JPS6132529B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は自動車用自動動変速装置、詳しくは
トルクコンバータとリバースクラツチをもつ遊星
歯車装置とを備え、前記トルクコンバータと遊星
歯車装置をエンジンのクランクシヤフトの延長軸
線上に配置したエンジン横置形動力伝達装置の自
動変速装置に関する。

本発明の第１の目的は、以上の自動変速装置に
おいて、トランスミツシヨンケースの中間部に仕
切板を設けて、遊星歯車装置室を画成し、該室内
に遊星歯車装置を独立状に収容して、遊星歯車装
置に塵芥、バリなどが侵入するのを未然に防止す
ると共に、前記遊星歯車装置室と他の装置室とに
夫々別々に潤滑油を装填可能となして、各装置に
とつて最適な状態に油面調整を行なうことにあ
る。

又第２の目的は前記仕切板をトルクコンバータ
側にリング状に膨出形成してリバースクラツチを
作動させるピストンのシリンダ室と軸受筒とを形
成し、該軸受筒内に、、遊星歯車装置のキヤリヤ
から延びる伝動軸と、該伝動軸にスプライン結合
した遊星歯車装置の出力軸とを軸受を介して支持
することにより、自動変速装置の内部構成を簡素
化すると同時に、該装置の小形化を可能にしたの
である。

以下その詳細を図面の実施例に基いて説明す
る。図中１はトランスミツシヨンケースであつ
て、該ケース１は軸方向に３分割１ａ，１ｅ，１
ｃしている。

しかして前記トランスミツシヨンケース１のう
ち右側の第１分割ケース１ａ内には、エンジン
（図示せず）のクランクシヤフトに連動連結する
入力軸２を備えたトルクコンバータ３を前記クラ
ンクシヤフトの延長軸線上に配置して内装し、該
トルクコンバータ３から前記エンジンの回転動力
を、前記トランスミツシヨンケース１内でかつ前
記クランクシヤフトの延長軸線上に配置した伝動
主軸４に伝達すべくしている。

また前記第２分割ケース１ｂ内におけるトルク
コンバータ３の隣接側部で伝動主軸４の周囲に
は、該トルクコンバータ３の入力軸２により回転
駆動動されるオイルポンプ５を備えると共に、こ
の第２分割ケース１ｂ内で前記伝動主軸４の周囲
には、後述する減速歯車装置Ａを設けている。ま
た前記伝動主軸４の半径方向外方で、前記第２分
割ケース１ｂと第１分割ケース１ａとにより画成
する室内には、前記伝動主軸４と平行な駆動車軸
６及び減速大歯車７その他歯車群をもつ差動歯車
装置Ｂと装備し、この差動歯車装置Ｂに前記エン
ジンの回転動力を前記減速歯車装置Ａにより減速
して伝達すべく構成している。

８，８は前記差動歯車装置Ｂにおける駆動車軸
６の両側方に延長したドライブシヤフトである。

さらに前記第２分割ケース１ａの一部及び第３
分割ケース１ｃの内部で前記伝動主軸４の周囲に
は前記トルクコンバータ３と共に変速装置を構成
する遊星歯車装置Ｃを備えている。

この遊星歯車装置Ｃは、前記伝動主軸４上にイ
ンプツトサンギヤ９を嵌合固定し、該ギヤ９と隣
接する左右両側にはローサンギヤ１０と、軸心部
右方に中空の伝動軸１１を一体状に延出形成した
プラネタリキヤリヤ１２とをそれぞれ遊嵌合し、
該キヤリヤ１２に前記インプツトサンギヤ９と噛
合うロングピニオン１３と、前記ローサンギヤ１
０と噛合にかつロングピニオン１３と互いに噛合
するシヨートピニオン１４を軸杆１５，１６によ
り支持させると共に、これら遊星歯車群の外周囲
には前記シヨートピニオン１４と噛合うリバース
リングギヤ１７を設け、また前記プラネタリキヤ
リヤ１２と相対向する箇所には、パーキングロツ
クギヤ１８を前記軸杆１５，１６の突出端部に支
持させて構成している。

前記リバースリングギヤ１７の外周囲と第２分
割ケース１ｂの内壁面との間には、多段摩擦板式
リバースクラツチ１９を介装している。また前記
プラネタリキヤリヤ１２の右側方には、ピストン
２０を備えて、該ピストン２０を前記オイルポン
プ５からの圧力油により進限させて、前記リバー
スクラツチ１９を介してリバースリングギヤ１７
を断続操作すべく構成している。

更にまた前記遊星歯車群の左側方で伝動主軸４
の周囲にはクラツチドラム２１を遊嵌合し、この
ドラム２１内に前記オイルポンプ５から伝動主軸
４内に貫通形成した油通路２２を介して供給され
る圧力油により進退可能としたピストン２３を装
入し、このピストン２３の右側方で前記クラツチ
ドラム２１の内壁面と、前記伝動主軸４に嵌合固
定したクラツチハブ２４との間に多段摩擦板式ク
ラツチ２５を介装すると共に、該クラツチドラム
２１の右側端にはこのドラム２１と係合し、かつ
前記ローサンギヤ１０と噛合するクラツチフラン
ジ２６を設け、また前記クラツチドラム２１の外
周には圧力油により該ドラム２１を固定又は自由
状態とするブレーキバンド２７を設けている。

しかして前記プラネタリキヤリヤ１２に一体形
成した伝動軸１１と差動歯車装置Ｂとの中間で、
前記第１及び第２分割ケース１ａ，１ｂの壁部間
にアイドル軸２８を架設し、このアイドル軸２８
に第一及び第二減速歯車２９，３０を設け、該第
一減速歯車２９を後記する出力歯車３１に噛合さ
せ、また第二減速歯車３０を前記差動歯車装置Ｂ
の減速大歯車７に噛合させるべくなして、前述し
た減速歯車装置Ａを前記出力歯車３１と第１減速
歯車２９とによる第１減速機構と、前記第二減速
歯車３０と減速大歯車１７とによる第２減速機構
とにより構成している。

図中３２は前記アイドル軸２８のギヤ部３３に
係合させたスピードメーターギヤで、該アイドル
軸２８の回転数を検出してスピードメーターに表
示するようにしている。

而して以上の如く構成する動力伝達装置の変速
装置において、前述したトランスミツシヨンケー
ス１のうち中間の第２ケース１ｂに仕切板１ｄを
形成して、該仕切板１ｄと前記第３ケース１ｃと
により遊星歯車装置室３５を画成し、この室３５
内に遊星歯車装置Ｃを独立的に収容すべく構成す
ると共に、前記仕切板１ｄをトルクコンバータ３
側にリング状に膨出形成して、その中心部に円筒
状の軸受筒３６を一体形成するとともに、前記リ
バースクラツチ１９を作動させるピストン２０の
環状シリンダ室３７を設けるのである。

そして前記軸受筒３６の内部に前記プラネタリ
キヤリヤ１２から延びる伝動軸１１及び該伝動軸
１１とプライン嵌合しかつ一端に出力歯車３１を
設けた出力軸３４を挿嵌して、該第２出力軸３４
の外周面と軸受筒３６の内周面との間にニードル
ベアリングからなる軸受３８を介装することで、
前記仕切板１ｄの軸受筒３６により前記伝動軸１
１と出力軸３４を支持すべく構成する一方、前記
出力軸３４に設けた出力歯車３１を前記仕切板１
ｄとトルクコンバータ３との間に介装して前記第
１減速歯車２９に噛合させたのである。

以上の自動変速装置は、次の作用を有する。

先ず自動車の前進時で低速走行時には、エンジ
ンからの動力がトルクコンバータ３を介して伝動
主軸４に伝達され、この回転動力により、伝動主
軸４上のインプツトサンギヤ９が回転され、これ
に伴ない該サンギヤ９に噛合うロングピニオン１
３及び該ピニオン１３に噛合したシヨートピニオ
ン１４が回転する。

ところでこのときオイルポンプ５からの圧力油
によりブレーキバンド２７がクラツチドラム２１
を締付けて該ドラム２１を固定し、これに伴ない
このドラム２１に係合したクラツチフランジ２６
を介してローサンギヤ１０が固定されるので、前
記シヨートピニオン１４はローサンギヤ１０の周
囲を周回し、またプラネタリキヤリヤ１２は所定
の減速比で回転する。このときリバースクラツチ
１９はピストン２０にて連結されることなく自由
状態保持されるから、前記プラネタリキヤリヤ１
２は伝動主軸４と同方向に回転するのである。

しかして前記キヤリヤ１２の回転に伴ない、出
力軸３４に設けた出力歯車３１、並びにアイドル
軸２８上に設けた第一、第二減速歯車２９，３０
及び差動歯車装置Ｂの減速大歯車７をそれぞれ介
して、該差動歯車装置Ｂの駆動車軸６からその両
側のドライブシヤフト８，８に減速された低速の
回転動力が伝達されるのである。

また前進時に高速走行するときには、ブレーキ
バンド２７が弛緩されて、クラツチドラム２１は
自由状態となる。一方このときクラツチドラム２
１内に圧力油が送られてピストン２３を進出さ
せ、これに伴ないクラツチ２５を連結して、該ク
ラツチドラム２１と伝動主軸４に固定したデイス
クハブ２４とを一体化する。従つて前記ローサン
ギヤ１０がクラツチドラム２１つまり伝動主軸４
上のインプツトサンギヤ９と同一回転することゝ
なり、この２個のサンギヤ９，１０にそれぞれ噛
合しているロングピニオン１３及びシヨートピニ
オン１４は自転することなくロツク状態に保持さ
れて、これら全体は一体となつて回転し、伝動主
軸４と出力軸３４は直結状態となる。これに伴な
つて前記ドライブシヤフト８，８は高速回転する
のである。

次に後退走行時には、ピストン２０の進出にリ
バースクラツチ１９を連結して、リバースリング
ギヤ１７を固定し、このときクラツチドラム２１
内のクラツチ２５は解放させる。するとロングピ
ニオン１３及びシヨートピニオン１４は前記の場
合と同じく回転するが、リバースリングギヤ１７
が固定されているので、これらの両ピニオン１
３，１４は該ギヤ１７に沿つて前記の場合とは逆
方向に転動し、またこれに伴なつつてプラネタリ
キヤリヤ１２を逆転させ、かつドライブシヤフト
８，８を逆転させるのである。

また前記動力伝達装置をニユートラルとすると
きには、前記各クラツチ１９及び２５を解放する
のである。更にパーキングするときには、前記の
ニユートラル状態でパーキングロツクギヤ１８を
別途設けるロツクボールにより固定するのであ
る。

以上説明したごとく本発明にかゝるエンジン横
置形動力伝達装置の自動動変速装置は、トランス
ミツシヨンケースの中間部に仕切板を設けて遊星
歯車装置室を画成し、該室内に遊星歯車装置を独
立状に収容すべく構成したから、遊星歯車装置に
塵芥などが侵入するのを未然に防止できて、該装
置の適正な作動を確実に行ない得るのであり、ま
た遊星歯車装置室と他の装置室とに夫々別々に滑
油を装填することが可能となり、従つて各装置に
とつて最適な状態に滑油の油面調整を行ない得る
のである。

又本発明は前記仕切板をトルクコンバータ側に
リング状に膨出形成して前記リバースクラツチを
作動させるピストンのシリンダ室と軸受筒とを形
成し、該軸受筒内に、遊星歯車装置のキヤリヤか
ら延びる伝動軸にスプライン結合した遊星歯車装
置の出力軸とを軸受を介して支持したから、前記
仕切板の有効利用が図れてピストンのシリンダや
出力軸の軸受部材を別途形成して組付ける必要が
なく、それだけ自動変速装置の内部構成を簡素化
することが出来て装置全体の小型化が図れるし、
しかも前記シリンダ室内の中心部に前記軸受筒が
位置して、シリンダ室と出力軸等の軸受部とが径
方向でラツプすることとなるので、特に変速装置
の径方向を増大することなく軸方向寸法を十分短
く出来、それでいながら遊星歯車装置の出力軸と
遊星歯車装置のキヤリヤから延びる伝動軸とのス
プライン長さや出力軸の軸受部材に対する軸受幅
を十分確保することが出来るのである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の自動変速装置を示す断面図であ
る。 １……トランスミツシヨンケース、１ｄ……仕
切板、１ｅ……椀形部、３……トルクコンバー
タ、１１……第１出力軸（出力軸）、１２……キ
ヤリヤ、１９……リバースクラツチ、２０……ピ
ストン、２５……変速クラツチ、３１……出力歯
車、３４……第２出力軸（出力軸）、３５……遊
星歯車装置室、３６……軸受筒、３７……シリン
ダ室、３８……軸受。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ トルクコンバータとリバースクラツチをもつ
   遊星歯車装置とを備え、前記トルクコンバータと
   遊星歯車装置をエンジンのクランクシヤフトの延
   長軸線上に配置したエンジン横置形動力伝達装置
   の自動変速装置であつて、前記トルクコンバータ
   ー及び遊星歯車装置を内装するトランスミツシヨ
   ンケースの中間部に、前記遊星歯車装置の軸方向
   側方を覆い遊星歯車装置室を画成する仕切板を設
   けると共に、、該仕切板をトルクコンバータ側に
   リング状に膨出形成して前記リバースクラツチを
   作動させるピストンのシリンダ室と軸受筒とを形
   成し、該軸受筒内に遊星歯車装置のキヤルヤから
   延びる伝動軸と該伝動軸にスプライン結合した遊
   星歯車装置の出力軸とを軸受を介して支持したこ
   とを特徴とする自動車用自動変速装置。