JPS6121282Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車のフロントガラス、リアガラス
など、この種の板ガラスを支持する構造に関す
る。

自動車のガラスフレームは、これがフロントガ
ラス用、リアガラス用であつても殆どその構造は
類似しており、ハツチバツクタイプの車種では、
当該フレームが車体と別体に構成され、その他の
場合ではフロント、リアに拘らず、車体と一体に
構成されることが多い。

第１図は従来におけるこうしたフレームを例示
したものであり、同図のフレーム１は、開口部２
が形成された取付部３と、該取付部３よりアング
ル状に折り曲げられた折曲部４と、さらに該折曲
部４から折り曲げられた立ち上がり部５とを有し
ている。

板ガラス６には、接着剤８及びダムラバーと称
されているゴム製の流止部材７が、両面接着テー
プ等によりあらかじめ取りつけられ、こうした状
態の板ガラス６がフレーム１の取付部３へ接当さ
れて開口部２が閉じられ、上記接着剤８が硬化す
ることにより、板ガラス６は取付部３へ固着され
る。

このとき、前述した流止部材７は、未硬化の接
着剤８が開口部２側へ流出するのを阻止する。

こうして板ガラス６をフレーム１へ装着すると
き、該板ガラス６の周囲に残存間隙１０があるの
で、接着剤８が硬化するまでの間、該板ガラス６
は不本意にずれ動く。

従来では、上記残存間隙１０へスペーサを装着
することにより板ガラス６のずれを阻止していた
が（例えば特開昭49−94014号公報参照）、このよ
うなスペーサを用いることは、単に部品数が増え
るだけでなく、つぎのような不都合が生じる。

つまり残存間隙１０には、外観上の体裁を保つ
ため、後でモールが装着されることになつている
が、この場合においてモールの構造をスペーサと
対応させねばならないから、モールおよびスペー
サの相対構造が複雑になる。

また、製造ラインからの検討を加える場合、板
ガラス６の接着時には各工程を集中させるのでな
く、例えば流止部材７を事前に接着しておいたよ
うに、できるだけ作業を分業化しておき、作業集
中によるライン停滞を回避するのがよいが、上記
スペーサを用いる場合では、板ガラス６の接着工
程、スペーサのセツト工程、モールの装着工程な
ど、多くの工程が集中してしまい、所期の目的が
達成できなくなる。

本考案はモール、保護部材、掛着部材を組み合
わせ、これら三者の相対構造を巧みに設定するこ
とにより、上記の問題点を解消したもので、以下
その構成を図示の実施例により説明する。

第２図において、１１はゴム製、プラスチツク
製などのモールである。

このモール１１は膨頭状の鍔部１２と、該鍔部
１２の裏面より突設された先細状の刺挿部１３
と、該刺挿部１３の内外側面に形成された凹凸条
部１４とよりなる。

第３図において、１５はゴム製またはプラスチ
ツク製の保護部材であり、この保護部材１５は板
ガラス６端縁に嵌着されるコ字状の溝部１６と、
上記モールの凹凸条部１４と掛止自在なるようそ
の溝部裏面側に形成された凹凸形の掛止部１７
と、当該溝部１６の下部において外方へＵ字状に
彎曲した掛止片１８とを有している。

なお、掛止部１７は凹凸条部１４の１つの凹所
（または凸起）に対応する１条の凸起（または凹
所）により形成されていてもよい。

また、掛止部１７は、後述する掛着部材１９に
掛止部２１が設けられている場合、省略されるこ
とがある。

第４図において、１９はゴム製、プラスチツク
製などの掛着部材であり、この掛着部材１９の一
端には上記掛止片１８の先端と掛着自在な掛着部
材２０が形成されている他、傾斜状としたその上
面には、上記モール外周の凹凸条部１４と掛止自
在なるよう、凹凸形の掛止部２１が形成されてい
る。

なお、掛止部２１は上記と同じく凹凸条部１４
の１つの凹所（または凸起）に対応する１条の凸
起（または凹所）により形成されていてもよく、
また、前記保護部材１５に掛止部１７が設けられ
ている場合、この掛止部２１は省略されてもよ
い。

本考案の板ガラス支持構造は第５図のように構
成されており、以下この構成を説明する。

まず、通常の接着剤塗布手段または両面接着テ
ープによる接着手段を介して板ガラス６へ流止部
材７がとりつけられ、さらに同様の接着手段によ
り、板ガラス６の周縁部には溝部１６を介して保
護部材１５が嵌着される。

一方、フレーム１の折曲部４には、先と同様の
接着手段による接着層２２を介して掛着部材１９
が着設される。

そして流止部材７、接着剤８、保護部材１５を
具備した板ガラス６はフレーム１の取付部３へ接
当され、このとき、保護部材１５の掛止片１８は
掛着部材１９の掛着部２０の掛着状態となり、こ
の状態において板ガラス６の位置決めを行うスペ
ーサの役目を果たす。

さらに、保護部材１５と掛着部材１９との間に
は、モール１１の刺挿部１３が嵌めこまれ、該刺
挿部内外周の凹凸条部１４は、保護部材１５の掛
止部１７ならびに掛着部材１９の掛止部２１と圧
接しながら相対掛止状態をとり、かつ、モール１
１の鍔部１２は立ち上がり部５と保護部材１５の
外側とに接触する。

こうして板ガラス６がフレーム１へ接着された
後、接着剤８が硬化するまでの間、該板ガラス６
は保護部材１５、モール１１の刺挿部１３および
掛着部材１９により支持されているのでずれ動く
ことがなく、また、モール自身も凹凸条部１４が
掛止部１７，２１にかかつているので残置間隙１
０から抜け出すことはない。

さらに、板ガラス６の支持部材をも兼ねている
上記モール１１は、接着剤８の硬化後、そのまま
の状態で本来の装飾機能を発揮し、板ガラス装着
部の外観を好体裁に保持する。

なお、上記において鍔部１２と立ち上がり部
５、鍔部１２と保護部材１５の外側面なども、必
要に応じて相対接着でき、こうした接着準備も両
面テープ、通常の接着剤塗布などにより第５図の
状態以前に実施でき、かつ、第５図の状態におい
てその接着を完了させることができる。

また、モール１１の刺挿部１３はこれを中空形
状としておくのもよい。

以上説明した通り、本考案によれば、車体開口
フレームに接着剤を介して板ガラスが装着される
自動車用板ガラスの支持構造において、モールは
膨頭状の鍔部と、該鍔部の裏面より突設された刺
挿部と、該刺挿部の側面に形成された凹凸条部と
よりなり、保護部材はガラス端縁に嵌着される溝
部と、この溝部の下部において外方へＵ字状に弯
曲された掛止片とを有し、車体開口フレームに固
定される掛着部材は上記掛止片の先端と掛止自在
な掛着部を有し、保護部材を具備した板ガラスが
フレームの取付部へ装着された状態において保護
部材と掛着部材の相対向する面の少なくともどち
らか一方には、モール刺挿部の凹凸条部が係合す
る掛止部が形成されたことを特徴としている。

したがつて、本考案に係る自動車用板ガラスの
支持構造では、モールは本体の装飾効果だけでな
く、板ガラスの支持機能をも一具で有しているの
で、従来のごときスペーサは不要となつて部品の
削減が図れ、かつ、接着剤が硬化するまでの間、
板ガラスのずれ動きを確実に阻止する。

一方、保護部材は破損の起りがちな板ガラスの
エツジを防護すると共に接着を終えるまでの取り
扱いにおいて板ガラスを損壊させたり、作業員を
負傷させるといつたことを防止する。

さらに該保護部材は、その掛止片が掛止部材に
かかつている状態においてモールとも相対掛止
し、該モールの脱抜をも阻止する。

また、板ガラスの接着工程と同期するのはモー
ルの嵌めこみ工程だけであり、他は全部事前にす
ませておくことができるので、板ガラス接着工程
のとき、他工程が集中しすぎることはなくなり、
したがつて当該接着工程が製造ラインのネツクに
なることはない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の基本構造を示した断面図、第
２図、第３図、第４図は本考案における各部材の
１実施例を示した斜視図、第５図は本考案支持構
造の要部断面図である。 １……フレーム、２……開口部、６……板ガラ
ス、８……接着剤、１１……モール、１２……鍔
部、１３……刺挿部、１４……凹凸条部、１５…
…保護部材、１６……溝部、１７……掛止部、１
８……掛止片、１９……掛着部材、２０……掛着
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体開口フレームに接着剤を介して板ガラスが
   装着される自動車用板ガラスの支持構造におい
   て、モールは膨頭状の鍔部と、該鍔部の裏面より
   突設された刺挿部と、該刺挿部の側面に形成され
   た凹凸条部とよりなり、保護部材はガラス端縁に
   嵌着される溝部と、この溝部の下部において外方
   へＵ字状に弯曲された掛止片とを有し、車体開口
   フレームに固定される掛着部材は上記掛止片の先
   端と掛止自在な掛着部を有し、保護部材を具備し
   た板ガラスがフレームの取付部へ装着された状態
   において保護部材と掛着部材の相対向する面の少
   なくともどちらか一方には、モール刺挿部の凹凸
   条部が係合する掛止部が形成されたことを特徴と
   する自動車用板ガラスの支持構造。