JPS6116543Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は防水時計、特にその防水パツキンに
関するものである。

電子時計（主に腕時計）の時計ケースは、一般
に側ケースとこの側ケースに取付けられた裏蓋と
から構成されており、前記裏蓋の取付部はリング
状の防水パツキンによつてシールされている。こ
の裏蓋取付部をシールする防水パツキンとして
は、従来一般にＯリングが使用されており、この
Ｏリングは側ケースの下部内周面と裏蓋内面に形
成された環状凸部の外周面との間に圧縮挟持され
ている。

一方、前記時計ケース内には、時計モジユール
（またはムーブメント）、報音用の発音素子、電池
等の時計内蔵部品が収納されており、前記発音素
子としては電磁ブザーまたは圧電ブザーが使用さ
れ、また電池としては釦型酸化銀電池またはコイ
ル型のリチウム電池が使用されている。そして前
記電磁ブザーや釦型酸化銀電池は、それ自体が小
型であるためにこれらは一般に時計モジユールに
収納されており、また圧電ブザーやコイン型リチ
ウム電池は時計ケースの内径に近い大径なもので
あるために、これらは一般に時計モジユールとは
別個に時計ケース内に収納されている。

ところで、前記圧電ブザーやコイン型リチウム
電池等を時計モジユールとは別個に時計ケース内
に収納するには、これら時計内蔵部品をガタつか
ないように保持することが必要であり、そのため
に従来は専用の保持部材によて時計内蔵部品を保
持している。

しかしながら、このようにして時計内蔵部品を
保持するのでは、専用の保持部材が必要なだけで
なく、この保持部材の取付けに手間がかかるため
に、従来の電子時計は組立てが面倒であるという
欠点をもつていた。

この考案は上記のような実情にかんがみてなさ
れたものであつて、その目的とするところは、時
計ケースの裏蓋取付部をシールする防水パツキン
に、裏蓋の取付固定、裏蓋取付部のシール及び時
計内蔵部品の保持機能を持たせ、これによつて部
品点数が少なく、かつ組立作業の容易な防水時計
を提供することにある。

以下、この考案の一実施例を図面を参照して説
明する。

第１図はこの実施例の防水パツキンを示し、第
２図及び第３図はこの防水パツキンの実装状態を
示している。まず第２図及び第３図について説明
すると、図中Ａは側ケース１と裏蓋２とからなる
時計ケース、Ｂは前記時計ケースＡ内に前記裏蓋
２に接近させて収納された圧電ブザーであり、こ
の圧電ブザーＢは金属薄板からなる振動板３面に
圧電素子４を貼付けたものである。５，５は前記
裏蓋２の傾斜面に設けられた放音孔、６は時計ガ
ラス、７は時計モジユール（またはムーブメン
ト）であり、この時計モジユール７は側ケース１
内に嵌合され前記圧電ブザーＢの振動板３によつ
て下面外周部を支持されている。また、８は前記
側ケース１の下部内周面に全周にわたつて形成さ
れた環状の切欠段部、９は第１図に示した防水パ
ツキンであり、この防水パツキン９はゴム等から
なるリング状のもので、前記切欠段部８の内周に
嵌装されている。１０は前記裏蓋２の外周部内面
に形成された環状凸部、１１は前記環状突部１０
の外周に沿わせて前記裏蓋２の内面に形成された
環状凹部であり、前記裏蓋２は前記環状凸部１０
を前記防水パツキン９を介して前記側ケース１の
切欠段部８に圧力嵌合することによつて側ケース
１に取付けられている。また、前記環状凸部１０
の高さは、裏蓋２を側ケース１に取付けた状態に
おいて環状凸部１０の上面が前記切欠段部８の上
面から所定高さ（圧電ブザーＢの振動板３の厚さ
よりわずかに大きな高さ）だけ低い位置にくるよ
うな高さとされている。

この実施例の防水パツキンは、第１図に示すよ
うに、その高さを前記環状凸部８の高さよりも高
くし、かつ前記環状凸部８の上方に突出するパツ
キン上部を全周にわたつて内周側に厚肉としてこ
の厚肉部９ａの内周を前記圧電ブザーＢの嵌合保
持部としたもので、この防水パツキン９の上端部
内周には複数（例えば４個）の水平弾性舌片１
２，１２が一体に突設されている。

この防水パツキン９は、第２図及び第３図に示
したように、その上端面及び前記弾性舌片１２，
１２の上面を前記切欠段部８の上面に接面させた
状態で前記切欠段部８に嵌装されるもので、この
防水パツキン９は前記切欠段部８に嵌装した状態
においてその下端部が側ケース１の下端からわず
かに突出するような高さとされており、さらにこ
の防水パツキン９の厚肉部９ａの内径は前記圧電
ブザーＢの振動板３の径よりわずかだけ小径とさ
れ、またこの防水パツキンの薄肉部９ｂの内径は
前記振動板３の径よりも大径とされている。

しかして、前記圧電ブザーＢを時計ケースＡ内
に実装するには、まず前記防水パツキン９を側ケ
ース１の切欠段部８に嵌装した後に、前記防水パ
ツキン９の下側から圧電ブザーＢを挿入してその
振動板３を防水パツキン９の厚肉部９ａに押し込
んでやればよく、この場合前記防水パツキン９の
下側部分つまり薄肉部９ｂはその内径が前記振動
板３の径よりも大径であるから、防水パツキン９
の厚肉部９ａの直下までは圧電ブザーＢを無理な
く挿入することができる。そして、前記防水パツ
キン９の厚肉部９ａに嵌合された圧電ブザーＢ
は、その振動板３の外周縁が前記防水パツキン９
の厚肉部内周に弾圧状態で保持されるためにガタ
つくことなく確実に保持されるし、また前記振動
板３の周囲は前記防水パツキン９の厚肉部９ａに
よつて水密にシールされるから、裏蓋２に設けら
れている放音孔５，５から水が入つた場合でもこ
の水が前記振動板３の周囲から時計モジユール７
側に侵入するようなことはない。しかも、この実
施例の防水パツキンはその上端部内周に複数の弾
性舌片１２，１２を形成したものであるから、前
記振動板３の外周部は前記弾性舌片１２，１２を
介して前記切欠段部８の上面に受け止められるこ
とになり、従つて裏蓋２側の環状凸部１０によつ
て振動板３の外周部を下面側から押圧するように
しておけ前記圧電ブザーＢをさらに確実に保持す
ることができる。

一方、前記裏蓋２は、前記圧電ブザーＢを装着
した後に側ケース１に圧入嵌合すればよく、この
裏蓋２の取付部は、側ケース１の下部内周面（切
欠段部８の内周面）と裏蓋２側の環状凸部１０の
外周面との間に前記防水パツキン９の薄肉部９ｂ
が圧縮状態で挟持されることによつて水密にシー
ルされる。なお、前記裏蓋２の内面に形成されて
いる環状凹部１１は前記防水パツキン９の下端部
に密嵌されるもので、このようにすれば裏蓋取付
部のシール性はさらに高くなる。

すなわち、この実施例の防水時計は、側ケース
１の下端内周側に形成された切欠段部８の内周面
と裏蓋２の内面に形成された環状凸部１０の外周
面との間に介在れる防水パツキン９の高さを前記
環状凸部１０の高さよりも高くし、かつ前記環状
凸部１０の上方に突出するパツキン上部を内周側
に厚肉としてこの厚肉部内周を時計内蔵部品（こ
の実施例では圧電ブザーＢ）の嵌合保持部として
なるものであり、この防水パツキンによれば裏蓋
の固定、裏蓋取付部のシールだけでなく、この防
水パツキンによつて時計内蔵部品も保持すること
ができるし、さらに防水パツキンへの時計内蔵部
品の嵌合も容易に行なえるから、時計の組立てを
簡易化することができる。しかも、時計内蔵部品
の保持は防水パツキンの厚肉部内周面で行つてい
るので、時計内蔵部品の薄形実装を維持すること
ができる。

なお、上記実施例では防水パツキンに圧電ブザ
ーＢを嵌合保持させた例を示したが、この防水パ
ツキン９には第４図に示すようにコイン型リチウ
ム電池Ｃを嵌合保持させてもよいし、また第５図
に示すように時計モジユール７の下端部を嵌合保
持させてもよい。なお、第４図において１３はリ
ング状の波板バネからなる電極板であるが、裏蓋
２の内面に突部を形成してこれを前記電池Ｃに当
接させるようにすれば前記電極板１３は不要とな
る。また、上記実施例ではパツキン上部の時計内
蔵部品が嵌合保持される部分を全周にわたつて厚
肉としているが、この厚肉部９ａは第６図に示す
ように間隔をおいて複数個所に形成してもよい
（ただし裏蓋２に放音孔５，５がある場合はこの
防水パツキンは使用できない）。さらに上記実施
例ではパツキン上端部の内周に突出する弾性舌片
１２，１２を間隔をおいて複数個所に形成してい
るが、この弾性舌片はパツキン全周にわたつて環
状に形成してもよいし、またこの弾性舌片を全く
なくしてもよい。

この考案の防水時計は防水パツキンを上記のよ
に構成したものであるから、裏蓋取付部をシール
するだけでなく、この防水パツキンによつて時計
内蔵部品を保持することができ、しかも時計内蔵
部品の嵌合保持部を内側に厚肉にすることによつ
てこの厚肉部の直下までは時計内蔵部品を無理な
く挿入することができるようにしているから、時
計の組立てを簡易化することができ、また時計内
臓部品の薄型実装を維持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の防水パツキンの一実施例を
示す斜視図、第２図は同じくその実装状態の一例
を示す縦断面図、第３図は第２図の一部分の拡大
図、第４図及び第５図はそれぞれ他の実装状態を
示す縦断面図、第６図はこの考案の防水パツキン
の他の実施例を示す斜視図である。 Ａ……時計ケース、１……側ケース、２……裏
蓋、Ｂ……圧電ブザー、Ｃ……電池、７……時計
モジユール、９……防水パツキン、９ａ……厚肉
部、９ｂ……薄肉部、１０……環状凸部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 側ケースの下部内周面と裏蓋内面に形成された
   環状凸部の外周面との間に弾性を有するリング状
   の防水パツキンを介在させ、この防水パツキンに
   より裏蓋の取付固定と裏蓋取付部の防水とを同時
   に行う防水時計に於て、前記防水パツキンの高さ
   を前記環状凸部の高さより高くするとともに前記
   環状凸部の上方に突出するパツキン上部を内周側
   に厚肉とし、この厚肉部の内周面に時計内臓部品
   を嵌合保持させたことを特徴とする防水時計。