JPS6156996B2 - - Google Patents

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JPS6156996B2
JPS6156996B2 JP9279280A JP9279280A JPS6156996B2 JP S6156996 B2 JPS6156996 B2 JP S6156996B2 JP 9279280 A JP9279280 A JP 9279280A JP 9279280 A JP9279280 A JP 9279280A JP S6156996 B2 JPS6156996 B2 JP S6156996B2
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JP
Japan
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putrescine
oxidase
enzyme
negative
putrescine oxidase
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JP9279280A
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Masato Okada
Hiroko Tokunaga
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、プトレシンを含有する培地下、ミク
ロコツカス・フラビダスを培養し、その培養物か
らプトレシン・オキシダーゼを採取することから
なるプトレシン・オキシダーゼの製造方法に関す
る。本発明はプトレシン対するKm値が小さいプト
レシン・オキシダーゼを高収率で提供する。 プトレシンは、スペルミジン、スペルミンとと
もにポリアミンと総称される化合物であり、ウイ
ルスからヒトに至るまでの総ての生物に含まれて
いる。これらのポリアミンは、増殖の著しい細胞
中では含量が高く、特に腫瘍細胞中での含量が高
いことから、医学上で重要視されている。また癌
患者の体液例えば血液、尿等の中のポリアミン含
量は健常人のそれに比べて高いことが、1971年ラ
ツセル等〔キヤンサー・リサーチ、31巻、1555〜
1558(1971)〕により示された。それ以後、癌と
体液中のポリアミンの濃度との相関性が多くの研
究者によつて調べられ、ラツセル等の研究結果の
妥当性が確かめられている。〔例々えば、クリニ
カル・ケミストリー、23巻、22〜27(1977)参
照〕 一方、体液中のポリアミンの定量は、その濃度
が低いことゝ塩基性度が高いこと、そして、種々
の夾雑物が体液中に含まれていることから、困難
を極めている。現在の時点で最も信頼性の高いポ
リアミン定量法は、高速液体クロマトグラフイー
を使用する方法である。この方法を使つた時間は
1検体の分析に1時間以上を要するため、研究レ
ベルまでの分析方法としての域を脱しきれない。
〔例えばペリニ等、アナリテイカル・バイオケミ
ストリー、94巻、431〜439(1979)参照〕。した
がつて、体液中のポリアミン濃度を迅速に分析す
ることを目的として酵素法が注目されている。酵
素法によるポリアミン定量分析の原理は、ポリア
ミンをポリアミン分解酵素により検出の容易な生
成物を得、その生成物を検出することより成る。 しかるに、酵素法によるポリアミン定量におい
てポリアミン分解酵素として何を選択するかゞ重
要な問題となる。ポリアミン分解酵素のうちプト
レシン・オキシダーゼは、プトレシンとスペルミ
ジンを酸化し、それぞれアミノアルデヒドと過酸
化水素とアンモニア、アミノアルデヒドとジアミ
ノプロパンと過酸化水素を生成せしめる酵素であ
る。過酸化水素の定量は容易であることから、プ
トレシン・オキシダーゼは、プトレシンとスペル
ミジンの酵素的定量用の酵素として用いることが
出来る。 一方、プトレシン・オキシダーゼなる酵素は足
立等によりミクロコツカス・ローゼウス中に見出
されている〔アグリカルチヤラル・イオロジカ
ル・ケミストリー、30巻、1202(1966)〕。しか
し、上記ミクロコツカス・ローゼウスから得られ
る酵素を酵素法によるポリアミン定量に適用する
場合、次に示す欠点を有することが判明した。(1)
ミクロコツカス・ローゼウスは菌体内に蓄積する
プトレシン・オキシダーゼの量が少なく、酵素の
調製が煩雑である。(2)ミクロコツカス・ロゼウス
の細胞壁は非常に強固であり、菌体内からプトレ
シン・オキシダーゼを抽出する際、特殊な機器を
使つて菌体を破砕し酵素を抽出しなければならな
い。(3)ミクロコツカス・ローゼウスから得られる
プトレシン・オキシダーゼのプトレシンに対する
ミカエリス定数Km値が比較的大きい(1.2×
10-4M)のため、非常に微量のポリアミン(10-7
〜10-5M)を定量する場合に酵素反応速度が遅く
なり、従つて定量時間が長くなるという欠点があ
る。 本発明者らは上記3点の欠点、すなわち、プト
レシン・オキシダーゼの収率が低いこと、菌体の
破砕が困難であること、及びプトレシンに対する
ミカエリス定数Km値が大きいことを解決するため
に、各種微生物中のプトレシン・オキシダーゼの
検策を行つた。検策方法としは、プトレシン0.5
%含有する液体培地に微生物を培養し、生育した
菌体を集菌し、水洗後超音波により細胞を破砕、
遠心し、その上清部のプトレシン・オキシダーゼ
活性を測定する方法を採つた。この検策の結果、
プトレシン・オキシダーゼの含有量が前述のミク
ロコツカス・ローゼウスに比較して、約50倍高い
微生物を見出し、また、この微生物の細胞壁は強
固でなく、リゾチームによつても溶解し、かつま
た、この微生物の生産するプトレシン・オキシダ
ーゼのプトレシンに対するミカエリス定数Km値が
ミクロコツカス・ローゼウスが生産するプトレシ
ン・オキシダーゼのそれよりも小さいことを見い
だすことにより、本発明を完成した。 本発明方法で用いるプトレシン・オキシダーゼ
を生産する能力を有する微生物は、自然界より分
離採取されたミクロコツカス・フラビダス(微工
研菌寄第5633号)が好ましく用いられる。 このミクロコツカス・フラビダスの菌学的性質
は以下に示す通りである。尚、色の表示は「色の
規準」(日本色彩社発行、1951年版)に従つて行
つた。 (1) 形態 培地として肉汁および肉汁寒天培地を使用し
た。 細胞の形および大きさ 球形。培養初期から中期にかけて二連球と
なる。0.5〜0.9μm(直径) 細胞の多形性 なし 運動性 なし(鞭毛なし) 胞子 なし グラム染色性 陽性 抗酸性染色 陰性 (2) 各培地における生育状態 肉汁寒天平板培養 生育良好、円形、凸状、不透明、にぶ色
(dull yellow)、可溶性色素の生産なし。 肉汁寒天斜面培養 生育良好、線状に生育、不透明、にぶ黄
(dull yellow)、可溶性色素の生成なし 肉汁液体培養 生育良好、均一に混濁、菌膜の形成なし、
沈でんの生成なし、セグメントの生成なし 肉汁ゼラチン穿刺培養 表面に生育、生育中程度、ゼラチンの液化
なし リトマス・ミルク培養 アルカリ性、ミルクの液化と凝固はともに
なし (3) 生理学的性質 硝酸塩の還元 陽性 脱窒反応 陰性 MRテスト 陰性 VPテスト 陰性 インドールの生成 陰性 硫化水素の生成 陰性 デンプンの加水分解 陰性 クエン酸の利用 陽性 無機窒素源の利用 陽性 色素の生成 陰性 ウレアーゼの生成 陽性 オキシダーゼ 陰性 カタラーゼ 陽性 生育の範囲 PH 5.0〜10.0 温度 20〜38℃ 酸素に対する態度 好気性 O−Fテスト(Hugh Leifson法)
糖を分解しない 糖類からの酸の生成 L−アラビノス 陰性 トレハロース 陰性 D−キシロース 陰性 D−ソルビツト 陰性 D−グルコース 陰性 D−マンニツト 陰性 D−マンノース 陰性 イノシツト 陰性 D−フラクトース 陰性 グリセリン 陽性 D−ガラクトース 陰性 乳 糖 陰性 麦 芽 糖 陰性 デンプン 陰性 シ ヨ 糖 陰性 すべての糖類についてガスの発生は観察
されず 以上の菌学的諸性質をバージエイのマニ
ユアル・オブ・デイターミネイテイブ・バ
クテリオロジ−(Bergey′s Manual of
Determinative Bacteriolgy)第8版によ
り検討した結果、本発明の酵素を生産する
菌はミクロコツカス属に属することが判明
した。すなわち球歯であること、グラム染
色(陽性)、抗酸性染色(陰性)、胞子形成
(陰性)、運動性(陰性)、酸素に対する態
度(好気性)、カタラーゼの生成(陽性)、
オキシダーゼの生成(陰性)、グルコース
から酸の生成(陰性)、O−Fテスト(糖
を分解しない:no action)であり、これ
らの諸性質は本菌がミクロコツカス属であ
ることを満足している。 また、上記のバージエイのマニユアルの
記載によると、ミクロコツカス属に属する
菌としてミクロコツカス・ローゼウス、ミ
クロコツカス・ルテウス、ミクロコツカ
ス・バリアンスがある。本発明の酵素を生
産する菌と、これらの3種の菌の諸性質を
比較すると第1表のようになる。本発明の
菌とミクロコツカス・ローゼウスとは、菌
体の呈する色の点で明らかに異なり、また
ミクロコツカス・バリアンスとは、グルコ
ース及びキシロースからの酸の生成の点で
異なつている。すなわち、本発明の菌はに
ぶ色(dull yellow)を呈するのに対し、
ミクロコツカス・ローゼウスは赤を呈し、
本発明の菌はグルコースとキシロースから
酸を生成しないが、ミクロコツカス・バリ
アンスは酸を生成する。一方、本発明の菌
とミクロコツカス・ルテウスとは、球径、
オキシダーゼ活性、硝酸塩の還元、グリセ
ロールからの酸の生成の諸性質の点が明ら
かに異なつている。
【表】
【表】 従つて、本発明の菌はミクロコツカス属
に属する新種と認められ、ミクロコツカ
ス・フラビダス(Micrococcus flavidus)
と命名した。なお、本菌株は工業技術院微
生物工業技術研究所(微工研菌寄第5633
号)に寄託されている。 本発明を実施するに当つては、まず上記
の微生物をプトレシンを含有する培地下、
酵素などを生産する通常の方法で培養す
る。培養の形態は液体通気培養が有利であ
る。培地の栄養源としては、微生物の培養
に通常用いられるものが広く使用される。
炭素源としては同化可能な炭化水素であれ
ば良く、例えばグルコース、糖蜜、グリセ
リンなどが使用される。窒素源としては、
利用可能な窒素可能な窒素化合物であれば
良く、例えばペプトン、酵母エキス、肉エ
キス、コーン、ステイービ、リカー、硫
安、塩安などが使用される。その他、食
塩、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、リ
ン酸第一カリウム、リン酸第二カリウムな
どの塩類が必要に応じて使用される。 また、培地中にプトレシンあるいはスペ
ルミジンを添加せしめて、培養時プトレシ
ン・オキシダーゼの生産能を上昇せしめる
ことが好ましい。添加するプトレシンとス
ペルミジンを比較した場合、価格とプトレ
シン・オキシダーゼの生産能の上昇効果の
点からプトレシンの方が有利である。プト
レシンあるいはスペルミジンの添加量とし
ては0.05〜1.0%の範囲で、好ましくは0.1
〜0.5%程度添加される。培養温度は菌が
発育しプトレシン・オキシダーゼを生産す
る範囲内で良いが、好ましくは25〜35℃で
ある。培養時間は条件によつて多少異なる
が、通常5〜30時間程度であつて、菌の生
育が定常相(stationary phase)に達した
時期に培養を終了すればプトレシン・オキ
シダーゼ生産が最高に達する。かくして得
られた培養物中においてプトレシン・オキ
シダーゼはその歯体内に含有、蓄積され
る。 この様にして得られた培養物中よりプト
レシン・オキシダーゼを抽出し、粗製のプ
トレシン・オキシダーゼ含有液を得るため
には、例示すれば、まず培養物を遠心分離
等の手段で固液分離し、得られる湿菌体を
必要に応じてリン酸緩衝液やトリスー塩酸
緩衝液などに懸濁せしめ、次いで超音波破
砕処理やダイノミルによる破砕処理リゾチ
ーム処理などの菌体処理手段を適宜選択組
合せて、菌体内よりプトレシン・オキシダ
ーゼを抽出し、粗製のプトレシン・オキシ
ダーゼ含有液を得る。 さらにこの粗製プトレシン・オキシダー
ゼ含有液を公知の蛋白質、酵素などの単
離、精製手段を使用して処理することによ
り精製されたプトレシン・オキシダーゼを
得ることが出来る。例えば粗製プトレシ
ン・オキシダーゼ含有液を中性条件下で
DEAE−セルロースを充填したカラムに通
しプトレシン・オキシダーゼを吸着させ、
さらに食塩の直線濃度勾配をかけて溶出せ
しめる。このDEAE−セルロースカラムか
ら溶出されたプトレシン・オキシダーゼ含
有液をω−アミノドデカン−セフアーロス
を充填したカラムに通しプトレシン・オキ
シダーゼを吸着させ、0.5規定の食塩を含
む10mMのリン酸緩衝液にてカラムを洗浄
し、さらに5mMのプトレシン及び1.0規定
の食塩を含有する10mMのリン酸緩衝液を
カラムに通過させるとプトレシン・オキシ
ダーゼが選択的に溶出されて来る。この溶
出されたプトレシン・オキシダーゼ含有液
を硫安沈澱及び透析処理することにより、
純粋なプトレシン・オキシダーゼを得るこ
とが出来る。 本発明によつて得られるプトレシン・オ
キシダーゼは以下に述べる理化学的性質を
有するものである。 (1) 作用 1モルのプトレシンより、1モルの酸
素を消費して、1モルの1−ピロリン、1モル
のアンモニア、1モルの過酸化水素を生成す
る。すなわち、プトレシンを酸化して1−ピロ
リン、アンモニア、過酸化水素を生成する反応
を触媒する作用を有する。 NH2(CH24NH2+O2→N+NH3+H2O2 (2) 力価の測定法 0.01%の4−アミノアンチピリン、0.005%
の2,4−ジクロロフエノール、0.004%のパ
ーオキシダーゼを含む0.1Mトリス−塩酸緩衝
液(PH8.0)を2.0ml、10mMのプトレシン・2
塩酸塩を0.2mlよりなる反応液2.2mlを分光光度
計の標準キユベツトに入れ、酵素液0.05mlを添
加混合し、30℃に設定された分光光度計のセル
ホールダーに設置し、514nmの吸収の時間当り
の増加を測定し、生成する過酸化水素の量を求
める。酵素活性は1分間に1μmoleの過酸化
水素を生成する活性を1単位(1unit、1u)と
する。 (3) 基質特異性 0.01%の4−アミノアンチピリン、0.005%
の2,4−ジクロロフエノール、0.004%のパ
ーオキシダーゼを含む0.1Mトリス−塩酸緩衝
液2.0mlおよび下記化合物を基質とする10mM
基質溶液0.2mlよりなる反応液2.2mlに、プトレ
シン・オキシダーゼを0.1u添加、混合して514
μmの吸収の時間当りの増加を測定した。 基質 相対活性(%) プトレシン 100 スペルミジン 7.8 スペルミン 0 オルニチン 0 リジン 0 (4) 至適PH 各PHにおけるプトレシンの酸化速度を測定す
ることにより至適PHを求めた結果、第1図に示
す通りでありプトレシン・オキシダーゼの至適
PHは8.0付近と認められる。尚、用いた緩衝液
としてはPH6.5、7.0、7.5、8.0の0.1Mリン酸緩
衝液(phosphate),PH8.0、8.5、9.0、9.5、
10.0の0.1M水酸化ナトリウム−ホウ酸緩衝液
(Borate)およびPH8.0のトリス−塩酸緩衝液
(Tris−HC)である。 (5) 至適温度 上記の力価の測定法における測定法を使つて
その温度条件を変えて酵素反応を行い、プトレ
シン・オキシダーゼのプトレシンに対する酵素
活性を測定した結果、第2図に示す通りであつ
て、その至適温度は45℃付近と認められる。 (6) PH安定性 PH5.0〜8.0としてリン酸緩衝液、PH8.0〜10.0
として水酸化ナトリウム−ホウ酸緩衝液を用
い、各PHの緩衝液0.2mlに酵素溶液(酵素蛋白
質濃度150μg/ml)を0.05mlを加え、37℃、
60分間インキユペーシヨンし、次いで各インキ
ユペーシヨン混合物から0.05ml採取して、それ
ぞれのプトレシン・オキシダーゼのプトレシン
に対する酵素活性を上記の力価の測定法におけ
る測定法を使つて測定した。その結果は第3図
に示す通りであつて、そのPH安定性は6.5〜9.5
付近と認められる。 (7) 熱安定性 酵素蛋白質30μg/mlを含有する10mMリン
酸緩衝液(PH7.2)0.25mlを各温度にて10分間
維持し、次いで各酵素溶液から0.05mlの酵素を
採取し、上記の力価の測定法と全く同じ測定法
によつて、プトレシン・オキシダーゼのプトレ
シンに対する酵素活性を測定した結果、第4図
に示す通りであつて、その熱安定性は40℃付近
以下であると認められる。 (8) 分子量(MW) 酵素蛋白質1.5mg/mlを含有するプトレシ
ン・オキシダーゼ溶液0.8mlをセフアアクリル
S−200充填カラム(2.1×90cm)に通過させて
ゲル濾過を行い、その溶出位置を上記の力価の
測定法と全く同様の測定法によつてプトレシ
ン・オキシダーゼのプトレシンに対する酵素活
性を測定することにより決定し、既知の分子量
を有する蛋白質(カタラーゼcatalase:
240000、ボバイン血清のアルブミンalbumin:
68000、トリ卵のアルブミンalbumin:45000、
チトクロームC cytochrom C:12500)の溶
出位置を比較して分子量を求めた。その結果は
第5図に示す通りであつて、本酵素の分子量は
98000付近と認められる。 (9) デイスク電気泳動上のRf値 PH8.9、10%のポリアクリルアミドゲルにて
本酵素の電気泳動を行つた結果、ブロムフエノ
ールブルー(BPB)の移動度を1.0としたRf
は0.74と認められた。 (10) サブユニツト構成 0.1%のラウリル硫酸ナトリウム(SDS)を
含む、10%のポリアクリルアミドゲルにて本酵
素を電気泳動し、本酵素のサブユニツトの分子
量(MW)を測定した。分子量決定の際、標準
蛋白質として大腸歯のRNAポリメラーゼ β
−サブユニツト RNA−Polymerase β−
subunit(分子量165000)、α−サブユニツト
α−subunit(同:39000)、ボバイン血清アル
ブミンalbumin(同:68000)、大豆のトリプシ
ン・インヒビターTrypsin inhibitor(同:
21500)を使用した。その結果は第6図に示す
通りであつて、サブユニツトの分子量は42000
付近と認められ、本酵素は2個のサブユニツト
から構成されている。 (11) プトレシンに対するKm値 上記の力価の測定法に従つて0.1Mトリス−
塩酸緩衝液(PH8.0)下で本酵素のプトレシン
に対するKm値を測定した結果、第7図に示す通
りであり2.8×10-5Mと認められた。第7図
は、プトレシン濃度(S)の逆数対反応速度
(v)の逆数のプロツト(ラインウイーバー・
バークプロツト)を示したものである。 (12) 反応生成物の定量 (i) 1−ピロリンの定量 反応液 0.1Mリン酸緩衝液 2.0ml 5mMプトレシン 0.2ml プトレシン・オキシダーゼ(u) 0.1ml 上記反応液2.3mlを30℃、120分間インキユ
ーベーシヨンを行つた後、反応液に0.1%オ
ルソーアミノベンズアルデヒド1.0mlを添加
し、さらに30℃、60分間インキユーベーシヨ
ンを行い、435nmの吸光度の測定を行うこと
により、1−ピロリンとオルソーアミノベン
ズアルデヒドとの複合体を定量した結果、吸
光度は0.634と測定され1.0μmoleのプトレシ
ンから1.0μmoleの1−ピロリンを生成する
ことが認められた。 (ii) アンモニアの定量 反応液 0.1Mリン酸緩衝液 2.0ml 1.0mMプトレシン 0.2ml プトレシン・オキシダーゼ(0.5u) 0.05ml 上記反応液を30℃、120分間インキユーベ
ーシヨンした後、反応液10μをマイクロシ
リンジで採取して、高速液体クロマトグラフ
イーによりアンモニアを分析し、あらかじめ
硫酸アンモニウムで作成しておいた検量線と
対比させた結果89μMと定量された。その結
果、0.2μmoleのプトレシンから0.2μmoleの
アンモニアを生成することが確認された。 (iii) 過酸化水素の定量 4−アミノアンチピリン−2,4−ジクロ
ロフエノール−パーオキシダーゼ系による方
法で定量した。 反応液 0.1Mトリス−塩酸緩衝液 2.0ml含 0.01% 4−アミノアンチピリン 0.005% 2,4−ジクロロフエノール 0.004% パーオキシダーゼ 1.0mMプトレシン 0.1ml プトレシン・オキシダーゼ(1u) 0.1ml 上記反応液を30℃、60分間インキユーベー
シヨンした後、514nmにおける吸光度を測定
すると0.458であつた。上記反応液中におい
て1.0mMプトレシン溶液0.1mlの代りに水を
用いて全く同様の操作を行つた結果、0.031
という値が得られた。その結果、過酸化水素
の生成による514nmの吸光度の増加は0.427
であり、この増加値は過酸化水素0.1μmole
に対応し、プトレシン1モルから過酸化水素
1モルを生成することが確認された。 以上の通り、本発明の酵素プトレシン・オキシ
ダーゼは、プトレシンに作用して1−ピロリン、
アンモニアおよび過酸化水素を生成せしめること
により、酵素番号1、4、3、10、プトレシン:
オキシゲン・オキシドレダクターゼ(デイアミネ
イテイング)なる酵素に分類される酵素と認めら
れるが、ミクロコツカス・ローゼウスから採取さ
れる公知の酵素とは第2表に示す通り、理化学的
性質の差異が認められる。
【表】 本発明のプトレシン・オキシダーゼは酵素的臨
床診断剤、例えば組織液や尿中のポリアミンの定
量に利用され、癌の診断への利用などの種々の有
用性を有しているものである。尚、本発明のプト
レシン・オキシダーゼのプトレシンに対するKm値
は、第2表に示す通り、ミクロコツカス・ローゼ
ウスから採取されるプトレシン・オキシダーゼの
それに比べ約5倍小さいことから、Km値より低濃
度のプトレシンを定量する場合には本発明の酵素
を使用する方が有利である。 次に実施例を挙げて本発明を具体的に述べる
が、本発明は何らこれにより限定されるものでは
ない。 実施例 1 プトレシン0.5%、ポリペプトン0.5%、グルコ
ース0.5%、酵母エキス0.2%、食塩0.0%よりなる
培地(PH7.0)1000mlを500ml容の坂口フラスコ5
本に200mlずつ加え、120℃、20分間滅菌処理し、
これにミクロコツカス・フラビダスを接種し、30
℃、20時間振とう培養を行い、得られた培養物
1000mlを10000rpm、10分間遠心分離して集菌
し、その湿菌体25gを0.85%の食塩水で洗浄後、
10mMリン酸緩衝液(PH7.2)200mlに懸濁せし
め、5℃以上に温度が上昇しないよう冷却しなが
ら20MHz、90W、60分間超音波処理を行い菌を
破砕した。この破砕液を15000rpm、60分間遠心
分離して上清液を得た(プトレシン・オキシダー
ゼの酵素活性)1494u、比活性0.337u/mg−タン
パク質)。この上清液をDEAE−セルロース(DE
−52、ワツトマン社製)を充填したカラム(22×
280mm、PH7.2の10mMリン酸緩衝液にて平衡化)
に通過せしめ、食塩濃度が0.0Mから0.6Mである
直線勾配(総容積2000ml)にて吸着された蛋白質
を溶出せしめ、その食塩濃度0.30Mによる溶出の
活性画分を回収し、次いでこの活性画分に70%飽
和になる様に硫安を加えて蛋白質を沈澱せしめ
る。その沈澱物を10000rpm、30分間遠心分離し
て回収し、10mMリン酸緩衝液(PH7.2)に溶解
せしめ、同じ緩衝液に対して15時間透析せしめプ
トレシン・オキシダーゼ溶液(プトレシン・オキ
シダーゼの活性884u、比活性6.18u/mg−タンパ
ク質)を得た。 比較例 1 実施例1に示した中でミクロコツカス・フラビ
ダスをミクロコツカス・ローゼウス(IFO−
3768)に代えた以外は実施例1に示したものと全
く同一の条件で操作を行うことによりプトレシ
ン・オキシダーゼを製造した。細胞破砕した上清
液中のプトレシン・オキシダーゼの活性は45uで
あり、比活性は0.043u/mg−タンパク質であり、
最終的に得られた酵素溶液はプトレシン・オキシ
ダーゼ活性40u、比活性は2.41u/mg−タンパク質
であつた。 用途例 本発明のプトレシン・オキシダーゼを使つてプ
トレシンおよびスペルミジンの酵素的定量を行つ
た。検出はプトレシン・オキシダーゼがプトレシ
ンあるいはスペルミジンに作用して生成する過酸
化水素を4−アミノアンチピリン−フエノール−
パーオキシダーゼ系で発色せしめることにより行
つた。 反応液 0.1Mトリス−塩酸緩衝液 1.0ml 含0.012% 4−アミノアンチピリン 0.004% フエノール 0.005% パーオキシダーゼ プトレシンあるいはスペルミジン検体 0.5ml プトレシン・オキシダーゼ(0.5u) 0.1ml 上記反応液を30℃、30分間インキユベーシヨン
した後、480nmの吸光度を測定した結果、プトレ
シン検体は0.527、スペルミジン検体は0.465であ
つた。検体の代わりに水0.5mlを用いて同様の操
作を行いブランク値を求めた結果0.018であつ
た。また既知の濃度のプトレシンあるいはスペル
ミジン溶液0.5mlを検体の代わりに使い同様の操
作を行つて、これらのポリアミンの濃度:Cと
480nmの吸光度:OD514との関係式を求めた結
果、次の様になつた。 C=OD514/1894(M) 従つて、プトレシン検体中のプトレシン濃度:
Cpは次の様に算出される。 Cp=0.527−0.018/1894=2.69×10-4
M またスペルミジン検体中のスペルミジン濃度:
Csは次の様に算出される。 Cs=0.465−0.018/1894=2.36×10-4
M
【図面の簡単な説明】
第1図はプトレシン・オキシダーゼの至適PHを
示し、第2図はプトレシン・オキシダーゼの至適
温度を示し、第3図はプトレシン・オキシダーゼ
のPH安定性を示し、第4図はプトレシン・オキシ
ダーゼの熱安定性を示し、第5図はプトレシン・
オキシダーゼの分子量を示し、第6図はプトレシ
ン・オキシダーゼのサブユニツトの分子量を示
し、第7図は0.1Mトリス−塩酸緩衝液下でのプ
トレシンに対するプトレシン・オキシダーゼのラ
インウイーバー・バークプロツトを示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 プトレシンを含有する培地下、ミクロコツカ
    ス・フラビダスを培養し、その培養物からプトレ
    シン・オキシダーゼを採取することを特徴とする
    プトレシン・オキシダーゼの製造方法。 2 微生物の培養を、プトレシンを0.05〜1.0%
    添加した培地で行うことを特徴とする特許請求の
    範囲第1項記載の製造方法。
JP9279280A 1980-07-09 1980-07-09 Production of putrescine oxidase Granted JPS5718984A (en)

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