JPS6028960Y2 - 耐火物の流し込み施工用型枠 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は製鉄業において溶鋼のような高温溶湯を移動
あるいは反応処理するために収容する容器の内、特に円
形もしくは円形に近い容器例えば取鍋、溶銑鍋、真空脱
ガス容器等の高温処理炉の側壁を不定形耐火物で流し込
み施工する場合に使用する型枠の改良に関する。

前記高温処理炉の内張り耐火物の施工は近来、不定形耐
火物による流し込み方法によるものが増加している。

例えば取鍋の側壁ワークライニングの施工は第１図縦断
面図、第２因子面図に示すように取鍋１内のほぼ中央で
、かつ側壁ワークライニング２の施工厚さに対応する間
隙を空けた位置に、円筒形の型枠３を設置し、上部より
流し込み用の不定形耐火物を前記間隙に流し込む方法が
行われている。

この様な従来の型枠を用いて施工した取鍋における第１
の問題点は、側壁ワークライニング２と敷ワークライニ
ング４の接触部位に取鍋内の溶鋼・溶滓が浸透して、使
用回数を重ねると第３図の５に示すようなコーナ一部の
溶損状態となるため早期に内張りの張り替え補修工事を
する必要があった。

この防止策として第４図に示すように側壁ワークライニ
ング２の内張下部に沿って全周に亘って側壁保護煉瓦積
６を数段施工して、側壁ワークライニング２と敷ワーク
ライニング４の接触面（コーナ一部）を保護する方法が
とられたが、取鍋を１部回使用すると側壁２と煉瓦積６
との接触面に間隙が生じてそこに溶鋼・溶滓が浸透し、
煉瓦積のある一部が内側に押し倒されることになる。

１部の煉瓦積が脱落すると円周方向に目地開きが生じ張
りがなくなって容易に全体が脱落するに至る。

それでも内張り耐火物が使用を重ねて側壁２と敷４との
接触面が膨張し、なじみ、強固に結合するまでの一時的
な保護の機能を果していたが、近年のように取鍋内で溶
ｍａ拌とゆう苛酷な使用条件が増加すると、特にコーナ
一部の溶鋼の流動が激しいため前記の保護煉瓦積６では
コーナ一部の異常溶損を防止することは困難である。

次に第２の問題点として、従来の円筒形の型枠では側壁
の全周面を等厚に施工しているが、溶融金属容器の使用
に伴う側壁耐火物の溶損、剥離、亀裂発生、欠は落ち等
の損傷は側壁の円周面における部位によってそれぞれ大
きな差があり、例えば取鍋においては排滓側の溶損は第
５図の７に示すように急速に溶損し、反対側の反排滓側
は８に示すように溶損が少く、変形溶損の状態となるた
め、これが原因て取鍋のライニング使用寿命を短くして
いた。

この対策として第６図、第７図に示すように型枠３を取
鍋内の中央ではなく偏心させた位置に設置して排滓側の
側壁ワークライニング２を厚く施工するようにしている
。

この場合偏心した位置に設置するための型枠３の位置決
めには、型枠の周囲に空けた４ケ所の小穴から、側壁永
久張り９と型枠３の外壁との距離を型枠内で実測しなが
ら型枠３の吊下げ位置を調整するという煩雑な作業を必
要とするだけでなく、片側の側壁を厚く施工すれは反対
側は薄くなることは避けられず根本的な解決にはならな
い。

この考案は前記したような円筒形の型枠を使用する側壁
ライニング施工上の問題点に鑑み、側壁の使用後の溶損
のアンバランスに適応したアンバランスな壁厚、および
変形した形状の側壁ライニングが施工できる流し込み施
工用型枠を提供し、溶融金属容器内張りの使用寿命の延
長を図ることを目的とする。

その要旨は、型枠の上部の平面が円形の一部を切り欠い
た形状で、底部の平面が段部を設けて上部平面と相似形
に縮小した形状である耐火物の流し込み施工型枠である
。

即ち側壁のうち壁厚を厚くしたい位置に対応する型枠の
部位を切り欠いて非円形の横断平面とし、側壁のうち溶
損の激しい下部の壁厚をさらに厚くするため型枠の底部
に段部を設けてさらにすぼめるものである。

この考案を図面に基づいて説明すると、第８図はこの考
案の取鍋１における実施例の縦断面図、第９図は第８図
の平面図である。

型枠１且の上面平面１０′は、円形の切り欠き部１１を
切落した非円形の形状となっており、型枠上空の下部中
段の横断平面１０″の形状は、上面１０′と相似形で側
壁が内側に傾斜した分だけ縮小している。

さらに重要な点は、型枠■の底部の平面１０ ”’の形
状は、上面１０′中段面１０″と相似形であるが、段部
１２によって中段面１０″よりさらに屈曲部を設けて縮
小した形状となっている。

このように構成した型枠１１を、欠内部を取鍋の排滓側
に合わせてセットし流し込み施工を行うと、取鍋の排滓
側の側壁１３は厚くなり、反排滓側の側壁１４は従来通
りで薄くならない。

さらに段部１２によって側壁の下部は全周に亘って同時
に厚く施工ができ、最も損傷の激しいコーナ一部を保護
することになる。

なお型枠１０の切り欠き部１１および段部１２の形状設
計は、使用する取鍋の溶損アンバランス状態に応じて任
意に設計できる。

またこの様な型枠１０は施工に際し欠内部を排滓側に向
けるだけで常に取鍋の中央に設置すればよいので位置決
めが容易である。

さら）こ各種溶融金属容器の内張り耐火物の使用後の局
部溶損、アンバランス損傷の状態はそれぞれの容器とそ
の使用状況によって異ってくるので、型枠１０の平面形
状は第９図に示すものに限らず、第１０図のＡに示す楕
円形、Ｂに示す多角形、Ｃに示す複合円形、Ｄの半月形
切り欠き円形等、円形の一部を切欠いた各種の平面形状
の型枠を使用することができる。

この考案の施工用型枠は以上説明したように、取鍋の側
壁のアンバランス溶損、側壁下部の異常溶損をカバーで
きるような任意の形状の内張り施工を同時に行うことが
でき、型枠の偏心位置決めや煉瓦積の追加工事等面倒な
作業を必要としない。

従ってアンバランス溶損や異常溶損による取鍋の使用中
止、早期補修をなくしライニングの使用寿命を延長する
効果が大きい。

なおこの考案は取鍋のみならず円形類似形状のすべての
溶融金属容器の側壁の耐火物流し込み施工に応用できる
。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第７図は従来技術を示すもので第１図は取鍋
用型枠の使用状態を示す縦断面図、第２図はその平面図
、第３図は異常溶損を示す取鍋の一部縦断面図、第４図
は異常溶損を防止する煉瓦積を示す縦断面図、第５図は
取鍋のアンバランス溶損状態を示す縦断面図、第６図と
第７図は型枠の別の使用形態を示す縦断面図とその平面
図、第８図乃至第１０図はこの考案の実施例を示すもの
で、第８図は取鍋における使用状態を示す縦断面図、第
９図は第８図の平面図、第１０図Ａ、 Ｂ。 Ｃ，Ｄは別の実施例の型枠の上部平面を示す図面である
。 第８図および第９図において、１・・・・・・取鍋、１
１・・・・・・型枠、１０′・・・・・・型枠の上部平
面、１０’−・・・・・同中部横断平面、１０ ”’・
・・・・・同底部平面、１１・・・・・・円形の切り欠
き部、１２・・・・・・段部、１３・・曲排滓側の側壁
、１４・・曲反排滓側の側壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上部の平面が円形の一部を切い欠いた形状で、底部の平
   面が段部を設けて上部平面と相似形に縮小した形状であ
   る耐火物の流し込み施工用型枠。