JPS6139027Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はトンネル掘進作業において特に掘進方
向の制御を容易かつ確実に実施し得る機構を有す
るシールド掘進機に関する。

従来公知のカツタ面板を備えたシールド掘進機
によるトンネルの掘進は、掘進機の外筒体をなす
シールドフレームの前面の開口部に突出させたカ
ツタ面板を駆動モータ、駆動ギア、駆動軸等を介
して回転駆動させて、該面板に固設した地山掘削
用ビツトにより地山を掘削し、掘削した土砂を面
板に穿設したスリツトからシールドフレーム内へ
取込んで隔壁に設けた排土手段により、既掘削の
後方のトンネルへ逐次排出するとともに、シール
ドフレームの内周部に備えた複数の推進用ジヤツ
キ（以下シールドジヤツキと言う。）を伸長して
その推力により前進するものであるが、地山の地
質などによつてはシールドフレームが偏向して、
放置すれば所定のトンネル掘削ラインから逸脱す
る状態が発生することがあつた。この状態を修正
すなわち掘進方向を制御する手段として、偏向し
た方向のシールドジヤツキのみを伸長してその推
力によつてシールドフレームの前部を推力の反対
側方向に向けさせて方向の修正を行なうが、地質
によつては容易に修正できない場合は修正方向側
の地山をシールドフレーム外径より余分に掘削
（以下余掘りと言う。）して、シールドフレームの
前進時に抵抗の少ない余掘り部分へ向つて進行さ
せるようにして掘進方向を修正復旧させていた。
上記した余掘りを行なう機構として従来は第１図
に示すごとく、地山に臨むカツタ面板３の側部
に、油圧ジヤツキ１０と組合されてシールドフレ
ーム２の径方向に出没自在なオーバーカツタ１１
を突出させて、面板３に備えたビツト４，５によ
る正面側の地山の掘削とともに、面板３の外方を
余掘り作業を行なつていた。

しかしながら、上記余掘り作業におけるオーバ
ーカツタ１１の外方への出没は油圧ジヤツキ１０
によるため油圧ホーース１２，１３を要し、この
油圧ホース１２，１３は回転体であるところの面
板３に組込まれた油圧ジヤツキ１０に接続されて
いるので、面板３の回転により強度な捩れが反復
発生し損傷することが多く、その都度面板３の回
転を中止すなわち地山の掘削を中止して隔壁部材
８前方の狭隘な空間内で修理作業を行なわねばな
らず、トンネル掘進を遅延させる一因となつてい
た。さらに上記したオーバーカツタ１０による余
掘りは、外方への突出分だけ大きく掘削されるの
で、面板３、シールドフレーム２と地山間には空
隙部Ｙが形成されるが、この空隙部Ｙはシールド
フレーム２の前部を誘導する案内部となるために
かなりの長さを要するので、図示のごとく大きな
空隙部Ｙとなり、地盤沈下の一因となつていた。
本考案は上述した問題点を有効に解決すべく創案
されたもので、その目的は掘進方向の制御におい
て設備の損傷を解消するとともに、余掘りの空隙
部の長さを小ならしめて地盤沈下を防止するとと
もに掘進方向の修正を容易としたシールド掘進機
を提供することにある。

以下に本考案の一実施例を添付図面に基づいて
詳述する。第２図乃至第５図に示すごとく、地山
掘削用ビツト４，５を備えたカツタ面板３と一体
状に連設した駆動軸６を含む軸受部材７の外周
に、シールドフレーム２の内径よりも縮径した同
心円形の隔壁部材８を固設し、一方、シールドフ
レーム２の内周壁に上記隔壁部材８と面接触しか
つ摺動部分となるリングプレート９を固設し、上
記両部材８，９によりカツタ面板３から取入れた
掘削土砂が既掘削のトンネルＺ（図示右方）へ流
出することを一時的に制止する隔壁部材を形成す
る。上記隔壁部材８とリングプレート９間に第３
図に示すごとく油圧ジヤツキ２５，２７を垂直方
向に、２６，２８を水平方向に取付金物２９，３
０，３１，３２，３３，３４を介して枢支する。
上記した各油圧ジヤツキ２５，２６，２７，２８
は図示省略した油圧ホースのトンネルＺ側からの
操作によつて隔壁部材８を垂直方向即ち上下移動
および水平方向即ち左右移動させるものであり、
この移動により隔壁部材８と固設している軸受部
材７に含まれている駆動軸６と一体状に形成され
ているカツタ面板が上下および左右に移動自在と
なり、また隔壁部材８とリングプレート９の密接
状態を維持し、かつ隔壁部材８の移動用溝部１８
を形成するシールドフレーム２と同心円形でその
内辺がリングプレート９の内辺とほぼ同一の押え
板１９が、これも同心円形の取付板２０を介して
リングプレート９の前方側（図示左方）に取付け
られる。押え板１９が隔壁部材８に接する面には
掘削土砂が移動溝部１８へ侵入することを制止す
るシール部材２１が取付けられる。図中１５は駆
動軸６を介してカツタ面板３を回転させる駆動モ
ータと駆動力を伝達するギア等を示し、１４はシ
ールドフレーム２の補強部材、１６はシールドジ
ヤツキ、１７はセグメントを示す。図示省略する
が隔壁部材８には排土手段や通行孔等が設けられ
る。

上記実施例の作用を述べる。シールド掘進機１
でトンネル掘進中にシールドフレーム２の前部が
下方に偏向して、所定のトンネル掘削ラインを逸
脱しはじめた場合の修正について説明する。修正
量すなわちシールドフレーム２前部の上方への移
動量を確認してから、隔壁部材８とリングプレー
ト９間に設置してある垂直方向の油圧ジヤツキ２
５を縮動するとともに２７を伸動させて、隔壁部
材８をリングプレート９および押え板１９により
形成されている移動溝部１８内を上記移動量だけ
上昇させると、隔壁部材８と固設されている軸受
部材７に貫挿している駆動軸６と一体状に連接さ
れているカツタ面板３も同様に上昇して、所定ト
ンネル掘削ラインにカツタ面板３が位置して、シ
ールドフレーム２とは偏心状態となる。この状態
で駆動モータ等１５を回転させて駆動軸６を介し
てカツタ面板３を回転させビツト４，５により地
山を掘削すると、カツタ面板３の正面の地山には
所定位置にトンネルが掘削され、上方では余掘り
が行なわれ、下方ではカツタ面板３の上方移動量
分だけ地山が未掘削（以下掘り残し部と言う。）
となる。そこで掘削を中止してシールドジヤツキ
１６の推力によりシールドフレーム２を前進させ
ると、シールドフレーム２の前部の上方は無抵抗
状態の空隙部Ｙへ向かうとともに、下方の外面は
上記した地山の掘り残し部へ乗り上げて、以後の
推力により掘り残し部を摺動しつつ前進し、シー
ルドフレーム２はカツタ面板３が掘削した所定の
トンネル掘削ラインに復旧することができるの
で、そのままトンネル掘進を続行する。上記カツ
タ面板３の移動において地山の地質が堅固なとき
は移動と掘削を小量ずつ行なつてもよい。カツタ
面板３の移動は油圧ジヤツキ２５乃至２８の伸縮
作動により上下左右自在であり、したがつてシー
ルドフレーム２の方向制御も同様に自在である。

本考案の特長は上述したとおり、掘進方向の制
御において、回転部分とは無関係に設置した油圧
ジヤツキ２５乃至２８によつて、カツタ面板３を
所定の掘削位置に移動させて地山を掘削し、方向
修正側を余掘りするとともに、反対側には掘り残
し部を存置して、この掘り残し部をシールドフレ
ーム２の外面が摺動しつつ移動して容易かつ確実
にシールドフレーム２が所定のトンネル掘削ライ
ンに復旧し得ることである。

なお、他の実施例として、図示省略するが油圧
ジヤツキ２５乃至２８を垂直方向および水平方向
に相対する一線に備えてもよく、または油圧ジヤ
ツキに代えて、ピニオン、ラツク等によりカツタ
面板を含む隔壁部材を移動させてもよい。

上記した本考案によれば次のごとき優れた効果
が得られる。

(1) カツタ面板を油圧ジヤツキにより任意位置に
移動できるのでシールドフレームが所定のトン
ネル掘削ラインより偏向したとき、カツタ面板
のみを所定の掘削位置に移動させてトンネルの
一部を掘削し該トンネルへシールドフレームを
容易に誘導復旧させることができる。

(2) 上記１項に記載したシールドフレームの誘導
復旧用としての余掘り作業において従来使用を
要したオーバーカツタを省略でき、かつ空隙部
を小ならしめて地盤沈下を可及的に防止でき
る。

(3) カツタ面板を移動させる油圧ジヤツキを回転
部分と無関係な位置に設けたので油圧ホースの
捩れによる損傷が解消できる。

(4) カツタ面板の移動設定により一部分に掘り残
し部を生ぜしめこの掘り残し部をシールドフレ
ームの前進移動時の誘導部とし得るので、シー
ルドフレームの復旧が容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は公知のシールド掘進機の側断面図、第
２図は本考案にかかるシールド掘進機の側断面
図、第３図は第２図の−線矢視の断面図、第
４図は第２図Ａ部の拡大図、第５図は本考案装置
の作動状態を示す側断面図の拡大図である。 図中１はシールド掘進機、２はシールドフレー
ム、３はカツタ面板、４，５はビツト、６は駆動
軸、７は軸受部材、８は隔壁部材、９はリングプ
レート、１８は移動溝部、１９は押え板、２５，
２６，２７，２８は油圧ジヤツキである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シールドフレームの前面の開口端部の外側に回
   転自在に支持されたカツタ面板と、該カツタ面板
   を回転駆動させるため上記シールドフレーム内の
   軸方向に延出した駆動軸を含む軸受部材と、該軸
   受部材にその径方向外方に延出され上記カツタ面
   板後方に所定の空間を形成すべく設けられた隔壁
   部材と、上記シールドフレームの内周壁に沿つて
   設けられ上記隔壁部材の端部を径方向に移動を許
   容しつつこれをシールする移動溝部と、上記カツ
   タ面板を含む隔壁部材を径方向に往復移動させる
   ための駆動手段とを備えて、該駆動手段により上
   記カツタ面板をシールドフレームの前面外側にお
   いて径方向へ移動させるように構成したことを特
   徴とするシールド掘進機。