JPS6153107B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は移動電極形電気集じん装置のダスト払
い落し時に発生する捕集ダストの再飛散を低減す
る方法および装置に関するものである。 電気集じん装置というのは、気体中に浮遊する
ダスト粒子をその気体から分離捕集する装置であ
る。一般に電気集じん装置は平板状の複数の集じ
ん電極と通常は細線から成る放電極とを対向して
並設してなる集じん部と、放電極に直流高電圧を
印加する電源装置と、捕集ダストを回収するつい
打装置もしくは他のダスト払い落し装置とからな
る。気体中のダスト粒子は放電極からのコロナ放
電により発生したイオンによつて帯電され、帯電
されたダスト粒子は放電極と集じん電極間に形成
された電界の作用を受けて集じん電極へ引きつけ
られ付着捕集される。集じん電極に捕集されたダ
ストが層状に堆積して次第に厚みを増すにつれ、
ダスト層の電気抵抗によりコロナ放電電流が減少
し集じん性能が低下する。そのため槌打装置によ
り集じん電極を槌打し、これによつて発生した振
動により集じん電極に堆積されたダストを払い落
すことが行なわれている。しかしながら、付着性
の強いダストの場合は従来の槌打装置では十分に
払い落すことができず、そのまま集じん電極表面
に堆積しとどまるためコロナ放電電流を初期状態
に回復させることが困難であるという欠点を有し
ている。このような付着性の強いダストを完全に
払い落すため、集じん電極表面に堆積したダスト
を回転するブラシにより払い落す方法の移動電極
形電気集じん装置が考案されている。 第１図に従来の移動電極形電気集じん装置の一
例を示す。図示したように集じん電極４０は複数
の短冊状平板が駆動スプロケツト１０と従動スプ
ロケツト２０とによつてループ状に緊張して架設
されたリンクチエーン３０に無端帯状に懸架され
ている。この集じん電極４０には集じん電極駆動
装置８０が駆動スプロケツト１０を介して接続さ
れている。このような構成からなる集じん電極４
０が複数並設され、各々の集じん電極の間に放電
極５０が対向するように内設されて集じん域が形
成されている。回転ブラシ６０はこの放電極下部
の非集じん域に位置させて、集じん電極４０を両
面から挾んで設けられた二本の棒状ブラシから形
成されており、この回転ブラシは回転ブラシ駆動
装置９０に接続されている。 以下動作を説明する。 無端帯状の集じん電極４０は集じん域で気体中
のダストを捕集しながら、集じん電極駆動装置８
０によつて所定速度で駆動スプロケツト１０およ
び従動スプロケツト２０間を周回されている。回
転ブラシ６０は回転ブラシ駆動装置９０によつて
回転されており、集じん電極４０がこの回転ブラ
シ部６０を通過するとき集じん電極表面に付着堆
積されたダストが払い落され集じん電極表面は清
浄な状態に保持される。しかしながら、集じん電
極表面から払い落された捕集ダストの一部が再び
気体の流れに同伴されて飛散してしまう再飛散現
象が発生し集じん性能を低下させる問題がある。
このことをさらに図に基づいて説明する。 第２図に従来の移動電極形電気集じん装置を用
いて行なつた集じん率の経時変化特性を示す。図
中、曲線Ａは集じん電極駆動装置および回転ブラ
シ駆動装置を連続して運転したもの、即ち従来法
によつてダスト払い落しを実施した場合の集じん
率の経時変化を示しており、集じん率はほとんど
経時変化していない。また、曲線Ｂは実施例であ
つて、上記の二つの駆動装置を休止させたもの、
即ちダスト払い落しをまつたく行なわなかつた場
合の集じん率の経時変化を示している。曲線Ｂの
集じん率は当初曲線Ａよりも上回つているが、経
時とともに低下して運転時間T₀の時に曲線Ａと
等しくなり以後経時とともに曲線Ａを急激に下回
る傾向が示されている。このことは、曲線Ｂの場
合は当初集じん電極表面が清浄であつたが経時に
伴い集じん電極表面にダストが付着堆積してコロ
ナ放電電流を減少させたために集じん率が低下さ
せられたことを示している。また、運転当初の曲
線Ａが曲線Ｂを下回つていることは、ダストの払
い落しが連続して行なわれているので集じん電極
表面は清浄に保持されているが、回転ブラシから
のダストの再飛散が常に発生していることによつ
て集じん率を低下させたことを表わしている。 本発明の目的は、集じん電極表面を清浄に保持
しつつダスト払い落しに伴うダストの再飛散を低
減して集じん性能を向上させることのできる移動
電極形電気集じん装置の運転方法を提供すること
にある。 本発明は移動電極形電気集じん装置において、
集じん電極駆動装置および回転ブラシ駆動装置を
所定の周期で断続運転可能とさせる運転タイマお
よび休止タイマからなるダスト払い落し制御機構
を設けることにより、集じん電機表面を清浄に保
持しながらダスト払い落しに伴うダストの再飛散
を低減させ集じん性能を向上させようというもの
である。 以下、本発明の実施例について詳述する。 本実施例は従来の移動電極形電気集じん装置に
付加して集じん電極駆動装置および回転ブラシ駆
動装置に、任意に時限設定可能な運転タイマ（設
定時限T₂）および休止タイマ（設定時限T₁）から
なるダスト払い落し制御機構が設けられた構成で
ある。次に、本実施例の運転方法および動作につ
いて第３図に示した本実施例の集じん率の経時変
化特性に基づき説明する。 図中、破線Ａおよび破線Ｂは前述の第２図図示
従来例にて示された曲線Ａおよび曲線Ｂにそれぞ
れ対応された特性曲線を示す。ここで破線Ａと破
線Ｂとが交差する時間T₀、および無端帯状の集
じん電極が放電極の周りを一周するのに要する時
間T₂をあらかじめ把握しておき、ダスト払い落
し制御機構の運転タイマの時限をT₂時間、およ
び休止タイマの時限をT₁時間（但し、T₁＝T₀−
T₂とする）にそれぞれ設定する。このようにし
て集じん電極駆動装置と回転ブラシからなるダス
ト払い落しを初めのT₁時間は休止させてダスト
の再飛散を妨いで集じん率を高め、また経時とと
もに集じん電極表面に付着堆積されるダストの厚
みが増えることに起因して集じん率が低下したと
きに必要かつ最小限の時間だけダスト払い落しを
行なうものである。これによつて得られる集じん
率は図中実線Ｃで示した特性となる。図から明ら
かなようにダスト払い落しを連続して行なつてい
た従来例の破線Ａで示される集じん率よりも、本
実施例の実線Ｃで示される集じん率が向上してる
ことがわかる。 なお、上記の時間T₀はダストの見掛け電気抵
抗、ダスト濃度、電気集じん装置の構造、および
電気集じん装置の初期荷電状態などによつて異な
る値である。 また以下に本実施例に基づく実験例の諸条件を
列記し、第１表にダスト払い落しの運転条件に対
する集じん率と荷電電圧の実測値を例示する。 処理気体の種類；COボイラ排ガス ダストの電気抵抗；１×10⁴Ω・cm ダストの平均粒子径；15μｍ タイマ設定時限；休止タイマ（T₁）130分 運転タイマ（T₂）50分

【表】 したがつて本実施例によれば、集じん電極駆動
装置および回転ブラシ駆動装置を上記のような周
期で断続運転させることにより、回転ブラシから
のダストの再飛散が最少限におさえられかつ集じ
ん電極表面が清浄に保持されるので、従来よりも
大巾に集じん率を向上させることができる。 また上記効果に加えて、集じん電極および回転
ブラシの駆動装置を断続運転することにより、消
費電力を大巾に削減させることができる。 以上のことから本発明によれば、集じん電極表
面に付着堆積したダストを効率よく払い落すこと
により、堆積ダストによるコロナ放電電流の低減
を防止し、かつ回転ブラシによるダストの払い落
し時に生ずる再飛散を最少限にして集じん性能を
向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の移動電極形電気集じん装置の一
例を示す斜視図、第２図は従来例による集じん率
の経時変化を示す図、第３図は本発明の実施例に
よる集じん率の経時変化を示す図である。 １０……駆動スプロケツト、４０……集じん電
極、５０……放電極、６０……回転ブラシ、８０
……集じん電極駆動装置、９０……回転ブラシ駆
動装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ コロナ放電を発生させる放電極と、この放電
   極と所定の離間距離を保持させながらかつ前記放
   電極の周りを周回させるように設けられた無端帯
   状の集じん電極と、上記放電極下部の非集じん域
   にあつて上記集じん電極を両面から挾んで設けら
   れた二本のダスト払い落しのための回転ブラシ
   と、集じん電極駆動装置と、前記回転ブラシを駆
   動する回転ブラシ駆動装置とから構成される移動
   電極形電気集じん装置の運転方法において、集じ
   ん電極駆動装置及び回転ブラシ駆動装置を休止し
   た場合の集じん効率と運転した場合の集じん効率
   が一致するまでの時間をT₀とし、 無端帯状の集じん電極が放電極の周りを一周し
   てダストを払い落とすのに要する時間をT₂と
   し、 集じん電極駆動装置及び回転ブラシ駆動装置に
   於いて休止時間T₁＝T₀−T₂と運転時間がT₂とを
   交互に設定して運転制御することを特徴とする移
   動電極形電気集じん装置の運転方法。