JPH0636474Y2 - 溶融金属容器の敷部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は溶融金属容器の敷部構造に関するものである。

［従来の技術］ 転炉、電気炉等の精錬炉で精錬された溶融金属は取鍋に
供給された後、所定の鋳型に注入されたり、取鍋に収容
された状態で二次精錬を受けることもある。このように
取鍋は、高温の溶融金属を収容し場合によっては苛酷な
精錬反応に暴露されるため、ライニングした耐火物の損
傷が激しい。このためライニングの補修作業を頻繁に行
う必要が生じている。

しかして耐火物原単位改善のために提案されたものとし
て、実開昭53−102922号公報、実開昭60−121199号公報
が公知である。前者は、パーマネント煉瓦の上部に、中
央に定形煉瓦を配置し、その周囲に不定形耐火物を充填
した鋳込み容器の敷部構造に関するもので、後者は、目
地部の溶損、構造的スポーリングによる異常摩耗による
耐火物の損傷があっても、第２層目のパーマネントレン
ガの損耗を防止するために４層構造とするものである。

［考案が解決しようとする課題］ これら提案された敷部構造のものは、いずれも湯当り部
を中心に目地部の溶損が周辺に拡大化し、溶損部に地金
の侵入が起り耐火物の溶損・脱落が拡大し早期に全面補
修が必要となる。

このため本考案は目地溶損の拡大を効果的に防止できる
溶損金属容器の敷部構造の提供を目的とする。

［課題を解決するための手段］ すなわち、本考案は外殻より１層目をパーマネントライ
ニングレンガ、２層目を準パーマネントレンガとし、そ
の上部３層目の湯当り部に大型プレキャストブロックを
配置し、その周囲に不定形耐火物を配設した溶融金属容
器の敷部構造において、前記準パーマネントライニング
レンガの一部を高さの高い準パーマネントライニングレ
ンガとし、これを前記大型プレキャストブロックの周囲
に周設して地金侵入拡大防止堰を形成したことを特徴と
する溶融金属容器の敷部構造である。

［作用］ 本考案は、このように湯当りブロックの周囲に高さの高
い準パーマネントライニングレンガを部分的に周設して
地金侵入拡大防止堰を形成した構造であるため、目地溶
損の発生しやすい位置においても、該堰によって地金の
侵入拡大が効果的に防止される。

該堰の高さは準パーマネントライニングレンガの通常の
ものより５〜230mm程度高いものが好ましい。すなわ
ち、5mm未満では堰としての機能が不十分であり、一
方、230mm超では敷ウエアライニング厚みが少くなり溶
損が進行すると堰用の高さの高い準パーマネントライニ
ングレンガが露出し好ましくない。

［実施例］ 図面は本考案の実施例を示し、第１図は内容積250t溶鋼
取鍋の敷部構造を示す部分断面図、第２図は敷部平面
図、第３図は敷湯当り部に配置する大型プレキャストブ
ロックの形状を示す。図において１は鉄皮、２は鉄皮を
保護するパーマネントライニングレンガ、３はパーマネ
ントライニングレンガの上部に配設した準パーマネント
ライニングレンガで高さ65mmである。４は前記パーマネ
ントライニングレンガ３と同じ材質のレンガで高さ114m
mの高さの高い準パーマネントライニングレンガであ
り、大型プレキャストブロック５の周囲に間隔ｌ（230m
m）を有して周設してある。

前記大型プレキャストブロック５は高さ460mm×幅1000m
m×長さ1000mmで頂部は580mmRのもので、事前に200〜35
0℃で乾燥させてあり湯当り部に配置している。敷ウエ
アライニング６は一般敷であり、前記大型プレキャスト
ブロック５と同材質の不定形耐火物を流し込んだもので
ある。尚、７は側壁耐火物、８は注入口、９はポーラス
羽口を示す。

本例の場合、第２層目の準パーマネントライニングレン
ガ３の一部を高さの高い準パーマネントライニングレン
ガ４とし、これを湯当りの大型プレキャストブロック５
の周囲に周設して、地金侵入拡大防止堰を形成したので
目地溶損の拡大が効果的に抑制できる。

しかして、本実施例の構造で築造した内容積250t溶鋼取
鍋と、地金侵入拡大防止堰のない他は本実施例と同一の
構造で築造した同容積の溶鋼取鍋の使用結果を比較して
下表に示す。

上記表から明らかな如く本考案の場合、敷地金侵入は堰
内に留め、敷ウエアライニング６、大型プレキャストブ
ロック５の取替解体時に侵入地金は簡単に取れる、さら
に敷ウエアライニング６の地金侵入による浮き上りもな
く解体範囲は大型プレキャストブロック５のみで事故防
止、使用炉材量の削減が可能である。これに対し従来法
の場合、準パーマネントライニングレンガ３と敷ウエア
ライニング６間に地金に敷全体に侵入し、使用回数が進
むと侵入地金も厚くなり、敷ウエアライニング６の浮き
上りとなる。

使用中に浮き上ると事故発生となるため侵入範囲の地金
除去が必要で一般敷の全面解体を要した。

［考案の効果］ このように本考案は大型プレキャストブロックの周囲に
高さの高い準パーマネントライニングレンガを部分的に
周設して地金侵入拡大防止堰を形成した構造であるた
め、敷全体への地金侵入を効果的に防止し、不定形耐火
物からなる一般敷ウエアライニングの浮上を防止できる
ので整備のための人件費、炉材コストの大巾な削減が可
能である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は溶鋼取鍋の敷部
構造を示す部分断面図。 第２図は敷部平面図、第３図は湯当り部に配置する大型
プレキャストブロックの形状を示す。 １…鉄皮 ２…パーマネントライニングレンガ ３…準パーマネントライニングレンガ ４…高さの高い準パーマネントライニングレンガ ５…大型プレキャストブロック ６…敷ウエアライニング ７…側壁耐火物 ８…注入口 ９…ポーラス羽口

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 阿部 恭久 愛知県東海市東海町５―３ 新日本製鐵株 式会社名古屋制鐵所内 (56)参考文献 実公 昭47−41362（ＪＰ，Ｙ１)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】外殻より１層目をパーマネントライニング
   レンガ、２層目を準パーマネントライニングレンガと
   し、その上部３層目の湯当り部に大型プレキャストブロ
   ックを配設し、その周囲に不定形耐火物を配設した溶融
   金属容器の敷部構造において、前記準パーマネントライ
   ニングレンガの一部を高さの高い準パーマネントライニ
   ングレンガとし、これを前記大型プレキャストブロック
   の周囲に周設して地金侵入拡大防止堰を形成したことを
   特徴とする溶融金属容器の敷部構造。