JPS6120717B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は動力舵取装置に用いる油圧ポンプに関
するもので、その目的とするところは、エンジン
への組付け位置に応じて容易に組替え可能な油圧
ポンプを提供することである。

一般に動力舵取装置に用いられる油圧ポンプ
は、そのポンプロータをエンジンによつて回転駆
動させるために自動車エンジンの側方に組付けら
れ、エンジン出力軸にベルト伝動装置を介して連
結される。この際油圧ポンプは、動力舵取装置と
の間の配管の取りまわしを容易にするために、ハ
ンドルの取付位置（左ハンドル、右ハンドル）に
応じてエンジンの左側方あるいは右側方に設置さ
れる。

ところでこの種の油圧ポンプにおいては、動力
舵取装置の供給ポートに接続される吐出口をでき
るだけエンジンより遠去かる位置あるいは遠去か
る方向に配置することが配管作業を容易にするう
えから望まれるが、上部に油タンクを設置した油
圧ポンプにおいては、油圧ポンプの姿勢を自由に
変換することができないことから、前述したハン
ドルの取付位置に応じてポンプをエンジンの反対
側の側方に取付けようとした場合、吐出口が逆に
エンジンに接近することになり、配管作業が非常
に面倒となる問題を生ずる。

このために従来においては、左ハンドル車と右
ハンドル車とで油圧ポンプを共通にすることが難
しく、吐出口を互いに反対方向に偏倚させた２種
類のポンプを用意する必要があつた。

本発明は上記した従来の問題点を解決するため
になされたもので、その構成は、ポンプ本体の上
面に油タンクを取付けた油圧ポンプにおいて、駆
動軸を回転可能に軸承した支持部材をポンプ本体
に設け、このポンプ本体の内孔に設けたカムリン
グ内に前記駆動軸上に設けたポンプロータを収納
してこのポンプロータとカムリングとの間でポン
プ室を形成し、このポンプ室の吐出域に通ずる吐
出口を前記ポンプ本体の一端に前記ポンプロータ
の回転中心に対して側方に偏倚して設け、前記ポ
ンプ本体の上下面に前記ポンプ室の吸入域に通ず
る吸込口を前記内孔の直径方向に開口し、前記ポ
ンプ本体の上下面にポンプ本体の180゜異なる２
つの姿勢で油タンクを取付けるための取付座を設
け、前記油タンクを取付けたポンプ本体の上方側
に開口する前記吸込口を前記油タンクに接続し、
下方側に開口する前記吸込口をプラグ等により閉
塞するようにしたものである。

上記した構成により、油タンクは２つの吸込口
のどちらを上にした姿勢状態でもポンプ本体上に
取付けることができ、油タンクを取付けた上側の
吸込口を油タンクに接続するとともに、もう一方
の下側の吸込口をプラグによつて閉塞する。これ
によりポンプが左ハンドル車あるいは右ハンドル
車に応じて、エンジンのどちら側に取付けられて
も、吐出口がエンジンより遠去かるように配置で
きるようになる。

以下本発明の実施例を図面に基いて説明する。
第１図、第２図および第３図において、１０はポ
ンプ本体を示し、このポンプ本体１０にはその一
端に開口する内孔１１が形成されている。ポンプ
本体１０の他端部には前記内孔１１の軸心と交差
する上下方向に弁孔１２が形成され、この弁孔１
２に開口するバイパス孔１３を形成した筒部１４
が前記内孔１１内に同心的に突設されている。前
記ポンプ本体１０の一端には内孔１１の開口部を
閉塞する支持部材１５がボルト１６により固着さ
れている。支持部材１５には自動車のエンジンに
よつて回転駆動される駆動軸１７が前記内孔１１
と同心的に軸承され、この駆動軸１７の一端は前
記バイパス孔１３に遊嵌されている。ポンプ本体
１０の内孔１１にはプレツシヤプレート１８とサ
ブプレート１９が嵌装され、このプレツシヤプレ
ート１８は駆動軸１７の一端部を軸承し、またサ
ブプレート１９は前記筒部１４に嵌合されてい
る。

前記支持部材１５の側壁２４とプレツシヤプレ
ート１８との間には、内周にカム面２５を形成し
たカムリング２６が介挿され、このカムリング２
６は前記２つのプレート１８，１９と支持部材１
５との間に設けられた一対の位置決めピン２７に
より位置決め支持されている。カムリング２６の
カム面２５と支持部材側壁２４とプレツシヤプレ
ート１８とによつて囲まれた空間にはポンプロー
タ２８が回転可能に収納され、このポンプロータ
２８は前記駆動軸１７上にスプライン嵌合されて
いる。かかるポンプロータ２８とカムリング２６
とにより三日月状のポンプ室２９を180゜の位相
差をもつて２か所形成している。ポンプロータ２
８の円周上には複数の放射溝３０が形成され、こ
れら放射溝３０にカムリング２６のカム面２５に
接触するベーン３１が放射方向に摺動可能に嵌装
されており、これらベーン３１によつて前記ポン
プ室２９を複数の室に密封分離している。

前記支持部材側壁２４とプレツシヤプレート１
８には、前記ポンプ室２９の吸入域に開口する吸
入ポート３３，３４およびポンプ室２９の吐出域
に開口する吐出ポート３５，３６がそれぞれ形成
され、これら吸入ポート３３，３４と吐出ポート
３５，３６はほぼ90゜の位相差をもつて交互に配
置されている。プレツシヤプレート１８に形成さ
れた吸入ポート３４はプレツシヤプレート１８と
サブプレート１９との接合面部に直径方向に形成
されたバイパス路３７を介して前記バイパス孔１
３に連通されている。またプレツシヤプレート１
８に形成された吐出ポート３６はサブプレート１
９に形成された吐出路３８を介してサブプレート
１９とポンプ本体１０との間に形成された側室３
９に連通され、この側室３９は通孔４０を介して
前記弁孔１２に連通されている。弁孔１２には前
記バイパス孔１３を制御するスプール弁４１が摺
動可能に嵌装され、この弁孔１２の一端にオリフ
イス４２を介して吐出口４３が連通されており、
この吐出口４３は前記駆動軸１７の軸線に対し水
平方向に所定角度傾斜されている。弁孔１２の他
端は通路４４，４５，４６を介して前記オリフイ
ス４２の下流側に連通され、この弁孔１２の他端
にスプール弁４１を弁孔１２の一端に向けて押圧
するスプリング４７が介挿されている。これによ
りオリフイス４２を介して吐出口４３より吐出さ
れる油量は、オリフイス４２前後の圧力差が一定
になるようにバイパス孔１３を制御するスプール
弁４１により常に一定に制御され、この一定量の
圧油が図略のパイプを介して動力舵取装置の供給
ポートに供給される。

前記ポンプ本体１０の上下両面には前記内孔１
１の直径線上に吸込口５１，５２を開口したボス
５３，５４が突設されている。吸込口５１，５２
は内孔１１に前記吸入ポート３３，３４に跨つて
凹設された環状溝５５に連通されている。ポンプ
本体１０の両側面上下部には後述する油タンクを
取付けるためのねじ孔を形成した取付座５７，５
８がそれぞれ形成されている。なお、５９，６０
はポンプ本体１０および支持部材１５の両側面中
央部に形成された自動車への取付用ねじ孔であ
る。

上記した説明より明らかな如く前記ポンプ本体
１０は吐出口４３を除き実質的に左右対称および
上下対称に構成されており、ボス５３側を上にし
た状態でもまた180゜転換してボス５４側を上に
した状態でも自動車への組付が可能となる。この
ようなポンプ本体１０の180゜転換により吐出口
４３の傾斜方向は第４図および第５図より明らか
な如く互いに相反する関係となる。第４図に示す
ポンプ本体１０は左ハンドル車用としてエンジン
の左側方に取付けられることにより、その吐出口
４３がエンジンより遠去けられ、また第５図に示
すポンプ本体１０は右ハンドル車用としてエンジ
ンの右側方に取付けられることによりその吐出口
４３がエンジンより遠去けられる。

前記ポンプ本体１０には取付けプレート６３が
左ハンドル車用および右ハンドル車用に応じて前
記ボス５３，５４の一方に載置され、その後部両
脚部が前記取付座５７，５８の一方にボルト６４
により固着される。また取付プレート６３の前部
両脚部は前記ボルト１６により支持部材１５に固
着される。取付プレート６３上には作動油を収容
した油タンク６５が固設され、この油タンク６５
の底部には吸込管６６が固着されている。吸込管
６６は取付けプレート６３を貫通して前記吸込口
５１，５２の一方に液密的に嵌合され、吸込口の
他方はプラグ６７にて閉塞される。油タンク６５
の側面には戻り管６８が設けられ、この戻り管６
８は図略のパイプを介して動力舵取装置の排出ポ
ートに接続される。かかる油タンク６５は戻り管
６８の取付位置を反対にした２種類が用意されて
いる。

上記した構成の油圧ポンプは、自動車のハンド
ル位置に応じてエンジンの左側方あるいは右側方
に取付けられ、その駆動軸１７がベルト伝動装置
を介してエンジン出力軸に連結される。エンジン
の左側方に取付けられる油圧ポンプのポンプ本体
１０は、第１図および第４図に示す如くその吐出
口４３がポンプ中心よりエンジンと反対側に偏倚
するように、ボス５３側を上方に位置した姿勢で
エンジンと反対側に戻り管６８を設けた油タンク
６５を載置し、またエンジンの右側方に取付けら
れる油圧ポンプのポンプ本体１０は、第５図に示
す如くその吐出口４３がポンプ中心よりエンジン
と反対側に偏倚するように、前記姿勢と上下を逆
にした180゜異なるボス５４側を上方に位置した
姿勢でエンジンと反対側に戻り管６８を設けた油
タンク６５を載置する。この際吐出口４３の高低
差は問題とならない。

前記エンジン出力軸によつて駆動軸１７ととも
にポンプロータ１７が回転駆動されると、ポンプ
室２９の吸入域には油タンク６５より吸込口５１
あるいは５２に嵌合された吸込管６６、環状溝５
５および吸入ポート３３，３４を介して作動油が
吸入され、ポンプ室２９の吐出域で加圧された圧
油は吐出ポート３５，３６、吐出路３８、側室３
９、通孔４０、弁孔１２の一端およびオリフイス
４２を介して吐出口４３より吐出され、動力舵取
装置の供給ポートに供給される。

前記ポンプ室２９の吐出域より吐出される流量
はポンプロータ２８の回転数すなわちエンジン回
転数に比例し、従つてエンジン回転数が上昇して
吐出流量が増大すると、前記オリフイス４２の上
流側の圧力が上昇してスプール弁４１がスプリン
グ４７の発力に抗して摺動し、バイパス孔１３を
開口する。これにより弁孔１２の一端を流れる圧
油の一部がバイパス孔１３にバイパスされ、この
バイパス流はプレツシヤプレート１８とサブプレ
ート１９との間に形成されたバイパス路３７を介
して前記吸入ポート３４に導かれ、ポンプ室２９
の吸入域に環流される。このようなスプール弁４
１によるバイパス流の制御によりオリフイス４２
前後の圧力差が一定に保たれ、吐出口４３より常
に一定流量の圧油が吐出されるようになる。

ポンプ本体の一端に吐出口をポンプロータの回
転中心に対して側方に偏倚して設け、このポンプ
本体の上下面にポンプの吸入域に連通する吸込口
および油タンクを取付ける取付座をそれぞれ形成
し、これによつてポンプ本体を上下逆さにした20
の角度位置で吸込口に接続される油タンクを取付
け可能し、下方側の吸込口をプラグにより閉塞す
るようにした構成であるので、ポンプをエンジン
の左右何れに組付ける場合でも、共通のポンプの
組替えのみによつて吐出口を常にエンジンより遠
去けることができ、吐出口と動力舵取装置との間
の配管作業および配管のとりまわしを容易にでき
る効果がある。

しかも本発明によれば、吸込口を油タンクが取
付可能な２位置に設けたことにより、油タンクが
ポンプ本体の何れに取付られる場合でも、油タン
クと吸込口との接続を容易にできる効果も併せて
奏せられる。

なお上記実施例においては、吐出口を側方に偏
倚させるために吐出口を傾斜させた例について述
べたが、吐出口を回転軸線に対し平行に偏倚させ
てもよいことは勿論である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図は
動力舵取装置に用いる油圧ポンプの断面図、第２
図は第１図の−線に沿つて切断した断面図、
第３図は第２図の略−線に沿つて切断した断
面図、第４図は第１図の方向から見た油圧ポン
プの一態様図、第５図は第４図と異なる態様を示
す第４図に相応する図である。 １０……ポンプ本体、１１……内孔、１５……
支持部材、１７……駆動軸、１８，１９……プレ
ート、２６……カムリング、２８……ポンプロー
タ、２９……ポンプ室、３１……ベーン、３３，
３４……吸入ポート、３５，３６……吐出ポー
ト、４３……吐出口、５１，５２……吸込口、５
３，５４……ボス、５５……環状溝、５７，５８
……取付座、５９，６０……取付用ねじ孔、６３
……取付プレート、６５……油タンク。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ポンプ本体の上面に油タンクを取付けた油圧
   ポンプにおいて、駆動軸を回転可能に軸承した支
   持部材をポンプ本体に設け、このポンプ本体の内
   孔に設けたカムリング内に前記駆動軸上に設けた
   ポンプロータを収納してこのポンプロータとカム
   リングとの間でポンプ室を形成し、このポンプ室
   の吐出域に通ずる吐出口を前記ポンプ本体の一端
   に前記ポンプロータの回転中心に対して側方に偏
   倚して設け、前記ポンプ本体の上下面に前記ポン
   プ室の吸入域に通ずる吸込口を前記内孔の直径方
   向に開口し、前記ポンプ本体の上下面にポンプ本
   体の180゜異なる２つの姿勢で油タンクを取付け
   るための取付座を設け、前記油タンクを取付けた
   ポンプ本体の上方側に開口する前記吸込口を前記
   油タンクに接続し、下方側に開口する前記吸込口
   をプラク等により閉塞するようにしてなる動力舵
   取装置に用いる油圧ポンプ。