JPS6122400Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は圧電型の電気音響変換器等に用いられ
る圧電振動体に関する。

近年、ラジオ付きテープレコーダ、音声合成装
置等、各種の音響機器の小型化が進む一方、腕時
計等の各種の超小型電子機器への音響装置の付加
が進められている。この為、小型軽量を特徴とす
る圧電振動体がスピーカ、マイクロホオン等の電
気音響変換器に採用されつつある。

この種、従来の圧電振動体を第１図に示す。同
図ａはその斜視図、同図ｂはその断面図であつて
ここに示された圧電振動体１は、円形の金属薄板
２と同じく円形の圧電材料板３とが貼り合わされ
ており、この圧電材料板３の両面に音響信号を印
加する事に依つて、この圧電振動体１が屈曲振動
し、金属薄板２から音響が発せられる。

斯様な圧電振動体は、その円板形状に特有の高
音域での共振周波数を反映して、第５図の周波数
特性曲線図に破線で示した如き単峰周波数特性と
なり、特に電気音響変換器に用いる場合に、中，
低音域の音響再生には不向きであつた。この事は
単に圧電振動体１の面積を大きくして共振周波数
低下させるのみでは解決されず、この圧電振動体
１に中，低音再生に必要な充分な振巾を付与する
手段を必要とする。

本考案は斯る点に鑑みて為されたものであり、
振巾の拡大を計つた新規な構造の圧電振動体を提
供するものである。

第２図に本考案の圧電振動体の断面図を示し、
第３図にその分解斜視図を示す。これ等の図に於
いて、４は同軸上に設けられた上下２枚の第１及
び第２の環状基板５，６の各内周部を連結した金
属基材であり、その断面がＵ字状になる如く、金
属薄板を一体におり返し成形して得られる。７は
該金属基材４の第１の環状基板５上面に貼り合わ
されたこれよりやや小外径の第１の環状圧電材料
板、８はその第２の環状基板６下面に貼り合わさ
れた第２の環状圧電材料板である。９は円形金属
薄板１０の下面にこれよりやや小外径の円形圧電
材料板１１を同心的に貼り合わせた円板状の圧電
振動板であり、この金属薄板１０の外周部から下
向に折曲形成された立ち上り片１２に依つて、上
記金属基材４の第１の環状基板５の外周部に接着
接合されている。そして、斯る圧電振動体は、金
属基材４の第２の環状基板６の外周部に依つて、
フレーム等に支持される。

上述の如き構成の圧電振動体はその金属基材４
及び円形金属薄板１０をアースして、上記各環状
及び円形圧電材料板７，８，１１の表面に正負の
電圧を印加すると、金属基材４の第１及び第２の
環状基板５，６は互いに逆位相で振動すると共
に、この第１の環状基板５と圧電振動板９の円形
金属薄板１０とが互いに逆位相で振動する。斯様
な圧電振動体の振動形態を第４図に模式的に示
す。同図ａは各圧電材料板７，８，１１側に正電
圧が印加された場合、同図ｂは負電圧が印加され
た場合、であつて、同図ａの場合には、第２の環
状基板６の内周部はその外周部、即ち支持部１
３，１３、よりh₁引き下げられ、第１の環状基板
５の外周部はその内周部より更にh₁引き下げら
れ、圧電振動板９の中央部はその外周部よりh₂引
き下げられ、圧電振動板９の中央部での下方への
変位の合計が2h₁＋h₂となる。一方、同図ｂの場
合には、ａとは逆に動作して、圧電振動板９の中
央部での上方への変位が2h′₁＋h′₂となる。従つ
て、この場合の圧電振動板９のみに依る従来の圧
電振動体に比べて大振巾駆動できる事がわかる。

第５図の実線で、上述の実施例に従つた本考案
の圧電振動体を用い、その最上層の圧電振動板９
を音響振動板として用いた圧電型スピーカの周波
数特性を示す。尚、ここで使用した金属基材４の
第１及び第２の環状基板５，６の外径は25mm、そ
の内径は10mm、そしてここでの共振周波数は
4.5KMz、又、圧電振動板９の外径は25mm、その
共振周波数は3.25KHz、であつた。同図に依れ
ば、本考案の圧電振動体を用いた圧電型スピーカ
ーの再生周波数は800Hz程度から7KHz程度に亘つ
ており、破線で示した従来品のそれより大巾に広
帯域化が為されている。

尚、上述の実施例の如く、金属基材４として、
金属薄板を一体成形してなるものを用いる事に依
つて、第１及び第２の環状基板５，６を同時に成
形できるが、予じめ２枚の環状圧電振動板を用意
しこれ等の内周部を別部材で連結してたものも使
用できる。またこれ等、第１及び第２の環状基板
５，６の内外径を夫々合致せしめる必要は必ずし
もない。

更に、上記金属基材４の第１の環状基板５の外
周部に円板状の圧電振動板９の外周部を結合する
事に依つて、この圧電振動板９の中央部での振巾
を、上記金属基材４に依つて重畳された振巾に更
に加える事ができるが、この圧電振動板９の代り
に平面板を用い、これを平面駆動せしめても良
い。

本考案の圧電振動体は、以上の説明から明らか
な如く、同軸上に設けられた上下２枚の環状基板
をその各内周部に於いて連結してなる金属基板
と、該金属基材の２枚の環状基板に夫々貼り合わ
された環状の圧電材料板と、からなるのでこれ等
各圧電材料板両面に電気信号を印加して第１及び
第２の環状基板を逆位相で振動せしめる事に依つ
て、これらの振巾を重畳する事ができる。従つ
て、小型でありながら大振巾駆動が可能な圧電振
動体を実現する事ができる。また上記金属基材
は、金属薄板を一体成形してなるので、上下２枚
の環状基板を同時に得る事ができ部品点数の削減
に寄与できる。

更に、上記一方の環状基板の外周部に振動板を
結合したので、この振動板を大振巾駆動する事が
できる。従つて、この振動板を音響振動板として
電気音響変換器を構成すれば、小型にもかかわら
す中、高音域再生が可能な圧電型スピーカーが実
現される。また、斯る振動板として円板状の圧電
振動板を用い、該圧電振動板の外周部を上記一方
の環状基板の外周部に結合すれば、この圧電振動
板目体の振巾を更に重畳できる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは夫々従来の圧電振動体の斜視図
及び断面図、第２図、及び第３図は、本考案の圧
電振動体の一実施例の断面図、及び分解斜視図、
第４図は本考案の圧電振動体の振動形態を示す模
式図、第５図は周波数特性曲線図、を夫々示して
いる。 ４……金属基材、５，６……環状基板、７，８
……環状圧電材料板、９……圧電振動板、１０…
…円形金属薄板、１１……円形圧電材料板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 同軸上に設けられた上下２枚の環状基板をそ
   の各内周部に於いて連結してなる金属基材と、
   該金属基材の２枚の環状基板に夫々貼り合わさ
   れた環状の圧電材料と、からなる圧電振動体。 (2) 上記金属基材は、金属薄板を一体成形してな
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載の圧電振
   動体。 (3) 上記一方の環状基板の外周部に振動板を結合
   してなる実用新案登録請求の範囲第１項又は第
   ２項記載の圧電振動体。 (4) 上記振動板として、金属薄板に圧電材料板を
   貼り合せた円板状の圧電振動板を用い、この圧
   電振動板の外周部が上記一方の環状基板の外周
   部に結合されてなる実用新案登録請求の範囲第
   ３項記載の圧電振動体。