JPS6118053B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は一体型クランクシヤフトに用いられる
クランクサポートベアリング及びコンロツド大端
ベアリング等の軸方向に分割形式をとる軸受の製
造方法に関するものである。

通常用いられているクランクサポートベアリン
グやコンロツド大端ベアリングでは、メタルを分
割した形式のものが主流をなしている。しかしな
がら、このようなメタル形式のものでは、メタル
とクランクシヤフト若しくはメタルとクランクシ
ヤフト及びコンロツドとの間に円滑な回転が得ら
れないため、これがクランクシヤフトに回転を阻
止するように働き、従つて所望の回転を得んとす
れば必要以上に燃料を消費するという好ましくな
い事態を随伴していた。

そこで従来ではメタルを分割する軸受に代つて
より円滑な回転が得られる針状コロを用いたころ
がり軸受が既に関発され、実用化されている。と
ころが、この場合には製作上において次のような
難点があつた。すなわち、ここで問題となるのは
軸受軌道輪の分割方法についてで、従来の分割方
法は第１図の如く軸受軌道輪１の両巾面１ａ１ａ
にノツチ２を施し、分割線上部位をプレス装置で
プレスし、それによる楕円変形を以つて分割する
というものである。このようにして得られた分割
面１ｂは、軸方向において直線的であり、分割後
の２部材がハウジングに取付け時、第２図のよう
に軸方向にズレ易く、このような状態でクランク
シヤフトに組込んで運転した場合、分割面１ｂに
フレーキング等が発生したり、焼付を発生し易く
なるという問題があつた。また上記のようにプレ
ス装置で軸受軌道輪の分割部位を変形させて分割
すると、分割後の突き合せた形状が分割面１ｂを
短径とする楕円となり、分割面で油切り、ラジア
ルスキマの減少等の問題を発生していた。

このため最近では第３図に示すように、ノツチ
２，２を結ぶ線上より若干離れた位置にさそい穴
３を穿設し、このさそい穴３の内径側に切欠き
４，４を施してプレス装置でプレスし、分割する
という技術が開発されている。このようにして分
割すると、対向するノツチ２，２と切欠き４，４
から夫々クラツクが発生して分割が進行し、プレ
ス装置の分割荷重を低く押える事が出来、分割面
５は軸方向において“くの字”形を構成するよう
になる。これがためハウジングへの組込み時に分
割された２部材が軸方向にズレなくなり、また分
割荷重が低いので分割部位が変形する以前に分割
され、分割面５を突き合せた状態で、真円若しく
はこれに近い楕円形状を得る事が出来る。要する
に上記問題点を解決している。しかしながら、こ
の場合にはさそい穴３の内径側に切欠き４，４を
構成しなければならず、その加工に手間取る欠点
があり、量産体制に適するものではなかつた。

つまり、従来ではどの場合でも一長一短で満足
のいく軸受の製造方法が得られなかつた。

そこで本発明は従来の上記欠点に鑑みこれを改
良除去したもので、以下本発明の方法を図面に示
す実施例に従つて説明すると次の通りである。

第４図及び第５図は第１の実施例である。同図
において、６はプレス装置の固定側である下型、
７は可動側である上型、８及び９は下型６と上型
７に取付けられた略三角錐形状のピンで、後述す
る軸受軌道輪１０のさそい穴１１，１２に対応位
置する。１３及び１４は軸受軌道輪１０の内径面
及び外径面と同一周面を有し、これに面接触して
配される固定用の補助治具で、内径側の補助治具
１３は内径面内のさそい穴１１，１２近傍に所定
の空間１５，１６を構成する。軸受軌道輪１０の
両巾面１０ａ，１０ａには第５図に示すノツチ１
７，１７が施され、上記さそい穴１１，１２はノ
ツチ１７，１７を結ぶ線上より適当量δ離れた位
置に穿設されている。

軸受軌道輪１０の分割は、ノツチ１７，１７と
さそい穴１１，１２を当該軌道輪１０に施した
後、治具１３，１４を内径面内及び外径面に装着
し、プレス上型７と下型６との間で分割線上をプ
レスする。略三角錐形状のピン８と９は下型６と
上型７により軸受軌道輪１０の外径面が押圧され
ると同時にその軸方向最大幅となる二つの稜線部
分でさそい穴１１，１２の周面と二個所で接触
し、この接触部位に集中応力を与える。従つて軸
受軌道輪１０は、ノツチ１７，１７とさそい穴１
１，１２の応力集中部位から夫々クラツクが発生
し、プレス装置の低い分割荷重で第５図に示す様
に“くの字”形に分割される。このため分割後の
軸受軌道輪２部材１０ｂ，１０ｃをクランクシヤ
フトのハウジングに組込む場合でも、両者の軸方
向のズレが防止される。また、軽分割荷重である
ため、軸受軌道輪１０の分割部位が変形する以前
に分割され、分割面１８は分割後の円筒形金属の
持つ弾力により外方に拡張し、分割面１８を突き
合せた形状は分割面１８を長径とする楕円若しく
は真円のものが得られる。

第６図は第２の実施例で、軸受軌道輪１０の両
巾面１０ａ，１０ａに第５図に示すノツチ１７，
１７を設けない場合の分割方法である。分割要領
は上記第１の実施例と同様に行なう。この場合分
割面１９は曲線状の“くの字”形となる。曲線状
の“くの字”形分割面１９であつても、ハウジン
グへの組込時に軸方向のズレを防止することが出
来る。

第７図は第３の実施例で、両巾面１０ａ，１０
ａに設けたノツチ１７，１７を結ぶ線上にさそい
穴１１，１２の中心を位置させ、補助治具１３，
１４を用いないで略三角錐形状のピン８及び９を
備えたプレス装置により軸受軌道輪１０の分割線
上を押圧し、これを分割せんとするものである。
この場合、略三角錐形状のピン８及び９の軸方向
最大幅となる二つの稜線部分はさそい穴１１，１
２の中心に対して偏つて位置し、従つてそのさそ
い穴１１，１２の周縁との接触位置二個所に発生
する応力集中部位からのクラツクは第１の実施例
の場合と同じように発生し、やはり“くの字”形
の分割面１８が得られる。また応力を集中するこ
とにより分割荷重を低く抑え、分割後の形状に真
円若しくはこれに近い楕円状を得ることが出来
る。

第８図は第４の実施例で、軸受軌道輪１０のノ
ツチ１７，１７を結ぶ線上をプレスの下型６及び
上型７との接触位置に配し、上記線上より偏心δ
して穿設されたさそい穴１１，１２に、下型６と
上型７に取付けられた断面菱形四角錐形状のピン
８及び９を対応させ、プレス時にさそい穴１１，
１２のピン８，９の軸方向最大幅となつて対向す
る二つの稜線部分と接触する部位に集中応力を与
えてクラツクを発生させ、分割する。この実施例
も上記各実施例同様の効果を奏する。尚、ピン
８，９の形状は第４図第７図にみられるように断
面二等辺三角形或いは正三角形の略三角錐形状の
底辺の軸方向最大幅となる二つの稜線部分と接触
するさそい穴１１，１２の周面二個所で集中応力
を生じさせるようにするか或いは、第８図にみら
れるように断面菱形四角錐形状とし、軸方向最大
幅となつて対向する二つの稜線部分と接触する位
置で集中応力を生じさせるようにする。

以上説明した様に本発明は、軸受軌道輪の分割
面上又は分割面から円周方向に若干偏位した軸方
向略中央部に小円形状のさそい穴を直径線上に対
向させて設け、該さそい穴に対応して上記分割面
上で上記軸受軌道輪の外径に分割荷重を作用させ
るプレス型に略角錐形状のピンを設け、プレス型
による軸受軌道輪への分割荷重の負荷時、上記ピ
ンを上記さそい穴内に軸受軌道輪の外径側或いは
内径側から打ち込んで略角錐形状のピンの軸方向
最大幅となる二つの稜線部分で分割面に沿つた上
記さそい穴の周面二個所に集中応力を作用させて
上記軸受軌道輪を軸方向にくの字形に分割させる
ようになしたから、低い分割荷重で分割すること
ができ、分割後の変形量をも少なくでき、勿論分
割後の軸受軌道輪が組込み時に軸方向にズレるこ
とがなく、円滑な軸承を可能とする。またピンを
利用した集中応力による分割であり、その工程が
頗る簡単で、量産に適する。このような分割軸受
を内燃機関におけるクランクサポートベアリング
やコンロツド大端ベアリングとして利用した場
合、円滑な回転が得られるため燃費の改善が著し
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の分割方法を説明するための図
面、第２図は従来の分割軸受の欠点を説明するた
めの図面、第３図は従来の他の分割方法を説明す
るための図面、第４図乃至第８図は本発明に係る
分割方法を示す各実施例で、第４図及び第５図は
第１の実施例、第６図は第２の実施例、第７図は
第３の実施例、第８図は第４の実施例である。 １０……軸受軌道輪、１１，１２……さそい
穴、８，９……ピン、１８，１９……分割面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 軸受軌道輪の分割面上又は分割面から円周方
   向に若干偏位した軸方向略中央部に小円形状のさ
   そい穴を直径線上に対向させて設け、 該さそい穴に対応して上記分割面上で上記軸受
   軌道輪の外径に分割荷重を作用させるプレス型に
   略角錐形状のピンを設け、 プレス型による軸受軌道輪への分割荷重の負荷
   時、上記ピンを上記さそい穴内に軸受軌道輪の外
   径側或いは内径側から打ち込んで略角錐形状のピ
   ンの軸方向最大幅となる二つの稜線部分で分割面
   に沿つた上記さそい穴の周面二個所に集中応力を
   作用させて上記軸受軌道輪を軸方向にくの字形に
   分割させるようになしたことを特徴とする分割軸
   受の製造方法。