JPS6117875Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車の車体前部構造に関し、詳し
くはバンパーを緩衝装置を介して車体に支承する
いわゆるエパルギー吸収式バンパーを備えるとと
もに、バンパーサイドを車体側面のホイールカツ
トライン前縁まで延長してなる自動車の車体前部
構造に関するものである。

一般に、この種の自動車の車体前部におけるエ
ネルギー吸収式バンパーにおいては、衝突時、車
体にダメージを与えないとともに、バンパー自体
もダメージを受けず、元の状態に復帰させるため
に十分なストロークが必要となる。特に、最近、
バンパーとスカートとを一体風としたデザインの
ものでは、バンパーサイドが大きく後方まで延長
され、ホイールカツトライン前縁まで延びている
が、このバンパーサイドおよびスカートの後方に
はタイヤが位置しているため、衝突時、バンパー
サイドおよびスカートのサイド部がタイヤに衝突
して十分なストロークを得ることができず、バン
パーおよびスカート、特にプラスチツク製のもの
においてはダメージを受けるという問題がある。

そこで、本考案はかかる点に鑑みてなされたも
ので、上記のようにエネルギー吸収式バンパーを
備え、かつバンパーサイドを車体側面のホイール
カツトライン前縁まで延長しなるとともに、該バ
ンパーの下方にスカートを一体的に設けた自動車
において、衝突時のバンパーサイドおよびスカー
トとタイヤとの干渉を防止してバンパーのストロ
ークを充分にかせぎ得るようにした自動車の車体
前部構造を提供せんとするものである。

この目的のため、本考案は、バンパーのバンパ
ーセンターを緩衝装置を介して車体に支承すると
ともに、バンパーサイドを車体側面のホイールカ
ツトライン前縁まで延長させ、上記バンパーサイ
ド裏面後方と対向する車体側面にガイド部材を設
け、該ガイド部材およびバンパーサイドの少なく
とも一方に、後方が車体外方へ傾斜してなり、バ
ンパー後退時、上記バンパーサイドの後部を車体
外方へ変移させる平坦なガイド面を形成する。さ
らに、スカートが大型であることを考慮して、上
記バンパーサイド下面に車体前後方向に延びるス
ライド溝を形成し、該スライド溝を介してバンパ
ーと該バンパー下方に位置するスカートとを相対
移動可能に連結し、その上で該スカートをその所
定距離以上の後方移動をストツパーにより規制す
る構成としたものである。このことにより、バン
パーおよびスカートの後退時に、バンパーサイド
がガイド面によりタイヤを衝突しないように車体
外方へ変移してバンパーストロークを十分にかせ
げるとともに、スカートにおいてもその所定距離
以上の後退がストツパーにより規制されてタイヤ
と衝突しないようになり、バンパーストロークを
十分にかせげることになる。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第１図ないし第３図は本考案に係るダウンノウ
ズ型自動車の車体前部構造を示し、１はフエンダ
ー、２はタイヤ、３はホイールエプロン、４はホ
イールカツトライン、５はフレーム、６はクロス
メンバー、８はスカートであつて、該スカート８
の前面中央部には後述する冷却空気取入孔２１が
開設され、該取入孔２１にはグリル９が配設され
ており、以上のような部材で車体前部を構成して
いる。

上記バンパー７は、そのバンパーセンター７ａ
両側部にてダンパーで構成された緩衝装置１０を
介して車体（フレーム５）に支承されていて、衝
突時、すなわちバンパー７の後退時、上記緩衝装
置１０によつて衝突エネルギーを吸収して車体に
ダメージを与えずにバンパー７自体を元の状態に
復帰させるようにした、いわゆるエネルギー吸収
式バンパーに構成されているとともに、上記バン
パー７のバンパーサイド７ｂ，７ｂは車体側面
（フエンダー１）のホイールカツトライン４前縁
まで延長されていて、バンパー７とスカート８と
を一体風に見せるように設けられている。尚、上
記バンパー７の前縁はスカート８の前端より所定
の突出量_１だけ突出しており、またバンパーサ
イド７ｂ後端縁とタイヤ２の外周とは所定の間隙
量_２だけ離間しているが、この突出量_１と間
隙量_２とを加えた長さは衝突時に必要なバンパ
ー７のストローク量より小さい（＞_１＋
_２）ものである。

そして、第４図に拡大詳示するように、上記バ
ンパーサイド７ｂ裏面後方に対向する車体側面
（ホイールエプロン３）には、断面コ字状のブラ
ケツト１１を介して断面コ字状のガイド部材１２
が固定されており、該ガイド部材１２の側面およ
び該ガイド部１２側面に対向するバンパーサイド
７ｂ後部裏面には、それぞれ後方が車体外方へ傾
斜しかつ互いに当接し合う平坦なガイド面１２ａ
および７ｃが形成されており、衝突によるバンパ
ー７後退時に、バンパーサイド７ｂのガイド面７
ｃがガイド部材１２のガイド面１２ａに摺接しな
がら車体外方へ案内され、バンパーサイド７ｂ後
部をタイヤ２と干渉しないように車体外方へ変移
させ、よつてバンパー７に必要なストローク量
をかせぐように構成されている。

さらに、第４図および第５図に詳示するよう
に、上記バンパー７のバンパーサイド７ｂ下面に
は車体後方向に延びる長孔状のスライド溝１３が
穿設され、該スライド溝１３内の後端部にはブラ
ケツト１４を介してボルト１５が摺動自在に貫通
されており、該ボルト１５締めによつて上記ブラ
ケツト１４がスカート８に固定されているととも
にバンパーサイド７ｂとスカート８とはスライド
溝１３を介して車体前後方向に相対移動可能に連
結されている。また、バンパー７のバンパーセン
ター７ａにおいても、第６図に詳示するように該
バンパーセンター７ａ下面には車体前後方向に延
びるスライド溝１６が穿設され、該スライド溝１
６と同形状の長孔１７ａを有するブラケツト１７
がバンパーセンター７ａに固定されるとともにバ
ンパー７とスカート８とをボルト１８締めするこ
とにより、スカート８に対しバンパーセンター７
ａが車体前後方向に相対移動可能に連結されてい
る。よつて、スカート８が大型であることを考慮
して、バンパー７全体とスカート８全体とはスラ
イド溝１３，１６を介して車体前後方向に相対移
動可能となされている。さらに、上記バンパーサ
イド７ｂにおいて、ブラケツト１４の後端部には
スカート８が所定距離だけ後方移動した際に上記
ガイド部材１２の前端部に当接する当接面１４ａ
が形成されており、よつて、上記ガイド部材１２
はスカート８の所定距離以上の後方移動を規制す
るストツパーを兼ねている。尚、１９は上記ブラ
ケツト１４とバンパーサイド７ｂ後部との間に介
装されたリターンスプリング、２０は上記ブラケ
ツト１７とボルト１８との間に介装されたリター
ンスプリングであつて、それぞれ衝突時に上記緩
衝装置１０を補助して後退したバンパー７および
スカート８を元の状態に復帰させるためのもので
ある。

また、第７図ないし第１０図に示すように、上
記スカート８の前面中央部には矩形状の冷却空気
取入孔２１が開設されているとともに、車体下部
を通るクロスメンバー６に対応して、スカート８
の断面下部の左右端部寄りには車体前後方向のス
リツト２２，２２が穿設され、かつ該スリツト２
２，２２の前端縁と冷却空気取入孔２１との間に
は左右方向のノツチ２３，２３が形成されてい
て、クロスメンバー６に対応するスカート８の前
面下部を屈曲可能とし、スカート８が後方移動し
てスカート８の前面下部がクロスメンバー６に当
接した際、下方に屈曲してダメージを受けないよ
うになされている。さらに、上記冷却空気取入孔
２１の背面に設けたグリル９の左右端部はグリル
枠２４，２４に一体に連結されていて、該グリル
枠２４はスカート８に設けたガイド部材２５，２
５に車体前後方向に摺動自在に係合し、上記スカ
ート８の後方移動時にグリル９がクロスメンバー
６に当接した際、該グリル９を前方へ移動可能と
し、グリル９がダメージを受けないようにしてい
る。尚、２６はグリル枠２４とガイド部材２５と
の間に介装されたターンスプリングであつて、衝
突時に前方移動したグリル９を元の状態に復帰さ
せるためのものである。２７はラジエータであ
る。

したがつて、上記実施例においては、衝突時、
バンパー７が後退する際、バンパーサイド７ｂに
おいては該バンパーサイド７ｂ後部裏面に設けた
ガイド面７ｃが車体側面（ホイールエプロン３）
に設けたガイド部材１２のガイド面１２ａ上を摺
接して、第２図仮想線で示す如くバンパーサイド
７ｂ後部が車体外方へ変移するため、バンパーサ
イド７ｂがタイヤ２に干渉するのを防止して、バ
ンパー７に必要なストローク量を十分にかせぐ
ことができる。このため、衝突後は、バンパー７
は緩衝装置１０の作用によりかつ平坦なガイド面
７ｃ，１２ａ同士の摺接案内により元の状態にス
ムーズに復帰することができ、バンパー７のノー
ダメージが可能となる。

また、スカート８においては、スカート８に固
定したブラケツト１４の当接面１４ａが上記ガイ
ド部材１２（ストツパーを兼ねる）に当接するま
ではバンパー７と共に後方移動し、この当接位置
で後方移動が規制される（尚、バンパー７はその
後もスライド溝１３，１６を介して後退が可能で
ある）。この場合、バンパー７前端はスカート８
前端より突出しており、この突出量_１の分だけ
スカート８がバンパー７に対して相対的にスライ
ドすることができるとともに、スカート８の後端
部とタイヤ２との間隙量_３はバンパーサイド７
ｂ後端部とタイヤ２との間隙量_２よりも両者の
位置関係によつて通常大きいことと相挨つて、上
記当接位置においてバンパーストローク量を十
分にかせぐことができる。

さらに、スカート８の前面下部およびグリル９
においては、クロスメンバー６に当接した際、ス
カート８前面下部は第７図仮想線で示す如くスリ
ツト２２とノツチ２３との働きにより下方に屈曲
し、またグリル９はグリル枠２４とガイド部材２
５との摺動係合により前方へ移動するので、それ
ぞれダメージを受けることはない。

尚、本考案は上記実施例に限定されるものでは
なく、その他種々の変形例をも包含するものであ
り、例えば上記実施例ではガイド部材１２および
バンパーサイド７ｂにそれぞれ後方が車体外方へ
傾斜してなる平坦なガイド面１２ａ，７ｃを設け
たが、両者のうち少なくとも一方に、後方が車体
外方へ傾斜してなる平坦なガイド面を設ければよ
く、上記実施例と同様の作用効果を奏することが
できる。

また、上記実施例ではスカート８の所定距離以
上の後方移動を規制するストツパーとして上記ガ
イド部材１２を兼用させたが、別個に車体にスト
ツパー部材を設けてもよいのは勿論である。

以上説明したように、本考案によれば、エネル
ギー吸収式バンパーを備え、かつバンパーサイド
を車体側面のホイールカツトライン前縁まで延長
してなる自動車において、バンパーサイド裏面後
方と対向する車体側面にガイド部材を設け、該ガ
イド部材およびバンパーサイドの少なくとも一方
に後方が車体外方へ傾斜してなる平坦なガイド面
を形成し、バンパー後退時、該ガイド面によりバ
ンパーサイド後部を車体外方へ変移させる構成と
したものであるので、衝突時のバンパーストロー
クを十分にかせぐことができ、ホイールカツトラ
インを必要以上に大きくすることなく、バンパー
のノーダメージを可能にするものである。

さらに、上記バンパーサイドに車体前後方向に
延びるスライド溝を設け、該スライド溝を介して
バンパーとスカートとを相対移動可能に連結する
とともに、スカートの所定距離以上の後方移動を
規制するストツパーを設けたことにより、スカー
トにおいても、衝突時、バンパーストロークを充
分にかせぐことができ、スカートのノーダメージ
をも可能にすることができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は車体
前部の側面図、第２図は第１図の−線断面
図、第３図は第２図の−線断面図、第４図は
バンパーサイド後部付近を示す一部破断した拡大
斜視図、第５図は第４図の−線断面図、第６
図はバンパーセンター部分を示す一部破断した拡
大斜視図、第７図は車体前部の作動説明図、第８
図は車体前部を下方から見た斜視図、第９図は第
８図の−線拡大断面図、第１０図はグリル部
分の拡大斜視図である。 １……フエンダー、２……タイヤ、３……ホイ
ールエプロン、４……ホイールカツトライン、５
……フレーム、６……クロスメンバー、７……バ
ンパー、７ａ……バンパーセンター、７ｂ……バ
ンパーサイド、７ｃ……ガイド面、８……スカー
ト、９……グリル、１０……緩衝装置、１１……
ブラケツト、１２……ガイド部材、１２ａ……ガ
イド面、１３……スライド溝、１４……ブラケツ
ト、１４ａ……当接面、１５……ボルト、１６…
…スライド溝、１７……ブラケツト、１７ａ……
長孔、１８……ボルト、１９，２０……リターン
スプリング、２１……冷却空気取入孔、２２……
スリツト、２３……ノツチ、２４……グリル枠、
２５……ガイド部材、２６……リターンスプリン
グ、２７……ラジエータ、……バンパーストロ
ーク、_１……突出量、_２，_３……間隙量。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. バンパーのバンパーセンターを緩衝装置を介し
   て車体に支承するとともに、バンパーサイドを車
   体側面のホイールカツトライン前縁まで延長さ
   せ、上記バンパーサイド裏面後方と対向する車体
   側面にガイド部材を設け、該ガイド部材およびバ
   ンパーサイドの少なくとも一方に、後方が車体外
   方へ傾斜してなり、バンパー後退時、上記バンパ
   ーサイドの後部を車体外方へ変移させる平坦なガ
   イド面を形成し、上記バンパーサイド下面に車体
   前後方向に延びるスライド溝が形成されていて、
   該スライド溝を介してバンパーと該バンパー下方
   に位置するスカートとが相対移動可能に連結され
   ており、該スカートはその所定距離以上の後方移
   動がストツパーで規制されていることを特徴とす
   る自動車の車体前部構造。