JPS6154508B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は鉄鋼製造業で使用する取鍋等の溶融金
属容器のライニング（内張り耐火物）の施工方法
の改良に関するもので、具体的には内張り耐火物
全体の中で最も異常溶損し易い場所である側壁と
敷との境界部の損傷を防止すると同時に作業性の
よい内張り施工方法を提供し、溶融金属容器の使
用寿命の向上を図ることを目的とする。 従来の溶融金属容器の内張りは、第１図に取鍋
の例で示す如く側壁内張り２の下端部が敷内張り
煉瓦３の上面から立上る構造で築造されていた。
従つて両者内張り耐火物の接触面は水平目地で密
着性が弱くこの部分に取鍋内の溶鋼もしくは溶滓
が浸入し易く、取鍋への数回の受鋼後両内張り耐
火物が加熱され膨脹して該接触面がなじむまでは
溶鋼・溶滓の浸入が続くことになる。さらに使用
回数が多くなると一般的に側壁内張り２の耐火物
より敷内張り３の耐火物の方が溶損が激しいこと
から、側壁内張り２の下部に空胴が発生し、さら
に敷内張り３の溶損の進行に伴つて第２図の溶損
部４に示す如く、側壁内張り２も下端から溶損さ
れたり剥離して側壁永久張り煉瓦１まで損傷が及
ぶことがある。その対策としては (1) 第１図に示す如く、側壁内張り２の内壁下部
に沿つて全図に亘つて側壁保護煉瓦積５を数段
施工して側壁内張り２と敷内張り３との平面接
触面を保護する方法。 (2) 側壁内張り２の下部に位置する敷内張り煉瓦
を、その他の敷内張り煉瓦より耐溶損性の優れ
た材質を使用して施工する方法。 (3) 側壁内張り下部と敷内張りとの接触面を平面
接触とせず複雑面とする、例えば接触面に凸凹
状、波形状の煉瓦を使用して接触面積を大きく
して密着性を高め溶鋼の浸入を妨害する施工方
法がある。 前記(1)の施工方法では、取鍋を10数回使用する
と側壁内張り２の内面と側壁保護煉瓦積５との間
に間隙が生じ、そこに溶鋼や溶滓が浸入して煉瓦
積５の一部が内側に押し倒され一部が脱落する
と、円周方向に目地開きが生じて早期に全体が脱
落するに至るので効果はうすくまた不経済であつ
た。 また前記(2)の敷内張り煉瓦３の外周部を耐溶損
性の高い煉瓦で築造した場合では、敷の溶損は減
少するが側壁と敷の接触面の水平目地からの溶鋼
の浸入を防止することはできないという欠点があ
つた。 また前記(3)の側壁下部に接する敷煉瓦を特殊形
状の煉瓦で築造することは溶鋼の差し込み防止に
効果はあるが、敷煉瓦の形状の敷類が増加し、ま
た複雑形状の耐火煉瓦の製造上の点においても問
題がある。 さらに近年取鍋内精練に伴う激しい溶鋼撹拌と
いう従来にない苛酷な使用条件が増加してくる
と、溶鋼流の対流のため特に側壁内張り２と敷内
張り３の接触個所附近の溶損が激しくなく、側壁
永久張り１を突き破つて湯洩れ事故につながる恐
れが生じてきた。 本発明は上記の問題に鑑みてこれを改善するた
めになされたもので、前記接触面からの溶鋼の浸
入は、第１図に示す如く敷内張り３の上に側壁内
張り２が立上るような築造構成に起因することに
着目し、先ずこの点を改良し、次に不定形耐火物
を前記接触個所の保護壁として目地なし一体構造
にすることによつて施工性の向上と溶鋼浸入の完
全防止とを図るものである。 即ち本発明の要旨とするところは、側壁内張り
を敷永久張りから立設し、該敷永久張りの上部に
設けた敷内張りの外殻部を前記側壁内張りと接し
ないように隙間を開けて設け、該隙間と前記外殻
部を埋める如く側壁内張りの内壁下部全周に亘つ
て不定形耐火物で保護壁を築造することを特徴と
する溶融金属容器の内張りおよび保護壁の施工方
法にある。 次に図面に基づいて本発明の施工方法を説明す
ると、第３図は取鍋における本発明の実施例で６
は敷永久張りの煉瓦であり、７はその上に直接立
上るように築造した側壁内張りである。８は前記
敷永久張り６の上に築造された敷内張りの煉瓦で
あり、本発明で重要なことはこの敷内張り８の煉
瓦積の外殻部８′が前記側壁内張り７に密着する
ことなく隙間をもうけて築造されることである。 次いで前記隙間と外殻部８′および側壁内張り
７の下部内側を埋める如く全周に不定形耐火物の
保護壁９を設けるものであるが、この不定形耐火
物の保護壁は中子を使用して流し込み施工をする
ことが好ましいがコテ塗り、ガン吹付け等他の方
法によつて施工してもよい。 なお保護壁９の高さ、厚さ、形状は施工する容
器の内張りの溶損形態によつてそれぞれ任意に変
更できる。例えば取鍋において排滓側の側壁下部
附近が最も溶損する場合、その部分を他の個所よ
り厚く施工するには流し込み用中子（型枠）を加
減すればよく、いかなる高さ、形状についても予
め型枠をその様に設計しておけばよい。また保護
壁９を取鍋の使用過程で早く薄くする必要がある
場合はこれに用いる不定形耐火物の材質を撰択す
ることによつて自然溶損によつてこの調整ができ
る。 特に留意すべき点は、敷内張りの外殻部８′の
端部上面は少くとも５〜６cmもしくは保護壁９の
厚さの1/2程度を保護壁９の不定形耐火物で覆う
ようにするがよい。 本発明の施工方法は上記の様な構成であるか
ら、側壁内張り７が敷永久張り６から直接立上つ
ており、かつ側壁内張り７の下部と敷内張り８と
は接触せず、その個所に不定形耐火物からなる保
護壁９が前記個所を総て覆う構造で立上り施工さ
れるので、鍋内の溶鋼が側壁内張り７まで至る流
路は平面ではなく、前記個所で複雑に屈折し距離
も長くなるので溶鋼の浸入を妨げ、第２図に示す
ような側壁内張り下部の溶損を防止することがで
きる。 次に示す第１表は本発明の内張り施工方法の実
取鍋における実施例であり、第２表は上記第１表
の施工によるものと第１図に示した保護煉瓦積５
を設けた従来の施工によるものとの鍋成績比較表
である。

【表】

【表】 使用回数である。
上記第２表から明らかなように本発明の溶融金
属容器の内張り施工方法は、従来例の煉瓦積の保
護壁を設けるものに比べて保護壁の施工に要した
工数は約1/6と少く、側壁と敷の境界部を不定形
耐火物で覆うので側壁下部の寿命も約４倍に延長
され、鍋使用中の熱間吹付補修に用いた補修材の
使用量や側壁下部への地金差し込みにおいても極
めて優れていることがわかる。また従来異状溶損
個所であつた側壁下部の寿命が大巾に延長される
ことによつて取鍋全体の溶損のバランスがとれ長
期間連続使用が可能となつた。 なお本発明の施工方法は、取鍋のみならず溶融
金属容器の何れの側壁と敷に対しても適用するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の内張り施工を示す縦断側面説明
図、第２図は従来の内張り施工の使用后の溶損状
態を示す縦断側面説明図、第３図は本発明の施工
方法による内張りを示す縦断側面説明図である。 ６……敷永久張り、７……側壁内張り、８……
敷内張り、８′……敷内張りの外殻部、９……不
定形耐火物の保護壁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 煉瓦の敷永久張りと、その上に煉瓦の敷内張
   りを設け、さらに前記敷永久張りの上部周囲に側
   壁内張りを設けてなる溶融金属容器において、 上記敷内張り８の外殻部８′と側壁永久張りの
   煉瓦１との間に隙間を設け、該隙間に枠を入れて
   不定形耐火物を流し込むことにより、上記敷永久
   張り６の上に不定形耐火物の側壁内張り７を立設
   し、次いで上記敷内張りの外殻部８′と上記側壁
   内張り７との間に枠による不定形耐火物の流し込
   みにより保護壁９を設けることを特徴とする溶融
   金属容器の内張りおよび保護壁の施工方法。 ２ 上記敷内張りの外殻部８′の端部上面は少な
   くとも５〜６cmまたは保護壁９の厚さの1/2程度
   を保護壁９で覆うようにしたことを特徴とする特
   許請求の範囲第１項記載の溶融金属容器の内張り
   および保護壁の施工方法。