JP3242322B2 - シールド工法及びシールド掘進機 - Google Patents

シールド工法及びシールド掘進機

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JP3242322B2
JP3242322B2 JP8835196A JP8835196A JP3242322B2 JP 3242322 B2 JP3242322 B2 JP 3242322B2 JP 8835196 A JP8835196 A JP 8835196A JP 8835196 A JP8835196 A JP 8835196A JP 3242322 B2 JP3242322 B2 JP 3242322B2
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underground obstacle
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克己 田村
裕樹 竹内
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  • Excavating Of Shafts Or Tunnels (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シールド掘進機で
地中を掘進中、掘進の障害となる地中障害物の存在を検
知した後、シールド本体内に設置された障害物撤去手段
をカッタヘッド前方へ突出させて地中障害物を撤去しな
がら掘進するシールド工法及びシールド掘進機に関す
る。
【0002】
【従来の技術】シールド掘進機で地中を掘進してトンネ
ル等の地下坑を掘削しているとき、特に都市部において
は、基礎杭、残置杭、シートパイル等の地中障害物に遭
遇することがある。シールド掘進機での掘進経路に、こ
うした地中障害物が存在すると、カッタヘッドの掘削刃
を損傷したり掘進不能となったりして、掘進の障害とな
る。シールド掘進機で地中を掘進中、こうした掘進の障
害となる地中障害物に遭遇した場合、この地中障害物を
ウォータジェット、カッタビット、ブレーカ・ガス切断
機を用いて切断して撤去する方法等各種の撤去方法があ
ったが、何れも人が切羽に出て作業をする必要があるた
め、多大の時間と労力を要して工事が長期化し難工事と
なった。こうした問題を解決するための手段として、最
近、特開平6ー336895号公報に記載のシールド掘
進機が提案されている。
【0003】このシールド掘進機は、地中障害物を検知
する障害物検知手段としての地山探査レーダーと、シー
ルド本体内に揺動可能に支承され、カッタヘッド前方へ
突出させて駆動することにより地中障害物を撤去するこ
とのできる障害物撤去手段としてのボーリングマシンと
を備えたものである。ボーリングマシンで地中障害物を
撤去することのできるこの従来のシールド掘進機は、地
中を掘進中、掘進の障害となる地中障害物を地山探査レ
ーダーで探査し、その存在を検知した後、シールド本体
内に揺動可能に設置されたボーリングマシンをカッタヘ
ッド前方へ突出させ、必要に応じて揺動させてシールド
本体半径方向の位置を適宜の位置に位置決めした後、こ
れを駆動することにより地中障害物を切削し、コアーと
して取り出して撤去し、掘進を進めるようにしたもので
ある。したがって、この従来のシールド掘進機を用いれ
ば、地中障害物を撤去する作業をシールド本体内に設置
したボーリングマシンで行えるため、人が切羽に出て作
業をしなくても済む。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この従来のシールド掘
進機は、前述したように、障害物撤去手段としてのボー
リングマシンをシールド本体内に揺動可能に支承するも
のであるが、シールド本体内には各種の機器類が錯綜し
て設置されているため、そのボーリングマシンを設置す
るにしても、シールド本体内の限られた空間に設置する
ことを余儀なくされ、これを揺動するにしても、シール
ド本体内の機器類に干渉しないようにする必要があっ
て、揺動できる角度は自ずから制約される。例えば、ボ
ーリングマシンを揺動させた際に到達地点が偏らずその
設置に好適なシールド本体中心部は、充填剤注入装置等
で占められていたり、シールド本体外周側は、旋回ベア
リングやカッタ駆動モータ等の各種装置で占められてい
たりするため、ボーリングマシンの理想的な配置ができ
ない上にボーリングマシンの揺動角度は制約される。そ
して、ボーリングマシンの揺動による位置決めは、地山
探査レーダーの検知能力の制約上、カッタヘッドを地中
障害物に対して1m程度の距離に接近させて行うことか
ら、例えば、地中障害物がシールド本体の全断面に出現
する場合のように掘進断面の広範な領域にわたって分布
している場合、ボーリングマシンの揺動軸線から離れた
個所に位置する地中障害物については、ボーリングマシ
ンの揺動角度が制約されている限り、その撤去が不可能
となる。また、地中障害物は、近接して2個所に出現す
る場合のように、シールド掘進機の掘進経路をどのよう
に設定してもシールド本体中央より左右にずれた位置に
出現する場合もある。従来のシールド掘進機において
は、こうした場合に、その地中障害物の撤去をどのよう
な操作により実施し、どのような方法で現場作業に適応
するよう効率的に実現できるようにするのかの、実際面
での対応策が明らかではない。
【0005】本発明は、従来の技術にみられるこうした
問題を解消しようとするものであり、その技術課題は、
シールド本体内に揺動可能に設置された障害物撤去手段
により地中障害物を撤去するシールド工法及びシールド
掘進機において、その障害物撤去手段の揺動角度が制約
されても、地中障害物を掘進断面の広範な領域にわたっ
て確実に撤去することができ、かつ、その地中障害物の
撤去を効率的に行えるシールド工法及びシールド掘進機
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のこうした技術課
題は、前部にカッタヘッドを有しシールドジャッキによ
り推進されるシールド本体と、カッタヘッドに設けられ
掘進の障害となる地中障害物を検知する障害物検知手段
と、揺動可能に、かつ、カッタヘッドの回動に伴って旋
回させ得るようにシールド本体に設置され、カッタヘッ
ド前方へ突出させて駆動することにより地中障害物を撤
去することのできる障害物撤去手段とを備えたシールド
掘進機を用いて、障害物撤去手段を、所望の位置へ旋回
させ揺動させるとともに、カッタヘッド前方へ突出させ
て駆動することにより地中障害物を撤去するようにした
シールド工法において、「シールド掘進機での掘進時に
地中障害物を障害物検知手段で検知し、カッタヘッドを
回動させて障害物検知手段で障害物の位置に関する情報
を得る第1の工程と、この第1の工程終了後、シールド
本体前部を後退させて、カッタヘッドから切羽に至るま
での距離を増加させる第2の工程と、この第2の工程の
終了後、地中障害物の長さに関する情報と障害物検知手
段で得られる地中障害物の位置に関する情報とシールド
本体前部から地中障害物までの距離に関する情報とに基
づいて、地中障害物の各部を切断するために必要な障害
物撤去手段の揺動角及びカッタヘッドの回動角を演算手
段でそれぞれ算出する第3の工程と、この演算手段での
算出結果に基づいて、障害物撤去手段を揺動させ、カッ
タヘッドの回動により旋回させるとともに、カッタヘッ
ド前方へ突出させて地中障害物の撤去が可能な所望の位
置に位置決めし、障害物撤去手段を駆動することにより
地中障害物を撤去する第4の工程とにより、地中障害物
の撤去作業を行うようにした」ことにより達成される。
【0007】また、前部にカッタヘッドを有しシールド
ジャッキにより推進されるシールド本体と、カッタヘッ
ドに設けられ掘進の障害となる地中障害物を検知する障
害物検知手段と、揺動可能に、かつ、カッタヘッドの回
動に伴って旋回させ得るようにシールド本体に設置さ
れ、カッタヘッド前方へ突出させて駆動することにより
地中障害物を撤去することのできる障害物撤去手段とを
備えたシールド掘進機において、「シールド本体を、前
部にカッタヘッドを有し障害物撤去手段を設置した前胴
部とその後方の後胴部とに分割して構成し、前胴部を後
胴部に対して摺動ジャッキにより前後方向に駆動できる
ようにするとともに、地中障害物の長さに関する情報と
障害物検知手段で得られる地中障害物の位置に関する情
報とシールド本体前部から地中障害物までの距離に関す
る情報とに基づいて、地中障害物の各部を切断するため
に必要な障害物撤去手段の揺動角及びカッタヘッドの回
動角をそれぞれ算出する演算手段を設け、この演算手段
での算出結果に基づいて、障害物撤去手段を揺動させ、
カッタヘッドの回動により旋回させて地中障害物の撤去
が可能な所望の位置に位置決めし、地中障害物の撤去作
業を行うようにした」ことにより達成される。
【0008】本発明のシールド工法は、前記の技術手段
を採用したので、シールド掘進機で地中を掘進中、地中
障害物の存在を検知したとき、カッタヘッドを回動させ
て障害物検知手段で障害物の位置に関する情報を得た
後、シールド本体前部を後退させてカッタヘッドから切
羽に至るまでの距離を増加させる。しかる後、障害物撤
去手段をカッタヘッド前方へ突出させるとともに、障害
物撤去手段の揺動操作やカッタヘッドの回動操作によ
り、障害物撤去手段を地中障害物の撤去作業が可能な位
置に位置決めするが、その際、地中障害物の長さに関す
る情報と障害物検知手段で得られる地中障害物の位置に
関する情報とシールド本体前部から地中障害物までの距
離に関する情報とに基づいて、地中障害物の各部を切断
するために必要な障害物撤去手段の揺動角及びカッタヘ
ッドの回動角がそれぞれ演算手段で算出される。したが
って、この演算手段での算出結果に基づいて、障害物撤
去手段を、その揺動操作により揺動させカッタヘッドの
回動操作により旋回させて、地中障害物の撤去が可能な
所望の位置に位置決めすることにより、地中障害物の各
部の撤去作業を順次、迅速かつ適切に進めることができ
る。また、前記のようにシールド本体前部を後退させて
カッタヘッドから切羽に至るまでの距離を増加させたこ
とにより、カッタヘッド前方への障害物撤去手段の突出
距離を増加することができて障害物撤去手段先端部の揺
動距離を増加できるため、障害物撤去手段の位置決め可
能な領域が拡大して、地中障害物を掘進断面の広範な領
域にわたって撤去することができる。一方、本発明のシ
ールド掘進機は、前記の技術手段を採用していて、本発
明のシールド工法を実施するための装置に相当するか
ら、以上述べたシールド工法の作用と同様の作用を奏す
るが、シールド本体の前部を前進、後退させ得るように
する場合に、特に、シールド本体を前胴部と後胴部とに
分割構成して、前胴部を別個に摺動ジャッキで前後方向
に駆動できるようにしている。そのため、前記の方法を
実施する過程でシールド本体前部を後退させるときに
は、前胴部だけを分離して摺動ジャッキで後退させるこ
とができるので、シールド本体前部を地中障害物の分布
状況に対応して迅速、正確に後退させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明が実際上どのように
具体化されるのかを示す具体化例を図1乃至図17に基
づいて説明することにより、本発明の実施の形態を明ら
かにする。図1は、本発明の具体化例のシールド掘進機
の側断面図、図2は、図1の矢印A−A方向矢視図、図
3は、図1中の筒状掘削機の部分を拡大して詳細に示す
拡大側断面図、図4は、図3のB−B視図、図5は、図
3のC−C線断面図、図6は、図3のD−D視図、図7
は、本発明の具体化例のシールド掘進機による地中障害
物の撤去工程における1番目の状態を示す図、図8は、
本発明の具体化例のシールド掘進機による地中障害物の
撤去工程における2番目の状態を示す図、図9は、本発
明の具体化例のシールド掘進機による地中障害物の撤去
工程における3番目の状態を示す図、図10は、本発明
の具体化例のシールド掘進機による地中障害物の撤去工
程における4番目の状態を示す図、図11は、本発明の
具体化例のシールド掘進機による地中障害物の撤去工程
を示す図、図12は、本発明の具体化例のシールド掘進
機の作動説明図、図13は、本発明の具体化例のシール
ド掘進機の作動説明図、図14は、本発明の具体化例の
シールド掘進機の作動説明図、図15は、本発明の具体
化例のシールド掘進機の作動説明図、図16は、図17
のシステムの技術的意義を説明するための地中障害物の
撤去工程を示す工程説明図、図17は、本発明の具体化
例のシールド掘進機の要部のシステムを示すブロック図
である。これらの図で説明する本発明の具体化例のシー
ルド掘進機は、前部にカッタヘッド2を有しシールドジ
ャッキにより推進されるシールド本体1と、掘進の障害
となる地中障害物を検知する障害物検知手段と、シール
ド本体1内に揺動可能に支承され、カッタヘッド2の前
方へ突出させて駆動することにより地中障害物を撤去す
ることのできる障害物撤去手段としての筒状掘削機12
とを備えていて、ベースとなる装置の構造は、前述した
従来のシールド掘進機と変わらない。したがって、こう
した本具体化例のシールド掘進機を用いて実施されるシ
ールド工法は、その従来のシールド掘進機による工法と
同様、シールド掘進機で地中を掘進し、その掘進時に地
中障害物の存在を検知した後、シールド本体1内に揺動
可能に設置された障害物撤去手段をカッタヘッド2の前
方へ突出させて駆動することにより、シールド掘進機で
掘進の障害となる地中障害物を撤去しながら地中を掘進
するものであって、基本的な点は、従来の工法と変わら
ない。
【0010】これらの図において、1は前部に後記カッ
タヘッド2を有し、シールドジャッキ(図示せず)によ
り推進される円筒状のシールド本体、2は面板17に多
数のカッタビットを取り付けて切羽を切削するカッタヘ
ッド、3は掘削土砂の取り込み部であるチャンバ11と
シールド本体1の機内側とを仕切る隔壁である。カッタ
ヘッド2は、旋回ベアリング13aで支持され、この旋
回ベアリング13aの旋回ギアとピニオン13bとから
なる減速機構を介してカッタ駆動用油圧モータ13cの
回転動力が伝達される。カッタヘッド2には、図2によ
く表されているように、掘削手段として、カッタビット
を157を放射状に設けている。以上は、通常のシール
ド掘進機が備えている一般的な構造であるが、その細部
の構造については、以下に詳述するように、通常のシー
ルド掘進機の一般的な構造とは異なる点がある。
【0011】そこで、こうした構造について説明する。
カッタヘッド2の面板17には、後に詳述する筒状掘削
機12を挿通させることができるように、半径方向に長
い長孔18が上部に明けられている。隔壁3にも上部に
同様の長孔が明けられ、この隔壁3に設けた遮蔽板5で
開閉できるようになっている。この遮蔽板5は、図4に
示すように、隔壁3に取り付けたガイドレール16に摺
動自在に装着され、同じく隔壁3に取り付けられた遮蔽
板開閉ジャッキ15により左右に摺動するように駆動し
て開閉できるようになっている。遮蔽板5は、筒状掘削
機12を隔壁3の長孔に挿通させようとするときに開放
し、筒状掘削機12の不使用時には閉鎖する。隔壁3
は、前掲公報に記載の従来のシールド掘進機とは異な
り、カッタヘッド2と一緒に回転できるように、シール
ド本体1に回転自在に取り付けられていて、カッタヘッ
ド2と隔壁3と筒状掘削機12とが三者一体となって回
転できるようなっている。したがって、筒状掘削機12
は、カッタヘッド2を適宜の角度回動させると、その回
動に伴って任意の位置に旋回させることができることか
ら、筒状掘削機12をシールド本体周方向の所望の位置
に位置決めすることができる。また、隔壁3には、筒状
掘削機12を支持するための固定フレーム19(図3参
照)が取り付けられ、筒状掘削機12を、球面軸受4を
介して傾動させることのできるように揺動自在に支持し
ている。この筒状掘削機12は、シールド掘進機での掘
進の障害となる地中障害物を撤去することのできる障害
物撤去手段となる。こうした機能を達成するため、筒状
掘削機12は、前記の隔壁3の長孔及びカッタヘッド2
の長孔18を通じてカッタヘッド2の前方へ突出して位
置決めすることができ、しかる後、これを駆動して、前
方の地中障害物を撤去することができるようにしてい
る。この種の障害物撤去手段は、前述したように従来の
シールド掘進機でも用いられていたが、その具体的構造
は、従来のものとは必ずしも一致しないので、以下に、
障害物撤去手段としての筒状掘削機12の構造を、図
3、図5及び図6を用いて説明する。
【0012】これらの図において、6は先端に切断刃2
7を有するシリンダ状の外筒、7はこの外筒6内に摺動
自在に気密に嵌入したピストン、8は隔壁3に揺動自在
に支持されている筒状掘削機12を傾動させるように駆
動するためのスイングジャッキ、9は外筒6を把持する
ためのグリッパジャッキ、10は外筒6を後記スライド
フレーム21と協働してシールド本体軸方向に移動させ
るように駆動するための押し込みジャッキ、14はピス
トン7を前進後退させるように駆動するためのプッシュ
ジャッキ、20はシールド本体軸方向の軸線に対して傾
動できるように前記固定フレーム19に揺動自在に支持
され筒状のジャッキフレーム、21はこの筒状のジャッ
キフレーム20に摺動自在に嵌入した筒状のスライドフ
レームである。外筒6は、これらジャッキフレーム20
及びスライドフレーム21内で前後に摺動し、回転し得
るように嵌挿され、かつ、ジャッキフレーム20との間
の隙間をシール20aで密封することにより、同隙間か
ら地下水や土砂等が浸入しないように嵌挿されている。
この外筒6は、後述する外筒回転駆動装置22で駆動す
ると回転し、その回転により先端の切断刃27で地中障
害物を切削し円筒状に切り取ることができる。この切り
取られた地中障害物の切片は、外筒6の筒内に取り込ま
れる。ピストン7は、地中障害物の撤去時に地下水や土
砂等が外筒6を通じて機内に浸入するのを阻止する働き
をする。ピストン7には、前端閉鎖部に薬液注入口28
を設け、この薬液注入口28を通じて外筒6内に瞬結性
の薬液を注入することにより、筒内に取り込まれた地中
障害物の切片を固化して筒内に保持できるようにしてい
る。ピストン7は、こうして外筒6内に保持した地中障
害物の切片を、プッシュジャッキ14の駆動により押し
出す働きもする。
【0013】筒状掘削機12は、地中障害物をシールド
本体1の全断面にわたって撤去できるようにすることが
必要であり、そのため、カッタヘッド2の前方に突出し
てシールド本体軸方向の所望の位置に位置決めができる
ようにするとともに、シールド本体半径方向の所望の位
置に位置決めができるようにする必要がある。この筒状
掘削機12には、こうしたことを実現するため、各種の
手段を設けているので、次に、その詳細について説明す
る。スイングジャッキ8は、各端部を隔壁3とジャッキ
フレーム20とに取り付けて、その伸縮により、ジャッ
キフレーム20をシールド本体半径方向に傾動させるこ
とができるようにしている。筒状掘削機12を、隔壁3
の長孔及びカッタヘッド2の長孔18を通じてカッタヘ
ッド2の前方へ突出させた際、こうしてスイングジャッ
キ8の伸縮によりジャッキフレーム20をシールド本体
半径方向に傾動させると、筒状掘削機12は、それらの
長孔に沿ってシールド本体半径方向に揺動する。したが
って、このスイングジャッキ8は、筒状掘削機12をシ
ールド本体半径方向に位置決めする働きをする。筒状掘
削機12は、前述したように、カッタヘッド2を回動さ
せることにより、シールド本体周方向の所望の位置に移
動させることができることから、スイングジャッキ8と
ともにカッタヘッド2を適切に操作すれば、シールド本
体1の掘削断面のどの領域にでも位置決めすることがで
きる。こうした筒状掘削機12の揺動操作やカッタヘッ
ド2の回動操作は、後に詳述する図7のシステムを利用
して行うことにより、筒状掘削機12を迅速かつ適切に
位置決めできるようにしている。グリッパジャッキ9
は、ジャッキフレーム20に取り付けられて外筒6の周
囲に複数個配設され、その伸縮により、外筒6の把持及
びその把持の解除を行えるようにしている。このグリッ
パジャッキ9は、スライドフレーム21と協働して外筒
6を支持し、調芯する働きをする。また、外筒6やピス
トン7に土圧や水圧がかかっている場合において後記バ
ンドジャッキ部25を開放したとき、バンドジャッキ部
25が外筒6を再び緊縛するまでの間把持し、外筒6や
ピストン7がその土圧等で後退するのを防ぐ働きもす
る。押し込みジャッキ10は、各端部をジャッキフレー
ム20とスライドフレーム21とに取り付けて、その伸
縮により、スライドフレーム21をジャッキフレーム2
0に対して摺動しながらシールド本体軸方向に移動させ
ることができるようにしている。こうした押し込みジャ
ッキ10は、周方向に複数個設置され、後に詳述するよ
うに、グリッパジャッキ9や後記バンドジャッキ部25
を操作しながら伸縮を繰り返すことにより、外筒6を前
進、後退させることができる。したがって、外筒6のシ
ールド本体軸方向の位置決めは、この押し付けジャッキ
10を用いて行う。プッシュジャッキ14は、各端部を
外筒6及びピストン7の各内周壁に取り付けて、その伸
縮により、ピストン7を外筒6に対して摺動しながらシ
ールド本体軸方向に移動させることができるようにして
いる。ジャッキフレーム20は、その前端部に球面軸受
4を固着し、固定フレーム19の内周面に形成した球面
状の凹部に嵌め込むと同時に回転軸30で支えることに
より、固定フレーム19で支持するようにしている。筒
状掘削機12を揺動させる場合、この球面軸受4に設け
られた回転軸30が揺動の支点となる。スライドフレー
ム21には、これを回転駆動したり把持したりするため
の装置が設置されているので、次にその装置の構造を説
明する。
【0014】22は外筒6を回転させるための外筒回転
駆動装置、23はこの外筒回転駆動装置22の出力側に
連結されたピニオン、24は外輪と内輪とからなり外輪
にピニオン23と噛み合う外歯を有する外歯付き旋回
輪、25は外筒6を緊縛して把持するためのバンドジャ
ッキ部である。外筒回転駆動装置22は、スライドフレ
ーム21に取り付ける。外歯付き旋回輪24の内輪側
は、同じくスライドフレーム21に取り付けて、非回転
部分とする。また、外歯付き旋回輪24の外輪側には、
バンドジャッキ部25を取り付ける。このバンドジャッ
キ部25は、図6に示されているように、複数の円弧状
のリンク25aの端部同士を軸着して鎖状部材を形成
し、この鎖状部材の両端部をバンドジャッキ26の両端
部に連結することにより、リング状のバンドをなすよう
に形成している。したがって、このバンドジャッキ26
を縮めてバンドジャッキ部25に緊縛力を付与して外筒
6を把持し、しかる後、外筒回転駆動装置22を駆動す
ると、その回転力は、ピニオン23を介して外歯付き旋
回輪24の外輪に伝動され、この外輪に取り付けられて
いるバンドジャッキ部25に伝達されて外筒6を回転駆
動する。また、バンドジャッキ部25で外筒6を把持し
た上で、押し込みジャッキ10を伸縮すると、その力
は、スライドフレーム21、バンドジャッキ部25を介
して外筒6に伝達されるので、その伸縮により、外筒6
を後退又は前進させることができる。したがって、バン
ドジャッキ部25で外筒6を把持した後、押し込みジャ
ッキ10と外筒回転駆動装置22とを駆動して外筒6を
徐々に前進させながら回転すると、地中障害物を切削す
ることができる。
【0015】ところで、前述したように、外筒6は、バ
ンドジャッキ部25を介して外筒回転駆動装置22によ
り回転駆動され、この外筒回転駆動装置22は、スライ
ドフレーム21に取り付けられていることから、外筒6
の回転反力はスライドフレーム21に作用する。そし
て、このスライドフレーム21は、ジャッキフレーム2
0に摺動自在に嵌入していて回動し得る状態にあるた
め、外筒6の回転反力が作用すると回動することとなり
不都合である。そのため、本具体化例では、外筒回転駆
動装置22の駆動時にこうした外筒6の回転反力を受け
てスライドフレーム21が回動しないようにするための
回転反力受け機構を設けている。そこで、この回転反力
受け機構を図5に基づいて説明する。同図において、2
1aは固定フレーム19に支持されているジャッキフレ
ーム20の外周部に設け、ピン孔を有するガイドピン挿
通用ブラケット、29はこのガイドピン挿通用ブラケッ
ト21aのピン孔に挿通したガイドピンである。ガイド
ピン挿通用ブラケット21a及びそのピン孔に挿通する
ガイドピン29は左右対称に一対設けている。ガイドピ
ン29は、スライドフレーム21の外周部に固定させて
いる。したがって、スライドフレーム21は、ジャッキ
フレーム20の外周部に固定させているガイドピン挿通
用ブラケット21aによりガイドピン29を介して回り
止めされるため、外筒回転駆動装置22の駆動時に外筒
6の回転反力が作用しても回動することはない。また、
このガイドピン29は、押し込みジャッキ10により外
筒6を前後に移動させる際のスライドフレーム21のガ
イドにも兼用できる。なお、ジャッキフレーム20は、
回転軸30により固定フレーム19に支持されているた
め、外筒6の回転反力が作用しても回動することはな
い。
【0016】次に、以上のような筒状掘削機12を用い
て地中障害物を撤去するための基本的な操作を図7乃至
図10に基づいて説明する。地中障害物110を撤去す
るに当たっては、まず、遮蔽板5を開いた後、バンドジ
ャッキ部25で外筒6を緊縛して把持するとともに、グ
リッパジャッキ9による外筒6の把持を解除し、しかる
後、押し込みジャッキ10を縮小して、外筒6を、スラ
イドフレーム21の前進に随伴させて前進させる。こう
して外筒6を前進させた後は、今度は、グリッパジャッ
キ9で外筒6を把持するとともにバンドジャッキ部25
による外筒6の把持を解除し、しかる後、押し込みジャ
ッキ10を伸長して、外筒6を随伴させることなくスラ
イドフレーム21だけを後退させるとともに、押し込み
ジャッキ10の後端部を外筒6に対して相対的に後退さ
せる。かくて、スライドフレーム21と押し込みジャッ
キ10とは、共に原位置に復帰し、以上により、外筒6
を単位距離前進させための1サイクルの操作を終了す
る。地中障害物110の撤去作業を始めるとき、以上の
ようような、「バンドジャッキ部25による外筒6の把
持」「グリッパジャッキ9による外筒6の把持の解除」
−「押し込みジャッキ10の縮小」−「グリッパジャッ
キ9による外筒6の把持」「バンドジャッキ部25によ
る外筒6の把持の解除」−「押し込みジャッキ10の伸
長」の操作を何度も繰り返して、押し込みジャッキ10
の尺取り虫的な動作により、外筒6を小刻みに前進させ
て、筒状掘削機12を、図7に示すように、カッタヘッ
ドの長孔18から突出させ地山100に当接させる。な
お、図7によれば、筒状掘削機12を地山100に当接
させたとき、シールド本体1の前部を後退させてカッタ
ヘッド2と地山100の前方の切羽との間に空間を形成
するようにしているが、この点は、本願発明にとって重
要な点であるので、後に詳述する。
【0017】筒状掘削機12の切断刃27が地山100
に当接したときは、バンドジャッキ部25で外筒6を緊
縛、把持する。しかる後、押し込みジャッキ10の縮小
により外筒6を漸次前進させて地山100へ切り込み力
を付与しながら外筒回転駆動装置22で外筒6を回転駆
動し、切断刃27で地山100を切削して円筒状に切断
する。このような過程で、外筒6は、前記したように漸
次前進するため、外筒6で切断された地山100の切片
は筒内に取り込まれる。この地山100の切片の筒内へ
の取り込みが円滑に行えるように、その外筒6の前進に
応じてプッシュジャッキ14を縮小して外筒6の前進量
だけピストン7を後退させ、前方地山の切断を進める。
図8は、こうした方法により、ピストン7を500mm
だけ後退させて地山100を500mm切断し、外筒6
の切断刃27を地中障害物110に当接させた状態を図
示したものである。もし、この状態で押し込みジャッキ
10が縮んでフルストロークまで前進したと仮定する
と、図9に示すように、グリッパジャッキ9で外筒6を
把持してからバンドジャッキ部25による外筒6の把持
を解除し、しかる後、押し込みジャッキ10を伸長し
て、前述したと同様に、押し込みジャッキ10の後端及
びスライドフレーム21を後退させて原位置に復帰させ
る。こうした状態において、外筒回転駆動装置22及び
押し込みジャッキ10により外筒6を漸次前進させなが
ら回転駆動して、今度は、地中障害物110を切断しな
がらその切片を外筒6内に取り込む。図10は、こうし
た方法により、切羽前方を1000mm切断して、外筒
6の切断刃27が地中障害物110を切断後、その前方
の地山100まで到達した状態を図示したものである。
このとき、ピストン7は、1000mmほど後退して同
区間の地山100や地中障害物110の切片を筒内に取
り込んでおり、プッシュジャッキ14は、そのピストン
7の後退に伴って全ストローク縮んでいる。このプッシ
ュジャッキ14の全ストロークの縮小動作で外筒6によ
る切断作業の一工程が終了し、外筒6内の地中障害物1
10の切片を後述する方法で搬出する。この搬出作業の
終了後は、スイングジャッキ8により筒状掘削機12を
揺動させてシールド本体半径方向の位置を順次変え、同
様の切断作業をその都度繰返して、地中障害物110の
うち、掘進の障害となる部分をシールド本体半径方向に
向けて切断して行く。
【0018】このように、本具体化例では、外筒6を把
持手段であるバンドジャッキ部25で把持し、伸縮する
押し込みジャッキ10を駆動してその駆動力をバンドジ
ャッキ部25を介して外筒6に伝達することにより外筒
6を前進又は後退させ、次いで、バンドジャッキ部25
での外筒6の把持を解除し、押し込みジャッキ10を逆
方向に駆動することにより押し込みジャッキ10だけを
原状態に復帰できるようにし、こうした操作を繰り返す
ことにより、外筒6をカッタヘッド2に対して出没さ
せ、前進又は後退させることができるようにしているの
で、障害物撤去手段のカッタヘッド2に対する出没が単
にジャッキ操作だけで機械的に行えて切断作業の便が良
好である。また、障害物撤去手段として、シリンダ状の
外筒6とこの外筒6内に気密に嵌入したピストン7とを
有する筒状掘削機12を用い、外筒6をピストン7で塞
ぎながら切断刃27で地中障害物110を切断してその
切片を外筒6内に取り込むようにしているので、従来の
シールド掘進機で用いているボーリングマシンとは異な
り、地中障害物110の切断作業中に、地下水が機内に
浸入する恐れはない。この作業例では、地中障害物11
0を一工程で奥の方まで完全に切断できる例を示した
が、地中障害物110の奥の部分が一工程で切断できな
い場合には、地中障害物110の搬出作業の終了後、以
上のような操作を再度行って外筒6を更に前進させ当該
個所の切断作業を続行する。この作業例では、予め、地
中障害物110が掘進断面の中央に現われるようにシー
ルド掘進機の掘進経路を設定するようにした例を示した
が、例えば、地中障害物110が図13に示すように掘
進断面の右上に位置する場合には、カッタヘッド2をそ
の方向に回動して筒状掘削機12を旋回させるとともに
外筒6を揺動して、筒状掘削機12のシールド本体周方
向及び半径方向の位置を当該位置に位置決めし、先に述
べたと同様の切断作業をシールド本体半径方向に向けて
反復する。
【0019】以上、地中障害物110の撤去作業の前段
の作業である地中障害物110の切断作業について述べ
たが、次に、その後段の作業である地中障害物110の
搬出作業について図11を用いて述べる。地中障害物1
10の搬出作業を始めるときは、切断作業を行うときと
は逆に、「バンドジャッキ部25による外筒6の把持」
−「グリッパジャッキ9による外筒6の把持の解除」−
「押し込みジャッキ10の伸長」−「グリッパジャッキ
9による外筒6の把持」−「バンドジャッキ部25によ
る外筒6の把持の解除」−「押し込みジャッキ10の縮
小」の操作を何度も繰り返して、押し込みジャッキ10
の尺取り虫的な動作により、外筒6を小刻みに後退させ
て、図11に示すように隔壁3内に戻し、その直後に、
遮蔽板5を閉じて土砂や水の浸入等の不測の事態に備え
る。こうした搬出作業を始めようとする場合において、
地中障害物110の切断作業の終了時点で外筒6が下を
向いているときは、外筒6内に取り込まれている地中障
害物110の切片が外筒6の後退時等に重力により外筒
6から落下して散逸する恐れがある。そのため、瞬結性
の薬液を薬液注入口28から外筒6内に注入し、地中障
害物110の切片を固化して外筒6内に確実に保持でき
るようにする。
【0020】こうして外筒6を隔壁3内に戻した後は、
グリッパジャッキ9による外筒6の把持を解除した後、
ジャッキフレーム20やスライドフレーム21からピス
トン7とともに外筒6を取り外して機内に取り出す。そ
して、プッシュジャッキ14を伸長させることによりピ
ストン7を駆動し、外筒6内に取り込まれている地中障
害物110の切片を、外筒6から押し出して機内の所定
個所に排出する。この排出作業の終了後は、外筒6を、
ピストン7とともにジャッキフレーム20やスライドフ
レーム21内に再セットし、切断作業の次の工程に着手
する。本具体化例では、地中障害物110の排出作業が
このように外筒6を取り外し機内に取り出すことにより
行え、しかも、ピストン7を駆動するだけで行えるた
め、その排出作業の便が良好である。また、外筒6をこ
のように取り外すことができるため、地中障害物110
の撤去作業を行わない間は、この外筒6を取り外して適
当な場所保管することができ、機内での他の作業の邪魔
にならない。図11に示す例では、外筒6を取り外して
機内に取り出す場合、外筒6を特にウインチ120で吊
るして機内に降ろし、降ろし終わった後、地中障害物1
10の切片を排出するようにしている。地中障害物11
0の排出作業を以上のような方法で実施する場合、外筒
6をスライドフレーム21等から取り外している間、切
断作業の次の工程に着手することができず、作業能率の
点で問題がある。こうしたことから、ピストン7を装着
した同一規格の外筒6を、予め一対ほど用意しておき、
一方の外筒6で障害物110の排出作業をしている間、
他方の外筒6を用いて切断作業の次の工程に着手するよ
うにすると、作業能率の向上が図れる。その場合、図1
1の例のように、障害物110の排出作業にウインチ1
20を使用するときは、これら一対の外筒6の取り外し
及び再セットは、何れもウインチ120を用いて行える
ようにする。
【0021】以上、地中障害物の切断作業や搬出作業を
行うための障害物撤去手段について述べたが、次に、本
具体化例の特徴の一つをなす点の技術内容を、図12乃
至図15を用いて説明する。図12及び図14によく表
されているように、シールド本体1は、2分割して前胴
部150と後胴部152とで構成している。前胴部15
0の後端部には、若干大径の嵌合部が形成され、この嵌
合部は、後胴部152の前端部に形成された若干小径の
嵌合部の外周部に、後胴部152と面一になるように摺
動可能に嵌合されている。前胴部150は、前胴部15
0及び後胴部152の各内周部に取り付けた油圧駆動の
摺動ジャッキ154の伸縮により、後胴部152に対し
て前後に摺動するように駆動される。この摺動ジャッキ
154の伸縮により、前胴部150を後胴部152に対
して摺動させることのできる最大ストロークはI3 であ
る。こうした構造は、対応する構造が前述の従来の技術
には全くみられず、本具体化例独自の構造である。カッ
タヘッド2には、図2に示すように、従来の技術と同
様、地中障害物110を検知する地山探査レーダー等の
障害物検知手段111が設けられている。
【0022】以上のような構造を備えた本具体化例のシ
ールド掘進機を使用するプロセスについて説明する。本
具体化例のシールド掘進機で地中を掘進し、地中障害物
110を撤去する場合、まず、その掘進時に掘進の障害
となる地中障害物110の存在を検知するが、地中障害
物を検知する地山探査レーダー等の障害物検知手段11
1は、最大でもカッタヘッド2の前方30cmから1m
程度の距離にある地中障害物しか検知できないのが現状
である。こうしたことから、掘進時に地中障害物110
を検知したとき、地中障害物110は、カッタヘッド2
の前方30cmから1m程度の間近な距離に位置してい
る。地中障害物110を検知した後は、障害物撤去手段
としての筒状掘削機12をカッタヘッド2の前方へ突出
させて駆動することにより、地中障害物110の撤去作
業を行う。その場合、前述の従来のシールド掘進機で
は、地中障害物110が間近に存在する状態において、
障害物撤去手段をカッタヘッド2の前方へ突出させて地
中障害物110を撤去するようにしている。本具体化例
のシールド掘進機においても、地中障害物110の分布
の態様次第では、従来のシールド掘進機と同様、地中障
害物110が間近に存在する状態で地中障害物110の
撤去作業を行っても、その作業目的を達成できる場合が
ある。しかしながら、前述したように、シールド本体1
内には各種の機器類が錯綜して設置されていて、筒状掘
削機12の理想的な配置ができない上に筒状掘削機12
の揺動角度は制約されるため、例えば、地中障害物11
0が掘進断面の広範な領域にわたって分布している場
合、外筒6の揺動中心軸線から離れた個所に位置する地
中障害物110に対しては、外筒6を限度一杯揺動して
も近付けることはできず、その撤去が不可能となる。
【0023】これらのことを、図12乃至図15を用い
て具体的に説明すると、本具体化例のシールド掘進機で
地中を掘進する場合、通常の掘進時は、摺動ジャッキ1
54を限度まで縮めて前胴部150を最大限後退させた
状態で掘進する。地中障害物110の位置は、事前調査
でほぼ確実に予想できるため、掘進中、シールド掘進機
が地中障害物110の予想位置の少し手前の地点に到達
したときには、図12に示すように、摺動ジャッキ15
4を最大ストロークI3 の長さ伸ばして前胴部150を
最大限前進させ、しかる後、地中障害物110の存在を
障害物検知手段111で検知するまで掘進を進める。図
12には、こうして掘進を進め、シールド掘進機が地中
障害物110の存在を障害物検知手段111で検知して
停止した状態を示している。このとき、カッタヘッド2
から地中障害物110までの距離は、障害物検知手段1
11の検知能力に相当する30cmから1m程度のI1
の距離であり、地中障害物110は、カッタヘッド2の
前方の間近な距離に位置している。いま仮に、こうした
状態で、従来のシールド掘進機と同様、筒状掘削機12
をカッタヘッド2の前方へ突出させて地中障害物110
の撤去作業を行ったとすると、筒状掘削機12の揺動角
度θが前述した理由で制約されている上に、カッタヘッ
ド2から地中障害物110までの距離が30cmから1
m程度と短いことから、シールド本体1の全断面に対応
する地山領域のうち、図13中に重なり合った多数の円
形実線で示すドーナツ状領域だけが、筒状掘削機12に
よる切断作業の可能な切断作業可能領域160となり、
そのドーナツ状領域の内側及び外側には、筒状掘削機1
2では切断作業の不可能な切断作業不可能領域164,
166が生じる。したがって、図12及び図13に示す
ように、地中障害物110が外筒6の揺動中心軸線から
離れた掘削断面部位にまで分布しているようなものであ
る場合、地中障害物110には、切断作業ができない部
分162が生じる。
【0024】本具体化例のシールド掘進機では、こうし
た場合、地中障害物110の存在を検知してシールド掘
進機を停止させた図12に示す状態において、シールド
本体1の前部であるカッタヘッド2を後退させ、カッタ
ヘッドと切羽との間に空間を形成するようにして、カッ
タヘッド2から地中障害物110までの距離が大きくな
るようにする。シールド本体1の前部を後退させる具体
的な方法として、本具体化例では、図14に示すよう
に、摺動ジャッキ154を最大ストロークI3 の長さ縮
めて前胴部150を通常の掘進時の位置まで後退させる
ことにより、カッタヘッド2を後退させるようにしてい
る。こうしてシールド本体1の前部を後退させた場合、
カッタヘッド2から地中障害物110までの距離は、摺
動ジャッキ154の最大ストロークI3 に相当する距離
にまで増加するため、最大ストロークI3 を予め適切に
設定すれば、図15に示すように、シールド本体1の全
断面に対応する地山領域の全てが切断作業可能領域16
0となって、切断作業不可能領域164,166は生じ
ないこととなる。したがって、本具体化例のシールド掘
進機によれば、地中障害物110がシールド掘進機の掘
進断面の何れの部位に出現しても、地中障害物110の
撤去が可能となる。本具体化例によれば、このように、
地中障害物110が掘進断面の何れの部位に出現しても
対応できるだけでなく、カッタヘッド2から地中障害物
110までの距離を大きく設定すれば、地中障害物11
0の撤去範囲をシールド本体1の全断面に対応する領域
よりも更に拡大することができ、シールド本体1の外周
部に裏込め管やグリース供給管等の突起物が付設されて
いるシールド掘進機にも適用することができる。また、
筒状掘削機12の揺動角度θを小さく設定することがで
きるので、シールド本体1の口径が小さいシールド掘進
機にも適用することができる。このように、本具体化例
によれば、筒状掘削機12の揺動角度θが制約されて
も、地中障害物110を掘進断面の全領域にわたって確
実に撤去することができるシールド掘進機が得られると
ともに、以上述べたような優れた特性を発揮することが
できるシールド工法が得られる。
【0025】しかしながら、地中障害物110を筒状掘
削機12の揺動操作により切断するこうした方法は、地
中障害物110がシールド本体1の中央より左右にずれ
た位置に出現する場合のように、筒状掘削機12の揺動
軌跡と地中障害物110とが重なり合わない場合、筒状
掘削機12の揺動等による位置決め操作がきわめて煩雑
なものになる。本発明の最大の特徴は、こうした問題を
解決し、地中障害物110の撤去を掘進断面の全領域に
わたって確実に行えるだけでなく、効率的に行えるよう
にした点にある。そこで、この点の技術内容を、図16
及び図17を用いて以下に説明する。
【0026】図16には、シールド本体1の径方向垂直
線をy軸、その径方向水平線をx軸とした座標を描いた
シールド本体1の断面が図示され、このシールド本体1
の断面中央位置すなわちy軸線上とその右側位置とにそ
れぞれ地中障害物110が出現した例を示している。な
お、図16には図示されていないが、シールド本体1の
中心軸線をz軸としている。図16に示す例では、シー
ルド本体1の断面内に位置する中央位置及び右側位置の
各地中障害物110を、数工程で切断するようにしてい
るが、中央位置の地中障害物110は、右側位置のもの
よりシールド本体1の断面内に位置する部分が長いた
め、切断工程を1工程多くして切断するようにしてい
る。基礎杭、残置杭、シートパイル等の地中構造物は、
通常、垂直方向に向けて打設されているため、シールド
本体1の断面中央位置に出現する地中障害物110は、
筒状掘削機12をシールド本体1の径方向に沿って揺動
させ得るように設置している限り、各切断工程の揺動角
θn を第1回目の工程から最終工程に向けて順次少しず
つ増加させて切断して行けば、比較的簡単に切断するこ
とができる。しかしながら、シールド本体1の断面中央
から左右にずれた位置に出現する地中障害物110を切
断する場合には、筒状掘削機12の揺動軌跡と地中障害
物110とが重なり合わないため、筒状掘削機12は、
単に揺動操作をするだけでなく、カッタヘッド2の回動
操作により地中障害物110の方向に旋回させる操作も
行なって、シールド本体周方向及び半径方向の位置を地
中障害物110の位置に位置決めする必要がある。すな
わち、図16に示すように、カッタヘッド2の回動角度
の基準位置から変位量である回動角αn を各切断工程ご
とに変えることに加え、その回動角αn との兼ね合いで
揺動角θn を変える必要があるため、これら回動角αn
や揺動角θn を手計算で求めながら筒状掘削機12の操
作を行うと時間がかかり、地中障害物110の撤去を効
率的に行うことができない。また、切断した地中障害物
110を搬出する場合、筒状掘削機12を後退させて機
内に搬入してしまうため、切断工程の移行時に、前工程
で切断した地中障害物110の切断位置を常に正しく記
憶しておくことも必要であり、地中障害物110の撤去
作業がきわめて煩雑になる。本発明は、こうした問題を
解決しようとするものであるので、その具体化手段を図
17に基づいて説明する。
【0027】図17において、170は、地中障害物1
10の長さに関する情報、障害物検知手段で得られる地
中障害物110の位置に関する情報及びシールド本体1
の前部から地中障害物110までの距離に関する情報が
入力され記憶される障害物情報記憶装置(ランダムアク
セスメモリ)、171はこの障害物情報記憶装置170
の地中障害物110に関する各情報が入力されこれらの
情報に基づいて地中障害物110の各部を切断するため
に必要な筒状掘削機12の揺動角θn 及びカッタヘッド
の回動角αn をそれぞれ算出する演算装置である。障害
物情報記憶装置170に入力される地中障害物110の
長さに関する情報は、既存地下構造物に関する設計図や
実地の地下調査等により事前に得られる情報である。地
中障害物110を、その長さにかかわりなく長さ方向で
あるy軸方向に向けて全体的に切断すれば、地中障害物
110の長さに関する情報を求めなくても切断作業が行
えるが、本具体化例では、無駄な切断作業を行わくても
済むようにこうした情報を求めて地中障害物110が位
置する個所だけを切断するようにしている。障害物検知
手段で得られる地中障害物110の位置に関する情報
は、主として左右方向の位置すなわちx軸方向の位置に
関する情報である。こうした情報は、カッタヘッド2に
障害物検知手段を1個しか設けていなくても、カッタヘ
ッド2を1回転させることにより得ることができる。シ
ールド本体1の前部から地中障害物110までの距離に
関する情報は、地中障害物110のz軸方向の位置に関
する情報である。切羽から地中障害物110までの距離
は、障害物検知手段の距離検知能力から求めることがで
き、シールド本体1の前部の切羽からの後退距離は、摺
動ジャッキ154の伸縮量等、シールド本体1の前部を
後退させる際のジャッキの伸縮量から求めることができ
るから、シールド本体1の前部から地中障害物110ま
での距離に関する情報は、こうした方法により求めた値
を合算することにより求めることができる。こうして地
中障害物110に関するx軸、y軸、z軸方向の位置情
報が得られれば、地中障害物110の位置を一義的に確
定でき、ひいては、演算装置171において、筒状掘削
機12の揺動角θn やカッタヘッドの回動角αn を算出
することが可能になる。演算装置171は、地中障害物
110の各切断工程におけるそれぞれの切断位置に筒状
掘削機12を向けることができるように、そのそれぞれ
の切断位置に対応して揺動角θn や回動角αn を算出す
る。
【0028】172はこの演算装置171での算出結果
である筒状掘削機12の揺動角θnやカッタヘッドの回
動角αn に関するデータを表示する位置表示器、173
は地中障害物110の撤去作業での地中障害物110の
切断過程に関するデータを表示する工程表示器、174
は位置表示器172と工程表示器173とで構成される
表示装置、175は筒状掘削機12で地中障害物110
の切断作業を行った位置が実際の地中障害物110の位
置とずれていることが判明したときに、演算装置171
で算出された筒状掘削機12の揺動角θn 及びカッタヘ
ッドの回動角αn を補正する補正装置である。工程表示
器173には、切断工程の進捗状況等地中障害物110
の切断過程に関するデータを表示するだけでなく、必要
に応じ、地中障害物110の除去回収過程等、撤去作業
におけるあらゆる過程を表示できるようにすることがで
きる。位置表示器172及び工程表示器173で表示す
るデータは、文字だけに限らず、障害物情報記憶装置1
70の情報に基づいて地中障害物110の図形を作成し
て座標上に描き、図形を用いて表示するようにしてもよ
い。要するに、表示装置74には、地中障害物110の
撤去作業の便に資するようなデータを適宜の態様で表示
する。カッタヘッド2に設ける障害物検知手段の数にも
よるが、障害物検知手段で得られる地中障害物110の
x軸方向の位置に関する情報は、正確でない場合もある
ので、演算装置171の算出結果に基づいて地中障害物
110を切断した位置が実際の地中障害物110の位置
と完全には合致しない場合があり、このことは、前切断
工程で採取した地中障害物110の切片を観察すること
により知ることができる。こうしたことから、本具体化
例では、補正装置175を設け、演算装置171で算出
される筒状掘削機12の揺動角θn やカッタヘッドの回
動角αn の値を必要に応じて補正装置175により補正
して、筒状掘削機12で切断を行う位置が実際の地中障
害物110の位置と十分に合致できるようにしている。
【0029】本発明の具体化例のシールド掘進機は、こ
うしたシステムを採用しているので、シールド掘進機で
地中を掘進中、地中障害物110を検知して、地中障害
物110を掘進断面全領域にわたって撤去できるように
シールド本体1の前部を後退させた後、筒状掘削機12
を操作する場合、障害物情報記憶装置170に記憶され
ている地中障害物110の長さに関する情報、障害物検
知手段で得られる地中障害物110の位置に関する情報
及びシールド本体1の前部から地中障害物110までの
距離に関する情報がそれぞれ演算装置171に入力され
る。そうすると、演算装置171は、これらの地中障害
物110に関する位置情報に基づいて地中障害物110
の各切断工程におけるそれぞれの切断位置に対応する筒
状掘削機12の揺動角θn やカッタヘッド2の回動角α
n を算出し、これらに関するデータを文字や図形等、利
用しやすい適宜の態様で位置表示器172に表示する。
したがって、オペレータは、この位置表示器172に表
示されたデータを基に、第1回目の工程から最終工程に
向けて筒状掘削機12を順次適正方向に操作することが
でき、掘進断面中央位置からずれた位置の地中障害物1
10を切断する場合でも、地中障害物110の撤去作業
を迅速かつ適切に行うことができる。また、位置表示器
172には、演算装置171での算出結果に関するデー
タが表示され、工程表示器173には、切断工程の進捗
状況等地中障害物110の切断過程に関するデータ等が
表示されるので、オペレータは、このデータをみながら
地中障害物110の撤去作業を行うことができて、切断
した地中障害物110の搬出等のため地中障害物110
の切断作業を中断した場合でも、切断作業を再開する際
に切断順序や切断場所を間違えることはない。こうして
地中障害物110の撤去作業を行う過程で、地中障害物
110のコアを採取、観察した結果、地中障害物110
を切断した位置が実際の地中障害物110の位置と合致
していないことが判明した場合には、演算装置171で
算出される揺動角θn や回動角αn を補正装置175に
より補正する。本発明の具体化例のシールド掘進機で
は、演算装置171において筒状掘削機12の揺動角θ
n やカッタヘッド2の回動角αn を算出するようにして
いるので、筒状掘削機12の操作を、こうしたデータを
用いて遠隔制御で行うこともでき、その場合には、表示
装置174は、必ずしも不可欠のものではない。
【0030】こうしたことから、シールド本体内に揺動
可能に設置された筒状掘削機12により地中障害物11
0を撤去するシールド工法及びシールド掘進機におい
て、図17のシステムを採用すれば、筒状掘削機12の
揺動角度が制約されても、地中障害物を掘進断面の広範
な領域にわたって確実に撤去することができ、かつ、そ
の地中障害物の撤去を効率的に行えるシールド工法及び
シールド掘進機が得られる。また、筒状掘削機12の揺
動角θn やカッタヘッド2の回動角αn を正確かつ迅速
に算出することができるので、掘進断面の何れの個所に
位置する地中障害物110も最適切断幅で切断すること
ができ、切断工程数を必要最小限に押さえることができ
る。図17のシステムにおいては、補正装置175を設
けて、筒状掘削機12の揺動角θn やカッタヘッドの回
動角αn の値を必要に応じて補正できるようにしている
ため、筒状掘削機12で切断を行う位置が実際の地中障
害物110の位置と十分に合致できるようにして、地中
障害物110を常に最適な状態で切断することができ
る。さらに、表示装置174は、演算装置171での揺
動角θn や回動角αn の演算結果に関するデータを表示
するための位置表示器173を備えているため、地中障
害物110の撤去作業をオペレータの操作で簡便に行え
る。そして、この表示装置174においては、位置表示
器172に、演算装置171での算出結果に関するデー
タを表示し、工程表示器173に、切断工程の進捗状況
等地中障害物110の切断過程に関するデータ等が表示
するようにしているので、切断した地中障害物110の
搬出等のため地中障害物110の切断作業を中断した場
合でも、切断作業を再開する際に切断順序や切断場所を
間違えることはなく、また、地中障害物110の撤去作
業の管理や監視も行いやすくなる。
【0031】本具体化例のシールド工法及びシールド掘
進機では、シールド本体1の前部であるカッタヘッド2
を前進、後退させ得るようにする場合、特に、シールド
本体1を前胴部150と後胴部152とに分割構成し、
前胴部150だけを摺動ジャッキ154で前後に駆動す
るようにしているため、シールド本体1の前部を、地中
障害物110の分布状況に即応して迅速、正確に前進、
後退させることができる。しかしながら、シールド本体
1を分割構成していない通常のシールド掘進機であって
も、シールドジャッキの伸び側の保持圧を、シールド本
体1の前面に作用する水圧や土圧よりも若干小さい圧に
調整することにより、その地山の水圧や土圧を利用し
ールシールの反転に注意しながらシールド本体1全体
を適当な速度で後退させて、カッタヘッド2を安全に後
退させることが可能であるから、シールド本体1を前胴
部150と後胴部152とで構成することは、本発明
シールド工法に関する限り必ずしも不可欠の事項ではな
い。本具体化例のシールド工法及びシールド掘進機
は、障害物撤去手段として、図3に示すような構造をし
た筒状掘削機12を用いているが、勿論、前述の従来の
シールド掘進機で用いられているようなボーリングマシ
ンを使用してもよく、要は、シールド本体内に揺動可能
に設置され、カッタヘッド前方へ突出させて駆動するこ
とにより地中障害物を撤去することのできる手段であれ
ば、その種類は問わない。
【0032】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、この出
願のシールド工法に関する発明及びシールド掘進機に関
する発明は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1及び
請求項2に記載されている技術手段を採用しているの
で、これら各発明によれば、それぞれ、シールド本体内
に揺動可能に設置された障害物撤去手段により地中障害
物を撤去するシールド工法及びシールド掘進機におい
て、その障害物撤去手段の揺動角度が制約されても、地
中障害物を掘進断面の広範な領域にわたって確実に撤去
することができ、かつ、その地中障害物の撤去を効率的
に行えるシールド工法及びシールド掘進機が得られる。
そして、特に、この出願のシールド掘進機に関する発明
では、シールド本体の前部を前進、後退させ得るように
する場合に、シールド本体を前胴部と後胴部とに分割構
成して、前胴部を別個に摺動ジャッキで前後方向に駆動
できるようにしているので、シールド本体前部を地中障
害物の分布状況に対応して迅速、正確に前進、後退させ
ることができる。この出願のシールド掘進機に関する発
明を実施する場合、特許請求の範囲の請求項3に記載の
技術手段を採用すれば、こうした基本的効果を発揮する
ことに加え、地中障害物を常に最適な状態で切断するこ
とができるという効果を併せ発揮することができる。こ
の出願のシールド掘進機に関する発明を実施する場合、
特許請求の範囲の請求項4に記載の技術手段を採用すれ
ば、この請求項が従属する発明の効果を発揮することに
加え、地中障害物の撤去作業をオペレータの操作で簡便
に行えるという効果を併せ発揮することができる。この
出願のシールド掘進機に関する発明を実施する場合、特
許請求の範囲の請求項5に記載の技術手段を採用すれ
ば、この請求項が従属する発明の効果を発揮することに
加え、切断した地中障害物の搬出等のため地中障害物の
切断作業を中断した場合でも、切断作業を再開する際に
切断順序や切断場所を間違えることはなく、また、地中
障害物の撤去作業の管理や監視も行いやすくなるという
効果を併せ発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体化例のシールド掘進機の側断面図
である。
【図2】図1の矢印A−A方向矢視図である。
【図3】図1中の筒状掘削機の部分を拡大して詳細に示
す拡大側断面図である。
【図4】図3のB−B視図である。
【図5】図3のC−C線断面図である。
【図6】図3のD−D視図である。
【図7】本発明の具体化例のシールド掘進機による地中
障害物の撤去工程における1番目の状態を示す図であ
る。
【図8】本発明の具体化例のシールド掘進機による地中
障害物の撤去工程における2番目の状態を示す図であ
る。
【図9】本発明の具体化例のシールド掘進機による地中
障害物の撤去工程における3番目の状態を示す図であ
る。
【図10】本発明の具体化例のシールド掘進機による地
中障害物の撤去工程における4番目の状態を示す図であ
る。
【図11】本発明の具体化例のシールド掘進機による地
中障害物の撤去工程を示す図である。
【図12】本発明の具体化例のシールド掘進機の作動説
明図である。
【図13】本発明の具体化例のシールド掘進機の作動説
明図である。
【図14】本発明の具体化例のシールド掘進機の作動説
明図である。
【図15】本発明の具体化例のシールド掘進機の作動説
明図である。
【図16】図17のシステムの技術的意義を説明するた
めの地中障害物の撤去工程を示す工程説明図である。
【図17】本発明の具体化例のシールド掘進機の要部の
システムを示すブロック図である。
【符号の説明】
1 シールド本体 2 カッタヘッド 3 隔壁 4 球面軸受 5 遮蔽板 6 外筒 7 ピストン 8 スイングジャッキ 9 グリッパジャッキ 10 押し込みジャッキ 12 筒状掘削機 14 プッシュジャッキ 15 遮蔽板開閉ジャッキ 18 長孔 19 固定フレーム 20 ジャッキフレーム 21 スライドフレーム 22 外筒回転駆動装置 23 ピニオン 24 外歯付き旋回輪 25 バンドジャッキ部 26 バンドジャッキ 27 切断刃 30 回転軸 100 地山 110 地中障害物 111 障害物検知手段 150 前胴部 152 後胴部 154 摺動ジャッキ 160 切断作業可能領域 162 切断作業ができない部分 164,166 切断作業不可能領域 170 障害物情報記憶装置 171 演算装置 172 位置表示器 173 工程表示器 174 表示装置 175 補正装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−336895(JP,A) 実開 平1−160091(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21D 9/08 E21D 9/06 301

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前部にカッタヘッドを有しシールドジャ
    ッキにより推進されるシールド本体と、カッタヘッドに
    設けられ掘進の障害となる地中障害物を検知する障害物
    検知手段と、揺動可能に、かつ、カッタヘッドの回動に
    伴って旋回させ得るようにシールド本体に設置され、カ
    ッタヘッド前方へ突出させて駆動することにより地中障
    害物を撤去することのできる障害物撤去手段とを備えた
    シールド掘進機を用いて、障害物撤去手段を、所望の位
    置へ旋回させ揺動させるとともに、カッタヘッド前方へ
    突出させて駆動することにより地中障害物を撤去するよ
    うにしたシールド工法において、シールド掘進機での掘
    進時に地中障害物を障害物検知手段で検知し、カッタヘ
    ッドを回動させて障害物検知手段で障害物の位置に関す
    る情報を得る第1の工程と、この第1の工程終了後、シ
    ールド本体前部を後退させて、カッタヘッドから切羽に
    至るまでの距離を増加させる第2の工程と、この第2の
    工程の終了後、地中障害物の長さに関する情報と障害物
    検知手段で得られる地中障害物の位置に関する情報とシ
    ールド本体前部から地中障害物までの距離に関する情報
    とに基づいて、地中障害物の各部を切断するために必要
    な障害物撤去手段の揺動角及びカッタヘッドの回動角を
    演算手段でそれぞれ算出する第3の工程と、この演算手
    段での算出結果に基づいて、障害物撤去手段を揺動さ
    せ、カッタヘッドの回動により旋回させるとともに、カ
    ッタヘッド前方へ突出させて地中障害物の撤去が可能な
    所望の位置に位置決めし、障害物撤去手段を駆動するこ
    とにより地中障害物を撤去する第4の工程とにより、地
    中障害物の撤去作業を行うようにしたことを特徴とする
    シールド工法。
  2. 【請求項2】 前部にカッタヘッドを有しシールドジャ
    ッキにより推進されるシールド本体と、カッタヘッドに
    設けられ掘進の障害となる地中障害物を検知する障害物
    検知手段と、揺動可能に、かつ、カッタヘッドの回動に
    伴って旋回させ得るようにシールド本体に設置され、カ
    ッタヘッド前方へ突出させて駆動することにより地中障
    害物を撤去することのできる障害物撤去手段とを備えた
    シールド掘進機において、シールド本体を、前部にカッ
    タヘッドを有し障害物撤去手段を設置した前胴部とその
    後方の後胴部とに分割して構成し、前胴部を後胴部に対
    して摺動ジャッキにより前後方向に駆動できるようにす
    とともに、地中障害物の長さに関する情報と障害物検
    知手段で得られる地中障害物の位置に関する情報とシー
    ルド本体前部から地中障害物までの距離に関する情報と
    に基づいて、地中障害物の各部を切断するために必要な
    障害物撤去手段の揺動角及びカッタヘッドの回動角をそ
    れぞれ算出する演算手段を設け、この演算手段での算出
    結果に基づいて、障害物撤去手段を揺動させ、カッタヘ
    ッドの回動により旋回させて地中障害物の撤去が可能な
    所望の位置に位置決めし、地中障害物の撤去作業を行う
    ようにしたことを特徴とするシールド掘進機。
  3. 【請求項3】 演算手段での算出結果に基づいて、障害
    物撤去手段を、揺動させ、カッタヘッドの回動により旋
    回させて所望位置に位置決めし、地中障害物の撤去作
    業を行う場合において、地中障害物の撤去作業を行った
    位置が実際の地中障害物の位置とずれていたとき障害物
    撤去手段の揺動角及びカッタヘッドの回動角を補正する
    手段を設けたこと特徴とする請求項2のシールド掘進
    機。
  4. 【請求項4】 演算手段での算出結果に基づいて、障害
    物撤去手段を、揺動させ、カッタヘッドの回動により旋
    回させて所望位置に位置決めし、地中障害物の撤去作
    業を行う場合において、演算手段での算出結果に関する
    データを表示することのできる表示手段を設けたこと特
    徴とする請求項2又は請求項3のシールド掘進機。
  5. 【請求項5】 演算手段での算出結果に基づいて、障害
    物撤去手段を、揺動させ、カッタヘッドの回動により旋
    回させて所望位置に位置決めし、地中障害物の撤去作
    業を行う場合において、演算手段での算出結果に関する
    データ及び地中障害物の撤去作業での地中障害物の切断
    過程に関するデータを表示することのできる表示手段を
    設けたことを特徴とする請求項2又は請求項3のシール
    ド掘進機。
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