JP6136704B2 - 車両の前部車体構造 - Google Patents
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Description
近年では、前突時における歩行者の下肢へのダメージ低減が要求されており、このため、特許文献1には、バンパフェースの裏側であって、エンジンルーム前部にて車幅方向に延びるバンパレインフォースメントの前部に衝撃吸収部材を設け、バンパフェースに荷重が入力されて変形した際には、バンパフェースが衝撃吸収部材に当接し、当該衝撃吸収部材が潰れることで、歩行者下肢へのダメージ軽減を図る構成が開示されている。
上述のナンバプレートホルダはエネルギを吸収しない略剛体部材であって、衝突時に該ナンバプレートホルダが変形せずに、そのままの形状を保持したままで全体的に後退すると、衝撃吸収部材での充分なエネルギ吸収量が得られないことになる。
上述の衝撃吸収部材としては、発泡ウレタン材から成るEA部材を採用してもよい。
また、上記切欠き部よりも車幅方向外側に位置する取付け部には、脆弱部を設けているので、車両が歩行者にオフセット衝突した場合には、ナンバプレートホルダが上記切欠き部で折れると共に、上記脆弱部で取付け部がクラッシュして、ナンバプレートホルダが後退するため、衝撃吸収部材に対する幅方向への接触面積を抑えつつ、該衝撃吸収部材にナンバプレートホルダが速やかに侵入して荷重入力することになり、当該衝撃吸収部材での充分なエネルギ吸収量を確保することができる。
さらに、ナンバプレートホルダは、上記衝撃吸収部材の前方に位置するので、走行風の導入を防げないレイアウトが確保できる。
しかも、上記ナンバプレートホルダは、車幅方向に並設して複数のプレートを搭載可能に形成されると共に、何れか一方のプレートを保持するスリット形状のプレート支持部が、上記切欠き部と車幅方向で略同位置に形成されたものであり、このように、一方のプレートを保持するスリット形状のプレート支持部は、切欠き部と車幅方向で略同位置に形成されているので、プレート保持機能と、スリット形状による脆弱機能とを兼ねたプレート支持部により、ナンバプレートホルダがより一層折れやすくなり、衝突時に衝撃吸収部材でのさらなるエネルギ吸収を図ることができる。
図面は車両の前部車体構造を示し、図1は当該前部車体構造の正面図、図2はグリル部に対するナンバプレートホルダの取付け構造を示す分解斜視図、図3は図1のA−A線矢視断面図、図4は図1のB−B線矢視断面図、図5は図1のC−C線に沿う要部拡大断面図である。
上述の左右のクラッシュカン3,3の前端相互間には、車幅方向に延びるバンパレインフォースメント4を取付けている。
この実施例では、EA部材8として発泡ウレタン部材を用いている。
上述のバンパフェース9は合成樹脂により形成され、車両最前部に位置する所謂樹脂バンパであって、このバンパフェース9の車幅方向上側中央部と、車幅方向下側中央部とには、フレッシュエア(走行風)を取入れるための開口部9a,9bが形成されている。
また、バンパフェース9の車幅方向左右両側上部には、ヘッドランプ(図示せず)を配置するために下方へ湾曲形成された凹部9c,9cが設けられている。
さらに、バンパフェース9の車幅方向左右両側下部には、フォグランプ配設部9d,9dが設けられている。
上述のグリル部10のブラインド部10c,10dは、次に述べるナンバプレートホルダ12の取付け座を兼ねるものである。
図2,図3,図4に示すように、EA部材8の前方に位置するようにフロントバンパ11には、ナンバプレートホルダ12が取付けられている。この実施例では、ナンバプレートホルダ12は上述のグリル部10のブラインド部10c,10dに取付けられている。
図5,図6に示すように、ナンバプレートホルダ12は、その車両左側をナンバプレート13の取付けエリアE1に設定し、車両右側を仮免プレート14の取付けエリアE2に設定している。
図7はナンバプレートホルダの平面図、図8はナンバプレートホルダの左側面図であって、図6〜図8に示すように、このナンバプレートホルダ12は、車幅方向に延びる略平板状の主面部15と、該主面部15の上端から後方に延びる上壁部16と、主面部15の下端から後方に延びる下壁部17と、主面部15の車幅方向左側端部から後方に延びる左側の縦壁部18と、主面部15の車幅方向右側端部から後方に延びる右側の縦壁部19と、を備えている。
また、ナンバプレートホルダ12において、フロントバンパ11と当該ナンバプレートホルダ12の主面部15との間隙を塞ぐ左右の縦壁部18,19は、図5に示すように、車両前後方向に対して後開き形状に傾斜して形成されており、これにより、洗車時のナンバプレートホルダ12のがた付きを防止すると共に、見映えを確保し、さらに、ナンバプレートホルダ12の車幅方向の端部に歩行者が衝突した場合の座屈性を確保すべく構成している。
複数の取付け部22〜25にうち取付け部22,23は、ナンバプレートホルダ12の車幅方向両サイドで、かつ、上下方向略中間部に設けられており、他の取付け部24,25は、車幅方向において切欠き部21と左右両サイドの取付け部22,23との間で、かつ上壁部16の近傍位置に設けられている。
上述の各取付け部22〜25は、切欠き部に対して車幅方向外側位置に設けられており、これらの各取付け部22〜25は、それぞれ有底筒状に形成されると共に、各取付け部22〜25には脆弱部としてのスリット22a,23a,24a,25aがそれぞれ形成されている。
上述の各取付け部22〜25は、図3,図4に示すように、ボルト26、ナット27等の締結部材を用いてグリル部10に取付けられるが、図2に示すように、取付け部24,25はグリル部10のブラインド部10cにおける締結部位10e,10eに取付けられ、取付け部22,23はグリル部10のブラインド部10dにおける締結部位10f,10fに取付けられる。
そして、上述の各取付け部22〜25に設けたスリット22a〜25aにより、車両が歩行者にオフセット衝突した場合、取付け部22〜25をクラッシュさせて、ナンバプレートホルダ12を後退させ、EA部材8に対する幅方向への接触面積を抑えつつ、EA部材8にナンバプレートホルダ12が速やかに侵入して荷重入力するように構成したものである。
この突き当て部材28は切欠き部21の近傍で、かつ該切欠き部21から車幅方向左外方に若干離間した位置に設けられている。また、この突き当て部材28は有底角筒形状に形成されると共に、その角筒の各コーナ部には車両の前後方向に延びる脆弱部としてのスリット28aをそれぞれ形成している。
上述の突き当て部材28は、その後端面をグリル部10のブラインド部10dに突き当て、洗車時等においてナンバプレートホルダ12ががたつくのを防止するための部材である。
図1に示すように、車幅方向左側に位置するナンバプレート13は取付け部材29,29を用いて、図6に示すナンバプレートホルダ12の取付けエリアE1における取付け位置30,30に固定される。
車幅方向右側に位置する仮免プレート14は取付けエリアE2に着脱可能に構成されているので、図6,図7,図8を参照して当該仮免プレート14の支持構造について説明する。
また、仮免プレート14の取付けエリアE2の車幅方向左側部には、上下方向に延びるスリット33を設け、このスリット33の車幅方向外側口縁から平面視L字状で、かつ上下方向に延びると共に、車幅方向外方に開放したプレート支持部34を設けている。
そして、上述の各スリット形状のプレート支持部32,34,36のうち、1つのプレート支持部34のスリット33は、上述の切欠き部21と車幅方向で略同位置に形成されており、衝突時にナンバプレートホルダ12をより一層折れやすく構成し、EA部材8でのさらなるエネルギ吸収を図るように構成したものである。
上述の屈曲部37は、この実施例においては車両後方にV字状またはU字状に突出するように形成しているが、脆弱部としては当該屈曲部37に代えて、薄肉部や開口部であってもよい。
上述の屈曲部37を形成することで、グリル部10が衝突時に突っ張ることなく簡単に潰れ、ナンバプレートホルダ12およびグリル部10が容易にクラッシュすることにより、衝突荷重を迅速にEA部材8に伝達して、エネルギ吸収を図るように構成したものである。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示す。
なお、以下の説明においては車両とインパクタXとが衝突した場合について述べる。
図9に示すように、車両がインパクタXに非オフセット衝突した場合、切欠き部21(図6,図7参照)によりナンバプレートホルダ12はその車幅方向中央が後方へ突出するように略V字状に折れ、EA部材8に対するナンバプレートホルダ12の侵入量が多くなって、EA部材8に局所的かつ確実に荷重が入力される。この結果、EA部材8での充分なエネルギ吸収量を確保することができる。
また、上記切欠き部21よりも車幅方向外側に位置する取付け部22〜25には、脆弱部(スリット22a〜25a参照)を設けているので、車両が歩行者にオフセット衝突した場合(図10参照)には、ナンバプレートホルダ12が上記切欠き部21で折れると共に、上記脆弱部(スリット22a〜25a)で取付け部(22〜25のうちのオフセット衝突側の取付け部)がクラッシュして、ナンバプレートホルダ12が後退するため、衝撃吸収部材(EA部材8)に対する幅方向への接触面積を抑えつつ、該衝撃吸収部材(EA部材8)にナンバプレートホルダ12が速やかに侵入して荷重入力することになり、当該衝撃吸収部材(EA部材8)での充分なエネルギ吸収量を確保することができる。
さらに、ナンバプレートホルダ12は、上記衝撃吸収部材(EA部材8)の前方に位置するので、走行風の導入を防げないレイアウトが確保できる。
また、バンパフェース9には開口部9a,9bが設けられ、上記グリル部10は走行風取入れ口10a,10bを有して上記バンパフェース9の開口部9a,9bを塞ぐよう当該バンパフェース9に取付けられており、上記ナンバプレートホルダ12は上記グリル部10に取付けられ、該グリル部10には車幅方向に複数の脆弱部(屈曲部37参照)が設けられたものである(図1,図3,図4,図5参照)。
さらに、上記ナンバプレートホルダ12は、車幅方向に並設して複数のプレート(ナンバプレート13、仮免プレート14参照)を搭載可能に形成されると共に、何れか一方のプレート(仮免プレート14参照)を保持するスリット形状のプレート支持部34が、上記切欠き部21と車幅方向で略同位置に形成されたものである(図1,図6参照)。
加えて、上記フロントバンパ11は車幅方向外方に向けて所定のキャンバを有して形成されており、上記ナンバプレートホルダ12には上記フロントバンパ11と当該ナンバプレートホルダ12との間隙を塞ぐ縦壁部18,19が車両前後方向に対して傾斜して形成されたものである(図5参照)。
この発明の衝撃吸収部材は、実施例のEA部材8に対応し、
以下同様に、
取付け部の脆弱部は、スリット22a〜25aに対応し、
グリル部の脆弱部は、屈曲部37に対応し、
並設する複数のプレートは、ナンバプレート13と仮免プレート14とに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
4…バンパレインフォースメント
8…EA部材(衝撃吸収部材)
9…バンパフェース
9a,9b…開口部
10…グリル部
10a,10b…走行風取入れ口
11…フロントバンパ
12…ナンバプレートホルダ
13…ナンバプレート(プレート)
14…仮免プレート(プレート)
18,19…縦壁部
22〜25…取付け部
22a〜25a…スリット(脆弱部)
34…プレート支持部
37…屈曲部(脆弱部)
Claims (3)
- エンジンルーム前部にて車幅方向に延びるバンパレインフォースメントが設けられ、
該バンパレインフォースメントの前部に車幅方向に延びる衝撃吸収部材が設けられ、
該衝撃吸収部材の前方にはバンパフェースおよびグリル部から成るフロントバンパが設けられ、
上記フロントバンパにナンバプレートホルダが設けられた車両の前部車体構造であって、
上記ナンバプレートホルダは、上記衝撃吸収部材の前方に位置するように上記フロントバンパに設けられると共に、
当該ナンバプレートホルダの車幅方向中央に切欠き部が設けられ、
該切欠き部より車幅方向外側位置に脆弱部を備えた上記フロントバンパへの取付け部が設けられ、
上記バンパフェースには開口部が設けられ、
上記グリル部は走行風取入れ口を有して上記バンパフェースの開口部を塞ぐよう当該バンパフェースに取付けられており、
上記ナンバプレートホルダは上記グリル部に取付けられ、
該グリル部には車幅方向に複数の脆弱部が設けられた
車両の前部車体構造。 - エンジンルーム前部にて車幅方向に延びるバンパレインフォースメントが設けられ、
該バンパレインフォースメントの前部に車幅方向に延びる衝撃吸収部材が設けられ、
該衝撃吸収部材の前方にはバンパフェースおよびグリル部から成るフロントバンパが設けられ、
上記フロントバンパにナンバプレートホルダが設けられた車両の前部車体構造であって、
上記ナンバプレートホルダは、上記衝撃吸収部材の前方に位置するように上記フロントバンパに設けられると共に、
当該ナンバプレートホルダの車幅方向中央に切欠き部が設けられ、
該切欠き部より車幅方向外側位置に脆弱部を備えた上記フロントバンパへの取付け部が設けられ、
上記ナンバプレートホルダは、車幅方向に並設して複数のプレートを搭載可能に形成されると共に、
何れか一方のプレートを保持するスリット形状のプレート支持部が、上記切欠き部と車幅方向で略同位置に形成された車両の前部車体構造。 - 上記フロントバンパは車幅方向外方に向けて所定のキャンバを有して形成されており、
上記ナンバプレートホルダには上記フロントバンパと当該ナンバプレートホルダとの間隙を塞ぐ縦壁部が車両前後方向に対して傾斜して形成された
請求項1または2に記載の車両の前部車体構造。
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