JP7363058B2 - 荷電装置および電気集塵装置 - Google Patents

荷電装置および電気集塵装置 Download PDF

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Description

本発明は、荷電装置および電気集塵装置に関する。
従来、電気集塵装置などが備える荷電装置は、放電電極と、この放電電極と対で配置される対向電極を備える。かかる荷電装置において、接地される対向電極を、絶縁体または半導電体で被覆することにより、コロナ放電を発生させないことで放電電流を抑制しつつ、放電電極からイオンを発生させ、通過する塵埃を荷電させるものが知られている(たとえば、特許文献1を参照)。
国際公開第2001/064349号
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、放電電流を抑制することでオゾンの発生を抑制することはできるものの、コロナ放電を発生させない以上、塵埃を十分に帯電させるだけの荷電量を得られないおそれがある。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、オゾンの発生を抑制しながら荷電量や荷電効率を高めることができる荷電装置および電気集塵装置を提供することを目的とする。
本願の開示する荷電装置の一態様は、放電電極と、当該放電電極に対向して配置される対向電極と、前記放電電極へ印加する印加電圧を制御する制御部とを備える。前記対向電極は、導電部と、当該導電部の表面を被覆する絶縁層とを有する。前記制御部は、前記印加電圧を制御して、前記放電電極近傍でコロナ放電を生じさせることにより正極性のイオンを発生させるとともに、前記対向電極の絶縁層の絶縁破壊による放電を生じさせて前記正極性とは逆極性である負極性のイオンを発生させる。前記絶縁破壊による放電が生じることにより前記放電電極と前記対向電極との間に流れる放電電流に出現する複数の逆極性荷電パルスの1パルスあたりの電荷量は、前記コロナ放電が生じることにより前記放電電流に出現する複数の印加極性荷電パルスの1パルスあたりの電荷量よりも、大きい。
本願の開示する荷電装置および電気集塵装置の一態様によれば、オゾンの発生を抑制しながら荷電量や荷電効率を高めることができる。
図1は、実施形態に係る荷電装置、および同荷電装置を備える電気集塵装置が設けられた空気清浄機の概略構成図である。 図2は、同上の電気集塵装置の構成図である。 図3は、実施形態に係る荷電装置の放電電極および対向電極を示す模式図である。 図4は、同上の電気集塵装置が備える制御部を主とするブロック図である。 図5は、同上の電気集塵装置の制御手順を示すフローチャートである。 図6は、実施形態に係る電気集塵装置が備える荷電部における放電電流の波形を示す図である。 図7は、同上の荷電部における対向電極の絶縁破壊により印加電圧とは逆極性のパルス電流が発生する過程を示す説明図である。 図8は、高速電子と窒素分子の衝突による反応を示す説明図である。 図9は、比較例に係る荷電装置の放電電流の波形を示す図である。 図10は、実施形態に係る荷電装置の放電電流の波形を示す図である。 図11は、比較例に係る荷電装置の印加電圧と放電電流のパルスのピーク値との関係を示す図である。 図12は、比較例に係る荷電装置の印加電圧と放電電流のパルスの間隔との関係を示す図である。 図13は、比較例に係る荷電装置の印加電圧と電流との関係を示す図である。 図14は、実施形態に係る荷電装置の印加電圧とパルス波高値との関係を示す図である。 図15は、実施形態に係る荷電装置における荷電量の実測値と理論値との比較図である。 図16は、実施形態に係る電気集塵装置における粒子の通過時間と荷電量との関係を示す図である。 図17は、実施形態に係る電気集塵装置と比較例に係る電気集塵装置との、風量を変化させた際の集塵効率の変動を示す図である。 図18は、実施形態に係る電気集塵装置と比較例に係る電気集塵装置とのオゾン濃度の比較図である。 図19は、実施形態に係る電気集塵装置と比較例に係る電気集塵装置との、集塵効率を変化させた際のオゾン濃度の変動を示す比較図である。
以下に、本願の開示する電気集塵装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によって、本願の開示する電気集塵装置の構造および制御方法が限定されるものではない。また、以下の説明による構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。なお、実施形態の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付して説明する。以下の実施形態では、開示の技術にかかる荷電装置を、空気清浄機が備える電気集塵装置に適用した場合を示した。しかし、これに限られず、開示の技術にかかる荷電装置は、例えば、荷電によりイオンを発生させることのできる各種装置に適用することができる。
図1は、実施形態に係る荷電装置、および同荷電装置を備える電気集塵装置が設けられた空気清浄機の概略構成図、図2は、同電気集塵装置の構成図である。図1に示すように、空気清浄機1は、空気を清浄化するための装置類を収納する筐体10を備えている。筐体10は、合成樹脂材で略直方体状に形成されており、室内の空気を吸引する吸込口11と、清浄化された空気を室内に吹き出す吹出口12とが形成される。
図1および図2に示すように、筐体10内には、吸引された空気から大きな塵埃を除去するプレフィルタ14と、プレフィルタ14を通過した空気中の塵埃を静電気力によって集塵する複数の電気集塵装置2と、電気集塵装置2を通過した空気を脱臭処理する脱臭フィルタ5とが設けられる。
電気集塵装置2は、それぞれ荷電部3と集塵部4とを備える。荷電部3は、通過する空気中に含まれる塵埃などの微粒子を帯電させる。集塵部4は、荷電部3で帯電された微粒子を静電気力により捕集する。本実施形態では、荷電部3が荷電装置として機能する。なお、本実施形態においては、3つの電気集塵装置2が筐体10内に配置されているが、配置される数は何ら限定されない。
プレフィルタ14は、例えば糸状のPET材を編みこんだ網目構造を有し、図示しない樹脂枠で保持される。プレフィルタ14は、筐体10の内部に吸い込まれた空気に含まれている比較的大きな塵埃を捕集する。脱臭フィルタ5は、プレフィルタ14および電気集塵装置2で塵埃が除かれた空気から、触媒フィルタによって、例えばアンモニアやメチルメルカプタン等の臭気成分やホルムアルデヒド等の有害成分を取り除く脱臭処理を行う。
また、筐体10内には、脱臭フィルタ5の下流側に配置されるファン6と、ファン6を回転させるファンモータ61と、空気清浄機1を制御する制御基板7とが設けられる。
さらに、筐体10内には、吸込口11から吸引された空気の塵埃濃度を検出する埃センサ13と、運転開始操作、運転停止操作などを行う操作表示基板15とが設けられる。
また、筐体10には、各電気集塵装置2の各集塵部4に電力を供給する単一の集塵部用の定電圧高圧電源部(以下「集塵部用高圧電源40」とする)が配置される。他方、荷電部3に電力を供給する荷電部用の定電流高圧電源部(以下「荷電部用高圧電源30」とする)は、3つの荷電部3にそれぞれ配置される。
かかる構成により、空気清浄機1は、ファンモータ61により駆動されるファン6の回転により、矢印fで示すように、吸込口11から室内空気を吸引し、プレフィルタ14、電気集塵装置2、脱臭フィルタ5を通過させながら空気を清浄し、清浄された空気を吹出口12より室内に吹き出す。
なお、空気清浄機1の風量設定は、操作表示基板15の操作に基づいて手動で風量を切換えることができるが、たとえば、埃センサ13の検出信号に基づいて、適切な風量に自動で切換わる自動風量モード設定を設けることもできる。
ここで、実施形態に係る荷電装置を備える電気集塵装置2について、図2を参照しながら説明する。図2に示すように、電気集塵装置2は、荷電部3と集塵部4とを備える。荷電装置として機能する荷電部3は、ワイヤ状の荷電部放電電極(以下「放電電極310」とする)と、放電電極310と異なる極性をもった平板状の荷電部対向電極(以下「対向電極320」とする)とが、所定の間隔をあけて交互に配置されている。
集塵部4は、平板電極を多数枚平行に配列し、隣り合う電極間に高電圧が印加されるよう電気的に接続した構造であり、本実施形態においては、放電電極310と同極性のものを集塵部高圧電極(以下「高圧電極410」とする)、対向電極320と同極性のものを集塵部捕集電極(以下「捕集電極420」とする)と呼ぶ。
荷電部3の放電電極310と対向電極320との間には、荷電部用高圧電源30によって高電圧が印加される。荷電部用高圧電源30は、電源50から電力が供給され、制御基板7に搭載された制御部70により荷電部スイッチ301,302,303を介して駆動、制御される。
集塵部4の捕集電極420と高圧電極410との間には、集塵部用高圧電源40により高電圧が印加される。集塵部用高圧電源40は、電源50から電力が供給され、制御基板7に搭載された制御部70により集塵部スイッチ401介して駆動、制御される。
荷電部用高圧電源30は、電気集塵装置2が内蔵する荷電部3の個数と同数(ここでは3個)が設けられており、各電気集塵装置2の荷電部3と1対1に対応して接続される。集塵部用高圧電源40は、電気集塵装置2が内蔵する集塵部4の個数にかかわらず1つであり、すべての集塵部4が並列に接続される。
ここで、図3を参照して荷電部3の概要について説明する。図3は、実施形態に係る荷電装置(荷電部3)の放電電極310および対向電極320を示す模式図である。放電電極310は、ワイヤ状に形成されており、図3においてはワイヤ状に形成された放電電極310の断面が見えている。なお、放電電極310は、細く鋭利な形状であればよく、ワイヤ状に代えて、たとえばニードル状であっても構わない。
一方、対向電極320は、平板状に形成されており、図示するように、導電部321と絶縁層322とを有する。絶縁層322は、導電部321の表面に樹脂により形成された絶縁被膜である。
導電部321は、たとえばSUS304などのステンレスにより形成され、絶縁層322は、たとえば、塩化ビニル樹脂またはフッ素樹脂により形成される。かかる絶縁層322により導電部321の表面が被覆された対向電極320は、放電電極310との間での放電電流を抑制することができ、それに伴いオゾンの発生も抑制することができる。
かかる荷電部3の構造を利用し、対向電極320を絶縁被覆した状態で、放電電極310への印加電圧を高めていく実験を行った。その結果、放電電極310近傍でコロナ放電が生じているときの所定の印加電圧と、火花放電が生じ始めるまでの印加電圧との間の、限られた範囲の印加電圧を放電電極310に印加した場合、絶縁被覆された対向電極320付近からもイオンが発生する現象が生じることを見出した。しかも、対向電極320付近から発生するイオンの量は、コロナ放電が生じているときに放電電極310付近から発生するイオンの量よりも多いことが分かった。
かかる現象を利用し、荷電部3の対向電極320付近から発生させたイオンを用いることによって、従来の装置に比べて塵埃への荷電量や荷電効率(荷電装置が消費する電力に対する得られた荷電量)を向上させることができる電気集塵装置2の提供が可能となる。
なお、放電電極310への印加電圧が高すぎる場合、放電電極310近傍で生じるコロナ放電から、放電電極310と対向電極320とを短絡する火花放電へと、放電現象が遷移する。火花放電が発生すると、放電電極310と対向電極320との間での短絡により大電流が流れ、放電電極310の電圧が低下することで、荷電装置としての荷電性能が低下し、ひいては集塵装置としての集塵性能が低下してしまう。また、火花放電の発生に伴って、大量のオゾンが生成されてしまう問題もある。そのため、本実施形態の荷電部3において、放電電極310への印加電圧は、火花放電が発生しない範囲の印加電圧としている。
ここで、図4を参照しながら、制御部70について説明する。図4は、電気集塵装置2が備える制御部70を主とするブロック図である。図示するように、制御部70は、たとえばCPUやメモリなどのマイクロコンピュータにより構成され、記憶部710と、通電制御部720と、推定部730とを有する。そして、記憶部710から所定のプログラムを読み出して処理することで通電制御部720、および推定部730としての機能を果たす。
また、記憶部710は、各種プログラムの他、たとえば、各種の計測値、取得値、算出値、各種閾値などを記憶しており、これら各種の計測値、取得値、算出値は、計測タイミング、取得タイミング、算出タイミング毎に、時系列で記憶される。たとえば、高い効率で塵埃を荷電できる印加電圧の値として、コロナ放電が生じる印加電圧(たとえば4kV)と火花放電が生じ始める印加電圧(たとえば8kV)との間に予め設定された目標印加電圧値が記憶される。かかる目標印加電圧値は、対向電極320の絶縁層322の絶縁破壊によって生じる放電電流の推定される波高値に基づいて予め定められる。なお、目標印加電圧値は、一定の値としてもよいし、所定の範囲内の値としてもよい。
通電制御部720は、通電を開始すると、放電電極310への印加電圧を徐々に上昇させて放電電極310の近傍でコロナ放電を生じさせる。その後、記憶部710に記憶された目標印加電圧値(たとえば6.5kV)の電圧を放電電極310に印加する。かかる通電制御により、放電電極310付近から第1の極性のイオンが発生し、それに加えて、放電電極310への印加電圧が目標印加電圧値に達すると、第1の極性とは逆極性である第2の極性のイオンが対向電極320付近から発生する。なお、第1の極性は正であっても負であってもよく、たとえば放電電極310に正の印加電圧を印加すれば、放電電極310付近からは正の極性のイオン(プラスイオン)が発生し、負の印加電圧を印加すれば、放電電極310付近からは負の極性のイオン(マイナスイオン)が発生する。これに対し、第2の極性は、第1の極性とは逆の極性になる。たとえば放電電極310付近から正の極性のイオンが発生したときは、対向電極320付近からは負の極性のイオンが発生する。一方、放電電極310付近から負の極性のイオンが発生したときは、対向電極320付近からは正の極性のイオンが発生する。
こうして、制御部70は、放電電極310と対向電極320との間で放電電極310近傍でのコロナ放電を生じさせることにより第1の極性のイオンを発生させるとともに、対向電極320の絶縁層322の絶縁破壊を生じさせて第1の極性とは逆極性である第2の極性のイオンを発生させることができる。
そして、かかる第2の極性のイオンにより、荷電部3を通過する塵埃の微粒子を帯電させることができる。すなわち、対向電極320の絶縁層322の絶縁破壊により生じた第2の極性のイオンによって、塵埃は第2の極性のイオンと同じ極性に帯電される。
また、推定部730は、第1の極性のイオンによる荷電量を推定することができる。ここで、第1の極性の放電電流のパルス波高値は概ね一定値となるため、第1の極性のイオンによる荷電量は、所定時間間隔内における第1の極性の放電の頻度(放電電流のパルス数)に凡そ比例する。そして、所定時間間隔内における、放電の頻度(放電電流のパルス数)と、放電の周期(放電電流のパルスの発生間隔)との間には、反比例の関係がある。そのため、第1の極性のイオンの荷電量は、第1の極性の放電電流のパルスの発生間隔に対して、凡そ反比例の関係にある。推定部730は、放電電流のパルスの発生頻度または発生間隔を通電制御部720からの情報として取得し、かかる情報に基づいて第1の極性のイオンによる荷電量を推定する。
図5は、実施形態に係る電気集塵装置2の制御手順を示すフローチャートである。電気集塵装置2の制御手順は、空気清浄機1の運転開始をきっかけとして実行される。
図5に示すように、制御部70は、空気清浄機1の運転開始に応じて、電気集塵装置2の運転を開始する(ステップS11)。次に、制御部70は、荷電部3の放電電極310への印加電圧が所定の印加電圧であるか否かを判定する(ステップS12)。ここで、所定の印加電圧とは、放電電極310近傍でのコロナ放電が開始される印加電圧である。
制御部70は、放電電極310への印加電圧が所定の印加電圧になるまで待機する(ステップS12:No)一方、所定の印加電圧に達したと判断すると(ステップS12:Yes)、処理をステップS13へ移し、通電制御を実行する。
すなわち、制御部70は、目標印加電圧値である所定の印加電圧を放電電極310に印加して放電電極310付近でのコロナ放電を生じさせることで、放電電極310付近から第1の極性のイオンを発生させるとともに、対向電極320より、第2の極性のイオンを発生させる。このとき、第1の極性のイオンによる荷電量をQ1とし、第2の極性のイオンによる荷電量をQ2としたときに、制御部70は、式1の関係を満たすように荷電量を制御する。なお、式1による演算根拠については後述する。
|Q2|>2×|Q1|・・・・(式1)
そして、制御部70は、かかる通電制御を空気清浄機1の運転終了がなされるまで実行し(ステップS14:No)、空気清浄機1の運転が終了されたと判断すると(ステップS14:Yes)、この制御手順を終了する。
以上、説明したように、本実施形態に係る電気集塵装置2は、荷電部3の対向電極320に絶縁層322を形成し、たとえば、6.5kV~8.0kVの特定の範囲の中で印加電圧を制御することで、第1の極性のイオンを放電電極310付近から発生させるとともに、絶縁破壊を生じさせることによって、第1の極性とは逆極性である第2の極性のイオンを対向電極320付近から発生させることができる。
すなわち、本実施形態に係る空気清浄機1の制御部70は、第1の極性のイオンを放電電極310付近から発生させる一方、第2の極性のイオンを対向電極320付近から発生させるよう、電気集塵装置2の荷電部3を制御する。そのために、制御部70は、対向電極320に絶縁破壊を生じさせる目標印加電圧値に応じた印加電圧を、放電電極310に印加するよう、荷電部用高圧電源30を制御する。
ここで、上述してきた本実施形態における荷電部3において、放電電極310に第1の極性の電圧を印加した際に、この放電電極310付近から発生する第1の極性のイオンよりも多い、極性の異なる第2の極性のイオンが対向電極320付近から発生する現象について、実験結果を示す図6~図15を用いて説明する。
図6は、実施形態に係る電気集塵装置2が備える荷電部3における放電電流の波形を示す図である。なお、この図は、荷電部3の放電電極310に6.3kVの正極の電圧を印加して、5.4秒間オシロスコープで観測したパルス波形を残像表示させたものである。放電電極310としては、直径0.12mm、有効長100mmのタングステン製のワイヤを用いるとともに、対向電極320としては、通風方向の奥行10mm、板厚0.5mmのステンレス製の板状体を、0.2mmの厚さの軟質ビニルで被覆したものを用いた。
図6から分かるように、放電電流の多数の小さなパルスに混ざって、放電電流の大きなパルスが現れていることが分かる。小さなパルスは、放電電極310付近から発生している、1パルスあたりの電荷量が0.06nCのプラスイオン(正極性のイオン)であり、いわゆるバーストパルスコロナ放電によるものである。一方、大きなパルスは、1パルスあたりの電荷量が0.3nC以上で、かつピーク電流値が2mA以上であった。
また、この放電電流の大きなパルスは、電気集塵機において逆電離現象によって生じるパルスの波形と似ている。ここで、逆電離現象とは、集塵装置において、塵埃を捕集する集塵電極上に塵埃が堆積し、集塵電極の表面を塵埃が覆って絶縁性のダスト層が形成される場合があり、この堆積したダスト層の絶縁性のために、ダスト層の内外に高い電位差を生じて絶縁破壊を起こし、ダスト層の表面からコロナ放電が生じる現象である。
そのため、荷電部3における対向電極320の絶縁層322が、上述したダスト層に相当する。そして、図6における大きなパルスは、対向電極320の導電部321の表面を被覆する絶縁層322の絶縁破壊による放電電流を示すパルスであると考えられる。また、かかる大きなパルスが出現する間隔Tは、対向電極320の絶縁層322の絶縁破壊を起こすことができる電位差に達するまで、電荷が絶縁層322の表面に貯まるのに必要な時間と考えられる。
本実施形態では、上述のように対向電極320の絶縁層322がダスト層に相当し、図7に示す過程を経て、放電電極310に印加される第1の極性とは逆極性である第2の極性のイオン(ここでは、マイナスイオン(負極性のイオン))が、対向電極320の近傍から大量に発生する。図7は、荷電部3における対向電極320の絶縁破壊により、第1の極性とは逆極性のパルス電流が発生する過程を示す説明図である。また、図8は、高速電子と窒素分子の衝突による反応を示す説明図である。
図7(a)に示すように、たとえば放電電極310に、所定の大きさの正の印加電圧を印加すると、コロナ放電により、放電電極310付近からプラスイオン(正極性のイオン)が発生し、対向電極320側へ引き寄せられる。すると、図7(b)に示すように、対向電極320の絶縁層322の表面にプラスイオンが蓄積されていく。このとき、対向電極320の導電部321における絶縁層322近傍には電子が偏在することになり、絶縁層322の表面と導電部321における絶縁層322近傍との間に電位差(電圧)が生じる。
電荷が蓄積すると、電位差が大きくなり、一定の電位差に達すると絶縁破壊が生じ、図7(c)に示すように、対向電極320の導電部321の内部から電子が高速で飛び出す現象が生じる。
絶縁破壊によって対向電極320付近から高速で飛び出した電子は、大きなエネルギをもっているため、図8に示すように、空気中に多く存在する窒素分子(N2)に次々と衝突していく。そして、各窒素分子(N2)への衝突時に、高速の電子が窒素分子(N2)から電子を弾き飛ばす。電子を失った窒素分子(N2)は正イオン(N2 +)となって対向電極320の方に引き付けられる。なお、正イオン(N2 +)は不安定であるため、近くの水分子から電子を奪い、安定した窒素分子(N2)に戻る。
一方、窒素分子(N2)から弾き飛ばされた電子は、図7(d)に示すように、近くの酸素分子(O2)と結びつく。電子と結びついて生じたマイナスイオン(O2 -)は、電界にそって放電電極310に引き付けられる。かかるマイナスイオンが、塵埃などの微粒子を負の極性に帯電させる。
このように、絶縁破壊によって対向電極320から飛び出した一つの電子が、多くのマイナスイオンを発生させる。すなわち、放電電極310に、正(第1の極性)の印加電圧を印加して、放電電極310近傍でコロナ放電を生じさせると、放電電極310付近から正(第1の極性)のイオンが発生するとともに、対向電極320の絶縁層322での絶縁破壊を生じることによって負(第2の極性)のイオンが大量に発生する。また、対向電極320の絶縁層322での絶縁破壊によって発生したイオンは、放電電極310へ印加した印加電圧の極性(第1の極性)とは、逆の極性(第2の極性)のイオンになる。
図9は、比較例に係る荷電装置の放電電流の1パルスの波形を示す図、図10は、実施形態に係る荷電部3の放電電流の1パルスの波形を示す図である。比較例としては、本実施形態における荷電部3の対向電極320付近から絶縁層322を取り除いた対向電極を用いたものとしており、図9では、荷電装置に5.42kVの電圧を印加したときの放電電流の波形を示している。なお、この場合の1パルスあたりの電荷量は0.3nCであった。
図9に示す放電電流は、図6において出現していた多数の小さなパルスに相当するものであり、バーストパルスコロナ放電によるものである。つまり、放電電極310付近からのコロナ放電による小さなパルスは、対向電極320における絶縁被膜の有無にかかわらず発生することが分かる。また、この小さなパルスによって微粒子(塵埃)を荷電した際は、微粒子が印加電圧と同じ極性に荷電されることが分かっている。そこで、図6における放電電流の小さなパルスを、印加極性荷電パルスと呼称することとする。一方、図10に示す放電電流は、図6において出現した大きなパルスに相当するもので、この大きなパルスで表される放電が、対向電極320の絶縁破壊によって発生したイオンを生み出している。このイオンが、本実施形態に係る荷電部3における微粒子(塵埃)への、印加電圧とは逆極性の荷電に寄与していると考えられるため、以下では、図6に示す放電電流の大きなパルス(図10参照)を逆極性荷電パルスと呼ぶことにする。また、印加極性荷電パルスと逆極性荷電パルスとを、まとめて荷電パルスと呼ぶこととする。
本実施形態に係る荷電部3では、電圧が印加されると、図6に示すように、間隔Tをあけて逆極性荷電パルスが生じる。一方、図9に示す比較例に係る荷電装置では、電圧が印加されても逆極性荷電パルスは発生せず、バーストパルスコロナ放電による印加極性荷電パルスのみが生じている。このことから、逆極性荷電パルスを生じさせるためには、対向電極320が絶縁されていることが必要である。
図11は、比較例に係る荷電装置の印加電圧と荷電パルスのピーク値との関係を示す図であり、図12は、比較例に係る荷電装置の印加電圧と荷電パルスの間隔との関係を示す図である。図11に示すように、対向電極が絶縁被膜されていない比較例では、印加電圧が変化しても、荷電パルス(印加極性荷電パルス)のピーク値はさほど変化することがない。これは、バーストパルスコロナ放電のパルスの特徴ともいえる。また、図12に示すように、荷電パルスの間隔(パルスインターバル)は、印加電圧の増加に伴い短くなっていくことが分かる。これもまた、バーストパルスコロナ放電のパルスの特徴の一つである。
図13は、比較例に係る荷電装置の印加電圧と放電電流との関係を示す図である。なお、ここでの放電電流については、1パルスあたりの電荷とパルスの発生頻度(所定時間間隔あたりのパルスの数)とを乗じて算出している。図示するように、比較例に係る荷電装置では、コロナ放電開始電圧V(図13の場合約5.4kV)以上の印加電圧を印加した場合、放電電流Iは凡そ印加電圧Vの2次曲線(I=A×V×(V-V),A:定数,V:コロナ放電開始電圧)で表される値を示しており、これもコロナ放電の特徴を示している。
また、図14は、実施形態に係る荷電部3の印加電圧とパルス波高値との関係を示す図である。なお、この例では、対向電極320の絶縁層322としては、塩化ビニルに代えてフッ素樹脂により形成したものとしている。図14に示すように、実施形態に係る荷電部3では、一定の電圧(たとえば7.1kV)までは、パルスの高さは、電圧によらず一定の小さなパルスである。これはバーストパルスコロナ放電による印加極性荷電パルスであることを示すものと考えられる。
しかし、一定の電圧(図14の場合7.1kV)よりも高い印加電圧になると、印加電圧の上昇とともにパルスの高さが高くなっていくことが分かる。すなわち、絶縁層322が形成された対向電極320を備える場合、ある電圧を境に、パルスの高さが一定のバーストパルスコロナ放電によるパルスとは異なるパルスが発生していることがわかる。これが、上述した逆極性荷電パルスであると考えられる。
次に、図15を参照しながら、本実施形態に係る荷電部3において逆極性荷電パルスにより発生していると想定される、放電電極310への印加電圧の極性とは逆極性のイオンによる荷電量について考察する。図15は、実施形態に係る荷電部3における、印加電圧を5.8kVとしたときの荷電量の実測値と理論値との比較図である。図15では、荷電量の実測値と理論値とが風量に応じてプロットされている。
図15において、破線で示すものは、放電電極310への印加電圧と同極性のコロナ放電(すなわち、印加極性荷電パルス)により荷電される荷電量の理論値であり、放電電流のパルスの発生間隔に基づいて、制御部70の推定部730により導出される。黒丸で示すものは、実施形態に係る電気集塵装置2が備える集塵部4において実際に捕集された塵埃から算出される荷電量の実測値である。ここで、荷電量の実測値は、印加極性荷電パルスによる荷電量(第1極性パルス荷電量)と逆極性荷電パルスによる荷電量(第2極性パルス荷電量)の合計である合計荷電量となる。
なお、荷電量の実測値は、塵埃を含む処理空気が荷電部3を通過するときの塵埃濃度と、集塵部4を通過した後の塵埃濃度との比から集塵効率を計測し、その結果をもとに計算して求めることができる。
実測値である合計荷電量は、理論値で求めることができる第1極性パルス荷電量と、理論値では求められなかった第2極性パルス荷電量との合計である。なお、上述のように、放電電極310付近からのコロナ放電により荷電されたイオンと、絶縁層322の絶縁破壊によって生じたイオンとは、互いに極性が逆(正極と負極)であるため、荷電部3の内部において、正極のイオン(プラスイオン)と負極のイオン(マイナスイオン)が互いに打ち消し合い、打ち消し合った末に残された、いずれか一方の極性のイオンによって荷電されているものと推定される。
そこで、理論値で求められる第1極性パルス荷電量の極性と、実測値である合計荷電量の極性は逆であると仮定する。理論値である第1極性パルス荷電量は正であるため、実測値(合計荷電量)は負として表すこととする。たとえば、図15に示すように、風量が20m3/hのとき、第1極性パルス荷電量(理論値)は1.8[10-18C]であり、合計荷電量は-2.6[10-18C]である。このとき、第2極性パルス荷電量(逆極性荷電パルスによる荷電量)は、合計荷電量から第1極性パルス荷電量を差し引いて求めることができる。
ここで、第1極性パルス荷電量をQ1とし、第2極性パルス荷電量をQ2とし、実測値(合計荷電量)をQ3とすると、Q1+Q2=Q3である。すなわち、第2極性パルス荷電量Q2は、Q2=Q3-Q1で求められる。
図15で示した例では、Q3がQ1とは逆の極性であると仮定したため、風量が20m3/hのときは、Q1=+1.8[10-18C]、Q3=-2.6[10-18C]となる。よって、Q2=-2.6[10-18C]-1.8[10-18C]=-4.4[10-18C]であると推定される。すなわち、このQ2=-4.4[10-18C]が、対向電極320の絶縁層322の絶縁破壊によって生じた逆極性のイオンによる荷電量と考えられる。
このように、理論値である荷電量と実測値の荷電量とを用いて、対向電極320の絶縁破壊によって発生したイオンによる荷電量(第2の極性のイオンによる荷電量)を算出した。
また、絶縁層322を設けない比較例の場合よりも、絶縁層322を設けた本実施例の場合の方が、高い荷電量が得られるようにするためには、放電電極310への印加電圧と同極性のバーストパルスコロナ放電による荷電量(第1の極性のイオンによる荷電量)であるQ1と、対向電極320の絶縁破壊によって発生したイオンによる荷電量(第2の極性のイオンによる荷電量)であるQ2との間に、以下に示す式1の関係が成立するように、荷電量を制御すればよい。
|Q2|>2×|Q1|・・・・(式1)
式1は、次のようにして導かれる。まず、第1の極性のイオンによる荷電量であるQ1と第2の極性のイオンによる荷電量であるQ2との和が、第1の極性のイオンによる荷電量であるQ1より大きくなるようにすればよい。つまり、|Q1+Q2|>|Q1|が成立すればよい。ここで、放電電極310への印加電圧を正とした場合、Q1>0であり、Q2<0である。
したがって、|Q2|>|Q1|の場合、|Q1+Q2|=|Q2|-|Q1|となり、これが|Q1|よりも大となる。つまり、|Q2|-|Q1|>|Q1|であり、これを変形すると、式1が導かれる。
また、図16は、実施形態に係る電気集塵装置における粒子の通過時間と荷電量との関係を示す図である。なお、粒子の通過時間は、電気集塵装置2の風量から求めることができ、図15における実測値の黒丸(●)を元に算出している。図示するように、粒子の通過時間と荷電量とが比例関係にあることが分かる。粒子の通過時間が長いほど、粒子は空気イオンの塊(イオンシャワー)と接する割合が高くなるので、比例関係が得られると考えられる。またこれは、図15において、合計荷電量Q3の極性を、第1極性パルス荷電量Q1の極性とは逆極性であるとした仮定が正しいことを示している。
ここで、実施形態に係る電気集塵装置2と比較例に係る電気集塵装置とにおける集塵性能を比較する。図17は、実施形態に係る電気集塵装置2と比較例に係る電気集塵装置との、風量を変化させた際の集塵効率(電気集塵装置2へ流入した空気中に含まれる塵埃量に対する、電気集塵装置2によって捕集された塵埃量の割合)の変化を示す図、図18は、実施形態に係る電気集塵装置2と比較例に係る電気集塵装置とのオゾン濃度の比較図、そして、図19は、実施形態に係る電気集塵装置と比較例に係る電気集塵装置との、集塵効率を変化させた際のオゾン濃度の変動を示す比較図である。
図17に示すように、対向電極320に絶縁層322がある実施形態に係る電気集塵装置2と、対向電極320に絶縁層322がない比較例に係る電気集塵装置とでは、同じ放電電流であれば、実施形態に係る電気集塵装置2の集塵効率が高いことが分かる。特に、風量が小さいとき、たとえば風量が20m3/hのときは、実施形態に係る電気集塵装置2は、集塵効率が100%近くまで高くなることが分かる。つまり、実施形態に係る電気集塵装置2は、風量が小さいときに特に荷電量および荷電効率が高くなる。
また、図18に示すように、対向電極320に絶縁層322がある実施形態に係る電気集塵装置2では、放電電流の値にかかわらずオゾンの発生量は少ないことが分かる。一方、比較例に係る電気集塵装置は、放電電流の大きさに応じてオゾンの発生量が直線的に増加することが分かる。
かかるオゾン濃度は、図19に示すように、対向電極320に絶縁層322がない比較例に係る電気集塵装置では、集塵効率が高まるのに伴って、放電の副産物として発生するオゾン濃度が、集塵効率が80%を超えたあたりから急激に高くなっているが、対向電極320に絶縁層322がある実施形態に係る電気集塵装置2は、集塵効率の大きさにかかわらず放電電流が低いので、オゾン濃度が低濃度に抑えられている。
ここで、本実施形態に係る電気集塵装置2内における塵埃の捕集作用について簡単に説明する。荷電部3の放電電極310にたとえば正極の高電圧を印加し、対向電極320を荷電部用高圧電源30の接地極に接続すると、コロナ放電が起こり、この電極間には、電子と空気分子が正に帯電したイオンが満たされる。このうち電子は、対向電極320の絶縁層322に蓄積されていく。
そして、さらに印加電圧が上昇して、予め定められた目標印加電圧に達すると、対向電極320で絶縁破壊が生じ、これにより、負の極性を有するイオンが大量に発生する。この際、放電電極310付近からのコロナ放電により生じた正の極性のイオンと、対向電極320の絶縁破壊により生じた負の極性のイオンとが、互いの極性を打ち消し合う。しかし、本実施形態では負の極性のイオンの方が大量に発生することで、電極間は負イオンで満たされ、かかる空間を塵埃が通過する際に、その通過時間と放電電極310と対向電極320とで作られる電界の強さに応じて、イオンと塵埃(微粒子)との衝突による電荷の移動が起こり、塵埃に負の電荷が帯電する。
一方、集塵部4の高圧電極410に所定の印加電圧が印加され、捕集電極420を集塵部用高圧電源40の接地極(アース)に接続すると、所定の強さの静電界が形成される。荷電部3で負に帯電した塵埃は、集塵部4に移動すると、静電界により塵埃と反対の極性の捕集電極420に吸引される方向に力を受ける。こうして、空気清浄機1の運転開始からの時間の経過にともない、塵埃は次第に減少していく。
本実施形態に係る空気清浄機1は、オゾンの発生を抑制しつつ、上述した塵埃の捕集作用を実行する。このとき、荷電部3では高い荷電量および荷電効率が実現されるため、より効率よく塵埃の捕集を行うことができる。
以上、本願の実施例を図面に基づいて説明したが、あくまでも例示であって、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施すことができる。
上述してきた実施形態より、以下に示す荷電装置および電気集塵装置2が実現できる。なお、以下の荷電装置は、電気集塵装置2における荷電部3に相当する。
(1)放電電極310と、この放電電極310に対向配置される対向電極320と、放電電極310へ印加する印加電圧を制御する制御部70と、を備え、対向電極320は、導電部321と、この導電部321の表面を被覆する絶縁層322とを有し、制御部70は、印加電圧を制御して、放電電極310近傍でコロナ放電を生じさせることにより第1の極性のイオンを発生させるとともに、対向電極320の絶縁層322の絶縁破壊を生じさせて第1の極性とは逆極性である第2の極性のイオンを発生させる荷電装置。
かかる構成により、オゾンの発生を抑制しながら荷電量や荷電効率を高めることが可能となる。
(2)上記(1)において、荷電装置を通過する微粒子を、対向電極320の絶縁層322の絶縁破壊により生じた第2の極性のイオンにより帯電させる荷電装置。
かかる構成により、コロナ放電により発生する第1の極性のイオンよりも大量の第2の極性のイオンを、対向電極320付近から発生させることで、塵埃等の微粒子への荷電量や荷電効率を高めることが可能となり、上記(1)の効果を確実に奏することができる。
(3)上記(1)または(2)において、制御部70は、第1の極性のイオンを放電電極310付近から発生させる一方、第2の極性のイオンを対向電極320付近から発生させることができる所定の印加電圧を放電電極310に印加する荷電装置。
かかる構成により、上記(1)または(2)の効果をより確実に奏することができる。
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、絶縁層322は、塩化ビニル樹脂またはフッ素樹脂により形成される荷電装置。
かかる構成により、特別な構造を用いることなく、上記(1)から(3)のいずれかの効果を奏することができる。
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、第1の極性のイオンによる荷電量をQ1とし、第2の極性のイオンによる荷電量をQ2としたとき、|Q2|>2×|Q1|の関係を満たす荷電装置。
かかる構成により、(1)から(4)のいずれかの効果に加え、荷電量や荷電効率をより確実に高めることができる。
(6)上記(1)から(5)のいずれかの荷電装置(荷電部3)と、この荷電装置により帯電された微粒子を静電気力により捕集する集塵装置(集塵部4)とを備える電気集塵装置2。
かかる構成により、上記(1)から(5)のいずれかの効果を奏する電気集塵装置2を提供することができる。
上述の実施形態および図示の具体的名称、処理、制御、各種のデータなどについては、一例を示すに過ぎず、適宜変更される場合がある。たとえば、上述の実施形態では、対向電極320を、SUS304を材料とした導電部321に、塩化ビニル樹脂またはフッ素樹脂からなる絶縁層322を形成したものとした。しかし、絶縁層322は、必ずしも塩化ビニル樹脂またはフッ素樹脂には限定されず、絶縁性が担保できるものであれば、特に材料が限定されるものではない。
また、上述の実施形態のより広範な態様は、上述のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 空気清浄機
2 電気集塵装置
3 荷電部(荷電装置)
4 集塵部(集塵装置)
70 制御部
310 放電電極
320 対向電極
321 導電部
322 絶縁層

Claims (7)

  1. 放電電極と、当該放電電極に対向して配置される対向電極と、
    前記放電電極へ印加する印加電圧を制御する制御部と、
    を備え、
    前記対向電極は、
    導電部と、当該導電部の表面を被覆する絶縁層とを有し、
    前記制御部は、
    前記印加電圧を制御して、前記放電電極近傍でコロナ放電を生じさせることにより正極性のイオンを発生させるとともに、前記対向電極の絶縁層の絶縁破壊による放電を生じさせて前記正極性とは逆極性である負極性のイオンを発生させ
    前記絶縁破壊による放電が生じることにより前記放電電極と前記対向電極との間に流れる放電電流に出現する複数の逆極性荷電パルスの1パルスあたりの電荷量は、前記コロナ放電が生じることにより前記放電電流に出現する複数の印加極性荷電パルスの1パルスあたりの電荷量よりも、大きい、荷電装置。
  2. 前記対向電極の絶縁層の絶縁破壊により生じるパルス状の放電は、前記放電電極の近傍でのパルス状のコロナ放電よりも、放電の発生頻度が低い、
    請求項に記載の荷電装置。
  3. 前記荷電装置を通過する微粒子を、前記対向電極の前記絶縁層の絶縁破壊により生じた前記負極性のイオンにより帯電させる、請求項1または請求項2に記載の荷電装置。
  4. 前記制御部は、
    前記正極性のイオンを前記放電電極から発生させる一方、前記負極性のイオンを前記対向電極から発生させることができる所定の印加電圧を前記放電電極に印加する、請求項1または請求項2に記載の荷電装置。
  5. 前記絶縁層は、塩化ビニル樹脂またはフッ素樹脂により形成される、請求項1または請求項2に記載の荷電装置。
  6. 前記正極性のイオンによる荷電量をQ1とし、前記負極性のイオンによる荷電量をQ2としたとき、
    |Q2|>2×|Q1|
    の関係を満たす、請求項1または請求項2に記載の荷電装置。
  7. 請求項1または請求項2に記載の荷電装置と、同荷電装置により帯電された微粒子を静電気力により捕集する集塵装置とを備える、電気集塵装置。
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