JPH0646846A - フルクトシルアミンデグリカーゼ、その製造法及び該酵素を用いたアマドリ化合物の定量方法 - Google Patents
フルクトシルアミンデグリカーゼ、その製造法及び該酵素を用いたアマドリ化合物の定量方法Info
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Abstract
てα−ケトアルデヒド,アミン誘導体及び過酸化水素を
生成する反応を触媒する等の理化学的性質を有するフル
クトシルアミンデグリカーゼ、カンジダ属に属し該酵素
を生産する能力を有する微生物たとえばカンジタ・ギア
モンディを用いて該酵素を製造する方法並びにアマドリ
化合物を含有する試料に該新規酵素を作用させ、酸化反
応に伴い生成する過酸化水素量、もしくは消費される酸
素量を測定し、該測定値からアマドリ化合物量を求める
ことを特徴とするアマドリ化合物の定量法。 【効果】 酵素法で困難であったアマドリ化合物量の測
定を容易に行うことができる。
Description
アミンデグリカーゼとその製造法及び該酵素を使用する
試料中のアマドリ化合物の定量方法に関する。
でいうアマドリ化合物とは、還元糖であるアルドースと
アミノ基をもった化合物とが非酵素的に反応し、アマド
リ転移を経て形成される化合物をいう。例えば、醤油,
味噌等の、糖とアミノ酸,タンパク質を多量に含んだ物
質では、発酵時間,保存時間等に応じてアミノ酸は糖化
されてアマドリ化合物として生産され、食品の褐変や香
気成分の変化に重要な役割を示すことが知られている。
生体中においてもグルコースとアミノ基が結合したアマ
ドリ化合物であるフルクトシルアミン化合物が生成され
ており、例えば血液中のヘモグロビンがグルコース糖化
されたフルクトシルアミン化合物はグリコヘモグロビ
ン、また血清中に存在するアルブミンがグルコースと反
応して生成したフルクトシルアミン化合物はフルクトサ
ミンと呼ばれ、それぞれ臨床的に糖尿病の平均的な血糖
値を示す指標として生理的意義が指示され、糖尿病診断
のために盛んに測定されている。
ロマトグラフィーを利用した測定方法(Chromatogr.Sc
i.,第10巻, 659(1979))があるが、操作能率や精度の点
で問題があり、また高価な機器を必要とするなどの欠点
が多い。また、フルクトサミン測定方法として近年広く
用いられているフルクトシルアミン化合物がアルカリ性
条件下において示す還元性を利用して色素発色により測
定する方法(Clin. Chem.Acta., 第127 巻, 87(1983))
があるが、その反応の特異性に問題があり、また色素が
測定中にセルを汚染するといった問題もある。そのた
め、新しい測定方法が求められている。
コリネバクテリウム属に属する微生物が生産するフルク
トシルアミノ酸オキシターゼ(特開昭61−26817
8),アスペルギルス属に属する微生物が生産するフル
クトシルアミンオキシターゼ(特開平3−15578
0)、さらにはペニシリウム属に属する微生物が生産す
るフルクトシルアミノ酸分解酵素(特開平4−487
4)等が知られている。しかし、食品や生体中のフルク
トシルアミン化合物を定量するためには、アミノ酸のα
位のアミノ基と反応して生成するアマドリ化合物に対し
てのみならず、特にε位のアミノ基と反応し生成するア
マドリ化合物に対して極めて良く作用する酵素が重要で
ある。しかるに、既知の酵素では反応性が弱く、微量の
アマドリ化合物を定量することは困難であった。
マドリ化合物を酵素を用いて定量する方法を開発すべ
く、鋭意検討してきた。本発明者等は、広く自然界微生
物中に、アマドリ化合物を分解する活性のある酵素を検
索した結果、カンジダ属に属する微生物中にアミノ酸の
α位のみならず、特にε位のアミノ基と反応し生成した
アマドリ化合物に対しても極めて良く作用する酵素を生
産する菌株があることを見出し、この知見に基づいて本
発明を完成させた。以下に本発明を具体的に説明する。
するフルクトシルアミンデグリカーゼに関する。 (a)作用及び基質特異性 本酵素は、アマドリ化合物に作用し、特にそのε−アミ
ノ酸誘導体に良好に作用して該化合物を酸化し、α−ケ
トアルデヒド,アミン誘導体及び過酸化水素を生成する
反応を触媒する。 (b)至適pH及びpH安定性 本酵素は、ジフルクトシルリジン(di-Fructosyl-lysin
e) を基質とした場合にpH5.0〜8.0において安定で
あり、また至適pHは、7.0〜8.0(燐酸緩衝液)であ
る。 (c)反応温度の範囲 反応温度は、15〜45℃の範囲である。 (d)熱安定性 本酵素は、40℃、10分間の加熱処理に対して安定で
ある。また、50℃で10分間加熱処理した場合、80
%以上が失活する。 (e)分子量 トーヨーパール HW−55Fカラムを用いたゲル濾過
法で測定した分子量は約43000である。
フルクトシルアミンデグリカーゼ生産能を有する微生物
を培地に培養し、培養物より該フルクトシルアミンデグ
リカーゼを採取することを特徴とするフルクトシルアミ
ンデグリカーゼの製造法に関する。
を含有する試料に前記のフルクトシルアミンデグリカー
ゼを作用させ、酸化反応に伴い生成する過酸化水素量、
もしくは消費される酸素量を測定し、該測定値からアマ
ドリ化合物量を求めることを特徴とするアマドリ化合物
の定量法に関する。
の理化学的性質は下記の通りである。 (1)力価の測定方法 本酵素作用によって生成する過酸化水素水を発色定量す
る方法 方法1 0.3mM 4−アミノアンチピリン及び0.5mM TO
OS、2.0単位/mlのパーオキシダーゼを含有する0.
05M燐酸緩衝液(pH7.0)0.4mlに1mM ジフ
ルクトシルリジン(0.05M燐酸緩衝液pH7.0に溶
解)0.1mlを加え、37℃にて温度平衡にする。これ
に、適当な活性を保有する酵素液0.06mlを加え、分
光光度計(日立製作所製U−2000)により、その吸
光値変化を測定した。予め過酸化水素の標準溶液を用い
て作成した吸光値変化と過酸化水素の量との関係を示す
検量線から、生成した過酸化水素量を求めた。また、3
7℃、1分間当たり1マイクロモルの過酸化水素を生成
する酵素量を1活性単位とした。
H7.0に溶解)0.2mlを37℃にて温度平衡にする。
これに、適当な活性を保有する酵素液0.12mlを加
え、37℃にて適当な時間反応させ100℃湯浴中で反
応を停止させる。これに0.3mM 4−アミノアンチピ
リン及び0.5mM TOOS、2.0単位/mlのパーオ
キシダーゼを含有する0.05M燐酸緩衝液(pH7.0)
0.8mlを加え、分光光度計(日立製作所製U−200
0)により、その吸光値変化を測定した。標準液を用い
て作成した該吸光値変化と過酸化水素の量との関係を示
す検量線から、生成した過酸化水素量を求めた。また、
37℃、1分間当たり1マイクロモルの過酸化水素を生
成する酵素量を1活性単位とした。
酸,D−アミノ酸及びアミンのアマドリ化合物を分解
し、グルコソン,過酸化水素水及び対応するアミノ酸や
アミンを生成する反応を触媒する。本酵素の主なアマド
リ化合物への基質特異性は第1表に示した通りである。
本酵素はα−アミノ酸のアマドリ化合物を分解するだけ
でなく、アミノ酸のα位以外のアミノ基にフルクトース
の結合したアマドリ化合物(例えば、ジ−D−フルクト
シルリジン,ε−D−フルクトシル−L−リジン)に対
しても良好に作用する。
物分解酵素であるコリネバクテリウム属に属する微生物
が生産するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(特開昭
61−268178)は、ε位のアマドリ化合物には作
用しない。また、アスペルギルス属に属する微生物が生
産するフルクトシルアミンオキシダーゼ(特開平3−1
55780)は、ε位のアマドリ化合物に作用すると明
細書に記載されているが、α位のD−フルクトシルグリ
シンに比べ、その活性は低い。同様に、ペニシリウム属
に属する微生物が生産するフルクトシルアミノ酸分解酵
素(特開平4−4874)も本願発明の酵素に比較して
著しく活性が低い。
位以外のアミノ基にフルクトースの結合したアマドリ化
合物(例えば、ジ−D−フルクトシルリジン,ε−D−
フルクトシル−L−リジシン)に対しても良好に作用す
るという特性を有している。なお、測定に用いた基質濃
度は2mMである(但し、ジ−D−フルクトシルリジン
のみは1mMである。)。
リシンに対する活性を100とした場合の比である。
応させ、生成した過酸化水素を比色定量し、その活性を
調べた。その結果、本酵素の至適pHはジフルクトシル
リジンを基質とした場合、図1に示すように、pH7.0
〜8.0である。なお、使用した緩衝液は下記の通りであ
り、pH7.0における活性を100%として示した。 〇−〇 0.1M クエン酸緩衝液 +−+ 0.1M 燐酸緩衝液 △−△ 0.1M トリス塩酸緩衝液
分間加熱処理したのち37℃で反応させ、吸光値変化よ
り活性を調べた。その結果は図2に示した通りである。
なお、使用した緩衝液は下記の通りであり、pH7.0処
理における活性を100%として示した。 〇−〇 0.1M クエン酸緩衝液 +−+ 0.1M 燐酸緩衝液 △−△ 0.1M トリス塩酸緩衝液
単位)により10mM燐酸緩衝液(pH6.0)中で、各
温度において4分間反応させ、生成した過酸化水素水を
比色定量した。その結果は、図3に示した通りであり、
本酵素の反応適温は15〜45℃である。なお、40℃
における活性を100%として示した。
M燐酸緩衝液、pH6.0)を各温度において10分間放
置した。その後、この酵素液0.06mlを用いて37℃
にて反応させ、吸光値変化より活性を調べた。ジフルク
トシルリジンを基質とした場合の結果は、図4に示す通
りであり、本酵素は40℃以下では安定であるが、50
℃で80%以上が活性を失う。なお、図中には4℃処理
における活性を100%として示した。
酸緩衝液、pH6.0)に阻害剤を混合し、37℃におい
て4分間反応させ、生成した過酸化水素水を比色定量し
た。2mMの阻害剤が本酵素に及ぼす影響は次の通りで
ある。本酵素はCu2+,Ni2+,Zn2+,Co2+により
強く阻害され、Mg2+には阻害されなかった。また、p
−クロルメルクリ安息香酸(PCMB)には強く阻害さ
れ、NaN3 には阻害されなかった。
る。
いたゲル濾過法により測定した結果、約43000であ
った。なお、測定に用いた緩衝液は0.1M塩化ナトリウ
ムを含有する10mM燐酸緩衝液(pH6.0)である。
の等電点はpI=4.8であった。
学薬品株式会社製)を用いて30mA/ゲルで2時間泳
動を行い、酵素タンパク質をクマシーブリリアントブル
ーG−250で染色した。その結果、単一なバンドを確
認した。
質特異性において従来未知の新規な酵素である。なお、
本酵素は上記のような作用及び基質特異性を有している
ので、フラクトシルアミンデグリカーゼと命名した。
グリカーゼの製造方法について説明する。本発明におい
て用いる微生物はフルクトシルアミンデグリカーゼ生産
能を有する微生物であればいずれでも良いが、具体例と
してカンジダ・ギアモンディ(Candida guilliermondii)
7087が挙げられる。また、本菌の自然もしくは人工的な
変異処理により得られる菌株も、上記能力を有する限り
本発明に用いることができる。
ギの樹液より分離した菌株であり、その菌学的性質は下
記の通りである。 (1)MY培地(25℃生育) 生育は普通で4日間プレート培養した結果、乳白色、平
滑で粘ちょう感のある全縁がやや波状の、凸状のコロニ
ーが得られた。 (2)細胞の形態は、伸長形、円筒形、ソーセージ形で
あり、多極出芽で増殖し、小さな楕円形細胞が混在して
いた。 (3)オイル状の沈査しやすい膜を形成した。 (4)グルコースよりガスを生成した。 (5)硝酸塩の資化性は認められなかった。 (6)アピCオクサノグラム(アスカ純薬株式会社製)
により炭水化物資化性を調べた。その結果を第2表に示
す
Taxonomic"(M.J.W.Kreger-van Rij(ed) 、Elsevier Sci
ence Publishers B.V.-Amsterdam(1984)) を参考にして
検討した結果、カンジダ・ギアモンディ(Candida guill
iermondii)と同定し、本菌をカンジダ・ギアモンディ70
87株と命名した。
究所にFERM BP−3878として寄託されてい
る。
地としては、炭素源,窒素源,無機物,その他の栄養素
を適当に含有しており、上記微生物を培養して目的とす
る酵素を生産し得るものであれば、合成培地,天然培地
のいずれであってもよい。炭素源としては、例えばグル
コース,フルクトース,ショ糖等の糖類の他、これらを
含む天然物を用いることができる。窒素源としては無機
アンモニア塩の他、ペプトン,カゼイン消化物,酵母エ
キス等の窒素性有機物を使用することができる。また、
無機物としては、マグネシウム,ナトリウム,カリウ
ム,マンガン,鉄等の塩類が使用できる。
カーゼを効率よく生産するためには、フルクトシルアミ
ノ酸を培地に添加して培養する方法が好ましい。例えば
フルクトシルリジン1%,燐酸2カリウム0.1%,硫酸
マグネシウム0.05%,塩化カリウム0.05%,硫酸鉄
(II)0.001%,グルコース1.0%,イーストエキス
0.05%を含有した培地(pH6.8)が好適な培地とし
て挙げられる。
であり、好ましくは30℃付近である。培養時のpHは
4.0〜7.0が適当であるが、pH5.0付近が望ましい。
また、培養時間は目的とする酵素が十分に生産されるま
でであり、通常は12〜36時間が適当である。培養方
法としては、振盪培養または深部攪拌培養が望ましい。
は通常菌体内に存在するので、培養物から菌体を集め、
適当量の緩衝液に懸濁し菌体を破砕し、酵素を可溶化す
ることにより酵素含有液を得ることができる。このよう
にして得られた酵素含有液から核酸,細胞壁等の夾雑物
を取り除いてフルクトシルアミンデグリカーゼを得るこ
とができる。
素を単離、精製することが可能である。例えば(1)硫
安分画、(2)DEAE−セルロースカラムクロマトグ
ラフィー、(3)フェニルセルロースカラムクロマトグ
ラフィー、(4)ヒドロキシアパタイトカラムクロマト
グラフィー、(5)ゲル濾過カラムクロマトグラフィー
等の方法を単独で、または適宜組合わせたり、その他の
方法を必要に応じて組合わせ用いることにより、本酵素
の精製品を得ることができる。
る。培養物中から集めた菌体を5mM EDTAを含有
する50mM燐酸緩衝液(pH7.0)に懸濁し、フレン
チプレス(アメリカン インストウルメント カンパニ
ー製)による菌体破砕処理(1500psi)を行う。
これを遠心分離して上清を集め、この上清液に硫酸アン
モニウムを加え70%飽和濃度とし硫安分画を行い、遠
心分離して沈澱部分を集める。この沈澱部分を少量の1
mM EDTAを含有する10mM燐酸緩衝液(pH7.
0)に懸濁し、同緩衝液にて一夜透析をする。予め1m
M EDTAを含有する10mM燐酸緩衝液(pH7.
0)で平衡化したDEAE−セルロファインカラムにか
け酵素を吸着させる。1mM EDTAを含有する10
mM燐酸緩衝液(pH7.0)で洗浄した後、0→0.1M
塩化カリウム濃度勾配による溶出を行い活性部分を集め
る。得られた酵素液に硫酸アンモニウムを加え1.2Mに
調整し、予め1.2M硫酸アンモニウム,1mM EDT
Aを含有する10mM燐酸緩衝液(pH7.0)で平衡化
させたフェニル−セルロース−カラムにかけ酵素を吸着
させる。同緩衝液にて洗浄した後、1.2→0.5M硫酸ア
ンモニウム濃度勾配による溶出を行い活性部分を集め
る。次に、得られた酵素液を1mM EDTAを含有す
る10mM燐酸緩衝液(pH6.0)により一夜透析を行
う。この酵素液を同緩衝液で予め平衡化したヒドロキシ
アパタイトカラムにかけ、酵素を吸着させる。同緩衝液
で洗浄した後、10→200mM同緩衝液濃度勾配によ
り 溶出を行い活性部分を集める。活性部分を濃縮後、
予め0.1M塩化ナトリウムを含有する10mM燐酸緩衝
液(pH6.0)で平衡化したトーヨーパール HW−5
5Fカラムによりゲル濾過を行い、目的とする精製酵素
を得ることができる。
方法について説明する。本発明の定量方法は、次式に示
すように、フラクトシルアミン化合物を酵素により分解
することによるものである。
ド鎖,アミノ酸またはアミン残基を示し、R2 はアルド
ース残基を示す。
トシルアミン化合物含有する液であれば如何なるもので
も適用することができる。例えば、醤油等の高濃度のア
ミノ酸,糖を含有する食品中のフラクトシルアミン化合
物の濃度を定量することができる。生体中のフルクトサ
ミンのような糖化タンパク質についても被検体を適当な
処理によりフラクトシルアミノ酸を遊離させることによ
り測定可能である。
を破壊して該酵素を可溶化した粗酵素から各段階の精製
酵素までフラクトシルアミン化合物を分解する活性を有
するものであればよい。
0〜9.0、40℃以下、好ましくはpH6.5〜8.0、温
度30〜40℃で通常5分程度反応させる。この場合に
用いる緩衝液としては、本酵素を阻害しないあらゆる緩
衝液が使用可能であり、例えば酢酸−酢酸ナトリウム緩
衝液,クエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液,燐酸カリ
ウム緩衝液,トリス塩酸緩衝液等が挙げられる。
にりアマドリ化合物を定量することが可能である。 (1)酵素反応により生成する過酸化水素を測定する方
法 本酵素の反応により生成する過酸化水素を常法の比色定
量方法,過酸化水素電極法等を用いて測定することによ
り過酸化水素濃度を定量する。次いで、予め用意した過
酸化水素量とアマドリ化合物との標準曲線によりアマド
リ化合物を定量する。なお、発色法によりアマドリ化合
物を定量する場合、前記した「力価の測定方法」に記載
した測定方法が一例として挙げられる。生体中のタンパ
ク質の糖化量を測定する場合は、予めプロテアーゼによ
り糖結合部位であるアミノ酸残基を遊離させた後に本酵
素を作用させ、同様にして測定することができる。
意した酸素消費量とアマドリ化合物との標準曲線により
アマドリ化合物を定量する。なお、酸素量の測定はワー
ルブルグ検圧法,酸素電極法等の常法により測定でき
る。
る。 実施例1 カンジダ・ギアモンディ(Candida guilliermondii)7087
(FERM BP−3878)株をジフルクトシルリジ
ン1%,燐酸2カリウム0.1%,硫酸マグネシウム0.0
5%,塩化カリウム0.05%,硫酸鉄(II)0.001
%,グルコース1.0%およびイーストエキス0.05%を
含有する培地(pH6.8)100mlを入れた坂口フラ
スコ(500ml容量)に植菌し、30℃で24時間振
盪培養を行った。
ファーメンター中の上記組成と同一の培地3リットルに
植え、通気量2.5リットル/分、攪拌速度400r.p.m
で温度を30℃、pHを5.0に制御し、24時間深部攪
拌培養を実施した。培養終了後、培養液を6000r.p.
m 、4℃にて10分間遠心分離して集菌した。得られた
培養菌体を5mM EDTAを含有する50mM燐酸緩
衝液(pH7.0)に懸濁し、フレンチプレス(アメリカ
ン インストウルメント カンパニー製)による菌体破
砕処理(1500psi)を行った。破砕液を1200
0r.p.m 、4℃にて10分間遠心分離して上清部分を集
め、280mlの上清液を得た。この上清液に硫酸アン
モニウムを加え70%飽和濃度とし、4℃にて2時間放
置した後、12000r.p.m 、4℃にて10分間遠心分
離して沈澱部分を集めた。
含有する10mM燐酸緩衝液(pH7.0)に懸濁し、同
緩衝液にて一夜透析をした。この酵素液を同緩衝液で予
め平衡化したDEAE−セルロファインカラム(直径5
cm×10cm)にかけ、酵素を吸着させた。しかるの
ち、0→0.1M塩化カリウム濃度勾配による溶出を行
い、活性部分を集めた。次に、この酵素液に硫酸アンモ
ニウムを加え1.2Mに調整し、予め1.2M硫酸アンモニ
ウムと1mM EDTAを含有する10mM燐酸緩衝液
(pH7.0)で平衡化させたフェニル−セファロースカ
ラム(直径5cm×5cm)にかけ、酵素を吸着させ
た。さらに、1.2→0.5M硫酸アンモニウム濃度勾配に
よる溶出を行い、活性部分を集めた。次に、この酵素液
を1mM EDTAを含有する10mM燐酸緩衝液(p
H6.0)により一夜透析を行った。この酵素液を同緩衝
液で予め平衡化したヒドロキシアパタイトカラム(直径
5cm×5cm)にかけ、酵素を吸着させた。10→2
00mM同緩衝液濃度勾配により溶出を行い、活性部分
を集めた。
製限外濾過膜装置(分画膜10000)にて濃縮した
後、予め0.1M塩化ナトリウムを含有する10mM燐酸
緩衝液(pH6.0)で平衡化したトヨパール HW−5
5Fカラム(直径2cm×70cm)にかけ、ゲル濾過
を行った。この活性部分を集めた結果、50.4単位の酵
素液が得られた。収率は12.2%であった。
8)20mlを121℃で15分間加圧処理し、燐酸2
カリウム0.125%,硫酸マグネシウム0.063%,塩
化カリウム0.063%,硫酸鉄(II)0. 0013%,イ
ーストエキス0.063%を含有する培地(pH6.8)8
0mlを入れた坂口フラスコ(500ml容量)に加
え、カンジダ・ギアモンディ(Candida guilliermondii)
7087(FERM BP−3878)株を植菌し、30℃
で24時間振盪培養を行った。
ファーメンター中の上記組成と同一の培地3リットルに
植え、通気量2.5リットル/分、攪拌速度400r.p.m
で温度を30℃、pHを5.0に制御し、24時間深部攪
拌培養を実施した。培養終了後、培養液を6000r.p.
m 、4℃にて10分間遠心分離して集菌した。得られた
培養菌体を5mM EDTAを含有する50mM燐酸緩
衝液(pH6.0)に懸濁し、ダイノミル(シンマル エ
ンタープライズ製)による菌体破砕処理(コンテナ容量
0.6リットル、ビーズ直径0.25〜0.5mm、流速10
リットル/時間)を行った。破砕液を12000r.p.m
、4℃にて10分間遠心分離して上清部分を集め、1
400mlの上清液を得た。この上清液に硫酸アンモニ
ウムを加え30%飽和濃度とし、4℃にて2時間放置し
た後、12000r.p.m 、4℃にて10分間遠心分離し
て上清部分を集めた。
70%飽和濃度としたのち、4℃にて2時間放置した
後、上記と同一条件で遠心分離して沈殿部分を得た。こ
の沈殿部分を少量の1mM EDTAを含有する10m
M燐酸緩衝液(pH6.0)に懸濁し、同緩衝液にて一夜
透析をした。この酵素液を同緩衝液で予め平衡化したD
EAE−セルロファインカラム(直径5cm×10c
m)にかけ、夾雑タンパク質を吸着させ、活性画分を含
む非吸着部分を集めた。
有する10mM燐酸緩衝液(pH6.0)で予め平衡化し
たヒドロキシアパタイトカラム(直径5cm×5cm)
にかけ、酵素を吸着させた。10→200mM同緩衝液
濃度勾配により溶出を行い、活性部分を集めた。
製限外濾過膜装置(分画膜10000)にて濃縮した
後、予め0.1M塩化ナトリウムを含有する10mM燐酸
緩衝液(pH6.0)で平衡化したトーヨーパール HW
−55Fカラム(直径2cm×70cm)にかけ、ゲル
濾過を行った。この活性部分を集めた結果、153単位
の酵素液が得られた。収率は27.6%であった。
燐酸緩衝液、pH7.0に溶解したもの)0.1mlに0.3
mM 4−アミノアンチピリン及び0.5mMTOOS,
2.0単位/mlのパーオキシダーゼを含有する0.05M
燐酸緩衝液(pH7.0)0.4mlを加え、37℃にて温
度平衡にした。
を保有する本酵素液0.06mlを加え、分光光度計(日
立製作所製、U−2000)により555nmにおける
2分間の吸光度変化を20秒毎に測定し、1分間当たり
の吸光度変化を求めた。その結果、ジフルクトシルリジ
ンの濃度と吸光度との間に図5のような比例関係を認
め、このことからアマドリ化合物の定量が可能であるこ
とが確認された。
た。 (1)血清タンパク質の分解 前処理試薬 プロナーゼ(和光純薬社製)10,000uを10mM 燐酸緩衝液(pH7.0)1Lに溶解し反応液(1)とし
た。
0.3mM TOOS(ドータイト社製),2u/mlパ
ーオキシダーゼ(片山化学社製)を50mM燐酸緩衝液
(pH7.0)に溶解した溶液に、最終1u/mlになる
ように本フルクトシルアミンデグリカーゼを添加し、反
応液(2)とした。
加し攪拌後、37℃で5分間保温した。引き続いて反応
液(2)を200μl添加し攪拌後、37℃で保温しな
がら1分後および5分後の545nmにおける吸光度を
分光光度計(日立製作所製、U−2000型)で測定
し、その吸光度変化を各検体の測定値とした。上記の方
法により、糖尿病患者から健常者まで100件のヒト血
清検体を測定した。なお、これらの血清試料は予めフラ
クトサミン法(フラクトサミン測定キット「NEW グ
リカ・ピー」:中外製薬社製)により糖化量を測定し
た。
用した酵素測定法は、化学的測定法(フラクトサミン
法)と高い相関性があることが示された。このように、
プロテアーゼにより適当なタンパク質分解処理を施すこ
とによって生体中のタンパク質の糖化量を測定できるこ
とが確認された。
が結合しているアマドリ化合物への反応性が高い特性を
有する新規酵素とその製造法およびアマドリ化合物の定
量方法が提供され、従来酵素法では困難であったアマド
リ化合物量の測定を容易に行うことができるようになっ
た。
る糖化タンパク質を測定する場合、フラクトサミンの測
定において本酵素法は、従来の化学的方法では避けられ
なかった生体試料中に混入する干渉物質の影響を受けに
くく、より正確に測定することができ、さらに測定機器
を汚染することもない。また、グリコヘモグロビンの測
定においては、従来法に比べ操作が簡便で手間がかから
ず、短時間で測定することができるという特色を有して
いる。
適pHを示すグラフ。
H安定性を示すグラフ。
用温度を示すグラフ。
度安定性を示すグラフ。
ラフ。
測定結果の相関を示すグラフ。
Claims (4)
- 【請求項1】 下記の理化学的性質を有するフルクトシ
ルアミンデグリカーゼ。 (a)作用及び基質特異性 本酵素は、アマドリ化合物に作用し、特にそのε−アミ
ノ酸誘導体に良好に作用して該化合物を酸化し、α−ケ
トアルデヒド,アミン誘導体及び過酸化水素を生成する
反応を触媒する。 (b)至適pH及びpH安定性 本酵素は、ジフルクトシルリジン(di-Fructosyl-lysin
e) を基質とした場合にpH5.0〜8.0において安定で
あり、また至適pHは、7.0〜8.0(燐酸緩衝液)であ
る。 (c)反応温度の範囲 反応温度は、15〜45℃の範囲である。 (d)熱安定性 本酵素は、40℃、10分間の加熱処理に対して安定で
ある。また、50℃で10分間加熱処理した場合、80
%以上が失活する。 (e)分子量 トーヨーパール HW−55Fカラムを用いたゲル濾過
法で測定した分子量は約43000である。 - 【請求項2】 カンジダ属に属し請求項1記載のフルク
トシルアミンデグリカーゼ生産能を有する微生物を培地
に培養し、培養物より該フルクトシルアミンデグリカー
ゼを採取することを特徴とするフルクトシルアミンデグ
リカーゼの製造法。 - 【請求項3】 カンジダ属に属し請求項1記載のフルク
トシルアミンデグリカーゼ生産能を有する微生物がカン
ジダ・ギアモンディ(Candida guilliermondii)である請
求項2記載の製造法。 - 【請求項4】 アマドリ化合物を含有する試料に請求項
1記載のフルクトシルアミンデグリカーゼを作用させ、
酸化反応に伴い生成する過酸化水素量、もしくは消費さ
れる酸素量を測定し、該測定値からアマドリ化合物量を
求めることを特徴とするアマドリ化合物の定量方法。
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