JPS6345584Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、車両用パワーステアリング装置な
どに用いられるベーンポンプの改良に関する。

従来、この種のベーンポンプとして例えば第１
図に示すようなものがある。

これは、まずポンプハウジング１には機関回転
に同期して回転するポンプ軸２が回転自由に支持
される。

そして、サイドプレート３とカバープレート４
の間に挾み込まれて、ポンプ軸２によつて回転さ
せられるロータ５と、その周囲のカムリング６と
が配設される。

サイドプレート３とカムリング６とは共通のピ
ン７で、ハウジング１とカバープレート４に対し
て回転しないように支持される。

ロータ５には放射状に多数のベーン８が配設さ
れ、これらベーン８はロータ５のガイド溝に摺動
自由に収められるとともに、その根元の油溜溝９
に導かれるポンプ吐出圧により、カムリング６の
内周面に接するまで伸び出す。

カムリング６の内周面（カム面）は、ロータ５
との距離が回転に伴つて変化するように形成さ
れ、これによりロータ５とカムリング６とベーン
８とで仕切られる空間、つまり作動室の容積を、
ポンプ軸２の１回転につき２回づつ圧縮と膨張を
繰り返すようになつている。

そして、膨張行程の途中の作動室と連通する位
置に設けたのが吸込ポート１０で、圧縮行程の作
動室と連通させたのが吐出ポート１１であり、こ
れらはサイドプレート３とカバープレート４の摺
接面に形成される。

このようにして、ロータ５の回転により吸込ポ
ート１０から吸込んだ油を、吐出ポート１１から
圧送するのである。

尚、上記サイドプレート３は、スプリング１２
によつてロータ５の側面に押し付けられて作動室
の油密を保つと共に、オイルシール１３，１４に
よつて仕切られた外側の高圧室１５に吐出油の一
部が導かれ、これによつても上記油密作用が一段
と高められている。

また、このベーンポンプにおいては、吸込口１
７と吐出口１８とをフローコントロールバルブ
（図示せず）が収装されるバルブボアー部１９に
おいて各々一箇所に集め、上記フローコントロー
ルバルブにより過大な吐出油分を吸込口１７に向
けバイパスポート２０を介してバイパスして吐出
量を一定に制御しているため、上記バイパスポー
ト２０をはじめポンプ軸２を対称に２ケ所ある吐
出ポート１１，１１から吐出する油を合流させて
フローコントロールバルブに導くための高圧室１
５及び吐出口連通通路１１Ａ等をポンプハウジン
グ１内に設けている。

更に、サイドプレート３とカムリング６の外周
はポンプハウジング１の中空円筒状凹部で包み込
まれており、カバープレート４の合せ目において
カムリング６の外周を囲むオイルシール２１と、
吸込ポート１０へ作動油を送る吸込口連通通路１
０Ａに対するオイルシール２２とを施し、４本の
ボルト２３で締め付けている。

ところが、このような従来のベーンポンプにあ
つては、ポンプハウジング１及びこれにボルト２
３結合されるカバープレート４等が鋳鉄製であつ
たため、重量がかさみかつ大型化するという欠点
があつた。

また、ポンプハウジング１が鋳物材であること
により、該ハウジング１のロータ５等のカートリ
ツジ及びサイドプレート３を収容する中空円筒状
凹部並びにポンプ軸２を支持する軸受圧入穴等は
極めて精度良く同軸的に切削機械加工しなければ
ならず、生産性が悪かつた。

加えて、ポンプハウジング１にはバルブボア19
及び種々の通路１０Ａ，１１Ａ，２０等が一体形
成されて、これらの取代の切削加工が必要である
ため、歩留りが非常に悪いと共に上述した生産性
の悪化を更に助長させる原因にもなつていた。

更に、ポンプハウジング１が鋳鉄製であるた
め、自ずと取付用マウンテイングパツド等も固定
化され、これによつて取付形状の異なる仕様が必
要なときはその都度別な鋳型を用意しなければな
らず、非常に汎用性に乏しいという欠点もあつ
た。

そこで、この考案は上述したポンプハウジング
をポンプ軸を支持する軸受ハウジング部と、カム
リング及びロータ等のカートリツジ等を上記ポン
プ軸と同軸上に位置して収装する本体ハウジング
部とに分割形成し、かつこれらを金属板を用いて
プレス絞り加工により筒状に形成した後、ロー付
等の溶着手段により一体化し、更にカバープレー
トとカムリングとサイドプレートとをこれら軸線
と平行に貫通する共通ピンによつてポンプカート
リツジとしてユニツト化し、このポンプカートリ
ツジユニツトのカムリングに外周に突起を設け、
前記大筒状の本体ハウジング部の底部内周に設け
られた嵌合溝部に前記突起を嵌合させて前記ポン
プカートリツジユニツトの回転止めを施し、前記
ポンプカートリツジユニツトを上記本体ハウジン
グ部内に収装する際、軸受ハウジング部の内端と
サイドプレートとをシール嵌合せしめたことによ
り、小型、軽量で且つ組付性、生産性、及び汎用
性の高いベーンポンプを提供することを目的とす
る。

以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

第２図に示すように、ポンプハウジング１はポ
ンプ軸２を支持する二段筒状の軸受ハウジング部
２４と、上記ポンプ軸２の一端に同軸係合するサ
イドプレート３、ロータ５等のカートリツジ及び
カバープレート４等を収装する同じく筒状の本体
ハウジング部２５とに分割形成される一方、これ
らハウジング部２４，２５は金属板を用いてプレ
ススタンピングにより絞り加工された後、図中イ
で示す嵌合部で炉中ロー付等により溶着一体化さ
れる。

軸受ハウジング部２４の大径筒部２４Ａにはシ
ール部材２６が装着される。軸受ハウジング部２
４のベルト張力による傾きは、一方でサイドプレ
ート３の外周がオイルシール１３の内径で支持さ
れることによつて剛性を確保している。

また、カバープレート４、カムリング６、サイ
ドプレート３等の内装ポンプ部品は、これらの軸
線と平行に貫通する共通ピン７によつてポンプカ
ートリツジ部品としてユニツト化され、サイドプ
レート３の一側面においてイニシヤルローデイン
グ用スプリング１２のスプリング力を受けつつ本
体ハウジング部２５に収装され、カバープレート
４の一側面において止め輪２７で係止される。

上記カバープレート４の外周に設けられるＯリ
ング２１′は、カバープレート４の外周に形成さ
れた段付部４Ａにリング状のカラー２８を介して
挿入され、これによつてポンプ室側の負圧による
Ｏリング２１′の抜け止めを従前通り維持すると
共に、Ｏリング２１′のための溝加工を不要にし
ている。

更に、カムリング６の外周には突起２９が一体
形成され、この突起２９が第３図に示すように本
体ハウジング部２５の底部内周に軸方向に延びる
ように形成した嵌合溝部３０に挿入されることに
よつて、共通ピン７で同軸係合されたカムリング
６等がポンプ軸２の回転トルクを受けて回転しよ
うとするのが阻止されるようになつている。

一方、本体ハウジング部２５の高圧室１５に通
じる吐出口連通通路１１Ａ、同じく吸込ポート１
０に通じる吸込口連通通路１０Ａ及びこれら通路
１１Ａ，１０Ａが集束されるバルブボアー部１９
は、バルブブロツク３１として本体ハウジング部
２５とは別に鋳造成形等により一体形成され、上
記通路１１Ａ，１０Ｂの各々の端部が本体ハウジ
ング部２５の連通孔３２Ａ，３２Ｂ部において炉
中ロー付等により溶着されることによつて本体ハ
ウジング部２５に一体化される。

尚、図中３３はバルブブロツク３１に設けた吸
込口１７に接続されたサクシヨンパイプである。

また、上記バルブボア１９に収装されるフロー
コントロールバルブ３４は第４図に示すように、
バルブボア１９内をその前後の圧力差に応じて図
中左右方向に摺動するピストン３５と、このバル
ブボア１９の一端を閉塞する栓体３６に形成した
メータリングオリフイス３７などで構成され、上
述した吐出口連通通路１１Ａを介して室Ａに流入
した吐出油は、メータリングオリフイス３７でそ
の流量が計量された後栓体３６に接続される配管
を介してパワーステアリングアクチユエータに供
給される一方、その吐出油の一部は栓体３６の側
壁に開口接続した通路３８を介してピストン３５
背部の室Ｂに流入される。

そして、室Ａに流入する吐出油の流量が漸増す
ると、ピストン３５がその前後差圧によつて図中
左方に移動し、これによつて、室Ａはやがてその
先端が吸込口連通通路１０Ａに接続されるバイパ
スポート２０の開口端と通じ、漸増する室Ａ内の
吐出油の一部がバイパスされるようになつてい
る。

このようにして、メータリングオリフイス３７
の前後差圧が一定制御される結果、パワーステア
リングアクチユエータに供給されるポンプ吐出量
は常に一定に制御されるのである。尚第４図中３
９はリターンスプリングで、４０はピストン３５
にロツドを介して連結されて、高速回転域で制御
流量を減少すべくメータリングオリフイス３７の
口径を変える弁体である。

更に、上述したポンプハウジング１を車両等に
取り付けるための複数の取付用マウンテイングパ
ツド４１も本体ハウジング部２５とは別に鋳造も
しくはプレス成形され、バルブブロツク３１同様
に炉中ロー付等により本体ハウジング部２５の所
定箇所に溶着される。

その他の構成は第１図と同様なので、第１図と
同一部材には同一符号を付して詳しい説明は省略
する。

このような構成のため、ポンプ軸２の回転によ
り該ポンプ軸２と一体のロータ５が回転し、これ
により吸込ポート１０から吸込んだ油を吐出ポー
ト１１からフローコントロールバルブ３４へと圧
送するというポンプ本来の機能は従前通り良好に
維持されることは明白であるので、ここでは詳し
い作用説明は省略する。

そして、この実施例では上述した本体ハウジン
グ部２５及び軸受ハウジング部２４等が金属板を
用いてプレス加工により形成されるため、ポンプ
ハウジング１には無駄な肉厚がなく小型、軽量化
がはかれると共に、鋳物製の従来例に見られたよ
うに加工精度を上げるための切削機械加工も大幅
に削減できるので生産性が一段と向上される。勿
論、材料歩留りも良好となる。

また、バルブブロツク３１及び取付用マウンテ
イングパツド４１がポンプハウジング１と別体に
形成されるため、ポンプハウジング１内に収容さ
れるポンプ軸２及びカムリング３等の内蔵品が全
て共通化、標準化できると共に、バルブブロツク
３１及び取付用マウンテイングパツド４１を設計
変更もしくは取付位置変更等をすることによつて
各種車両向けに対応させられるので、上述した生
産性に加えて汎用性も一段と向上される。

このようにして、生産性及び汎用性が向上され
る結果、コストの大幅な低減が可能となる。

次に、第５図及び第６図はこの考案の他の実施
例を示すものである。

これは、先の実施例におけるバルブボアー１９
部をバルブブロツク３１として一体鋳造成形する
代りに、このバルブボアー１９部に集束される吸
込口連通通路１０Ａ、バイパスポート２０、吐出
口連通通路１１Ａ及びドレーン通路４３更にはフ
ローコントロールバルブ３４における室ＡとＢを
結ぶ感知通路３８等をパイプ材で形成し、これら
パイプ通路によつて鋳鉄製のバルブボアー１９を
ポンプハウジング１上に溶着手段により支持する
ようにしたものである。

これによれば、一層の軽量化と生産性の向上が
はかれる。

以上説明したようにこの考案によれば、ポンプ
ハウジングを本体ハウジング部と軸受ハウジング
部とに分割形成し、プレス構造を主体に構成する
ようにしたので、小型、軽量で且つ生産性及び汎
用性に優れたベーンポンプを提供することができ
る。更に、カバープレート、カムリング、サイド
プレート等の内装ポンプ部品をこれらの軸線と平
行に貫通する共通ピンによつてポンプカートリツ
ジ部品としてユニツト化したので、このポンプカ
ートリツジユニツトの本体ハウジング部内への収
装が容易で、而も確実にできるから、従来よりも
組付性の向上、及び製品の品質の向上を図ること
ができる。

また、カムリングの外周の突起と本体ハウジン
グ部の嵌合溝部とで相対回転を防止できると共
に、軸受ハウジングの内端とサイドプレートとを
シール嵌合することで、構造を複雑にすることな
く本体ハウジング部に高圧室を形成できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の断面図、第２図はこの考案の
実施例の断面図、第３図はそのＳ−Ｓ線断面図、
第４図は同じくＹ矢視図、第５図及び第６図はこ
の考案の他の実施例の断面及び要部斜視図であ
る。 １……ポンプハウジング、２４……軸受ハウジ
ング部、２５……本体ハウジング部、２……ポン
プ軸、１１……吐出ポート、３……サイドプレー
ト、５……ロータ、１０……吸込ポート、４……
カバープレート、１２……イニシヤルローデイン
グ用スプリング、２７……止め輪、３４……フロ
ーコントロールバルブ、１９……バルブボア、４
１……取付用マウンテイングパツド、６……カム
リング、７……共通ピン、２９……突起、３０…
…嵌合溝部、１４……オイルシール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ポンプハウジングにポンプ軸が回転自由に支持
   されると共に、その内部に吸込ポート、及び吐出
   ポート形成用のカバープレート及びサイドプレー
   トとに挟持されて、上記ポンプ軸によつて回転さ
   せられるロータ及びその周囲に位置して該ロータ
   に放射状に配設された複数のベーンが摺接するカ
   ムリングを収装してなるベーンポンプに於いて、
   上記ポンプハウジングを、ポンプ軸を支持する小
   筒状の軸受ハウジング部と、この軸受ハウジング
   の中間部が嵌合すると共にカムリング等のポンプ
   カートリツジ部品を収装する大筒状の本体ハウジ
   ング部とに分割形成すると共に、少なくともこれ
   ら両ハウジング部を金属板を用いてプレス加工に
   より形成して一体化し、一方、上記カバープレー
   トとカムリングとサイドプレートとをこれら軸線
   と平行に貫通する共通ピンによつてポンプカート
   リツジとしてユニツト化し、このポンプカートリ
   ツジユニツトのカムリングの外周に突起を設け、
   前記大筒状の本体ハウジング部の底部内周に設け
   られた嵌合溝部に前記突起を嵌合させて前記ポン
   プカートリツジユニツトの回転止めを施し、前記
   ポンプカートリツジユニツトを上記本体ハウジン
   グ部内に収装する際、前記軸受ハウジング部の内
   端とサイドプレートとをシール嵌合せしめてなる
   ことを特徴とするベーンポンプ。