JPS6117404B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は指向性の鈍い加熱板ガラス兼受信アン
テナ、殊に自動車の後部窓ガラスの縦方向中央部
に設けられた加熱用導電線の上側の後部窓ガラス
上にアンテナ線を設けた広帯域無指向性の加熱板
ガラス兼受信アンテナに関する。

従来、防曇ガラスを用いた加熱板ガラス兼受信
アンテナは自動車用後部窓ガラスとして窓ガラス
の縦方向中央部に横方向に設けた複数本の加熱用
導電線と、その上側又は下側に設けた超短波受信
アンテナとをスタツブで接続したものが知られて
いる。

この種の自動車の後部窓ガラスはガラス面の複
数本の加熱用導電線に通電加熱することによつて
ガラス面の曇りを除去すること、超短波受信アン
テナによつて超短波帯域のFM放送を受信し、ま
た加熱用導電線によつて中波帯域のAM放送を受
信すること、この両方が同時にできるものであ
る。

しかしながら、自動車の後部窓ガラスに装備さ
れた前記アンテナは超短波帯域において、自動車
の前後方向からの到来電波に対して利得が最小
で、自動車の横方向からの到来電波に対して利得
が最大となり、その利得差が甚だ大なる指向特性
を有する。従つて、電界強度の弱い場所で、超短
波帯域の放送を受信する場合には自動車の方向が
電波の進行方向になると、Ｓ／Ｎ比が悪くなり、
特に超短波帯域におけるFM放送においては“バ
サバサ”あるいは“ザツザツ”といつたノイズが
発生する。

本発明は加熱板ガラス兼受信アンテナの指向特
性を無指向性に改善するためになされたものであ
つて、本発明は透明な板ガラスと、該板ガラスの
被加熱領域に設けた加熱用導電線と、該板ガラス
の他の領域に設けられた、該加熱用導電線の長さ
方向中央部に対応する位置を始点として該加熱用
導電線に対してほぼ平行に伸び、且つ縁部におい
て折り曲げ折り返された超短波受信アンテナと、
該加熱用導電線と該超短波受信アンテナとの間に
あつて、該加熱用導電線とカツプリングする少な
くとも一本の該加熱用導電線に対する平行線条を
もつ結合素子と、該超短波受信アンテナの始点又
はその始点に連つたリード線と該結合素子の該線
条の一点とを結合する該超短波受信アンテナに対
し反対側に伸びるスタツブとからなる加熱板ガラ
ス兼受信アンテナである。

ここにスタツブとは先端を短絡した任意の伝送
路であつて、通常平行な二線の先端を短絡したも
のをいう。

本発明において、超短波受信アンテナの縁部は
加熱用導電線に対して反対側に折り曲げられ、且
つ該加熱用導電線と平行になるよう折り返される
ことが好ましい。

また、本発明において、結合素子はその平行線
条の両端が加熱用導電線側に折り曲げられ、且つ
該加熱用導電線と平行して折り返されている互に
間隙をおいて終つている補助素子を設けることが
好ましい。

更にまた本発明において、結合素子と加熱用導
電線との結合が粗である場合には補助素子の終端
に両端部が接近した補助線条を設けることが好ま
しい。

更にまた本発明において、補助線条はそれと加
熱用導電線とを接続する第２の補助線条を設ける
ことが好ましい。

本発明は超短波受信アンテナを縁部において折
り曲げ折り返すことにより、アンテナの超短波域
における指向特性を無指向性に近ずけることがで
き、且つ該超短波受信アンテナと、結合素子、あ
るいは結合素子及び補助素子とをスタツブで接続
することによつて超短波域の広帯域にわたつてほ
ぼ一様な無指向特性と一様な利得とを得ることが
できる。

また本発明は、結合素子に補助素子を設けるこ
とによつて加熱用導電線と結合素子との結合を密
にし、更に補助素子の終端に両端が接近した補助
線条を、またはその補助線条と加熱用導電線とを
接続する第２の補助線条とを設けることによつて
加熱用導電線と結合素子との結合をより密にして
超短波帯域は無論、中波帯域の利得をも向上する
ことができる。

更にまた本発明は、超短波受信アンテナの縁部
を加熱用導電線のある側とは反対側に折り曲げ、
且つ該加熱用導電線と平行になるように折り返す
ことにより結合素子、補助素子あるいは補助線条
等を設けるスペースを充分大きくとることができ
る。

更にまた本発明は、超短波受信アンテナが加熱
用導電線に直接接続されていないので、アンテナ
と受信機、あるいはプリアンプの間に直流遮断用
のコンデンサを必要としないため、アンテナに誘
起した電流を受信機あるいはプリアンプに減衰す
ることなく伝達できる。

更にまた本発明は、アンテナが加熱用導電線に
直接に接続されていないため加熱用導電線と加熱
用電源との間に高周波電流遮断用のチヨークコイ
の挿入を必要としない。

以下本発明の実施例について図面を引用して詳
述する。

第１図において、加熱用導電線群１０は自動車
の後部窓ガラス１の表面に窓ガラスの縦方向中央
部で横方向に互に平行な加熱用導電線１１が窓ガ
ラスの両側部の母線１２，１３に接続するように
設けられたものである。加熱用導電線群１０を設
けた窓ガラス１の加熱領域の上側に、巾方向中央
部から加熱用導電線に対して平行に伸び、且つそ
の縁部において上側に折り曲げ、加熱用導電線１
１と平行に折り返されたFM放送を受信するのに
最適な長さの超短波受信アンテナ１４と、超短波
受信アンテナ１４と加熱用導電線１１との間にあ
つて、加熱用導電線１１にカツプリングする結合
素子１８とが設けられている。結合素子１８は加
熱用導電線に平行な線条１５と、その両端が加熱
用導電線１１側に折り曲げ、且つ加熱用導電線１
１と平行に折り返された補助素子１６，１６′
と、その補助素子１６，１６′の開放終端にその
両端部が接近して設けられた、平行線条１５に平
行な補助線条１７とからなる。また超短波受信ア
ンテナ１４の始点に連なり、それに対して垂直に
上方に伸びる、饋電点１９を有するリード線２０
上の点と結合素子１８の平行線条１５とを引出し
線条２１を介して接続するスタツブ２２が設けら
れている。そして超短波受信アンテナ１４の全長
とスタツブ２２の長さは受信を望む超短波帯域の
電波に対して利得が最大になるように調節され
る。

加熱用導電線１１、母線１２，１３、結合素子
１８，饋電点１９引出し線条２１及びスタツブ２
２は銀の微細な粒子、低融点ガラス粉末等を有機
溶媒でペースト状にした導電ペーストを窓ガラス
１上にシルクスクリーン法により同時に印刷し、
焼付けることによつて得られる。前記のようにし
て作られた加熱板ガラス兼受信アンテナは、饋電
点に接続される図外の同軸ケーブルを介してプリ
アンプ又は受信機のアンテナ端子に接続され、他
方母線１２にはスイツチ２３を介してバツテリー
２４の正極に連なる導線２５が接続され、そして
母線１３にはバツテリー２４の負極に接続された
導線２６が接続される。

以上のような加熱板ガラス兼受信アンテナは
76MHz乃至90MHzの国内FM放送波帯の広い帯域
にわたつてほぼ第３図に示すような無指向性の特
性が得られた。

また、前記加熱板ガラス兼受信アンテナはスタ
ツブ２２及び結合素子１８を介して加熱用導電線
１１と結合されているため超短波帯域は無論、中
波帯域の利得をも向上できた。

更にまた、前記加熱板ガラス兼受信アンテナは
加熱用導電線に直接接続されていないので、饋電
点１９に連なる図外の伝送回路に直流遮断用コン
デンサーを介在させる必要がないため、アンテナ
に誘起された誘起電流をプリアンプあるいは受信
機に減衰することなく伝送できたり、またブスバ
ー１２，１３とバツテリー２４との間で高周波電
流遮断用のチヨークコイルが不要となる利点を有
する。

第２図には、本発明の他の実施例を示し前記実
施例と対応するところは第１図に示した番号で示
した。第２図に示した実施例は第１図に示した実
施例とはリード線２０の形状が異なり、リード線
２０を窓ガラス１１の上側辺に沿つて延長させ饋
電点１９を窓ガラスの左上隅に設けたところに特
徴を有する。

以上は本発明の実施例について述べたものであ
るが、本発明は前記実施例に限定されることなく
特許請求の範囲内において変形できる。例えば実
施例の結合素子１８は補助素子１６及び補助線条
１７を有しているが、これらを省くこともでき
る。また実施例の結合素子１８の補助線条１７は
加熱用導電線１１に連つていないが、この補助線
条１７の中央部と最上部の加熱用導電線の中央部
とを接続する第２の補助線条を設けることもでき
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すものであつて、第
１図は正面図及び電気回路図、第２図は他の実施
例を示す正面図及び電気回路図、第３図はアンテ
ナの指向特性図である。 １：窓ガラス、１１：加熱用導電線、１４：超
短波受信アンテナ、１５：平行線条、１６：補助
素子、１７：補助線条、１８：結合素子、２０：
リード線、２２：スタツブ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 透明な板ガラスと、該板ガラスの被加熱領域
   に設けた加熱用導電線と、該板ガラスの他の領域
   に設けられた、該加熱用導電線の長さ方向中央部
   に対応する位置を始点として該加熱用導電線に対
   してほぼ平行に伸び、且つ縁部において折り曲げ
   折り返された超短波受信アンテナと、該加熱用導
   電線と該超短波受信アンテナとの間にあつて、該
   加熱用導電線とカツプリングする少なくとも一本
   の該加熱用導電線に対する平行線条をもつ結合素
   子と、該超短波受信アンテナの始点又はその始点
   に連つたリード線と該結合素子の該線条の一点と
   を接続する、該超短波受信アンテナに対し反対側
   に伸びるスタツブとからなる加熱板ガラス兼受信
   アンテナ。 ２ 超短波受信アンテナの縁部は加熱用導電線側
   に対して反対側に折り曲げられ、且つ該加熱用導
   電線とほぼ平行になるよう折り返されていること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項記載の加熱板
   ガラス兼受信アンテナ。 ３ 結合素子はその平行線条の両端が加熱用導電
   線側に折り曲げられ、且つ該加熱用導電線と平行
   して折り返されている互に間隙をおいて終つてい
   る補助素子を有することを特徴とする特許請求の
   範囲第１項又は第２項の加熱板ガラス兼受信アン
   テナ。 ４ 補助素子の終端に両端部が接近して設けられ
   た補助線条を有することを特徴とする特許請求の
   範囲第３項の加熱板ガラス兼受信アンテナ。 ５ 補助線条と加熱用導電線とを接続する第２の
   補助線条を設けたことを特徴とする特許請求の範
   囲第４項の加熱板ガラス兼受信アンテナ。