JPS6127349Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は農業機械等の走行装置におけるクロー
ラ緊張装置に関し、緊張ボルトの折損防止等を図
るものである。

ところで、クローラを用いた走行装置において
は該クローラを案内する車輪のうち端部に位置す
るものを前後に移動可能としてクローラの緊張状
態を調節し得るようになされているが、従来にお
ける緊張装置は、当該車輪の軸受部材に一端を係
止された緊張ボルトの他端寄りをフレームに固設
されたブラケツトにロツクナツトを用いて固着
し、該ボルトのブラケツトに対する固着位置を調
整することにより車輪を前後に移動させる構成が
通例である。然るにこのような構成によると該車
輪に上下方向の荷重が作用して上記フレームに対
して上下に相対変位を生じた場合に、緊張ボルト
は両端部を該車輪の軸受部材とフレームに夫々固
定されているから大きな曲げモーメントを受ける
ことになり、これが該ボルトの折損の原因となる
のである。またボルトをブラケツトに固着する構
成は、該ボルトに螺合されたロツクナツトでブラ
ケツトを挾んで締付する構成であるため、ボルト
とナツトが錆び付いた場合等にこれらをブラケツ
トさら取り外すことが極めて困難となる欠点があ
つた。

本考案はこのような従来の欠点に対処するもの
で、一端を当該車輪の軸受部に係止された緊張ボ
ルトに調節ナツトを螺合すると共に、該ナツトを
主フレームに固設されたブラケツトで受けること
により、ボルトをブラケツトに固着することなく
上記車輪をクローラの収縮力に対抗して支えるよ
うになし、これにより車輪が上下方向に変位した
場合にボルトがブラケツトに対して揺動可能とし
て、該ボルトに曲げモーメントが作用すること及
びこれに伴う該ボルトの折損を防止し、また上記
ナツトとボルトが錆び付いた場合等においてもこ
れらをブラケツトから容易に取り外し得るように
したものである。

以下これを図に示す実施例により説明すると、
第１図において１は農業機械等におけるクローラ
走行装置、２は該装置におけるエンドレスクロー
ラで、該クローラは前端部の駆動用車輪３と後端
部の車輪４の間に巻装されていると共に、下辺部
は中間に位置する複数の車輪５，５…により略均
等な圧力で接地するようになされている。６は中
間部の車輪５，５…を軸支し且つ当該機械の本体
が載置される主フレーム、７は上記後端部の車輪
４を軸支する補助フレームで、該補助フレーム７
は主フレーム６の後端部に前後に出退可能として
嵌合され、これにより後端部の車輪４が前後に移
動可能とされていると共に、該車輪をクローラ２
の収縮力、即ち該軸輪を前方に押圧する力Ａに抗
して所定位置に保持する緊張ボルト８が該車輪の
軸受部とフレーム６に固設されたブラケツト９間
に具備されている。次に第２，３図により該緊張
ボルト周辺の構成を説明すると、１０は補助フレ
ーム７に固設され、車輪４の軸１１を嵌合支持す
るスリーブ状の軸受部材で、側面所定位置に形成
された孔１０ａに緊張ボルト先端のピン状部８ａ
が嵌め込まれていることにより、該ボルトの一端
が軸受部材に自転可能として係止されており、ま
た１２は該ボルトの中間部ないし他端寄りに螺合
された調節ナツトで、該ナツトが上記フレーム６
に固設されたブラケツト９の車輪４側の面に受け
られていると共に、該ボルトにおけるナツトより
反車輪側に突出した部分はブラケツトに形成され
た穴９ａを貫通せしめられ、その端部には適宜工
具の掴持部８ｂが形成されている。ここで図中１
３は調節ナツト周辺を保護するカバーであり、ま
た図示の実施例においては該ナツト１２を緊張ボ
ルト８上に固定するためのロツクナツト１４がワ
ツシヤ１５を介して掴持部側から締付されている
と共に、これに伴つて上記ブラケツトに形成され
た穴９ａはロツクナツト１４ないしワツシヤ１５
が所用のクリアランスａをもつて嵌り得る径とさ
れている。また調節ナツト１２のブラケツト９に
対接する側の端面には該ブラケツトとの対接面積
を広くするための当て板１２ａが固着されている
が、該当て板は第３図に示すようにカバー１３に
囲まれた空間内で回動しないよう方形とされてい
る。尚、該当て板と調節ナツトは一体化し或は該
ナツト自身を回動しない形状としてもよい。

上記の構成によれば、緊張ボルト８は一端を車
輪４の軸受部材１０に係止されているが、他端部
側は該ボルトに螺合された調節ナツト１２がブラ
ケツト９に受けられているだけであるから、上記
車輪４が主フレーム６に対して上下に相対変位し
た場合に、緊張ボルト８はナツト１２とブラケツ
ト９の対接部を支点として揺動することになり、
これにより該ボルトに曲げモーメントが作用する
ことが防止されるのであり、また調節ナツト１２
ないしロツクナツト１４がボルト８に錆び付いた
場合においても、車輪４を後方に移動させれば該
ボルト等をブラケツト９から容易に取り外すこと
ができるのである。尚、図示の実施例においては
調節ナツト１２がロツクナツト１４によりボルト
８に対して回動しないようにされているから、ク
ローラ２の緊張状態を調節する場合に、ロツクナ
ツト１４を弛めた上で緊張ボルト８の掴持部８ｂ
を適宜工具で回動させるだけで調節できるのであ
る。

以上のように本考案クローラの緊張装置は、端
部に位置する車輪が主フレームに対して前後に移
動可能とされた構成において、該車輪の軸受部材
に一端を自転可能に係止し、かつ他端に掴持部を
設けしめた緊張ボルトに調節ナツトを螺合すると
共に、該ボルトを上記主フレームに固設したブラ
ケツトの穴内へ周囲にクリアランスを有して貫挿
させ、然して上記調節ナツトをブラケツトにおけ
る上記車輪側の面に回転しない状態として受け止
める構成としたから、上記車輪が主フレームに対
して上下に相対変位した場合において緊張ボルト
に大きな曲げモーメントが作用することがなくな
り、これにより該ボルトの折損が防止されると共
に、該ボルトと調節ナツトが錆び付いた場合にお
いても、これらを容易にブラケツトから取り外す
ことができ、分解、修理等の作業が容易化される
等の効果を奏するのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例を示すクローラ走行装置
の側面図、第２図ははその要部拡大平面図、第３
図は第１図−線切断した要部拡大背面図であ
る。 ２はクローラ、４は車輪、６は主フレーム、８
は緊張ボルト、９はブラケツト、１０は軸受部
材、１２は調節ナツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 端部に位置する車輪を主フレームに対して前後
   に移動可能とした構成において、該車輪の軸受部
   材に一端を自動可能に係止し、かつ他端に掴持部
   を設けしめた緊張ボルトに調節ナツトを螺合する
   と共に、該ボルトを上記主フレームに固設したブ
   ラケツトの穴内へ周囲にクリアランスを有して貫
   挿させ、然して上記調節ナツトをブラケツトにお
   ける上記車輪側の面に回転しない状態として受け
   止めさせたことを特徴とするクローラの緊張装
   置。