JPH089018B2 - 電気集塵器の移動集塵極 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電気集塵器の移動集塵極に係り、特に複数の
集塵極板が連結されたチェンを回転移動させて、集塵極
板に付着したダストを集塵極板の移動系路に設けられた
ブラシで除去するようにした電気集塵器の移動集塵極に
関する。

〔従来の技術〕

電気集塵器の集塵室には、放電極、集塵極及び槌打装
置が設けられる。集塵室に送り込まれたガス中のダスト
は、放電極のコロナ放電によって帯電し、集塵極に付着
する。付着したダストは、ある程度まで堆積すると重力
で自然落下するが、容易に落下しない場合があり、この
為、前記槌打装置で集塵極を間欠的にハンマリングして
付着した前記ダストを払い落としている。尚、払い落と
されたダストは、前記集塵室の下部に設けられたホッパ
に一時貯留されて排出装置によって電気集塵極の外部に
排出される。

しかしながら、前記槌打装置では集塵極の表面に堆積
したダストを確実に払い落とすことが難しく、また払い
落としたダストが落下中に再び集塵極の表面に付着する
場合がある。このような場合、電気集塵器に高抵抗障
害、逆電離現象等の不具合が発生していた。従って、前
記不具合を解消する為には、集塵極の表面を常に清浄に
保つことが必要で、このような電気集塵器として、移動
集塵極型の電気集塵器がある。

従来、この種の電気集塵器の移動集塵極は、集塵極を
構成する各集塵極板の両端面が一対の無端状チェンに連
結される。前記チェンは、集塵室の上部に配設された駆
動用スプロケットと集塵極の下部に配設された従動用ロ
ーラによって張設される。前記駆動用スプロケットには
軸が挿嵌されこの軸の一端部に駆動用モータが連結され
て、駆動用モータの駆動力が軸を介して駆動用スプロケ
ットに伝達される。また、前記従動用ローラには軸が軸
支されている。

一方、前記従動用ローラ近傍で集塵極板の移動系路に
は回転ブラシが設けられ、この回転ブラシは前記集塵極
板を挟持するように集塵極板の表面に接触している。更
に、コロナ放電を発生する放電極が移動集塵極内に取付
けられる。

従って、前述した移動集塵極は、前記駆動モータの駆
動力で駆動用スプロケットを回転してチェンを回転移動
し、これに伴い複数の集塵極板をチェンの回転移動と共
に回転する。これによって、各集塵極板の表面に付着し
たダストは前記回転ブラシで確実に除去される。

尚、前記駆動用スプロケット及び従動用ローラは、そ
れぞれ軸に接続されたケーブルを介して電気的に接地さ
れ、各集塵極板からの電流をチェンから駆動用スプロケ
ット、従動用ローラを介して接地している。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、従来の電気集塵器の移動集塵極は、集
塵極板からの電流がチェンに流れるので、ダストが前記
チェンにも付着する。ダストがチェンに付着すると、チ
ェンが前記駆動用スプロケット及び従動用ローラを通過
する際、各々の噛合部にダスト層が形成され、このダス
ト層の影響でチェンと、前記スプロケットとローラとの
各接触抵抗が大きくなり、これによりチェンが早期に摩
耗するという欠点がある。

また、チェンに電気的な閃絡が発生するとその部分が
溶けてチェンが破損する欠点がある。

本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、チ
ェンの摩耗、破損を防止してチェンの寿命を長くするこ
とができる電気集塵器の移動集塵極を提供することを目
的とする。

〔課題を解決する為の手段〕

本発明は、前記目的を達成するために、回転可能に支
持されると共に接地された一対のスプロケット（18）に
チェン（14）が張設され、このチェン（14）に複数の締
結部（12）を介して取り付けられた複数の集塵極板（1
0）をチェン（14）の回転移動と共に移動して放電極（3
6）からのコロナ放電によって集塵極板（10）の表面に
付着したダストを除去する電気集塵器の移動集塵極に於
いて、無端状に形成された可撓性のリード線（44）を前
記一対のスプロケット（18）に張設して該リード線（4
4）を前記複数の集塵極板（10）と共に回転移動させる
と共に、該リード線（44）と前記複数の締結部（12）と
を電気的に接続し、前記複数の集塵極板（10）からの電
流を前記複数の締結部（12）から前記リード線（44）を
介して前記一対のスプロケット（18）に流すことを特徴
とする。

〔作用〕

本発明によれば、一対のスプロケット（18、20）に可
撓性のリード線（44）を張設してそのリード線（44）を
複数の集塵極板（10）と共に回転移動させると共に、各
集塵極板（10）とチェン（14）とを連結する複数の締結
部（12）に前記リード線（44）を電気的に接続し、この
リード線（44）を利用して集塵極板（10）からの電流を
締結部（12）を介して前記一対のスプロケット（18、2
0）に流す。これによって、チェン（14）には電流が流
れなくなるので、チェン（14）にはダストが付着せず、
また電気的な閃絡も発生しない。

〔実施例〕

以下添付図面に従って本発明に係る電気集塵極の移動
集塵極の好ましい実施例を詳説する。

第１図は本発明に係る電気集塵器の移動集塵極の実施
例を示す斜視図が示されている。

第１図に於いて、集塵極を構成する集塵極板10、10…
は板状に形成され、その両端に取付けられた締結部12、
12を介して両側に配設された一対のチェン14、14に等間
隔で連結される。前記締結部12、12は第２図に示すよう
に、集塵極板10の端面中央部に一端が取付けられ、他端
が前記チェン14に取付けられる。また、前記集塵極板1
0、10は第２図に示したように、上面と下面の補強枠1
6、16によって前記チェンに接せられ、集塵極板10の横
揺れを防止している。

前記チェン14、14は、集塵極板10、10…の上部両側に
配設された一対の駆動用スプロケット18、18及び下部に
配設された一対の従動用ローラ20、20によってそれぞれ
張設されている。前記駆動用スプロケット18、18には軸
22が挿嵌され、この軸22の第１図中左側の端部には図示
しない駆動用モータが連結される。また、前記スプロケ
ット18、18と軸22は電気的に接続され、更に、軸22が第
３図に示すようにケーブル24、26を介して接地されてい
る。

前記従動用ローラ20、20は、軸28が軸支されて回転自
在に支持される。また、従動用ローラ20、20は自重によ
って駆動用スプロケット18、18にチェン14、14を介して
懸架されている。更に、前記ローラ20近傍には一対の回
転ブラシ30、30が設けられ、この回転ブラシ30、30は集
塵極板10の表面に押圧接触されている。従って、集塵極
板10、10…がチェン14、14の回転移動により、回転ブラ
シ30、30の間を通り抜けることによって、集塵極板10、
10…の表面に付着したダストが回転ブラシ30、30によっ
て確実に除去される。また、前記軸28は従動用ローラ2
0、20と電気的に接続されると共に、第３図に示すよう
にケーブル32を介して前記ケーブル26に接続されて接地
されている。

また、前記回転ブラシ30、30には、第３図に示すよう
にケーブル34が接続され、このケーブル34は前記ケーブ
ル32、ケーブル26を介して接地されている。

また、第１図に示したように放電極36、36…が等間隔
で移動集塵極内に配設されている。前記放電極36は第３
図に示すように、ケーブル38を介して高圧電源40に接続
されて高圧電源が印加される。また、前記高圧電源40は
ケーブル42を介して前記ケーブル26に接続されている。

ところで、第１図及び第２図に示した締結部12、12…
には、可撓性のリード線44がそれぞれ締結部12、12…を
電気的に接続して無端状に形成されている。前記リード
線44は、前述した駆動用スプロケット18、18と従動用ホ
イル20、20とに電気的に接続されると共に張設されて、
駆動用スプロケット18、18の回転で集塵極板10、10…と
共に回転移動可能に取付けられる。

次に、前記の如く構成された電気集塵器の移動集塵極
の作用について説明する。

先ず、高圧電源40から放電極36に高電圧を印加して、
放電極36から放電を開始する。これと同時に、駆動用モ
ータで駆動用スプロケット18、18を回転してチェン14、
14を回転移動し、集塵極板10、10…を回転移動する。こ
れによって、前記集塵極板10、10…は放電極36からの放
電電流が印加されて、これに伴い集塵極板10、10…の表
面にダストが付着する。前記集塵極板10、10…に印加さ
れた電流は、第２図に示した締結部12、12…からリード
線44、44に流れる。前記リード線44、44に流れた電流
は、駆動用スプロケット18、従動用ホイル20に流れて軸
22、軸28に流れる。軸22に流れた電流は、前記チェン1
4、14に流れることなく、第３図に示したようにケーブ
ル24、26を介して接地される。また、前記軸28に流れた
電流も同様にチェン14に流れることなくケーブル32、26
を介して接地される。

更に、前記回転ブラシ30に流れた電流は第３図に示し
たようにケーブル34、32、26を介して同様に接地され
る。

従って、集塵極板10、10からの電流は、チェン14、14
に流れることなく接地するので、チェンに電流が流れて
いた従来の移動集塵極と比較し、チェン14、14に付着す
るダスト量を大幅に減少することができる。従って、ダ
スト層の影響によるチェンの早期摩耗を阻止できる。ま
た、チェン14、14には電気的な閃絡も発生しなくなるの
で、チェンの破損も阻止することができる。これによっ
て、チェン14、14の寿命を従来の移動集塵極のチェンと
比較して大幅に長くすることができる。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明に係る電気集塵器の移動集
塵極によれば、各集塵極板からの電流は、締結部を介し
て集塵極板と共に回転移動する可撓性のリード線から一
対のスプロケットに流れる。これにより、チェンには電
流が流れなくなるので、ダスト層によるチェンの早期磨
耗を阻止することができる。また、チェンには電気的な
閃絡が発生しないので、閃絡によるチェンの破損を阻止
することができる。従って、チェンの寿命を従来の移動
集塵極のチェンよりも大幅に長くすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る電気集塵器の移動集塵極の実施例
を示す斜視図、第２図は本発明に係る電気集塵器の移動
集塵極の締結部の実施例を示す要部拡大図、第３図は本
発明に係る電気集塵器の移動集塵極の電気系統図を示す
説明図である。 10……集塵極板、12……締結部、 14……チェン、18……駆動用スプロケット、 20……従動用ホイル、22、28……軸、 30……回転ブラシ、44……リード線。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転可能に支持されると共に接地された一
   対のスプロケットにチェンが張設され、このチェンに複
   数の締結部を介して取り付けられた複数の集塵極板をチ
   ェンの回転移動と共に移動して放電極からのコロナ放電
   によって集塵極板の表面に付着したダストを除去する電
   気集塵器の移動集塵極に於いて、 無端状に形成された可撓性のリード線を前記一対のスプ
   ロケットに張設して該リード線を前記複数の集塵極板と
   共に回転移動させると共に、該リード線と前記複数の締
   結部とを電気的に接続し、前記複数の集塵極板からの電
   流を前記複数の締結部から前記リード線を介して前記一
   対のスプロケットに流すことを特徴とする電気集塵器の
   移動集塵極。