以下に、本発明の実施の形態にかかる電気集塵装置および送風機を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる電気集塵装置1の概略構成を示す模式図である。図1に示されるように、荷電部2と、集塵部3と、微粒子センサ11と、制御部12と、を備える。荷電部2は、高電圧電源6、荷電部放電電極7および荷電部対向電極8により構成され、荷電部2に流入する汚染空気4中に含まれる微粒子を荷電する。集塵部3は、高電圧電源6、集塵部高圧電極9および集塵部対向電極10により構成され、集塵部高圧電極9と集塵部対向電極10から形成される電界からのクーロン力により、荷電部2で荷電された微粒子を捕捉する。そして、集塵部3において微粒子が捕捉された汚染空気4は清浄空気5として集塵部の外部に排出される。
高電圧電源6は、荷電部2および集塵部3に直流電圧、交流電圧またはパルス状電圧のいずれかの電圧を印加して、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間、および集塵部高圧電極9と集塵部対向電極10との間に電位差を付与する電源である。高電圧電源6は、荷電部2の荷電部放電電極7に電圧を印加して荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間に電位差を発生させる。また、高電圧電源6は、集塵部3の集塵部高圧電極9に電圧を印加して集塵部高圧電極9と集塵部対向電極10との間に電位差を発生させて、集塵部高圧電極9と集塵部対向電極10との間に静電界を形成する。
高電圧電源6が荷電部放電電極7または集塵部高圧電極9に印加する電圧の極性は、電気集塵装置1の用途に合わせて適宜選択されればよい。なお、荷電部放電電極7に正極性の電圧を印加することで、荷電部放電電極7で発生する放電によって生成されるオゾンの濃度を低くすることができる。このため、荷電部放電電極7に印加する電圧は、正極性の電圧であることが好ましい。また、ここでは、高電圧電源6が荷電部2と集塵部3との両方に共通して接続された構成としているが、荷電部2と集塵部3とに別々の高電圧電源6が接続された構成としてもよい。
荷電部放電電極7は、面内において一定間隔で突起を備える金属板、ワイヤ線またはリボン線で構成される。荷電部放電電極7は、荷電部対向電極8との間に既定の間隔をおいて対向し、かつ汚染空気4の通風方向、すなわち荷電部2に流入する汚染空気4の流れの方向に平行とされた状態で配置される。荷電部放電電極7が金属板によって構成される場合には、荷電部2に流入する汚染空気4の流れの方向に金属板の面内方向が平行とされた状態で配置される。荷電部放電電極7がワイヤ線またはリボン線で構成される場合には、荷電部2に流入する汚染空気4の流れの方向にワイヤ線またはリボン線の長手方向が平行とされた状態で配置される。
荷電部放電電極7は、金属板または伸縮可能な金属製ばねといった接続部材を介して図示しない電気集塵装置1の筐体に固定される。荷電部放電電極7の基材は、ステンレス、タングステン、チタン、炭素素材といった導電材料から適宜選択されればよい。また、荷電部放電電極7には、導電性樹脂といった絶縁性からなる基材に対して金、銀、白金といった金属材料のメッキを施したもの、金属からなる基材に対して金、銀、白金といった金属材料のメッキまたはクラッド材による表面処理を施したもの、カーボンなどの導電材料により導電性が付与された導電性樹脂を使用してもよい。
荷電部対向電極8は、平板状の形状を有し、荷電部放電電極7との間に既定の間隔をおいて配置され、荷電部放電電極7との間で電位差を形成する電極であり、高電圧電源6のグランドに接続され、電位がグランド電位、すなわち0Vとされている。荷電部対向電極8は、荷電部放電電極7との間に既定の間隔をおいて対向し、かつ汚染空気4の通風方向、すなわち荷電部2に流入する汚染空気4の流れの方向に面内方向が平行とされた状態で配置される。荷電部対向電極8は、金属板または伸縮可能な金属製ばねといった接続部材を介して図示しない電気集塵装置1の筐体に固定される。荷電部対向電極8の基材は、荷電部放電電極7と同様の材料を用いることができる。
図1に示すように、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8とは、汚染空気4の通風方向に対して平行方向に、一定間隔で複数個が交互に、互いに平行に配置される。荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の距離がは、5mmから10mm程度にすればよい。荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の距離が5mmより短い場合には、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間で放電が生じた際に火花放電になる可能性がある。また、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の距離が10mmより長い場合には、荷電部放電電極7に一定の電流を通電させるために必要な印加電圧が大きくなり、高電圧電源6の容量およびサイズの大きいものが必要となり、装置の大型化に繋がる。
なお、ここでは、荷電部放電電極7の数量を2つ、荷電部対向電極8の数量を3つとした場合を示しているが、荷電部放電電極7および荷電部対向電極8の数量はこれらの数量に限定されない。
集塵部高圧電極9は、平板状の形状を有し、高電圧電源6によって電圧が印加されて、集塵部対向電極10との間に平等電界を形成する電極である。集塵部高圧電極9は、集塵部対向電極10との間に既定の間隔をおいて対向し、かつ汚染空気4の通風方向、すなわち集塵部3に流入する汚染空気4の流れの方向に面内方向が平行とされた状態で配置される。集塵部高圧電極9の基材は、荷電部放電電極7と同様の材料を用いることができる。なお、集塵部高圧電極9の形状は、集塵部対向電極10との間に平等電界を形成して微粒子を集塵できれば、平板状に限定されない。
集塵部対向電極10は、平板状の形状を有し、集塵部高圧電極9との間に既定の間隔をおいて配置され、集塵部高圧電極9との間に平等電界を形成する電極であり、高電圧電源6のグランドに接続され、電位がグランド電位、すなわち0Vとされている。集塵部対向電極10の基材は、荷電部放電電極7と同様の材料を用いることができる。なお、集塵部対向電極10の基材は、荷電部放電電極7と同様の材料でもよいが、導電性が高すぎると集塵部高圧電極9との間に異常放電が発生するため、表面抵抗が105Ωから1013Ωの範囲の半導電性樹脂を使用することが好ましい。
図1に示すように、集塵部高圧電極9と集塵部対向電極10とは、汚染空気4の通風方向に対して平行方向に、一定間隔で複数個が交互に、互いに平行に配置される。集塵部高圧電極9と集塵部対向電極10との間の距離は2mmから5mm程度とすればよい。集塵部高圧電極9と集塵部対向電極10との間の距離が2mmより短い場合には、汚染空気4の通風時の圧力損失が大きくなり、汚染空気4を送風するための送風機の負荷が増加することで目的の風量が得られない場合がある。また、集塵部高圧電極9と集塵部対向電極10との間の距離が5mmより長い場合には、電気集塵装置1のサイズが大きくなり、送風機といった機器に組み込めない可能性がある。また、集塵部高圧電極9と集塵部対向電極10との間の電界強度が低下し、集塵部3の集塵効率が低下する。さらに、集塵部高圧電極9と集塵部対向電極10との間に既定の電界強度を形成するために必要な印加電圧が大きくなり、絶縁性および安全性において課題が発生する可能性がある。
微粒子センサ11は、処理対象となる空気中の微粒子の数量を検出する粒子センサであり、汚染空気4の粒子状の数量を検出する。微粒子センサ11は、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の荷電空間に流入する汚染空気4中の微粒子の数量を検出する。微粒子センサ11は、制御部12と通信可能とされており、汚染空気4の微粒子の数量の検出結果を制御部12に送信する。微粒子センサ11には、空気中にレーザビームを照射し、微粒子に当たって散乱されたレーザ光の受光レベルを測定することによって空気中の粒子状の数量を検出する半導体レーザ式の粒子センサを用いることができる。なお、微粒子センサ11は、これに限定されない。また、微粒子センサ11で測定する微粒子の粒子径は、特に限定されず電気集塵装置1の仕様によって適宜選択されればよく、たとえば0.3μmから10μmの範囲で必要な粒子径が選択されればよい。
図2は、本発明の実施の形態1にかかる電気集塵装置1の制御に関わる主要部分の機能構成図である。制御部12は、高電圧電源6および微粒子センサ11と通信可能とされ、高電圧電源6から荷電部放電電極7および集塵部高圧電極9への電圧の印加を制御する。そして、制御部12は、微粒子センサ11での微粒子数の検出結果に基づいて、高電圧電源6から荷電部放電電極7への電圧の印加を制御する。
制御部12は、例えば、図3に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。図3は、本発明の実施の形態1にかかる処理回路のハードウェア構成の一例を示す図である。制御部12が図3に示したハードウェア構成の処理回路として実現される場合には、制御部12は、例えば、図3に示すプロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、制御部12の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
図4は、本発明の実施の形態1にかかる電気集塵装置1における集塵部高圧電極9と集塵部対向電極10との配置構成を示す模式図である。上述した集塵部高圧電極9と集塵部対向電極10との配置構成は、図4に示すように、汚染空気4の通風方向に対して平行方向に、且つ荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との面内方向と平行な面に対して平行方向に、一定間隔で配置された構成とされている。
図5は、本発明の実施の形態1にかかる電気集塵装置1における集塵部高圧電極9と集塵部対向電極10との他の配置構成を示す模式図である。また、集塵部高圧電極9と集塵部対向電極10との配置構成は、図5に示すように、汚染空気4の通風方向に対して平行方向に、且つ荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との面内方向と平行な面に対して垂直方向に、一定間隔で配置された構成とされてもよい。図4および図5においては、荷電部放電電極7として、面内において一定間隔で突起を備える金属板からなる荷電部放電電極7を示している。なお、突起の図示は省略している。
実際の使用形態において、上述した高電圧電源6、荷電部放電電極7、荷電部対向電極8、集塵部高圧電極9、集塵部対向電極10、微粒子センサ11および制御部12は、合成樹脂または金属といった任意の部材で構成された図示しない風洞部品または支持部品によって、筐体に固定される。この風洞部品または支持部品は特に限定されるものではなく、電気集塵装置1の用途に合わせて適宜選択すればよい。
つぎに、上述した本実施の形態1にかかる電気集塵装置1の集塵動作について説明する。なお、以下では、荷電部放電電極7および集塵部高圧電極9に対して正極性の電圧を印加する場合について説明する。図6は、本発明の実施の形態1にかかる電気集塵装置1における集塵動作の手順を示すフローチャートである。
まず、汚染空気4が荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の荷電空間に流入する状態で、高電圧電源6から荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との各々に制御部12の制御によって既定の電圧が印加されると、荷電空間においてコロナ放電が発生して荷電部放電電極7から電荷が放出され、汚染空気4に含まれる微粒子がこの電荷によって荷電され、帯電する。なお、制御部12は、荷電部放電電極7へ印加する電圧値を、通常の集塵動作を実行する際の既定の電圧値V1とする。
荷電された微粒子は汚染空気4の流れに乗って集塵部3に流されて集塵部高圧電極9と集塵部対向電極10との間の集塵空間に移動する。この集塵空間には集塵部高圧電極9に電圧が印加されることによって静電界が形成されている。このため、荷電された微粒子はクーロン力によって集塵部高圧電極9の面の方向に、または集塵部対向電極10の面の方向に移動して集塵部高圧電極9または集塵部対向電極10に吸着される。これにより、汚染空気4中から微粒子が除去され、集塵部3に流れ込んだ汚染空気4は清浄空気5に変えられて集塵部の外部に排出される。これにより、電気集塵装置1の周囲の空気が循環して電気集塵装置1に吸い込まれて、空気中の微粒子の集塵が行われる。
上述した電気集塵装置1の集塵動作が開始されると、ステップS10において、微粒子センサ11が、既定の一定時間毎に荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との荷電空間に流入する汚染空気4中の微粒子数を検出し、検出結果を制御部12に送信する。既定の一定時間は、あらかじめ微粒子センサ11に記憶されており、電気集塵装置1の仕様によって適宜変更可能である。
制御部12は、汚染空気4中の微粒子数の検出結果を受信すると、ステップS20において、検出結果と既定の第1下限基準値P1とに基づいて、汚染空気4中の微粒子数が第1下限基準値P1以下になったか否かを判定する。第1下限基準値P1は、電気集塵装置1での集塵動作によって、集塵の必要性がない状態まで周囲の空気中の微粒子数が減少したときの汚染空気4中の微粒子数の値である。また、第1下限基準値P1は、制御部12が高電圧電源6からの荷電部放電電極7への電圧の印加の停止制御を行う際の基準となる周囲の空気中の微粒子の数量である。第1下限基準値P1は、あらかじめ制御部12に記憶されており、電気集塵装置1の仕様によって適宜変更可能である。
汚染空気4中の微粒子数が第1下限基準値P1より大きい場合、すなわちステップS20においてNoの場合は、制御部12はステップS20に戻って処理を繰り返す。
汚染空気4中の微粒子数が第1下限基準値P1以下になった場合、すなわちステップS20においてYesの場合は、制御部12は、荷電部2における荷電動作を停止させるために、荷電部放電電極7への電圧の印加を制御する制御信号を高電圧電源6に送信して、高電圧電源6から荷電部放電電極7への電圧の印加を制御する。ここで、制御部12は、荷電部放電電極7へ印加する電圧値を0Vとする旨の制御信号、すなわち高電圧電源6から荷電部放電電極7への電圧の印加を停止させる旨の停止指示信号を、高電圧電源6に送信する。
なお、制御部12は、荷電部2における荷電動作を停止させるために、荷電部放電電極7へ印加する電圧を、コロナ放電が発生しない範囲の低い電圧に制御することも可能である。ただし、消費電力の観点からは、制御部12は、荷電部放電電極7へ印加する電圧値を0Vとする制御を行うことが好ましい。
高電圧電源6は、停止指示信号を受信すると、ステップS30において、停止指示信号に基づいて荷電部放電電極7へ印加する電圧値を0Vとし、荷電部放電電極7への電圧の印加を停止させる。なお、制御部12は、高電圧電源6から荷電部放電電極7への電圧の印加を停止させる制御を行う際に、高電圧電源6から集塵部高圧電極9への電圧の印加を停止させる制御を同時に行ってもよい。これにより、荷電部放電電極7への電圧の印加を停止させている間の集塵部高圧電極9への電圧の印加を停止して、電力の削減が可能である。
荷電部放電電極7への電圧の印加が停止されて電気集塵装置1の集塵動作が実施されないと、外気の侵入によって電気集塵装置1の周囲の空気中の微粒子数は増加する。そこで、ステップS40において、微粒子センサ11が、既定の一定時間毎に荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との荷電空間に流入する汚染空気4中の微粒子数を検出し、検出結果を制御部12に送信する。
制御部12は、汚染空気4中の微粒子数の検出結果を受信すると、ステップS50において、検出結果と既定の上限基準値とに基づいて、汚染空気4中の微粒子数が上限基準値以上になったか否かを判定する。上限基準値は、集塵の必要性がある状態まで周囲の空気中の微粒子数が増加したときの汚染空気4中の微粒子数の値であり、制御部12が高電圧電源6からの荷電部放電電極7への電圧の印加の開始制御を行う際の基準となる周囲の空気中の微粒子の数量である。上限基準値は、あらかじめ制御部12に記憶されており、電気集塵装置1の仕様によって適宜変更可能である。
汚染空気4中の微粒子数が上限基準値未満である場合、すなわちステップS50においてNoの場合は、制御部12はステップS50に戻って処理を繰り返す。
汚染空気4中の微粒子数が上限基準値以上になった場合、すなわちステップS50においてYesの場合は、制御部12は、荷電部放電電極7への電圧の印加を制御する制御信号を高電圧電源6に送信して、高電圧電源6から荷電部放電電極7への電圧の印加を制御する。ここで、制御部12は、荷電部放電電極7へ印加する電圧値を通常の集塵動作を実行する際の既定の電圧値V1とする旨の制御信号、すなわち高電圧電源6から荷電部放電電極7に電圧を印加して荷電部2の動作を開始させる旨の動作開始指示信号を、高電圧電源6に送信する。
高電圧電源6は、動作開始指示信号を受信すると、ステップS60において、動作開始指示信号に基づいて荷電部放電電極7へ印加する電圧値を電圧値V1とし、荷電部放電電極7に電圧を印加して荷電部2の動作を開始させる。これにより電気集塵装置1において微粒子の除去が開始されるため、電気集塵装置1の周囲の空気中の微粒子数を減少させることができる。なお、制御部12は、高電圧電源6から荷電部放電電極7に電圧を印加して荷電部2の動作を開始させる制御を行う際には、高電圧電源6から集塵部高圧電極9への電圧の印加を開始させる制御も同時に行う。
その後は、ステップS10に戻って上述した処理が繰り返される。
上記のように荷電空間においてコロナ放電が行われると、空気中に存在する揮発性のシリコン化合物が酸化されて絶縁物であるシリカが生成され、荷電部放電電極7の先端に付着する。ここで、荷電部放電電極7の先端とは、荷電部放電電極7が面内において一定間隔で突起を備える金属板によって構成される場合には、突起の先端である。荷電部放電電極7がワイヤ線またはリボン線で構成される場合には、ワイヤ線またはリボン線において高電圧電源6に接続されていない側の先端部であってコロナ放電が発生する先端部である。
荷電部放電電極7の先端に付着するシリカの量は、コロナ放電の行われる時間、すなわち、高電圧電源6から荷電部放電電極7に電圧が印加されている時間に比例して増加する。このため、常時、高電圧電源6から荷電部放電電極7に電圧を印加して荷電空間においてコロナ放電を発生させている場合には、荷電部放電電極7への電圧の印加時間に比例して荷電部放電電極7の先端に付着するシリカの量が増えていく。
一方、電気集塵装置1では、上述したように、電気集塵装置1での集塵動作により空気中の微粒子数が減少し、集塵の必要性がない状態にある場合は、制御部12によって荷電部放電電極7への電圧の印加が停止されるため、不要なコロナ放電の発生を防止して荷電部放電電極7へのシリカの付着量の低減を図ることができる。すなわち、電気集塵装置1では、一定の集塵性能を確保した上で、コロナ放電の発生時間の積算時間を短くすることができるため、一定期間における荷電部放電電極7へのシリカの付着速度を低減することができる。
そして、電気集塵装置1では、荷電部放電電極7への電圧の印加が停止されて電気集塵装置1の集塵動作を停止させた後に、電気集塵装置1の周囲の空気中の微粒子数が上限基準値以上に増加した場合には、制御部12によって荷電部放電電極7に電圧が印加されて電気集塵装置1の集塵動作が再開される。すなわち、電気集塵装置1では、制御部12は、汚染空気4中の微粒子数の検出結果と、第1下限基準値と、上限基準値とに基づいて、電気集塵装置1の集塵動作の実行と、電気集塵装置1の集塵動作の停止とを交互に不定期なサイクル的に繰り返す制御を行う。
これにより、電気集塵装置1では、電気集塵装置1の周囲の空気に対する集塵動作を必要に応じて実行し、必要以上の無駄な集塵動作を削除することができる。したがって、常時、集塵動作を実施する場合と比べて、荷電部放電電極7へ電圧を印加する時間を短縮して、荷電部放電電極7へのシリカの付着速度を低減できるので、荷電部放電電極7へのシリカの付着に起因した電気集塵装置1の集塵機能の低下を抑制し、集塵機能の長寿命化を実現することができる。
また、荷電部放電電極7へ印加する印加電圧値を高くするほど、単位時間あたりに電気集塵装置1で除去される微粒子数が多くなり、空気中の微粒子数の減少量が多くなる。一方、コロナ放電が発生する範囲で荷電部放電電極7へ印加する印加電圧値を低くするほど、単位時間あたりに電気集塵装置1で除去される微粒子数が少なくなり、空気中の微粒子数の減少量が少なくなる。ここで、単位時間あたりの荷電部放電電極7へのシリカの付着量は、荷電部放電電極7へ印加する電圧値が高いほど、多くなる。
そこで、電気集塵装置1では、空気中の微粒子数に応じて荷電部放電電極7へ印加する電圧値を階段状に変化させてもよい。すなわち、電気集塵装置1の周りの空気中の微粒子数が多い環境では、荷電部放電電極7へ印加する印加電圧値を高くして、単位時間あたりに電気集塵装置1で除去される微粒子数を多くし、空気中の微粒子数の減少量を増加させる。また、電気集塵装置1の周りの空気中の微粒子数が少ない環境では、コロナ放電が発生する範囲で荷電部放電電極7へ印加する印加電圧値を低くして、単位時間あたりに電気集塵装置1で除去される微粒子数が少なくし、空気中の微粒子数の減少量を少なくする。そして、荷電部放電電極7へ印加する印加電圧値を低くすることによって、単位時間あたりの荷電部放電電極7へのシリカの付着量を低減することができる。
以下、空気中の微粒子数に応じて荷電部放電電極7へ印加する電圧値を階段状の電圧波形に変化させる場合の制御について説明する。図7は、本発明の実施の形態1にかかる電気集塵装置1における集塵動作の他の手順を示すフローチャートである。
まず、上記と同様にして制御部12の制御によって高電圧電源6から荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との各々に既定の電圧が印加されて、電気集塵装置1における集塵動作が開始される。なお、制御部12は、荷電部放電電極7へ印加する電圧値を、通常の集塵動作を実行する際の既定の電圧値V1とする。
電気集塵装置1の集塵動作が開始されると、ステップS110において、微粒子センサ11が、既定の一定時間毎に荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との荷電空間に流入する汚染空気4中の微粒子数を検出し、検出結果を制御部12に送信する。
制御部12は、汚染空気4中の微粒子数の検出結果を受信すると、ステップS120において、検出結果と既定の第2下限基準値P2とに基づいて、汚染空気4中の微粒子数が第2下限基準値P2以下になったか否かを判定する。第2下限基準値P2は、電気集塵装置1での集塵動作によって、集塵の必要性があるが極端には空気中の微粒子数が多くない状態まで周囲の空気中の微粒子数が減少したときの汚染空気4中の微粒子数の値である。また、第2下限基準値P2は、制御部12が高電圧電源6からの荷電部放電電極7への電圧の印加の低減制御を行う際の基準となる周囲の空気中の微粒子の数量である。第2下限基準値P2は、あらかじめ制御部12に記憶されており、電気集塵装置1の仕様によって適宜変更可能である。
汚染空気4中の微粒子数が第2下限基準値P2より大きい場合、すなわちステップS120においてNoの場合は、制御部12はステップS120に戻って処理を繰り返す。
汚染空気4中の微粒子数が第2下限基準値P2以下になった場合、すなわちステップS120においてYesの場合は、制御部12は、荷電部放電電極7への電圧の印加を制御する制御信号を高電圧電源6に送信して、高電圧電源6から荷電部放電電極7への電圧の印加を制御する。ここで、制御部12は、荷電部放電電極7へ印加する電圧値を、コロナ放電が発生する範囲で通常の集塵動作を実行する際の電圧値V1よりも低減した電圧値V2とする旨の制御信号、すなわち高電圧電源6から荷電部放電電極7に印加する電圧を低減させる旨の印加電圧低減指示信号を、高電圧電源6に送信する。
高電圧電源6は、印加電圧低減指示信号を受信すると、ステップS130において、印加電圧低減指示信号に基づいて荷電部放電電極7へ印加する電圧値を電圧値V2とし、荷電部放電電極7への印加電圧値を電圧値V2に低減させる。これにより、電気集塵装置1では、荷電部放電電極7へ印加する電圧が電圧値V1の場合よりも、単位時間あたりに除去される微粒子数が少ない状態で、かつ単位時間あたりに荷電部放電電極7に付着するシリカの付着量が少ない状態で、集塵動作が行われる。そして、荷電部放電電極7へ印加する印加電圧値を低くすることによって、単位時間あたりの荷電部放電電極7へのシリカの付着量を低減しつつ、集塵動作が行われる。
これ以降は、図6のフローチャートに示したステップS10からステップS60が実施される。なお、ステップS60の実施後は、ステップS110に戻って上述した処理が繰り返される。
図8は、本発明の実施の形態1にかかる電気集塵装置1の集塵動作が図7に示されるフローチャートの手順で実行される場合の、荷電部放電電極7に印加される電圧の波形を示す特性図である。この場合、高電圧電源6から荷電部放電電極7に印加される電圧の波形は、図8に示すように階段状の電圧波形となる。
上述したように、電気集塵装置1では、荷電部放電電極7へ印加する電圧値を階段状の電圧波形に変化させた電気集塵装置1の集塵動作の実行と、電気集塵装置1の集塵動作の停止とを空気中の微粒子数に応じて交互に不定期なサイクル的に繰り返す制御を行ってもよい。すなわち、制御部12は、荷電部放電電極7に印加する電圧を複数段階で段階的に降圧させて荷電部放電電極7への電圧の印加を停止させる制御を行ってもよい。この場合も、電気集塵装置1では、電気集塵装置1の周囲の空気に対する集塵動作を必要に応じて実行し、必要以上の無駄な集塵動作を削除することができる。したがって、常時、集塵動作を実施する場合と比べて、荷電部放電電極7へ電圧を印加する時間を短縮して、荷電部放電電極7へのシリカの付着速度を低減できるので、荷電部放電電極7へのシリカの付着に起因した電気集塵装置1の集塵機能の低下を抑制し、集塵機能の長寿命化を実現することができる。
ここでは、荷電部放電電極7へ印加する電圧値を2段階で降圧する場合について示しているが、荷電部放電電極7へ印加する電圧値を3段階以上の段階を経て降圧させてもよい。
また、上述した制御部12における、集塵動作のために荷電部放電電極7の電圧を昇圧させる制御においては、常時、既定の電圧を印加する方式、または荷電部2に既定の電流を通電させるために必要な電圧を適宜選択して印加する方式を選択することができるが、電気集塵装置1に要求される仕様に合わせて適宜選択されればよい。また、荷電部放電電極7へ印加した電圧を降圧させるための制御部12における制御では、集塵動作を停止させる場合には0V、すなわち高電圧電源6のグランド電位が、また、単位時間あたりに除去される微粒子数を低減させた集塵動作を行う場合にはコロナ放電が発生する範囲で既定の電圧値が、適宜選択されればよい。
また、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の荷電空間でコロナ放電を発生させると、コロナ放電によって荷電空間内の分子がイオン化し、イオン化した分子は荷電部対向電極8に向かって流れる。この分子の流れにより、イオン風が形成される。したがって、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の荷電空間でコロナ放電を発生させると、荷電部放電電極7の先端から荷電部対向電極8における荷電部放電電極7に対向する面に向かって強いイオン風が発生する。
そこで、制御部12は、荷電部放電電極7の先端に付着したシリカをイオン風によって除去するために、荷電部放電電極7に対する電圧の印加と、荷電部放電電極7に対する電圧の印加の停止または荷電部放電電極7に対する印加電圧の低減と、を繰り返す制御を行う。これにより、電気集塵装置1では、これまでの集塵動作、すなわちコロナ放電の発生によって荷電部放電電極7の先端に付着したシリカを、イオン風によって吹き飛ばして除去することができる。そして、上記の制御を繰り返し行って、荷電部放電電極7の先端に付着したシリカをイオン風によって吹き飛ばすことで、荷電部放電電極7の先端に堆積したシリカを削減することが可能である。
この場合、荷電部放電電極7の昇圧幅が大きいほど、強いイオン風が起こる。このため、荷電部放電電極7の先端に付着したシリカをイオン風によって吹き飛ばす観点からは、荷電部放電電極7の昇圧幅が大きいことが好ましい。
したがって、図6のフローチャートに示した制御においては、通常の集塵動作を実行する際の電圧値V1が高いことが好ましい。そして、荷電部2における荷電動作を停止させるために、ステップS30において荷電部放電電極7へ印加する電圧が0V、すなわちグランド電位に制御されることによって、その効果は高くなる。ステップS30において降圧させる荷電部放電電極7の電圧が0V、すなわちグランド電位に制御されることで、昇圧された荷電部放電電極7の電位から、電圧値V1までの昇圧幅を大きくすることができる。
また、図7のフローチャートに示した制御においても、通常の集塵動作を実行する際の電圧値V1が高いことが好ましい。そして、ステップS30において降圧させる荷電部放電電極7の電圧は0V、すなわちグランド電位に制御されることが好ましい。
荷電部放電電極7の先端に付着したシリカをイオン風によって吹き飛ばす制御の例として、電気集塵装置1の稼動開始時に、すなわち荷電部2の稼働開始時に、既定の時間だけ、荷電部放電電極7へ印加する電圧値を通常の集塵動作を実行する際の電圧値V1よりも高い電圧値V0とする制御を行い、その後、上記の制御を実施してもよい。この場合は、空気中の微粒子を減少しながら荷電部放電電極7へ生成付着するシリカ量を減らすことができる。さらに、電気集塵装置1の稼動初期において荷電部放電電極7に高い電圧値V0を印加することによって、より強いイオン風を発生させることができる。これにより、荷電部放電電極7の先端に付着したシリカを、より強いイオン風によって吹き飛ばして除去することができる。
なお、上記においては、荷電部放電電極7および集塵部高圧電極9に対して正極性の電圧を印加する場合について説明したが、荷電部放電電極7および集塵部高圧電極9に対して負極性の電圧を印加する場合には、電圧値の絶対値が上記の説明に付合するように設定されればよい。
上述したように、本実施の形態1にかかる電気集塵装置1では、電気集塵装置1での集塵動作により空気中の微粒子数が減少し、集塵の必要性がない状態にある場合は、荷電部放電電極7への電圧の印加が停止または低減されて、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の荷電空間におけるコロナ放電の発生が停止される。そして、電気集塵装置1の周囲の空気中の微粒子数が集塵の必要性がある状態に増加した場合には、荷電部放電電極7に電圧が印加されて電気集塵装置1の集塵動作が再開される。
すなわち、電気集塵装置1では、電気集塵装置1の集塵動作の実行と、電気集塵装置1の集塵動作の停止とが交互にサイクル的に繰り返される。このため、電気集塵装置1では、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の荷電空間における不要なコロナ放電の発生を防止して荷電部放電電極7へのシリカの付着量を低減し、荷電部放電電極7へのシリカの付着速度を低減することができる。
また、電気集塵装置1では、荷電部放電電極7に対する電圧の印加と、荷電部放電電極7に対する電圧の印加の停止または荷電部放電電極7に対する印加電圧の低減と、を繰り返すことで、荷電部放電電極7の先端に付着したシリカを、イオン風によって吹き飛ばして除去することができる。
したがって、本実施の形態1にかかる電気集塵装置1によれば、荷電部放電電極7へのシリカの付着に起因した電気集塵装置1の集塵機能の低下を抑制し、集塵機能の長寿命化を実現することができ、放電動作による電極への付着物の付着に起因した集塵機能の低下を抑制可能な電気集塵装置が得られる。
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2にかかる送風機21の概略構成を示す模式図である。本実施の形態2にかかる送風機21は、上述した実施の形態1にかかる電気集塵装置1を備えた送風機である。
送風機21は、筐体26の内部に、送風機本体22と電気集塵装置1とを備える。送風機本体22は、送風機本体22における空気の流入口に設けられたフィルター23と、送風機本体22の内部に設けられた通風路24と、汚染空気4を電気集塵装置1に送風する送風部であるファン25と、を備える。送風部としてのファン25が動作すると、送風機本体22の外部の汚染空気4がフィルター23を通過してファン25に吸引され、ファン25から送出される。ファン25から送出された汚染空気4は、電気集塵装置1において清浄化され、流出口27から清浄空気5として送出される。
なお、図9に示す送風機21では、ファン25の動作によって生じる風の通風方向の上流側から順にファン25と電気集塵装置1とが配置されているが、ファン25と電気集塵装置1との配置は図9に示す構成に限定されない。
電気集塵装置1では、ファン25から汚染空気4が送出されて汚染空気4内の微粒子の除去が行われるが、長期間動作を継続すると荷電部放電電極7の端部にシリカが付着する。荷電部放電電極7の端部に付着したシリカを除去するためには、実施の形態1で説明したように、制御部12の制御によって荷電部放電電極7を昇圧させてイオン風を発生させればよい。
イオン風は、荷電部放電電極7から荷電部対向電極8における荷電部放電電極7に対向する面に向かって発生するが、ファン25からの汚染空気4の送出方向はイオン風に対して垂直方向である。このため、ファン25からの汚染空気4が、荷電部放電電極7から荷電部対向電極8へ向かうイオン風を阻害する要因となる。したがって、荷電部放電電極7の端部に付着したシリカを効率的に除去するためには、イオン風を発生させるときに、ファン25から送出された汚染空気4の通風を停止することが好ましい。
たとえば、送風機21の稼動初期に、既定の時間だけ、ファン25を停止させた状態で荷電部放電電極7を昇圧させてイオン風を発生させて、荷電部放電電極7の端部に付着したシリカをイオン風によって除去する。ファン25の停止は、制御部12によって制御される。すなわち、制御部12は、荷電部放電電極7に既定の電圧値の電圧が印加されている状態においてファン25を既定の時間だけ停止させる制御を行う。制御部12は、ファン25の停止を指示する旨のファン停止指示信号を、ファン25に送信する。ファン25は、ファン停止指示信号を受信すると、ファン停止指示信号に基づいて停止する。これにより、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の荷電空間への汚染空気4の流入が遮断される。
このようにファン25の動作を停止することにより、ファン25からの送風によってイオン風の風速が阻害されることなく、荷電部放電電極7の端部に付着したシリカをイオン風によって吹き飛ばすことができる。
そして、一定時間の経過後、ファン25を運転させて、電気集塵装置1による通常の集塵動作が行われる。ファン25の運転は、制御部12によって制御される。制御部12は、ファン25の運転を指示する旨のファン運転指示信号を、ファン25に送信する。ファン25は、ファン運転指示信号を受信すると、ファン運転指示信号に基づいて運転を開始する。これにより、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の荷電空間への汚染空気4の流入が可能となる。
なお、ここでは、制御部12がファン25の制御を行う送風部制御部としての機能も有しているが、上述したファン25の制御を行う送風部制御部を制御部12とは別に設けてもよい。
また、ファン25を一定時間停止するタイミングは、汚染空気4中の微粒子数が下限規定値まで低下した後であって荷電部放電電極7への電圧の印加を停止させる前とされてもよく、任意のタイミングでファン25を停止させて荷電部放電電極7の端部に付着したシリカの除去を行うことが可能である。
図10は、本発明の実施の形態2にかかる送風機21の他の概略構成を示す要部模式図である。ファン25の動作を停止させる代わりに、図10に示すように荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の荷電空間への汚染空気4の流入を遮断可能なシャッター13を設けてもよい。
シャッター13は、ファン25の動作によって生じる風の通風方向において、汚染空気4の流れの上流側であって、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の荷電空間への汚染空気4の流入を遮断可能な位置に設置される。すなわち、シャッター13は、ファン25と電気集塵装置1の荷電部2との間に配置されてシャッター13から送風される汚染空気4の荷電部2への流入を遮断する。シャッター13は、荷電部放電電極7の端部に付着したシリカをイオン風によって除去する際に閉じられて、ファン25からの送風によってイオン風の風速が阻害されることを防止する。また、荷電部放電電極7の端部に付着したシリカをイオン風によって除去することを目的としない動作の場合、すなわち電気集塵装置1が通常の集電動作を行う場合には、シャッター13が開かれて、ファン25の動作によって生じる風の通風方向においてファン25からの送風による汚染空気4の荷電空間への流入が可能とされる。
シャッター13は、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の荷電空間の風上側、すなわちファン25の動作によって生じる風の通風方向における荷電空間の上流側に設けられる。シャッター13は、ファン25の動作によって生じる風の通風方向において荷電空間への汚染空気4の流入を遮断できればよく、形状および材質は適宜選択されればよい。また、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8とが複数組積層されている場合は、全ての荷電空間を遮断することが好ましいが、一部の荷電空間のみを遮断するように構成することも可能である。
たとえば、送風機21の稼動初期に、一定時間だけ、シャッター13を閉じた状態で荷電部放電電極7を昇圧させてイオン風を発生させて、荷電部放電電極7の端部に付着したシリカをイオン風によって除去する。シャッター13の閉鎖は、制御部12によって制御される。制御部12は、シャッター13の閉鎖を指示する旨の閉鎖指示信号を、シャッター13を駆動する図示しないシャッター駆動部に送信する。シャッター駆動部は、閉鎖指示信号を受信すると、閉鎖指示信号に基づいてシャッター13を閉じる。これにより、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の荷電空間への汚染空気4の流入が遮断される。
このようにシャッター13を閉じることにより、ファン25からの送風によってイオン風の風速が阻害されることなく、荷電部放電電極7の端部に付着したシリカをイオン風によって吹き飛ばすことができる。
そして、一定時間の経過後、シャッター13を開放して、電気集塵装置1による通常の集塵動作が行われる。シャッター13の開放は、制御部12によって制御される。制御部12は、シャッター13の開放を指示する旨の開放指示信号を、シャッター駆動部に送信する。シャッター駆動部は、開放指示信号を受信すると、開放指示信号に基づいてシャッター13を開放する。これにより、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の荷電空間への汚染空気4の流入が可能となる。
なお、シャッター13を閉じている時間は、電気集塵装置1の仕様によって適宜選択されればよく、一定時間後にシャッター13を開放して通常の集塵動作が行われる。また、シャッター13を閉じるタイミングは、汚染空気4中の微粒子数が下限規定値まで低下した後であって荷電部放電電極7への電圧の印加を停止させる前とされてもよく、任意のタイミングでシャッター13を閉じて荷電部放電電極7の端部に付着したシリカの除去を行うことが可能である。
ここでは、制御部12がシャッター13の制御を行うシャッター制御部としての機能も有しているが、上述したファン25の制御を行うシャッター制御部を制御部12とは別に設けてもよい。
上述したように、本実施の形態2にかかる送風機21は、実施の形態1にかかる電気集塵装置1を備えるため、実施の形態1の場合と同様の効果を有する。また、本実施の形態2にかかる送風機21は、荷電部放電電極7と荷電部対向電極8との間の荷電空間への汚染空気4の流入を遮断することによって、ファン25からの送風によってイオン風の風速が阻害されることなく、荷電部放電電極7の端部に付着したシリカをイオン風によって吹き飛ばすことができる。これにより、本実施の形態2にかかる送風機21は、荷電部放電電極7へのシリカの付着に起因した電気集塵装置1の集塵機能の低下を抑制し、集塵機能の長寿命化を実現することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。