JPS6154510B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は鉄鋼製造業で使用する取鍋等の溶融金
属容器のライニング（内張り耐火物）の施工方法
の改良に関するもので、具体的には容器のライニ
ングの内の永久張り（パーマライニングまたは外
張りともゆう）の損傷を軽減し、さらに最も異常
溶損し易い側壁と敷との境界部の損傷を防止する
と同時に全体を不定形耐火物主体でライニングす
ることによつて作業性の向上を図り、使用寿命を
延命させる溶融金属容器を提供することを目的と
する。 近年取鍋内精練等溶融金属容器内で激しい溶鋼
撹拌という従来にない荷酷な使用条件が増加して
いるので、内張り耐火物の損傷が甚だしく、容器
からの湯洩れ事故に対して万全の安全対策を購じ
たライニングの構成を行う施工方法が求められて
いる。 従来の溶融金属容器のライニングは第１図に取
鍋の縦断側面図の例で示す如く、ライニングの最
も外側にある側壁永久張り１ならびに敷永久張り
２はプレス成形による焼成もしくは不焼成の耐火
煉瓦で目地によつて煉瓦積されている。即ち個々
の煉瓦に耐火モルタルをこて塗りしながら接着さ
せつゝ積上げて施工してゆくので縦横の多数の目
地の存在は避けられない。取鍋の場合使用途中の
耐火物の溶損状況に応じて全修理、中修理あるい
は熱間補修等側壁内張３および敷内張り４の修理
施工が繰返えされるが、前記の永久張り（パーマ
ライニング）は何代もの長期間に亘つて使用され
るので、この間前記の内張りの修理施工の都度機
械による取壊し作業の衝撃、振動あるいは取鍋の
移動に伴う衝撃、振動等を繰返し受けるため永久
張りの煉瓦目地がゆるみいわゆる目地開きの状況
が発生しやがて永久張りの耐火煉瓦も動き易くな
る。 この様な状況に至つている時に、前記内張り
（ワークライニング）の溶鋼、溶滓による異常溶
損または溶損程度の判断ミスがあると、取鍋内の
溶鋼が永久張りにまで達して前述のゆるんだ目地
を通過し、この程度が大きくなると外殻の鉄皮を
溶かして湯洩れとゆう重大事故となる。 また従来のライニングの今一つの欠点は、第１
図に示すように側壁内張り３の下端部が敷内張り
４の上面から直接立上る構造で築造されているこ
とである。従つて両者内張り耐火物の接触面は平
面接触となり密着性が弱くこの部分に取鍋内の溶
鋼もしくは溶滓が浸入し易い。取鍋への数回の受
鋼によつて内張り耐火物が加熱され膨脹して該接
触面がなじむまでは溶鋼・溶滓の浸入が続くこと
になり、さらに使用回数が多くなると一般的に側
壁内張り３の耐火物より敷内張り４の耐火物の方
が熔損が激しいことから、第２図に示す溶損部５
の如く側壁内張り３の下部が空胴状態となり、さ
らに敷内張り４の溶損の進行に伴つて側壁内張り
３も下端から溶損されたり剥離して側壁永久張り
煉瓦まで損傷が及ぶことがある。その防止対策と
しては (1) 第１図に示す如く、側壁内張り３の下部の内
壁に沿つて全周に亘つて側壁保護煉瓦積６を数
段施工して側壁内張り３と敷内張り４との接触
面を保護する方法。 (2) 側壁内張り３の下部に位置する敷内張り煉瓦
を、その他の敷内張り煉瓦より耐溶損性の優れ
た材質を使用して施工する方法。 (3) 側壁内張り下部と敷内張りとの接触面を平面
接触とせず複数面とする、例へば接触面に凸凹
状、波形状の煉瓦を使用して接触面積を大きく
して密着性を高め溶鋼の浸入を妨害する施工方
法。等がある。 前記(1)の施工方法では、取鍋を10数回使用する
と側壁内張り３の内壁と側壁保護煉瓦積６との間
に間隙が生じ、そこに溶鋼や溶滓が浸入して煉瓦
積の一部が内側に押し倒されて一部が脱落する
と、円周方向に目地開きが生じて早期に全体が脱
落するに至るので効果はうすくまた不経済であつ
た。 また前記(2)の敷内張り煉瓦４が外周部を耐溶損
性の高い煉瓦で製造した場合では、外周部におけ
る溶損損程度は減少するが、側壁と敷の平面接触
に基づく溶鋼の側壁下部への浸透を防止できない
とゆう欠点があつた。 また前記(3)の側壁下部に接する敷煉瓦を特殊形
状の煉瓦で築造することは溶鋼の差し込み防止に
効果はあるが、敷煉瓦の形状の種類が増加するこ
と、また複雑な形状の煉瓦は製造上の点で問題が
ある。 さらに特に敷煉瓦は従来永久張り、内張り共に
煉瓦積であり、溶損の影響および前述した目地開
きの危険を少しでも減らすために目地の少い施工
つまり大型煉瓦を使用するために、人手による築
炉作業では限界に近い20Kg以上の重量物煉瓦を狭
い場所で無理な姿勢で作業をしなければならずそ
のための職業病も発生する。また容器内の限られ
た場所の施工であるため作業員を増やして施工日
数を短縮するにも限界があつた。さらに最近は熟
練した築炉工が少くこの整員体制の面でも問題が
ある。 以上従来のライニングの問題点を詳述したが、
最近はさらに容器の使用寿命の向上ひいては耐火
物原置位の低下の要請から、永久張り（パーマラ
イニング）の一部が露出するまで使用を続けるの
で永久張りの強化が重要な改良点である。 本発明は前述したような問題に鑑みてこれらを
改善するためになされたもので、従来のライニン
グが耐火煉瓦積みであることによつて有する欠点
を解消して目地なし一体構造のライニング施工と
し、また容器内溶鋼の差込みが、敷内張りの上に
側壁内張が直接立上るやうな施工方法に起因する
ことに着目してその箇所を強化し、溶鋼浸透の完
全防止および施工性の向上を図るものである。 次に取鍋を例にとつて本発明施工方法を図面に
よつて説明すると、第３図において側壁ライニン
グの最も外側（鉄皮側）を不定形耐火物７で施工
し、その内側を耐火煉瓦のライニング８で築造し
この両者を永久張り（パーマライニング）とす
る。その内側をさらに不定形耐火物９で施工して
内張り（ワークライニング）とする。 側壁不定形永久張り７は耐溶損性に優れ亀裂発
生の少い耐火物を撰定することは勿論であるが、
鉄皮からの放熱損失を抑えるため断熱性を共有す
る耐火物を流し込みによつて施工することが望ま
しいが、スタンプ、こて塗り施工でもよい。また
その内側の側壁煉瓦永久張り８は、側壁不定形内
張り９の熔損時にそなえかつ長期間の使用に堪え
る様、耐溶損性、機械的強度に優れ荷重軟化点に
おいても高い適性品種のものを撰定して煉瓦積を
行う。 側壁不定形内張り９は通常型枠を使用した流し
込みにより施工されるが、材質は溶鋼、溶滓に対
する耐熔損性と剥離現象の少いことは勿論、乾燥
中および高温加熱冷却の繰返しによつても亀裂発
生の少い耐火物を撰定して施工する。 以上述べた様に側壁永久張りを二層にすること
によつて、側壁不定形内張り９が溶損して側壁永
久張り煉瓦８が露出する時点が容易に判定できる
ので補修の時期をあやまることなく、万一煉瓦積
の目的開きで溶鋼がその裏側に差し込むことがあ
つても、永久張り不定形７は目地なし一体物であ
るからこれを通過して溶鋼が鉄皮を溶かすことは
ない。 次に敷のライニングについて説明すると、第３
図において１０は不定形耐火物で築造された敷永
久張り、１１は大型プレキヤスト耐火物で築造さ
れた敷内張りである。本発明では前述した様な敷
ライニングの煉瓦積に基因する問題点を解決する
ために敷の全面を永久張り、内張り共不定形耐火
物で施工することを特徴とする。敷永久張り１０
は流し込み施工が望ましいが、スタンプもしくは
こて塗り施工でもよい。また敷内張り１１の耐火
物は、別の場所で金枠などに不定耐火物を鋳込み
またはスタンプして乾燥させた大型ブロツクが使
用される。大型ブロツクは敷全体を一度に施工す
る一体物でもよいし数個に別けた分割ブロツクで
もよいが大型であるため運搬、搬入、施工はすべ
てクレーンを使用する。 敷のライニングは以上のような構成であるから
内張り、永久張り共目地が全くないか僅かであ
り、目地開きに基因する溶鋼の浸入はなく、また
鍋を排滓時に逆さにする場合の煉瓦の落下、もし
くは溶鋼の受入れ時の比重の差による煉瓦の浮上
等の現象はなく、さらに不定形耐火物とプレキヤ
スト耐火物は流し込み施工とクレーンによる据付
けによつて築炉が可能であるから、熟練した築炉
工が不要であるばかりでなく機械化による省力
化、工期の短縮および作業環境の改善を図ること
ができる。 次に従来の溶融金属容器においては、前述した
様に側壁と敷との接触面の溶損が激しく第２図の
溶損部５に示す如くなるが、本発明はこれを防止
するため第３図の取鍋の例で示す如く次のような
特徴を有する側壁内張り施工方法を創案した。 即ち特徴の第１は、敷内張り１１の端部１２は
側壁永久張り煉瓦８との間に間隙部を設けて築造
されることで、この間隙部は側壁不定形内張り９
のライニング厚さに相当する程度の巾を全周に亘
つて設けておくのがよい、次いで側壁不定形内張
り９の下部が、前記間隙部と敷内張りの端部１２
をすべて覆うように不定形耐火物で埋めることを
第２の特徴としている。従つて側壁内張り９は敷
永久張り１０と敷内張り煉瓦１１の両面から立上
つて築造される。さらに側壁内張り９の下部を第
３図に示すように内側に傾斜面１３を作り取鍋の
中心方向へ突出する如く形成させることを第３の
特徴としている。従つて側壁内張りの下部は内側
に突出した分だけライニング厚さが上部より厚く
なつている。なおこの厚くなる部分は少くとも10
cm以上あることが好ましい。 この不定形耐火物による側壁内張り９の築造は
敷内張り１１の上に側壁内張り厚さに対応させた
型枠（中子）を設置して流し込みによつて施工す
るのが好ましいが、他の施工方法例へばコテ塗
り、ガン吹付け等によつて施工してもよい。 本発明では側壁下部の施工方法は上記のような
構成であるから、容器内の溶鋼や溶滓が側壁永久
張りに至る経路は平面ではなく、複雑に屈折しか
つ距離も長くなるのでその浸入を妨げられる。さ
らに側壁内張りは最も溶損し易い下部が脱落し難
い不定形耐火物で容器内に突出する如く厚く形成
され同時に敷内張りの端部をも保護することにな
るので、第２図に示すように熔損が進行して側壁
内張りの下部が空胴状態になることは完全に防止
できる。 次に示す第１表は本発明のライニング施工方法
の実取鍋における実施例であり、第２表は第１表
の施工方法によるものと、第１図に示した従来の
施工方法によるものとの鍋成績の比較表である。

【表】

【表】 上表により明らかな様に本発明の施工方法によ
れば施工工数は従来方法の1/2に短縮され、地金
差込みがなくなつたことにより永久張りは側壁、
敷共に半永久的に使用できる様になり従つて安全
にかつ少い取鍋数で造塊作業を行うことができ
る。また熟練した築炉工も僅かですみ整員計画上
も大きな効果があがつた。 なお本発明のライニング施工方法は、取鍋のみ
ならず溶融金属容器の何れのライニング施工にも
適用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のライニング施工を示す縦断側面
図、第２図は第１図の使用后の溶損状態を示す縦
断側面図、第３図は本発明のライニング施工方法
の実施例を示す縦断側面図である。 第３図において、７……側壁不定形永久張り、
８……側壁煉瓦永久張り、９……側壁不定形内張
り、１０……敷永久張り、１１……敷内張り、１
２……敷内張り端部、１３……側壁下部突出部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 溶融金属容器の側壁永久張りの外側を不安形
   耐火物、内側を耐火煉瓦で築造し、次いで敷の永
   久張りの上に不安形耐火物敷の内張りをプレキヤ
   スト耐火物で築造し、さらに上記耐火煉瓦の側壁
   内張りを形枠による流し込みにより不定形耐火物
   で築造する溶融金属容器のライニング施工方法。 ２ 敷の内張りを側壁永久張りと間〓部を設けて
   築造し、次いで側壁内張りの下部が前記間〓部と
   敷内張りの端部を覆いかつ容器の中心方向へ突出
   する如く側壁内張りを築造した特許請求の範囲第
   １項記載の溶融金属容器のライニング施工方法。