JPS6133246Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 開示技術は、自動車エンジンの加速ポンプにお
けるポンプ室からの燃料の飛散洩出を防止する技
術分野に属する。

而して、この考案はエアホーン、及び、気化器
壁部内に形成されたポンプ室内にロツドに取付け
られたピストンが嵌装されており、該ロツド、及
び、ピストンがスロツトルバルブと連動すること
によつてフロート室内の燃料が気化器吸気管に噴
出されるようにされた気化器の加速ポンプに関す
る考案であり、特に、上記ポンプ室の開口部にて
ロツドとエアホーンを覆うゴムブーツの裾部を確
実にエアホーンに圧着した気化器の加速ポンプに
係る考案である。

〈従来技術〉 自動車のエンジンの気化器には、加速時に燃料
を増量して空燃比を補償するための加速ポンプが
設けられているが、該加速ポンプはエアホーン、
及び、気化器壁部内にポンプ室が形成され、ポン
プ室内にて摺動するピストンの作働によつてフロ
ート室内の燃料を気化器の吸気管に送り込むよう
にされている。

そして、例えば実開昭51−107532号公報に示さ
れているような従来の気化器加速ポンプではポン
プ室の開口端部をシールするための手段としてピ
ストン作動用のロツドとエアホーンとの間をゴム
ブーツで覆つている。

〈考案が解決しようとする問題点〉 ところが、該種在来の加速ポンプではゴムブー
ツをロツドとエアホーンの間に挿入嵌着していた
だけの構造であつたために、防塵効果はあるもの
の、燃料飛沫の洩出を充分に防ぐことが出来ない
という欠点があり、排気ガスに有害成分の増加を
生じる等の難点もあつた。

又、例えば、実公昭39−24933号公報や特公昭
38−9154号公報等には自動車の加速ポンプのロツ
ドに対しブーツが配設されている態様もあるが、
単にブーツの基部を取付孔に嵌着しているだけで
あるため、高頻度に反復される加速ポンプの作用
に伴う振動等により経時的にブーツ基部が取付孔
に微小な間隙を形成させたりして、クリアランス
が形成され、該基部より燃料飛沫の漏出が生ずる
という虞がある不具合があつた。

この考案の目的は上述従来技術に基づく気化器
の加速ポンプの問題点を解決すべき技術的課題と
し、ポンプ室の開口部を覆うゴムブーツの裾部を
エアホーンに圧着させ、該裾部からの燃料飛沫の
漏出に対するシール性を充分に確保し、耐久性も
向上するようにし自動車産業における燃料系統技
術利用分野に益する優れた気化器の加速ポンプを
提供せんとするものである。

〈問題点を解決するための手段・作用〉 上述目的に沿い先述実用新案登録請求の範囲を
要旨とするこの考案の構成は前述問題点を解決す
るために、フロート室内の燃料を気化器吸気管に
送り出すための気化器の加速ポンプのポンプ室の
開口部にてピストンを動作させるロツドとエアホ
ーンとの間を覆うゴムブーツの裾部に圧着部材を
取付け、その裾部をエアホーンに圧着させて、ポ
ンプ室開口部での燃料飛沫に対するシール性を向
上させ、防塵に加えて燃料飛沫の洩出防止を図
れ、しかも、ブーツの取付孔に対する確実な圧着
を図りながら経時的なシール性を保証することが
出来るようにした技術的手段を講じたものであ
る。

〈実施例〉 次に、この考案の実施例を図面に基づいて説明
すれば以下の通りである。

第１，２図の示す実施例において、１は気化器
壁体であつて、その上部にはパツキン２を介して
エアホーン３が取付けられ、気化器壁体１とエア
ホーン３を通してポンプ室４が形成されている。

そして、ポンプ室４の底面にはチエツクボール
５を介して燃料入口通路６が連設されてフロート
室７の底部に連通されている。

又、ポンプ４の底部側面には燃料出口通路８が
連設されており、その先端にはチエツクボール９
を介してノズル１０が接続されて気化器のボア１
１に接続するベンチユリー１２の上方位置に臨ま
されている。

而して、ポンプ室４の内部にはピストン１３が
嵌挿され、ロツド１４の下端に一体的に取付けら
れており、又、ピストン１３とポンプ室４の底面
との間にはスプリング１３ａが介装され、ピスト
ン１３を上方に付勢している。

ロツド１４の上端はエアホーン３の上方に突出
してリンク１５に連結されており、該リンク１５
は更にリンク１６を介してスロツトルバルブ１７
と一体に回転するスロツトルレバー１８に連結さ
れてこの構造は実質的に在来態様と同様である。

而して、ポンプ室４の上端開口部では、ロツド
１４とエアホーン３の間がゴムブーツ１９によつ
て覆われ、該ゴムブーツ１９は上端１９ａがロツ
ド１４に密着されていると共に裾部１９ｂの内側
には圧着部材としての断面リング状の圧着金具２
０が挿入されている。

そして、該圧着金具２０は第２図に示す様に側
面に上下方向のラビリンス状のカギ型の切欠きス
リツト２０ａが設けられ、該カギ型の切欠きスリ
ツト２０ａの間隙寸法分だけ周方向の弾性収縮、
及び、スプリングバツクが出来るようにされてい
るものである。

尚、上記弾性収縮やスプリングバツクを図る縦
方向のクリアランスが直線状であると、ゴムブー
ツ１９のクリアランス対応部に経時的に食い込み
による皺が発生して疲労が生じ易く、しかも、長
期間の使用によつて当該直線状のクリアランスが
一種の通路となることと相俟つて、燃料飛沫のリ
ークが発生する可能性があるが、上述の如く、ラ
ビリンス状のカギ型の切欠きスリツト２０ａがあ
ることにより、経時的に対応するゴムブーツ１９
には同様に食い込みによる皺などが発生しても、
通路がジグザグ状に曲折するために、一種の通路
遮断機能が具備されて燃料飛沫のゴムブーツ１９
の裾部からのリークが確実に阻止されるようにさ
れている。

又、圧着金具２０は下端両側に設けられた突起
部２０ｂ、２０ｂがエアホーン３の下面に係合す
るように挿入され、圧着金具２０の弾性力によつ
てゴムブーツ１９の裾部１９ｂをエアホーン３の
取付孔の内周面に圧着させ、その圧着力によつて
ゴムブーツ１９とエアホーン３との間の確実なシ
ールを行うようにされている。

そして、図示する様に圧着金具２０とのラビリ
ンス状の切欠きスリツト２０ａのスプリングバツ
クにより該圧着金具とロツド１４との間にはリン
グ状の微小クリアランスが形成されて圧着金具２
０はロツド１４に干渉せず、摺動抵抗が生じない
ようにされている。

上述構成において、スロツトルバルブ１７の開
閉作動に際し、リンク１５、１６によつてロツド
１４が連動し、その動作によつてピストン１３が
摺動し、フロート室２からポンプ４の燃料室４ａ
に吸い込まれた燃料が燃料出口通路８を経てノズ
ル１０からボア１１内に噴出される。

このプロセスにて、燃料の飛沫がピストン１３
の上方に飛散するような場合であつても、ゴムブ
ーツ裾部１９ｂは圧着金具２０の切欠きスリツト
２０ａを介してのスプリングバツクにより確実に
エアホーン３に圧着されているので、燃料飛沫が
気化器の外に漏出することはなく、シール性は充
分に保持される。

又、ラビリンス状の切欠きスリツト２０ａがあ
ることにより、ゴムブーツ１９に経時的にスリツ
トの食い込みによる皺などが発生しても、ジグザ
グ状のラブリンス状のの通路により燃料飛沫がリ
ークすることは確実に阻止される。

そして、ロツド１４は稼動中、圧着金具２０と
はリング状の微小クリアランスを介して昇降する
ため相対摺動せずスムースに昇降する。

次に第３、４図（第４図の圧着金具２０′は図
示の都合上周方向断面を示す）に示す態様は他の
実施例を示すものであり、当該実施例では、圧着
金具２０′の下端一側に突起２０′ｂが一個設けら
れてエアホーン３の下面に係合して抜け止めがな
されている態様であるが、ロツド１４と圧着金具
２０′との間のリング状の微小クリアランスによ
りロツド１４の昇降は上述実施例同様にスムース
に行われ、燃料飛沫の洩れ防止も同様に確実に保
証される。

尚、この考案の実施態様は上充各実施例に限ら
れるものではなく、例えば、圧着部材を板材の他
に肉厚のリング形状のものとし、この圧着部材を
エアホーンの穴内面の溝に嵌入させてゴムブーツ
の裾部を圧着するようにしても良い等種々の態様
が採用可能である。

〈考案の効果〉 上述の如く、この考案によれば、ゴムブーツに
よつてポンプ室開口部がシールされている加速ポ
ンプにおいて、ゴムブーツの裾部を圧着部材によ
つてエアホーンに圧着させるようにしたので、ゴ
ムブーツは防塵作用のみならず、燃料飛沫の洩出
を防止することが出来るという完全シール性を保
持出来る優れた効果が奏される。

更に、この考案では圧着部材によつてゴムブー
ツの裾部を圧着させているので、在来の加速ポン
プに圧着部材を取付けるのみで良く、設計変更の
必要なく実施することが出来るという効果もあ
る。

又、加速ポンプ稼動時にロツドに摺動抵抗が生
ぜずにポンプ作用が行われるという優れた効果が
奏される。

加えて、圧着部材にはロツドの軸方向に沿うよ
うにラビリンス状のカギ型の切欠きスリツトが形
成されていることにより、ブーツのエアホーンに
対する組付けに際し、圧着部材を周方向に縮少状
態にしてスムースに挿入し、スプリングバツクに
より確実にブーツをエアホーンの取付孔の内周面
に押圧作用を印加して該取付孔内周面に圧着さ
せ、運転中の振動などによつてもブーツの圧着状
態を確実に維持することが出来るのみならず、ラ
ビリンス状の切欠きスリツトによりその通路がジ
グザグ状に遮断されている状態を保ち、燃料飛沫
リークを確実に阻止するという優れた効果が奏さ
れる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すものであり、第
１図は気化器の全体を示す実施例の縦断面図、第
２図は同圧着部材の斜面図、第３図は他の実施例
による圧着部材の斜面図、第４図は同圧着部材取
付部の拡大図である。 ３……エアホーン、１……気化器壁部、４……
ポンプ室、１４……ロツド、１３……ピストン、
２……フロート室、６……燃料入口通路、１１…
…ボア、８……燃料出口通路、１９……ゴムブー
ツ、２０ａ……ラビリンス状の切欠きスリツト、
２０，２０′……圧着部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エアホーン及び気化器壁部内に形成されたポン
   プ室内にロツドに取付けられたピストンが嵌装さ
   れており該ポンプ室に気化器のフロート室からの
   燃料入口通路と気化器のボアへの燃料出口通路が
   各々連結されている気化器の加速ポンプにおい
   て、上記ポンプ室の開口部にはロツドとエアホー
   ンの間を覆うゴムブーツが取付けられており、該
   ゴムブーツの裾部にはロツドに沿うラビリンス状
   の切欠きスリツトを形成している弾性を有する圧
   着部材によつて前記エアホーンに圧着されている
   ことを特徴とする気化器の加速ポンプ。