JPS6154595B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は表面材を含む一体成形による自動車用
座席、家具用イスのクツシヨン体の製造方法に関
するものである。

近年、熱可塑性合成樹脂シートを含む表皮材、
たとえば熱可塑性合成樹脂シート単体、あるいは
伸縮性を有する基布を接着剤を介してシートに貼
合せたレザー、あるいは生地の裏面に不通気性の
樹脂膜を貼合せた表面材等を使用して真空成形法
により付形した該表面材の凹所に、主にウレタン
フオーム等の合成樹脂発泡原液を注入硬化させる
表面材を含む一体成形法によりクツシヨン体が製
造されている。しかし、これらの表面材を使用し
ての方法では、風合の硬い合成樹脂発泡体が直接
表面材に接するため、いわゆるソフト感が損なわ
れるものであつた。

また表面材の気密性、熱可塑性を利用して表面
材とクツシヨン材を貼り合せた積層シートを凹凸
模様を形成した真空成形用雌型によつて加熱真空
吸引成形することも行なわれたが、この方法によ
ると表面材の裏面に貼着したクツシヨン材の弾力
性のために復元しようとする力がかかり浅い凹凸
模様や小さい凹凸模様などは明瞭に付形すること
ができなかつた。

本発明はこのような従来の方法の欠点を解消
し、表面の凹凸模様を明瞭に、しかも容易に付形
することができる表面材付きクツシヨン体の製造
方法を提供することを目的としたものである。

すなわち本発明は、あらかじめ所定温度に加熱
した凹凸意匠を有するとともに多数の吸引孔を設
けた真空、成形用雌型に、熱可塑性合成樹脂シー
トを含む表面材を載置し、これをあらかじめ吸引
成形して金型に密着させ、次に片面に不通気性の
合成樹脂皮膜層をあらかじめ積層させた、所定の
凹凸意匠部に合致した大きさの軟質合成樹脂発泡
体に該表面材との接着面に接着剤を塗布した後、
これを凹凸意匠部にセツトし、該合成樹脂発泡体
を、あらかじめ所定温度に加熱された雄型により
加熱圧縮して熱可塑性合成樹脂シートを含む表面
材と凹凸意匠部の軟質合成樹脂発泡体を一体に成
形して表面に凹凸意匠模様を付形した表皮材を得
る第一工程と第一工程により得られた表皮材を注
入発泡用雌型にセツトして該表皮材の凹所に軟質
又は、半硬質の合成樹脂発泡体の原液を注入発泡
する第二工程より成形された表面に凹凸模様を付
形した表面材付きクツシヨン体の製造方法、であ
る。

図面実施例に基づいて説明をする。第１図は本
発明により得られたクツシヨン体の断面図であ
る。第２〜７図は製造方法を示す説明図である。
本発明においてはまず第２図に示すように、クツ
シヨン体の表面に付形すべき凹凸模様と同一の凹
凸形状７を内面に付形した真空成形用雌型５及び
加熱圧縮用雄型６を用意する。第５図に示すよう
に本発明によつて得られるクツシヨン体の外側を
被覆する表面材の素材としては、熱可塑性合成樹
脂シートを含む表面材１とあらかじめ不通気性の
合成樹脂皮膜層３を積層させた軟質合成樹脂発泡
体２である。熱可塑性合成樹脂シートを含む表面
材１は熱可塑性合成樹脂単独、あるいは熱可塑性
合成樹脂シートと伸縮性を有する生布を貼合せた
いわゆる合成樹脂レザーが使用できる。合成樹脂
レザーは合成樹脂面を表側として使用することも
生布面側を表側として使用することもどちらでも
できる。熱可塑性合成樹脂シートはすべての熱可
塑性合成樹脂からなるシート状物が使用できる。
代表的なものはポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂などで
ある。軟質合成樹脂発泡体２はポリウレタンフオ
ーム、ポリ塩化ビニルフオーム、ポリエチレンフ
オームなどでクツシヨン性を有し加熱プレス変形
性を有するものである。使用する発泡体の厚さは
凹凸意匠の深さにより適宜選択することができる
が３〜50ｍ／ｍが適当である。

不通気性の合成樹脂皮膜層３は、使用する軟質
合成樹脂発泡体２のプレス変形温度より軟化点が
高いものを使用することが好ましい。又、その厚
味は使用する発泡体の厚さ、種類によつて異なる
が10〜１，000μのものが好ましく、又、クツシ
ヨン体の性質上柔軟性を有するものが好ましい。
不通気性の合成樹脂皮膜層３としては、ポリエス
テル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート
樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂などの合成
樹脂が使用できる。積層方法は、カレンダー法、
押出法などで得られる皮膜を接着剤を介してラミ
ネートしても良いし、又、樹脂溶液をシリコーン
ペーパー上に塗布し、これを加熱乾燥して皮膜を
形成した後この皮膜層上に接着剤を塗布し発泡体
を貼合せ、接着剤を反応硬化させて積層させても
良い。まず、第２図に示すように表面材１を雌型
５のフランジ面に載置し、押え枠８で周囲を止め
吸引孔７から吸気し真空成形を行ない雌型内面に
密着させる。次に雌型凹凸意匠部に合致した大き
さの軟質又は半硬質合成樹脂発泡体２の熱可塑性
合成樹脂シートを含む表面材との接着面に接着剤
を塗布して、これを、第３図に示す様に意匠面に
沿わせて載置する。この際使用する接着剤はエマ
ルジヨンタイプ、溶剤タイプ、ホツトメルトタイ
プのものが適する。次に、凹凸意匠形状に合成樹
脂発泡体２を加熱圧縮すべく雄型６を降下させ
る。表皮材１は第４図に示すように雌型５の型面
通りに容易に成形され、合成樹脂発泡体２も所定
の凹凸意匠通りの形状に加熱プレス成形される。
この際雌型５は熱可塑性合成樹脂シートの軟化温
度である50〜170℃に加熱しておき、雄型６は120
〜230℃に加熱し、プレス時間は１分〜10分であ
る。又、吸引時間は適宜、表皮材の厚味、種類に
より選択することができる。かくして、表皮材１
は真空成形によつて所定形状を保持するとともに
凹凸意匠部においては、軟質又は半硬質合成樹脂
発泡体２が表皮材１の裏面の形状に沿つた形状に
変形し、その形状を保つたまま同時に表皮材１と
一体に接着される。また、不通気性の合成樹脂皮
膜層３は、軟質合成樹脂発泡体２のプレス変形温
度より軟化点が高いため、雄型の加熱により損傷
を受けることがない。なお、この実施例の場合雄
型６は表面が平面状であるが必要に応じて凹凸形
状のものを使用することもでき、このような雄型
６を使用した場合は、軟質合成樹脂発泡体２の裏
面には雄型６の凹凸形状に応じた凹凸形状が形成
される。表面材成形後雌型より脱型して第５図に
示すような表面材を得ることができる。この様に
して、第一工程により得られた表面材は、熱可塑
性合成樹脂シートを含むものであるから容易に加
熱真空成形することができ、成形型の内面に形成
された凹凸形状通りに明瞭に凹凸形状が付形され
た表面材となる。又、軟質合成樹脂発泡体は加熱
プレス変形性を有するから、これを表面材の裏側
に載置し、雄型と雌型により加熱プレスすると容
易に凹凸形状が付形される。次に、この表面材を
第６図に示す様に、別途用意された発泡型１０に
セツトし、該表面材の凹所内に軟質又は半硬質の
合成樹脂発泡体の原液１２を注入し、第７図のよ
うに蓋型７によつて閉塞したのち未発泡原液１２
を発泡させれば、第１図の様に所望の形状が発泡
された発泡成形体１３と該表面材とが一体化され
た表面材付きクツシヨン体を得ることができる。

実施例 表面材として、基布に伸び率タテ200％、ヨコ
250％を用いた塩化ビニルレザーを第２図に示す
様なあらかじめ120〜130℃に加熱されたフランジ
よりの深さ200ｍ／ｍ、凹凸意匠面の深さ10ｍ／
ｍの雌型５に塩化ビニル面が雌型に接するように
セツト後吸引孔９より排気吸引して真空成形を行
なつた。

次に、フラツトな剥離紙上に、軟化点180℃の
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を乾燥
厚味60μになるように塗布し、これを加熱乾燥し
て皮膜を形成せしめた後、この皮膜上に二液型ポ
リウレタン系接着剤を塗布し、別に用意した密度
20Kg／m³、厚味15ｍ／ｍの軟質ポリウレタンフオ
ームを貼合せ加熱して接着剤を反応硬化させた
後、剥離紙より剥離して得られた皮膜層３付き軟
質ポリウレタンフオーム２を凹凸意匠部と同等の
大きさに裁断、皮膜層と反対面にエマルジヨンタ
イプ接着剤をスプレー塗布して、真空成形された
塩化ビニルレザーの該意匠部に載置し、あらかじ
め160〜170℃に加熱された雄型６によつて３分〜
４分加熱圧縮後、第５図に示す様な凹凸模様が明
瞭に付形された表皮材を得た。

次に、この表皮材を別に用意した型温45℃の発
泡用雌型１０にセツトして、 ポリマーポリオール 40部 ポリエーテル 60部 水 ３部 シリコンオイル １部 触媒 0.5部 MDI／TDI（＝45／55） 53部 よりなる発泡体原液を注入し、フタ締めをして、
65℃雰囲気中で６分間発泡硬化した後脱型、第１
図に示す様な、立体的に付形された意匠性及び表
面風合の良好なクツシヨン体を得ることができ
た。

本発明は以上のようであるから次の様な効果を
奏する。

真空成形方法で表面材を所定形状に成形する
と同時に、軟質合成樹脂発泡体を加熱圧縮し
て、接着及び所定形状に付形させることよりウ
エルダー方法では不可能な自由な形状の意匠あ
るいは立体付形が可能であり、又、表面材の凹
所に対して軟質又は半硬質の合成樹脂発泡体を
注入発泡して一体化することよりアツセンブリ
ー工程が簡略化される。

軟質合成樹脂発泡体の裏面に、該発泡体のプ
レス変形温度より軟化点の高い不通気性の合成
樹脂皮膜層を使用しているため、加熱圧縮時に
損傷を受けることがない。従つて、軟質又は半
硬質の合成樹脂発泡体原液を注入しても、軟質
合成樹脂発泡体に含浸して硬化することがな
く、表面風合を損ねることがない。

本発明によつて得られたクツシヨン体は、車輌
用や家具用イスのクツシヨン体として使用するこ
とができ、又、クツシヨン性装飾材、たとえば内
装用装飾クツシヨンとしても使用でき、その高い
装飾性とクツシヨン性により用途は広いものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によつて得られたクツシヨン体
の縦断面図、第２図乃至第４図は表面材の成形工
程の説明図、第５図は表面材の縦断面図、第６
図、第７図はクツシヨン体の成形工程の説明図で
ある。 １……表面材、２……軟質合成樹脂発泡体、３
……不通気性の合成樹脂皮膜層、４……発泡成形
体、５……雌型、６……雄型。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ あらかじめ所定温度に加熱した凹凸意匠を有
   するとともに多数の吸引孔を設けた真空、成形用
   雌型に、熱可塑性合成樹脂シートを含む表面材を
   載置し、これをあらかじめ吸引成形して金型に密
   着させ、次に片面に不通気性の合成樹脂皮膜層を
   あらかじめ積層させた、所定の凹凸意匠部に合致
   した大きさの軟質合成樹脂発泡体に該表面材との
   接着面に接着剤を塗布した後、これを凹凸意匠部
   にセツトし、該合成樹脂発泡体を、あらかじめ所
   定温度に加熱された雄型により加熱圧縮して熱可
   塑性合成樹脂シートを含む表面材と凹凸意匠部の
   軟質合成樹脂発泡体を一体に成形して表面に凹凸
   意匠模様を付形した表皮材を得る第一工程と、第
   一工程により得られた表皮材を注入発泡用雌型に
   セツトして該表皮材の凹所に軟質又は半硬質の合
   成樹脂発泡体の原液を注入発泡する第二工程より
   成形された表面に凹凸模様を付形した表面材付き
   クツシヨン体の製造方法。