
張室の直下に触媒コンバータを配設したものから
なつている。ここで、左右の湾曲通路部の拡張室
への開口部は、通常同一中心線上に、互いに向い
合わせに配設されていた。このため、＃１排気ポ
ートおよび＃２排気ポートから拡張室内に流入す
る排気ガス流と、＃３排気ポートおよび＃４排気
ポートから拡張室内に流入する排出ガス流とは互
いに対向流となり、互いに干渉し合つて衝突によ
り背圧を生じ、出力低下の原因となつていた。

本考案は、この出力低下の問題を解消するため
に、排気浄化装置における排気干渉を防止するこ
とを目的とするものである。

この目的を達成するために、本考案の排気浄化
装置においては、＃１排気ポートおよび＃２排気
ポートからなる双管部に連なる湾曲通路部と、
＃３排気ポートおよび＃４排気ポートからなる双
管部に連なる湾曲通路部とが、中央部の拡張室に
左右から開口されており、左右の湾曲通路部の拡
張室への開口部は、中心線の指向方向を上下に互
いにずらされている。このように構成することに
よつて、左右湾曲通路部から拡張室内に流入する
排出ガスは、本質的に互いに衝突することがな
く、したがつて排気干渉による背圧の増大および
それに伴なう出力低下は抑制されることとなる。

以下に、本考案の排気浄化装置の望ましい実施
例を図面を参照しながら説明する。

第１図ないし第４図は本考案の実施例に係る排
気浄化装置を４気筒エンジンの場合について示し
ている。第１図において、１は排気マニホルド、
２は吸気マニホルドであり、両者のシリンダヘツ
ドポートへの接続部は互いに同じ高さに配設され
ている。排気マニホルドの左右に延びる一対の湾
曲通路部の交叉部位には容積が拡張されたほゞ半
球状の拡張室３が位置しており、その直下に触媒
コンバータ４が接続されている。

排気マニホルド１は、第２図ないし第４図に示
すように＃１ないし＃４気筒に接続する＃１ない
し＃４排気ポートを有する左右の双管部５，６
と、その下流に連なつて排気通路を拡張室３側に
湾曲させる左右の湾曲通路部７，８と、吸気マニ
ホルドのライザ部の直下に位置して冷間始動時に
吸気マニホルドライザ部を加熱するライザ部９と
を有している。一方の双管部５はセパレータ１０
によつて＃１排気ポート１１と＃２排気ポート１
２に分離されており、また他方の双管部６はセパ
レータ１３によつて＃３排気ポート１４と＃４排
気ポート１５に分離されている。このうち、＃１
排気ポート１１と＃２排気ポート１２は湾曲通路
部７で合体して一つの通路となり、＃３排気ポー
ト１４と＃４排気ポート１５は湾曲通路部８で合
体して一つの通路を構成している。

左右一対の湾曲通路部７，８は、双管部５の直
後の湾曲部７ａ，８ａで拡張室３側に湾曲し、そ
こから更に拡張室３側に向かつて延びている。湾
曲通路部７，８の拡張室３に向かつて延びる部分
７ｂ，８ｂはその中心線が直線状となるように形
成されている。この湾曲通路部直線部７ｂ，８ｂ
の拡張室３への開口部の中心線１６，１７の指向
方向は上下に互いにずらされている。すなわち、
ヒートコントロールバルブ１８が取付けられる側
の湾曲通路部８の直線部８ｂは水平方向に延びて
おり、他方の湾曲通路部７の直線部７ｂは拡張室
３の半球形の中心Ｏ方向に向かうように方向づけ
られている。このため、両湾曲通路部７，８の中
心線１６，１７は互いに交叉している。また、直
線部７ｂ，８ｂは、平面的には第２図に示すよう
に、拡張室３に近づく程排気マニホルドのシリン
ダヘツドへの取付面１９より離れる方向に傾けら
れている。したがつて平面的にも両湾曲通路７，
８は交叉している。

拡張室３はヒートコントロールバルブ１８が取
付けられる側の湾曲通路部８と反対側に寄せて配
設されている。拡張室３の内部には酸素センサ２
０が延びている。ヒートコントロールバルブ１８
は第３図で実線で示した閉位置と２点鎖線で示し
た開位置との間にわたつて図示を省略したバイメ
タルによつて回動されるようになつている。ヒー
トコントロールバルブ１８は冷間始動時に閉位置
となるが、閉位置においてその上端２１と吸気マ
ニホルドライザ部下面との間に間隙δが形成され
るような長さとなつている。

なお、拡張室３の直下の位置に取付けられる触
媒コンバータ４はその軸線をガス流の流れの方向
に傾斜させて取付けられており、排気ガスが均一
に触媒に流れるように配慮されている。

上記のように構成された排気浄化装置において
は、排気ガスは排気マニホルド１から拡張室３を
経て触媒コンバータ４へと流れる。暖機後、ヒー
トコントロールバルブ１８が開位置にあるとき、
左右の湾曲通路部７，８を通つて拡張室３に流入
する排出ガスは、開口部中心線が互いにずらして
あるので、真向の対向流となつて衝突することは
なく、衝突の干渉による背圧の増大は生じない。
したがつて背圧の増大によつて吸気圧が増加する
こともなく、出力が低下することはない。

気筒の点火順序は＃１，＃３，＃４，＃２、気
筒の順であり、このため、＃３，＃４排気ポート
１４，１５から一方の長い湾曲通路部８を流れて
拡張室３に流入する排出ガスは、若干遅れる
＃２，＃１排気ポート１２，１３から他方の短い
湾曲通路部７を通つて拡張室３に流入する排出ガ
スによつて触媒コンバータ４方向へと押し下げら
れ、干渉を起すことなく、円滑に触媒コンバータ
４へと流れる。

一方、冷間始動時のヒートコントロールバルブ
８が閉位置にあるときは、湾曲通路部８を流れて
きた排出ガスは、ヒートコントロールバルブ１８
の上端と吸気マニホルドライザ部下面との間隙δ
を通つてライザ部を加熱しながら拡張室３へと流
入する。この場合、ヒートコントロールバルブ１
８が設けられる側の湾曲通路部８は水平方向に延
びているので、排出ガスがライザ部方向へ上側に
流れの向きを変えても、その向きの変化は比較的
小さく、流れの抵抗の増大はほとんどない。この
ため、冷間始動時においても、流れ抵抗の増大に
よる出力低下は生ぢない。

以上の通りであるから、本考案の排気浄化装置
によるときは、排気マニホルドの拡張室に開口す
るポート形状を上下に偏心させるようにしたの
で、排気干渉による出力低下を防止することがで
きるという効果が得られる。また、湾曲通路部に
ヒートコントロールバルブを設けてその部位を水
平としたので、暖機時にヒートコントロールバル
ブが閉となつたときでも流れの向きの変化が最少
に抑えられ、出力低下が最少に抑えられる。さら
に、水平の湾曲通路部から拡張室に流入した流れ
を、半球状拡張室の球中心を指向する湾曲通路部
から拡張室に流入する流れによつて触媒コンバー
タに円滑に向けることができ、出力低下を防止で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の排気浄化装置の全体斜視図、
第２図は本考案の排気浄化装置のうち排気マニホ
ルドの部分の一部を断面にして示した平面図、第
３図は第２図の排気マニホルドの部分の一部を断
面にして示した正面図、第４図は第２図の排気マ
ニホルドの部分の一部を断面にして示した断面図
である。 １……排気マニホルド、３……拡張室、７，８
……湾曲通路部、７ｂ，８ｂ……湾曲通路部直線
部、１６，１７……湾曲通路部中心線、１８……
ヒートコントロールバルブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ＃１排気ポートおよび＃２排気ポートからなる
   双管部に連なる集合通路の湾曲通路部と、＃３排
   気ポートおよび＃４排気ポートからなる双管部に
   連なる集合通路の湾曲通路部とを、中央部の半球
   状の拡張室に左右から開口させ、左右の湾曲通路
   部の一方にヒートコントロールバルブを設けると
   ともに該ヒートコントロールバルブを設けた部分
   を含み拡張室への開口部迄を水平として拡張室に
   水平に開口させ、左右の湾曲通路部の他方を拡張
   室の半球状の球中心に向つて斜め下方に向けて拡
   張室に開口させて、前記左右の湾曲通路部の拡張
   室への開口部中心線の指向方向を、上下に互いに
   ずらしたことを特徴とする排気浄化装置。