JPS6140999Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は車両の転倒時の燃料タンク内の燃料
が例えばエバポラインから大気中へ流出するのを
防止するバルブの改良に関する。

燃料流出防止用のバルブいわゆるロールオーバ
バルブは、例えば燃料タンクと該タンク内に生じ
る燃料蒸気を吸収保持するためのカーボンキヤニ
スタとの間の流路すなわちエバポラインに配設さ
れ、車体が転倒したり傾いたりした際に流路を閉
鎖する役割を果すものであるが、この種のバルブ
に関し、入口を有する上部ケースと出口を備えた
下カバーとからなるケーシングの底部にｖ状の斜
面を形成すると共にその外側に逆方向の斜面を形
成し、ｖ状の斜面上にはバランスボールを載置
し、そのボール上には下端に円錐面を備えたシヤ
フトを、このシヤフト上にはシートと小径のボー
ルバルブを順次に重ね、シヤフトの上半部とシー
トおよびボールバルブを上部ケース中のカラーに
嵌挿し、シヤフトとシートとの間には一定値以上
の衝撃による慣性がボールに加わつたときたわみ
始めるようなばね常数のスプリングを介在させた
ものが、実開昭51−47018号として提案されてい
る。

ところで、このものでは入口を閉じたり開いた
りする際には、シヤフトのほかにシートやスプリ
ングがカラー中を摺動することになるので、各部
材の抵抗が重なり且つ各部材間にこじれを生じた
りして、上下動作が重く不確実になり、そして部
品点数も多く、また、ボールバルブはシヤフトや
バランスボールとは別個なので、開弁動作は小径
ボールバルブの自重だけで行われ、バランスボー
ルやシヤフトによる引き降ろし作用はなく迅速性
に乏しく、更にバランスボールがｖ状凹所をのり
越えて外側凹所にのり上げてボールバルブが入口
を閉じてしまうと、車体の障害が解消されてもバ
ルブは元に戻らず、エバポラインの機能を損う難
点がある。

また、構造を簡単化したものでは第１図のよう
に、カーボンキヤニスタに通じる出口パイプ１
a′を備えた上部ケーシング１と、燃料タンクに通
じる入口パイプ２a′をを備えた下部ケーシング
２′とからなり、両ケーシングの間には環状のサ
ポートプレート３′が挾持されており、サポート
プレート３′上には上端に突出部４a′を有する半
球殻状の弁体４′が配設され、この弁体４′と下部
ケーシング２′の間には所要重量（大体12〜13
ｇ、直径14〜15mm）の金属ボール５′が収容さ
れ、通常には金属ボール５′が下部ケーシング
２′の中心部に位置して下方の入口パイプ２a′と
上方の出口パイプ１a′とが連通されていて、燃料
タンク内に生じた燃料蒸気はカーボンキヤニスタ
側に自由に流動できるが、車体が転倒したり左右
いずれかに傾いたりした際には、金属ボール５′
がそのまま下方（第１図では上方）に落下または
左右いずれかに移動して、弁体４′の突出部４
a′を出口パイプ１a′基端の通孔に嵌合させ、タン
ク内の燃料がエバポラインから流出するのを防ぐ
ようにしたものが知られている。

このものは、誤動作の原因となるスプリングを
使用せず、また金属ボール５′の重量と燃料蒸気
の圧力とによつて出口パイプ１a′の通孔を閉じる
ようにしているので、流路の遮断動作は確実であ
るが、車体の異常状態が解除して正常状態に戻つ
た際、下部ケーシング２′中にタンクの内圧が一
定値以上残つていると、金属ボール５′は元の位
置に戻つても弁体４′は閉塞状態を続け、エバポ
ラインの機能を損う欠点がある。

そこで、この考案は上記従来品の欠点を改良す
べく工夫されたもので、弁体とボールとを一体に
結合し、車体の異常状態には遅滞なく入口を閉鎖
する一方、正常状態に戻るときには、閉鎖状態を
持続することなく直ちに確実に元の位置に復帰で
き、しかも部品点数の少ない燃料流出防止用のバ
ルブを提供するものである。

図面参照の上その実施例について説明すれば、
第２図において１は上面中央にエバポライン中の
カーボンキヤニスタ（図示せず）に通じる出口１
ａを備えた逆さコツプ状の上部ケーシングであつ
て、上壁１ｂの中央部には内側に突出する肉厚部
１ｄが形成され、その中央部には出口１ａの流路
に通じる開口１ｆを穿設した円錐状の弁座１ｅが
設けられている。

２は一側部に車両の燃料タンク（図示せず）に
通じる入口２ａを備えた皿状の下部ケーシングで
あつて、その側壁２ｃの上端部は上部ケーシング
１の側壁１ｃの下端部に突き合せ状態に嵌合固着
されており、下壁２ｂは平坦な周辺部から中心に
向つて下方に傾斜している。

また、上部ケーシング１と下部ケーシング２と
で形成される弁室の内部には棒状の弁体３と所要
大きさ（重さ12〜13ｇ、直径14〜15mm）の金属ボ
ール４とが収容されているが、弁体３の下端には
第３図のように複数の逆Ｕ字状の脚本３ａが一体
に設けられていて、金属ボール４はこの複数の脚
本３ａにより脱落しないように一体的に且つ回動
自在に抱持されており、棒状弁体３の先端部は上
部ケーシング１の上壁１ｂに設けられた円錐状弁
座１ｅ中に挿入されている。

そして、車体が正常状態にあるときには第２図
のように金属ボール４は弁室下壁２ｂの傾斜面の
中心部に着座し、棒状弁体３の先端は弁座１ｅの
開口１ｆから若干離れていて、入口２ａと出口１
ａとが連通し、燃料タンク内に生じた燃料蒸気は
カーボンキヤニスタ側に自由に流れ、エバポライ
ンは通常のように機能する。

この状態で、車体が転倒した際には、第４図の
ように上部ケーシング１と下部ケーシング２とか
らなるバルブもさかさになり、その際金属ボール
４が下壁２ｂの傾斜面に沿つて中心部から左右い
ずれかに転動し、その重量で棒状弁体３の先端を
弁座１ｅの奥部の開口１ｆに突き当てて出口１ａ
の流路を直ちに遮断し、タンク内の燃料がエバポ
ラインから外部に流出するのを防止する。

また、車体が左右いずれかに傾いた際にも金属
ボール４および棒状弁体３は上記の場合と同様に
動作する。

そして、車体が正常状態に戻れば、バルブも第
４図の転倒状態から第２図の起立状態に戻るが、
その際には金属ボール４は再び下壁２ｂの傾斜面
に沿つて中心部に着座するように転動し、脚体３
ａを介して一体になつている棒状弁体３をその重
量によつて弁座１ｅの奥部から強制的に引き離
し、出口１ａの開口１ｆを迅速確実に開いて元の
状態に戻る。

なお、ボールは重量体であればよく必ずしも金
属でなくてもよい。

この考案は上述のように出口を通じる開口を有
する弁座を備えた上部ケーシングと入口を備え下
壁が中心部に向つて下方に傾斜した下部ケーシン
グとで弁室を形成し、その弁室内にはボールを複
数の脚体によつて一体的且つ回動自在に抱持した
棒状弁体を収容し、その先端部を弁座中に挿入
し、上部ケーシングの開口を開閉するようにした
ので、車体の正常状態ではボールが下壁傾斜部の
中心に着座すると共に棒状弁体の先端部が弁座中
に突入していて、車体の振動を受けても起立状態
を保持して誤動作をすることなく、また、車体の
転倒または傾倒時にはボールの転動作用によつて
直ちに出口の流路を閉じることができ、しかも、
重量体であるボールと棒状弁体は一体であるの
で、車体が元の状態に復帰する際には、車体の傾
きの減少に即応してボールが棒状弁体を引き降ろ
すことになり、復元用のスプリングを必要とする
ことなく、開弁動作がすみやかに確実に行われ、
そして、弁室内に高い内圧が残留していても積極
的に弁体を下降させて出口流路を開くことがで
き、エバポラインの機能に支障をきたすことがな
い。

また、開閉部材はボールと弁体の二部品ですむ
ので部品点数が少なく製作し易いものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のバルブの縦断面図。第２図はこ
の考案の実施例の断面図。第３図は弁体部分の平
面図。第４図は転倒状態の断面図。 図中、１……上部ケーシング、１ａ……出口、
１ｂ……上壁、１ｃ……側壁、１ｄ……肉厚部、
１ｅ……弁座、１ｆ……開口、２……下部ケーシ
ング、２ａ……入口、２ｂ……下壁、２ｃ……側
壁、３……棒状弁体、３ａ……脚体、４……ボー
ル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 出口１ａと該出口１ａに通じる開口１ｆを有す
   る弁座１ｅを備えた上部ケーシング１と入口２ａ
   を備え下壁２ｂが中心部に向つて下方に傾斜した
   下部ケーシング２とからなり、両ケーシング１，
   ２で形成される弁室内には、ボール４を複数の脚
   本３ａによつて一体的に且つ回動自在に抱持した
   棒状弁体３を収容し、その先端部を上記弁座１ｅ
   中に挿入させてなる燃料流出防止用のバルブ。