JP4516655B2 - 発進クラッチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の動力伝達装置に用いられる発進クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
「新型車解説書 NISSAN マーチ K11型系車 181頁:日産自動車株式会社 平成4年1月発行」に図7のような動力伝達装置301が記載されている。
【0003】
この動力伝達装置301は、前輪駆動車(FWD車:FF車)用のトランスミッションであり、電磁式の発進クラッチ303、前後進切換機構305、無段変速機307、ギヤ伝動機構309、フロントデフ311(エンジンの駆動力を左右の前輪に配分するデファレンシャル装置)などから構成されている。
【0004】
エンジン起動後、発進クラッチ303を連結すると、エンジンの駆動力は前後進切換機構305から無段変速機307に伝達されて変速され、ギヤ伝動機構309を介してフロントデフ311に伝達され、左右の前輪に配分される。
【発明が解決しようとする課題】
車載性,燃費等の理由から、車両では、発進クラッチと変速機構とデファレンシャル装置からなる動力伝達装置(トランスミッション)をできるだけコンパクトで軽量にしたいという基本的な要求がある。しかもこの要求は、車両前部にこれらが集中して搭載されるFF車で特に高い。
【0005】
ところが、上記のように、エンジンと無段変速機307の間に発進クラッチ303が配置された従来の動力伝達装置301では、これらをコンパクトに構成しようとしても、発進クラッチ用の配置スペースを確保するために、成立させることが難しい。
【0006】
又、エンジンと無段変速機307の間に発進クラッチ303を置く配列によって、動力伝達装置301内部のレイアウトだけでなく、エンジン回りに配置される動力伝達装置301自身のレイアウトも大きな規制を受けるから、レイアウトの自由度がそれだけ制限されてしまう。
【0007】
又、発進クラッチ303には、エンジンと無段変速機307の間に配置されたことによって大きな駆動トルクが掛かるから、クラッチ機構とこれを操作するアクチュエータの両方に大容量のものが必要であり、動力伝達装置301がそれだけ大型化し重量が増加してしまう。
【0008】
又、発進クラッチ303が、無段変速機307、ギヤ伝動機構309、フロントデフ311などの他の構成要素から独立しているので、発進クラッチ303専用のケーシングやベアリングなどが必要であり、それだけ動力伝達装置301の軽量化とコンパクト化が難しい。
【0009】
又、無段変速機307がエンジンから見て発進クラッチ303の後段に配置されていると、発進クラッチ303の連結が解除される停車中は、エンジンが回転していても、無段変速機307の回転も停止するから、次の発進に備えて予め変速しておくことができず、発進時において、加速応答性が不充分になることがある。
【0010】
そこで、この発明は、トランスミッションをコンパクトに構成し、レイアウトの自由度を高める発進クラッチの提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発進クラッチは、エンジンの駆動力を変速する変速機構と、変速された駆動力を車輪側に配分する差動機構とを備えた動力伝達装置に用いられる発進クラッチであって、前記発進クラッチが多板クラッチとアクチュエータと押圧部材とを備え、前記多板クラッチは差動機構を収容すると共に駆動力を差動機構に伝達するケーシングの内部に、前記ケーシングに固定されて駆動力が入力するファイナルギヤの径方向の内側で、前記差動機構と車輪との間に同軸配置され、前記アクチュエータは、前記ファイナルギヤの径方向の内側に配置された前記多板クラッチに対して軸方向に前記差動機構と逆側に、前記変速機を収容するトランスミッションケースの隔壁に設けられると共に、発生する押圧力によって前記押圧部材を介して前記多板クラッチを押圧し、前記差動機構により配分された出力側の駆動力を断続して車両の発進、停止をおこなうことを特徴とする。
【0012】
発進クラッチは差動機構といずれか一方の車輪との間に配置すればよい。
【0013】
この発進クラッチを連結すると、エンジンの駆動力は差動機構から各車輪側に配分される。又、発進クラッチの連結を解除すると、差動機構の差動回転が自由になって駆動力伝達が停止し、車輪は実質的に切り離される。
【0014】
そこで、発進クラッチの連結を解除すれば、エンジンを起動することができるようになり、発進クラッチを連結すると、車両は発進できる。
【0015】
又、本発明の発進クラッチは、差動機構と車輪との間に配置されているから、発進クラッチ303がエンジンと無段変速機307の間に配置された従来例と異なって、配置スペースによるレイアウト上の制約から解放される。
【0016】
こうして、動力伝達装置内部のレイアウトの自由度が向上するだけでなく、空きスペース、例えば、エンジン回りの配置スペースを有効に利用することが可能になり、動力伝達装置自身もレイアウトの自由度が大きく向上する。
【0017】
又、差動機構の出力側に配置したことによって、発進クラッチに掛かるトルクが半減するから、クラッチ機構とこれを操作するアクチュエータの両方を小型化することが可能になり、動力伝達装置もそれだけコンパクトで軽量になる。
【0019】
しかも、この構成では、発進クラッチを差動機構のケーシングに収容したことによって、デファレンシャル装置と発進クラッチとがユニット化できる。
【0020】
従って、両者がコンパクトになり、組み付け性が向上する。
【0021】
又、発進クラッチの配置スペースが狭くてすみ、動力伝達装置が更にコンパクトになる。
【0022】
又、発進クラッチが、ケーシングだけでなく、ベアリングなどの支持部材を差動機構(デファレンシャル装置)と共用できるから、更に、軽量でコンパクトになる。
【0025】
このように、配置個所を選択する上で自由度が高いから、車両の空きスペースを有効に利用することが可能であり、特に、FF車では、エンジン前部のスペースに有効配置することができる。
【0026】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発進クラッチであって、変速機構が、無段変速機であることを特徴とし、請求項1の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0027】
しかも、この構成では、発進クラッチが無段変速機(変速機構)の後段に配置されている本発明の基本的構成により、従来例と異なり、エンジンが回転している間は、無段変速機は停車中でも回転している。
【0028】
従って、無段変速機を発進に備えて予め変速しておくことが可能であり、発進時に充分な加速応答性を得ることができる。
【0029】
更に、変速機構に無段変速機を用いたことによって、ギヤの噛み合いを変えて変速する機械的な変速機構と異なり、変速用の補助クラッチが不要になるから、動力伝達装置は、構造がそれだけ簡単になると共に、更に軽量でコンパクトにすることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1〜3によって発進クラッチ1(本発明の第1実施形態)を説明する。
【0032】
図1は発進クラッチ1を用いたトランスミッション3(動力伝達装置)を示し、図2は発進クラッチ1とフロントデフ21を示し、図3はトランスミッション3を用いたFF車の動力系を示す。各図の左右の方向はこの車両の左右方向である。又、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0033】
図3に示すように、この動力系は、エンジン5、トランスミッション3、前車軸7,9、左右の前輪11,13などから構成されている。
【0034】
トランスミッション3は、図1に示すように、前後進切換機構14、ベルト式の無段変速機15(CVT)、オイルポンプ17、ギヤ伝動機構19、フロントデフ21と発進クラッチ1などから構成されている。
【0035】
前後進切換機構14は、車両の走行方向に応じて、エンジン5の駆動力の回転方向を切り換えてベルト式無段変速機15の入力軸23に伝達する。
【0036】
ベルト式無段変速機15は、駆動側の変速プーリ25、被駆動側の変速プーリ27、これらを連結するスチール製のベルト29、油圧アクチュエータ31、スプリング33などから構成されている。
【0037】
各変速プーリ25,27はそれぞれ、入力軸23と出力軸35と一体の固定プーリ37,39、軸23,35上に移動自在に配置された可動プーリ41,43などから構成されており、下記のように、可動プーリ41,43が移動操作されて固定プーリ37,39との間隔が変わることにより、各変速プーリ25,27のベルトピッチ径が変わって、変速比を無段階に調整する。
【0038】
スプリング33は、被駆動側変速プーリ27の可動プーリ43を固定プーリ39側に付勢している。
【0039】
オイルポンプ17は軸23の回転によって駆動され、油圧アクチュエータ31に油圧を送り、油圧アクチュエータ31は、駆動側変速プーリ25の可動プーリ41を固定プーリ37側に移動操作する。
【0040】
油圧アクチュエータ31による可動プーリ41の押圧力を強めると、駆動側変速プーリ25では、可動プーリ41が固定プーリ37側に移動してベルトピッチ径が大きくなり、被駆動側変速プーリ27では、ベルト29の張力によってスプリング33が撓み、可動プーリ43と固定プーリ39との間隔が広がってベルトピッチ径が小さくなる。
【0041】
又、可動プーリ41の押圧力を弱くすると、スプリング33の付勢力によって、ベルトピッチ径は被駆動側変速プーリ27で大きくなり、駆動側変速プーリ25で小さくなる。
【0042】
変速比は、駆動側変速プーリ25のベルトピッチ径が大きくなる程大きくなり、ベルトピッチ径が小さくなる程小さくなる。
【0043】
ギヤ伝動機構19は、2組の減速ギヤ組45,47から構成されている。
【0044】
減速ギヤ組45は互いに噛み合った小径のギヤ49と大径のギヤ51から構成されており、小径ギヤ49はベルト式無段変速機15の出力軸35に固定され、大径ギヤ51は中間軸53に固定されている。
【0045】
減速ギヤ組47は互いに噛み合った小径のギヤ55と大径のファイナルギヤ57から構成されており、小径ギヤ55は中間軸53に固定され、ファイナルギヤ57は、下記のように、フロントデフ21のデフケース59に固定されている。
【0046】
エンジン5の駆動力は前後進切換機構14から無段変速機15に伝達されて変速され、ギヤ伝動機構19の2組の減速ギヤ組45,47で減速されてフロントデフ21に伝達される。
【0047】
フロントデフ21は、図2に示すように、デフケース59(差動機構のケーシング)とベベルギヤ式の差動機構61から構成されている。
【0048】
なお、フロンデフ21には、差動制限機能が付いていないデファレンシャル装置を用いている。
【0049】
デフケース59はベアリング63,65を介してトランスミッションケース67に支承されており、上記のファイナルギヤ57はボルト69でデフケース59に固定されている。
【0050】
差動機構61は、デフケース59に両端を固定されたピニオンシャフト71、ピニオンシャフト71上に支承されたピニオンギヤ73、左右からピニオンギヤ73と噛み合ったサイドギヤ75,77から構成されている。
【0051】
左のサイドギヤ75は、発進クラッチ1を介して左の前車軸7に連結されており、右のサイドギヤ77は直接右の前車軸9に連結されている。
【0052】
発進クラッチ1は、多板クラッチ79と油圧アクチュエータ81と押圧部材83などから構成されている。
【0053】
多板クラッチ79は、左のサイドギヤ75に形成されたクラッチハウジング85の内周とクラッチハブ87の外周との間に配置されており、このクラッチハブ87は前車軸7に連結されている。
【0054】
又、油圧アクチュエータ81は、トランスミッションケース67の隔壁89に形成されたシリンダ91と、このシリンダ91にOリング93,95を介して往復動自在に係合したリング状のピストン97から構成されており、シリンダ91には、エンジン駆動のオイルポンプから油圧が送られる。
【0055】
押圧部材83は、デフケース59に貫入して多板クラッチ79と対向しており、回転側の押圧部材83と静止側のピストン97の間には、これらの相対回転を吸収するスラストベアリング99が配置されている。又、クラッチハウジング85とデフケース59の間には、多板クラッチ79が押圧されたときの押圧力を受けて、クラッチハウジング85とデフケース59との摺動を防止するスラストベアリング101が配置されている。
【0056】
上記のように、発進クラッチ1はデフケース59の内部に配置したことによって、フロントデフ21とユニット化されている。
【0057】
前記油圧アクチュエータ81のシリンダ91に油圧が送られると、ピストン97、スラストベアリング99、押圧部材83を介して多板クラッチ79が押圧され、発進クラッチ1が連結される。逆に、油圧の供給を停止すると、発進クラッチ1の連結は解除される。
【0058】
つまり、発進クラッチ1が連結されると、左サイドギヤ75と左前輪11とが連結され、発進クラッチ1の連結が解除されると、これらは切り離される。
【0059】
しかも、発進クラッチ1の連結を解除すると、差動機構61の差動回転が自由になり、ピニオンギヤ73の自転によってデフケース59が空転し、右の前輪13にも駆動力が伝達されなくなる。
【0060】
即ち、発進クラッチ1の連結を解除すれば、トランスミッション3が前輪11,13から切り離されて、エンジン5を起動できるようになり、発進クラッチ1を連結すると、車両は発進する。
【0061】
ファイナルギヤ57を介してデフケース59を回転させるエンジン5の駆動力は、ピニオンシャフト71からピニオンギヤ73に伝達され、1/2の駆動トルクでサイドギヤ75、77に配分される。
【0062】
車両の走行中は発進クラッチ1が連結されているから、サイドギヤ75の回転は、発進クラッチ1から車軸7を介して左の前輪11に伝達され、サイドギヤ77の回転は車軸9を介して右の前輪13に伝達される。
【0063】
又、発進時、加速時、悪路走行時、旋回時などで前輪11,13の間に駆動抵抗差が生じると、エンジン5の駆動力はピニオンギヤ73の自転によって左右の前輪11,13に差動配分される。
【0064】
こうして、発進クラッチ1が構成されている。
【0065】
発進クラッチ1は、上記のように、トランスミッション3のフロントデフ21(差動機構61)と前輪11との間(無段変速機15の後段)に配置されており、発進クラッチ303がエンジンと無段変速機307の間に配置されている従来例と異なって、発進クラッチ1自身の配置スペースによるレイアウト上の制約から解放されている。
【0066】
従って、トランスミッション3の内部でレイアウトの自由度が向上すると共に、エンジン5回りの配置スペースを有効に利用することが可能になり、トランスミッション3もレイアウトの自由度が大きく向上する。
【0067】
又、発進クラッチ1を差動機構61の出力側に配置したことによって、該発進クラッチ1に掛かる駆動トルクが半減するから、多板クラッチ79とこれを操作する油圧アクチュエータ81の両方を小型に構成することができる。
【0068】
従って、発進クラッチ1とトランスミッション3がそれだけ軽量でコンパクトになる。
【0069】
又、上記のように、発進クラッチ1をフロントデフ21のデフケース59に収容したことによって、発進クラッチ1とフロントデフ21とがユニット化されており、このユニット化によって、デフケース59とベアリング63,65などをフロントデフ21と共用しており、それだけ両者が軽量でコンパクトになっている。
【0070】
従って、これらの組み付け性が向上すると共に、発進クラッチの占有スペースが狭くなるから、トランスミッション3が更にコンパクトになる。
【0071】
又、発進クラッチ1が無段変速機15の後段に配置されているから、従来例と異なって、エンジン5を回転中は、無段変速機15は停車中でも回転している。
【0072】
従って、発進に備えて予め変速しておくことが可能になり、発進時に充分な加速応答性を得ることができる。
【0073】
更に、変速機構に無段変速機15を用いたことにより、ギヤの噛み合いを変えて変速する機械的な変速機構では必要であった変速用の補助クラッチが不要になるから、トランスミッション3は、構造がそれだけ簡単になると共に、更に軽量でコンパクトになる。
【0074】
このように、無段変速機15は、発進クラッチが変速機構の後段に配置される本発明に極めて好適である。
【0075】
次ぎに図4〜図6によって発進クラッチ201(本発明の参考例)を説明する。
【0076】
以下、第1実施形態の発進クラッチ1と同機能の部材等には同一の符号を与えて引用し、同機能部材の重複説明は省く。
【0078】
図4は発進クラッチ201を用いたトランスミッション203(動力伝達装置)を示し、
図5は発進クラッチ201とフロントデフ21を示し、図6は発進クラッチ201を用いたトランスミッション203(動力伝達装置)とこれを用いたFF車の動力系を示す。各図の左右の方向はこの車両の左右方向である。又、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0079】
図6に示すように、この動力系は、エンジン5、トランスミッション203、前車軸7,9、左右の前輪11,13などから構成されている。
【0080】
又、トランスミッション203は、前後進切換機構14、ベルト式無段変速機15、オイルポンプ17、ギヤ伝動機構19、フロントデフ21と発進クラッチ201などから構成されている。
【0081】
フロントデフ21は、図5に示すように、デフケース205(差動機構のケーシング)とベベルギヤ式差動機構61から構成されている。
【0082】
デフケース205はベアリング207,209を介してトランスミッションケース67に支承されており、ギヤ伝動機構19のファイナルギヤ57はでデフケース205に固定されている。
【0083】
差動機構61の左サイドギヤ75は直接左の前車軸7に連結されており、右サイドギヤ77は、発進クラッチ201を介して右の前車軸9に連結されている。
【0084】
発進クラッチ201は、多板クラッチ79と油圧アクチュエータ81と押圧部材83などから構成されており、トランスミッションケース67に固定されたケーシング211に収容されている。
【0085】
多板クラッチ79は、クラッチハウジング213の内周とクラッチハブ215の外周との間に配置されている。クラッチハウジング213の軸部217は右のサイドギヤ77に連結されており、クラッチハブ215の軸部219は右の前車軸9に連結されている。
【0086】
又、クラッチハブ215の軸部219は、ベアリング221によってケーシング211に支承されており、軸部219とケーシング211との間にはオイルシール223が配置され、外部へのオイル漏れを防止している。
【0087】
油圧アクチュエータ81は、ケーシング211に形成されたシリンダ91と、シリンダ91にOリング93,95を介して往復動自在に係合したピストン97から構成されており、シリンダ91には、エンジン駆動のオイルポンプから油圧が送られる。
【0088】
押圧部材83は多板クラッチ79と対向しており、押圧部材83と静止側のピストン97の間にはスラストベアリング99が配置されている。
【0089】
前記油圧アクチュエータ81のシリンダ91に油圧が送られると多板クラッチ79が押圧されて発進クラッチ201が連結され、油圧供給が停止すると発進クラッチ201の連結が解除される。
【0090】
発進クラッチ201が連結されると、右サイドギヤ77と右前輪13とが連結され、逆に、発進クラッチ201の連結が解除されると、これらは切り離される。
【0091】
つまり、発進クラッチ201の連結を解除すると、差動機構61の差動回転が自由になり、ピニオンギヤ73の自転によってデフケース205が空転し、左の前輪11にも駆動力が伝達されなくなる。
【0092】
即ち、発進クラッチ201の連結を解除すれば、トランスミッション203が前輪11,13から切り離されて、エンジン5を起動できるようになり、発進クラッチ201を連結すると、車両は発進する。
【0093】
車両の走行中は発進クラッチ201が連結されており、サイドギヤ75の回転は車軸7を介して左の前輪11に伝達され、サイドギヤ77の回転は発進クラッチ201から車軸9を介して右の前輪13に伝達されると共に、前輪11,13間の駆動抵抗差に応じてエンジン5の駆動力は左右の前輪11,13に差動配分される。
【0094】
こうして、発進クラッチ201が構成されている。
【0095】
発進クラッチ201は、上記のように、トランスミッション203のフロントデフ21と前輪13との間(無段変速機15の後段)に配置されたことにより、従来例と異なって、自身の配置スペースによるレイアウト上の制約から解放されており、上記実施形態の発進クラッチ1と同等の効果を得ることができる。
【0096】
これに加えて、発進クラッチ201をフロントデフ21のデフケース205の外部に配置するこの構成によれば、発進クラッチ201を、車両の空きスペースに応じてフロントデフ21と前輪13の間の任意の箇所に配置することができる。
【0097】
特に、FF車の場合は、エンジン5前部のスペースに配置することが可能であり、スペースの利用効率がよい。
【0098】
なお、上記の第1実施形態及び参考例では、発進クラッチを前輪駆動車(FF車)の動力伝達装置に適用した例を示したが、本発明の発進クラッチは、後輪駆動車(RR車)の動力伝達装置で、リヤデフ(エンジンの駆動力を左右の後輪に配分するデファレンシャル装置)と後輪との間に配置してもよい。
【0099】
又、4輪駆動車のセンターデフ(エンジンの駆動力を前輪と後輪に配分するデファレンシャル装置)と車輪側との間に配置してもよい。
【0100】
又、本発明において、上記第1実施形態及び参考例では、デファレンシャル装置(フロントデフ)の差動機構は、差動制限機能の付いていないベベルギヤ式のものを用いた例を示したが、内部摩擦による差動制限を伴わない差動機構であれば、ベベルギヤ式に限らず、例えば、プラネタリーギヤ式の差動機構でもよい。
【0101】
また、更に差動制限機能付きの差動機構であっても、外部からの操作により、必要時には差動制限機能を解除可能なものであればよい。
【0102】
例えば電磁クラッチが内蔵された差動制限機能付き差動装置などを用いればよい。
【0105】
更に、このクラッチ機構を断続操作するアクチュエータは、電磁式に限らず、油圧アクチュエータのような液圧式のものでもよい。
【0106】
又、電磁式の場合、カムを用いて押圧力を増幅する増幅機構を併用してもよい。
【0107】
又、無段変速機は、ベルト式に限らず、他の形式のものでもよい。
【0108】
また、変速機は無段変速機に限らず、前述したように変速時にエンジンからの入力を断続する補助クラッチを配置すれば、従来のギヤ式のものを用いてもよい。 この場合、無段変速機を用いた本実施形態に比べれば、補助クラッチを配置した分、スペース的に不利になることは否めないが、しかし、本発明の発進クラッチを用いることによって、補助クラッチは従来のクラッチ機構よりも格段に小型のものですむため、電磁クラッチ等の占有スペースを減らし、コンパクト化を図り、レイアウト自由度を向上する、という効果を得ることができる。
【0109】
【発明の効果】
請求項1に記載の発進クラッチは、差動機構と車輪との間(変速機構の後段)に配置したことによって、配置スペースによるレイアウト上の制約から解放され、動力伝達装置内部のレイアウトと、動力伝達装置自身のレイアウトの自由度が大きく向上すると共に、車両の空きスペース利用効率が向上する。
【0110】
又、差動機構の出力側に配置したことによって扱うトルクが半減し、クラッチ機構とこれを操作するアクチュエータの両方が小型になり、動力伝達装置もそれだけコンパクトで軽量になる。
【0112】
又、発進クラッチとデファレンシャル装置とがユニット化されて両者がコンパクトになり、組み付け性が向上すると共に、更に狭いスペースに配置可能になり、動力伝達装置のコンパクト化に寄与する。
【0113】
又、デファレンシャル装置のケーシングやベアリングなどを利用できるから、更に軽量でコンパクトになる。
【0115】
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成と同等の効果を得ることができると共に、停車中でも発進に備えて無段変速機を予め変速しておくことが可能であり、発進時に充分な加速応答性を得ることができる。
【0116】
又、変速用の補助クラッチが不要であるため、動力伝達装置がそれだけ構造簡単になり、軽量でコンパクトになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の発進クラッチを用いたトランスミッションを示す要素構成図である。
【図2】 フロントデフのデフケース内部に発進クラッチを設けた第1実施形態を示す断面図である。
【図3】 第1実施形態の発進クラッチを用いた車両の動力系を示すスケルトン機構図である。
【図4】 参考例の発進クラッチを用いたトランスミッションを示す要素構成図である。
【図5】 フロントデフのデフケース外部に発進クラッチを設けた参考例を示す断面図である。
【図6】 参考例の発進クラッチを用いた車両の動力系を示すスケルトン機構図である。
【図7】 従来例の発進クラッチを用いたトランスミッションを示す要素構成図である。
【符号の説明】
1,201 発進クラッチ
3,203 トランスミッション(動力伝達装置)
5 エンジン
11,13 前輪(車輪)
15 無断変速機(変速機構)
59,205 デフケース(差動機構のケーシング)
61 ベベルギヤ式差動機構
79 発進クラッチを構成する多板クラッチ
81 発進クラッチを構成する油圧アクチュエータ
Claims (2)
- エンジンの駆動力を変速する変速機構と、変速された駆動力を車輪側に配分する差動機構とを備えた動力伝達装置に用いられる発進クラッチであって、前記発進クラッチが多板クラッチとアクチュエータと押圧部材とを備え、前記多板クラッチは差動機構を収容すると共に駆動力を差動機構に伝達するケーシングの内部に、前記ケーシングに固定されて駆動力が入力するファイナルギヤの径方向の内側で、前記差動機構と車輪との間に同軸配置され、前記アクチュエータは、前記ファイナルギヤの径方向の内側に配置された前記多板クラッチに対して軸方向に前記差動機構と逆側に、前記変速機を収容するトランスミッションケースの隔壁に設けられると共に、発生する押圧力によって前記押圧部材を介して前記多板クラッチを押圧し、前記差動機構により配分された出力側の駆動力を断続して車両の発進、停止をおこなうことを特徴とする発進クラッチ。
- 請求項1に記載の発明であって、変速機構が、無段変速機であることを特徴とする発進クラッチ。
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