JPS6133243Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は気化器の浮子室内への燃料を供給、停
止する装置に係わり、特に気化器の傾斜時におけ
る浮子室内への燃料供給停止装置に関する。

すなわち、フロートバルブは浮子室内の一定液
面下に没入した浮子の浸漬体積に基づく浮子のフ
ロートバルブへの閉方向付勢力（浮力）とフロー
トバルブのバルブシート開口端部に加わる燃料通
路内の燃料圧力によるフロートバルブへの開方向
付勢力（燃料圧力）とのバランスにより燃料通路
は開閉されるものであり、浮子室内に貯溜された
燃料が一定液面以下においては、フロートの浮力
（フロートバルブに対する閉塞力）＜フロートバル
ブに作用する燃料圧力（フロートバルブに対する
開放力）、であつてフロートバルブがバルブシー
トより離反しているので燃料通路は開放され、燃
料通路からバルブシートを介して燃料が浮子室内
へ供給される。次いで浮子室内に一定液面が形成
されるや浮子の液面下に没入する浸漬体積が増加
することによつてフロートの浮力＞フロートバル
ブに作用する燃料圧力、となるのでバルブシート
はフロートバルブにて閉塞されて燃料通路から浮
子室内への燃料の供給が遮断されて浮子室内に一
定なる液面が形成される。

かかるごとく、一定液面が浮子室内に形成され
た状態から気化器が傾斜すると、浮子室内の液面
がその液面中心を元に傾斜するものであり、この
傾斜液面によると、浮子の断面形状によつては液
面内に没入せる浮子の浸漬体積が減少してフロー
トバルブがバルブシートを閉塞するに充分なる浮
力を得られない場合がある。

これによると、フロートバルブは燃料通路内の
燃料圧力にて開放して浮子室内へ燃料を供給し液
面をさらに上昇させて、燃料が主ノズル等から吸
気道内へ、またエヤーベント通路から気化器外へ
溢流する場合があり、前者の場合は機関運転を不
調にするにとどまらず運転不能に至らしめる場合
があり、また後者においては漏洩した燃料が火災
の原因となつたりして安全性が阻害され、さらに
は燃料経済上好ましいものでなかつた。

本考案は上記に鑑み、従来使用している浮子の
形状を何等変更することなく極めて簡単なる構造
にてあるゆる方向の傾斜に対して液面を無用に上
昇させることのない気化器の傾斜時における燃料
供給停止装置を得ることにある。

以下、本考案の一実施例を図により説明する。

１は内部を吸気道２が貫通し、その下流側の吸
気道２に絞り弁軸３にて回動自在に軸支された紋
り弁４が配置された気化器本体であり、その側方
には浮子室５が配置される。

吸気道２の中間部に設けたベンチユリー部２Ａ
には主ノズル６が突出して開口し、この主ノズル
６には主空気ジエツト７にて計算された空気と、
主燃料ジエツト８にて計量された燃料が連絡され
る。

また浮子室５内には燃料タンク９と連絡された
燃料通路１０が連絡開口され、その燃料通路１０
の浮子室５への開口端にはバルブシート１１が配
置され、このバルブシート１１の孔１２には該孔
を開閉するフロートバルブ１３が対応配置され
る。

そしてこのフロートバルブ１３はピン１４にて
回動自在に軸支された浮子１５と同期的に移動す
るフロートアーム１５Ａにてバルブシート１１の
孔１２を開閉制御するものである。

従つて、浮子室５内へ燃料が貯溜されてない状
態においては、浮子１５が反時計方向へ回動して
フロートアーム１５Ａにてフロートバルブ１３を
バルブシート１１へ押圧しないので燃料タンク９
内の燃料は燃料通路１０からバルブシート１１を
介して浮子室５内へ流入する。

そして、本考案になる気化器の傾斜時における
燃料供給停止装置はさらに次の構成を付加する。

すなわち、１３Ａはフロートバルブ１３の端部
より下方へ突出した突子であり、この突子１３Ａ
はフロートアーム１５Ａに穿設した小孔１５Ｂ内
を貫通する。なおフロートアーム１５Ａとフロー
トバルブ１３とはフロートバルブ１３の鍔部１３
Ｂにて係合し得るものである。

また、５Ａは浮子室５の底部より上部が開口
し、下部がプラグ１６にて閉塞されるとともにフ
ロートバルブの長手軸心方向に沿う筒状の弁体収
納室であり、その弁体収納室５Ａの側壁に穿設し
た連通孔５Ｂにて浮子室５内の燃料が流入し、弁
体収納室５Ａ内に浮子室５と同一なる一定液面が
形成される。

そしてこの弁体収納室５Ａの液面下には、内部
に貯溜された燃料の比重より重い比重を有する球
弁１７をフロートバルブ１３の突子１３Ａに対応
して移動自在に配置する。

また球弁１７の重量はフロートバルブ１３に対
する開放力に打ち勝つてバルブシート１１を閉塞
することのできる重量に設定する。

なお、１８は弁体収納室５Ａの上部開口端部に
嵌合した球弁１７の脱落防止の為のストリツプリ
ングである。

次に作用について説明する。

気化器が図のごとく正常配置状態にあつて、浮
子室５内に燃料が貯溜されていない状態から燃料
を浮子室５内へ供給すると、浮子室５内に貯溜さ
れた燃料量に応じて浮子１５はピン１４を基準に
して時計方向に回動する。この回動によるとフロ
ートアーム１５Ａの上面はフロートバルブ１３の
鍔部１３Ｂを押圧し、浮子室５内へ一定なる液面
が形成されるやフロートバルブ１３はバルブシー
ト１１を閉塞して浮子室５内に一定液面が形成さ
れる。

尚、この際球弁１７は燃料の比重より重く設定
したので弁体収納室５Ａの底部に配置され、球弁
１７がフロートバルブ１３の突子１３Ａに係合す
ることはなく、通常の液面形成作用を阻害するも
のでない。

次いでかかる気化器の正常配置状態から気化器
が傾斜すると、この傾斜に応じて球弁１７は弁体
収納室５Ａ内をその開口端部に向かつて滑動する
ものであり、球弁１７が開口端部に達するや球弁
１７はフロートバルブ１３の突子１３Ａに係合す
る。これによるとフロートバルブ１３は浮子１５
の浮力とは全く別にフロートバルブ１３に対する
押圧力が付与されるものであり、前述のごとく球
弁１７の重量をフロートバルブ１３に対する開放
力に打ち勝つてバルブシート１１を閉塞すること
のできる重量に設定したので、球弁１７は突子１
３Ａをしてフロートバルブ１３をバルブシート１
１に押圧し、もつて燃料通路１０から浮子室５内
への燃料の供給を停止するものである。従つてか
かる傾斜時において浮子室５内の液面が無用に上
昇することはなくなり燃料が主ノズル６等の噴口
から吸気道２内へ溢流したり、エヤベント通路
（図示せず）から外部へ溢流したりすることはな
くなり、機関運転性能が阻害されたり火災発生の
恐れがなくなり、さらには燃料経済性が向上す
る。

尚、通常運転時において、機関の振動を受けて
球弁１７は弁体収納室５Ａ内をジヤンピングする
が、特に球弁１７を液体燃料油中に浸漬したので
かかる機関の振動を受けた際にも球弁１７のジヤ
ンピングは抑止され球弁１７が突子１３Ａに当接
することはなく、無用にフロートバルブ１３をバ
ルブシート１１に対して押圧して燃料通路１０を
閉塞することがないので燃料が不足するという不
具合はないものである。

また弁体収納室５Ａ内に球弁１７を配置したの
で気化器の全方向に対する傾斜に対して球弁１７
が移動し得るので全方向の傾斜に対して適確に燃
料の供給を停止することができる。

以上のごとく本考案によると、内部に浮子室内
の燃料を貯溜するとともにフロートバルブの長手
軸心方向に沿う筒状の弁体収納室を浮子室より立
設し、その弁体収納室内にはフロートバルブに対
応するとともに内部に貯溜された燃料の比重より
重い比重を有する球弁を移動自在に配置し、気化
器の傾斜時に球弁をしてフロートバルブをバルブ
シートに押圧することによつて燃料通路を閉塞し
たので、気化器の傾斜時において浮子とは全く別
に球弁をしてフロートバルブをバルブシートに押
圧して燃料通路を閉塞することができ浮子室内の
液面を無用に上昇させることがなくなり傾斜性の
良好な気化器を得ることができる。

また、弁体収納室内に球弁を配置したので気化
器の全方向に対する傾斜を感知することができる
ものであり、また球弁を弁体収納室内の燃料液体
中に浸漬して配置したので定常状態下において機
関振動時に球弁がフロートバルブに衝突すること
がなく傾斜時以外の運転に何等の影響を与えるこ
とはない。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の気化器の傾斜時における燃料供
給、停止装置の一実施例を示す縦断面図である。 ２…吸気道、４…絞り弁、５…浮子室、５Ａ…
弁体収納室、１１…バルブシート、１３…フロー
トバルブ、１７…球弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 浮子室５内に配置した浮子１５の移動に応じて
   燃料通路１０に設けたバルブシート１１に対応し
   て配置したフロートバルブ１３を移動させ、燃料
   通路１０を開閉することによつて浮子室５内に常
   に一定なる液面を形成した気化器において、内部
   に浮子室５内の燃料を貯溜するとともにフロート
   バルブの長手軸心方向に沿う筒状の弁体収納室５
   Ａを浮子室５より立設し、その弁体収納室５Ａ内
   にはフロートバルブ１３に対応するとともに内部
   に貯溜された燃料の比重より重い比重を有する球
   弁１７を移動自在に配置し、気化器の傾斜時に球
   弁１７をしてフロートバルブ１３をバルブシート
   １１に押圧することによつて燃料通路を閉塞して
   なる気化器の傾斜時における燃料供給停止装置。